ロボットSIerの認知度向上と人材育成に取り組む

FA・ロボット システムインテグレータ協会

奥山剛旭氏

株式会社HCI 代表取締役社長
奥山剛旭氏(SIer協会副会長)

半世紀にわたり、製造現場の自動化に貢献してきた産業用ロボット。機械の高度化や用途の拡大にともない、モノづくりにおいては効率的なシステムの構築が求められている。こうした自動化システムの導入提案や設計、組み立てを行う事業者のロボットSIerは、近年存在感を高めている。2018年には業界団体「FA・ロボットシステムインテグレータ協会(SIer協会)」が設立され、業界の認知度向上や人材育成などに取り組んでいる。同協会の奥山剛旭副会長(HCI社長)に、22年度の取り組みと今後の展望について聞いた。

ロボット導入セミナーイベントなどをリアルで開催

コロナ禍にあった21年度は、どのような取り組みをされたのでしょうか。

当協会は、各地でSIer企業間やロボット導入を考えていらっしゃる企業さまとの交流を図るために、各地のニーズや特徴を活かしロボット導入のためのセミナーなどを行うイベント「SIer's Day」を開催しています。同イベントは新型コロナウイルス感染症の影響により、20年の1月の名古屋開催を最後に、開催を見送っていましたが、21年11月に札幌、12月に四国でそれぞれ実施しました。経済産業局をはじめ各行政機関と連携しながら、リアルとウェブの併催という形をとっています。

また、「新商品・サービス説明会」も実施しています。同説明会は、当協会会員をはじめとするロボットSIerに対し、ロボットシステムに関わるさまざまなツールや関連するサービスなどをご紹介してもらい、会員およびロボットSIerのシステムインテグレーション能力の向上を図り、業界間の交流を推進するためのイベントです。

20年度からはWEBツールによる配信イベントとしてご案内していました。あらためて会場でのリアル開催を企画し、会員のみならず多くの業界に関わる方々のため、情報発信・収集の場としてご活用いただけるように準備を進めています。

ロボットSI基礎講座や検定制度で業界を底上げ

人材育成や知識や技能の向上についての取り組みは、いかがですか。

当協会では、ロボットSIerの人材育成および普及のため、「ロボットSI基礎講座」を全国の主要都市で開いています。各種団体との連携やウェブを活用した講座も進めています。ロボットSI基礎講座はリアル開催講座だけでなく、ウェブでも開催していますので、社内講座の開催などお気軽に当協会までお問い合わせいただきたいと思います。

日本は世界の産業用ロボットの約半数を生産する”ロボット大国”と言われていますが、そのロボットが現場に合ったロボットシステムとして機能するためには、ロボットSIerの存在が欠かせません。今後、さらにロボットSIer業界を発展させていくためには、ロボットSIer業務に携わる人材を育成していかなければなりません。

ロボットSI基礎講座
ロボットSI基礎講座

協会独自の検定制度にも取り組まれているそうですね。

コロナ禍においても、3級の検定試験を行ってきました。内容はロボットSIerに関する座学と実技です。私は講師も担当していますが、実際にロボットを動かすためには、プログラムによってロボットに命令を伝え思い通りに動かすというスキルが求められます。22年度は2級検定を実施する予定で、よりプロフェッショナルなレベルに踏み込んでいきます。

ロボットSI検定実技試験の様子
ロボットSI検定実技試験の様子

検定を実施する理由としては、検定に合格したということがステータス、いわばお墨付きになるからです。さらに、検定が技能レベルの標準化にもつながると考えています。検定を通じて、業界の活性化につなげていこうと考えています。22年度からは会員以外にも受けて頂けるような仕組みも検討しています。

高校生ら若年層にもロボットSIerをアピール

業界の認知度向上についても聞かせてください。

高校生や高等専門学校生が新しい産業用ロボットのアイデアを競い合う「ロボットアイデア甲子園」を、19年に初開催しました。22年3月に2回目となる全国大会を開催予定で、21年度には、20ヶ所の地方大会を開催する予定で進め、最終的に16センターで開催しました。地方大会の開催センターは、第一回大会から着実に増えております。47都道府県で地方大会を開くことが目標です。

ロボットアイデア甲子園を通じて、初めて見る産業用ロボットに感動してもらい、「将来はロボットSIerの道に進みたい」という若い人たちを増やしていくことを目指しています。

今後の業界として取り組むべき課題ついて、聞かせてください。

海外展開では個社ではなく、小さな会社がまとまることによって、“オールジャパン”として取り組んでいくことが大切だと考えています。また、国内においては経済産業省をはじめ各行政機関との連携を進めていくことも重要です。

さらに、国内では中小企業にもロボットの導入が進むなど、裾野が広がってきています。こうしたなかで、ロボットメーカーとユーザーのかけ橋となるロボットSIerの役割がますます高まっていると感じています。我々に対するニーズが高まっているからこそ、会員企業同士で切磋琢磨し、自社の技術や知識を高め合っていくことが必要です。

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