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イチから正しく身につける
カラー版 機械保全のための部品交換・調整作業

定価(税込)  2,530円

著者
サイズ A5判
ページ数 176頁
ISBNコード 978-4-526-08213-9
コード C3053
発行月 2022年05月
ジャンル 機械

内容

機械設備の日常保全作業の勘どころがカラー写真で一目瞭然! ねじの外し方や締め方、ベルト・チェーンの張り具合、芯出し方法などの「加減がわかる」。原理・原則と動作の基本を体得することで“我流” を改め、作業のカン・コツを標準化できるように手ほどきする。





小笠原邦夫  著者プロフィール

(おがさわら くにお)
1998年、日本工業大学大学院工学研究科機械工学専攻(工学修士)。半導体メーカー勤務を経て現在、千葉職業能力開発促進センター機械系講師。生産設備に関わる技術支援として機械保全全般、装置設計、安全活動などを行っている。
著書:「ひとりで全部できる空気圧設備の保全」(日刊工業新聞社)
保有資格:空気圧装置一級技能士、油圧調整一級技能士、機械プラント製図一級技能士

目次

第1章 勘と経験によるねじ締結からの脱却
1-1 ねじは必ず緩む  
①緩みの発生源を探る
②ねじの緩みは締め付け不足だけではない
1-2 増し締めが良いとは限らない  
①定期点検でついやってしまう増し締めによるミス
②ねじが繰り返し使用できる範囲は限られている
1-3 ねじの損傷を解決せよ  
①ねじを損傷させる作業行為を見抜け
②締めすぎによるオーバートルクを意識せよ
1-4 伸びにくいねじは存在する  
①ねじの強度区分けを紐解く
②ねじ強度の見誤りは工具を損傷させる
1-5 もっとうまく平座金を活用しよう  
①座面の陥没を防ぐ平座金の有効性
②平座金の表裏をうまく使いこなそう
1-6 緩み止め効果はあるか? ばね座金の実際  
①実は適用箇所は限られている
②ばね座金は再利用できない

第2章 ねじの損傷を劇的に減らす工具の正しい使い方
2-1 締結の基本は手締め・仮締め・本締め  
①手締めで異常を感じ取る
②仮締めと本締めの使い分け
2-2 長さの違いはトルクに影響する(六角レンチの活用)  
①長さの違いで仮締めと本締めを使い分ける
②本締めで継ぎ足しパイプは禁止
2-3 仮締めと本締めを使い分ける(スパナとメガネレンチ)  
①スパナは仮締めで使う
②メガネレンチは本締めで使う
2-4 軸力こそがカギ(プラス・マイナスドライバー)  
①ねじ頭をなめやすいプラス・マイナスねじの損傷原因
②回すことより押すことを意識せよ
2-5 便利な道具は適用箇所を見極めろ  
①大は小を兼ねないモンキーレンチの難点
②ラチェットハンドルは仮締めとして使用する
2-6 工具の理解で終わらせない組立精度を高める技  
①取り付け面の突起やバリを見逃すな!
②やすりと砥石を使いこなそう
2-7 回転体はねじの締め方にコツがある  
①左右均等たすき掛けが基本
②バランス良くひずみを逃がす締結方法

第3章 調整次第で寿命に差が出るベルトとチェーンの張り直し
3-1 Vベルトの張り状態を判断してベルトの破断を防ぐ  
①Vベルトが使用されるところ
②形式から長さを読み取る
③ベルトは張ってこそ機能する
3-2 VベルトとVプーリーの損傷判断  
①Vベルトの鳴きは伸びが原因
②スリップしたベルトはプーリーも確認する
③ベルトの湿気(溶け)は油の飛沫を疑え
3-3 安全なベルトの取り外し作業  
①ベルトの巻き込みに注意せよ
②ベルトの取り付けと取り外し
3-4 寿命に差が出るVベルトの張り方  
①プーリーの芯出し
②ベルトを巻き込ませるとプーリー(軸)が傾く
3-5 ベルトの試運転と定期的な張り直し  
①運転後のベルトの張力を管理する
②定期点検ではスリップを見逃すな
3-6 チェーンのたるみを判断して異常振動を改善せよ 
①チェーンが使用されるところ
②形式から長さを読み取る
③チェーンはたるませることで機能を発揮する
3-7 チェーンとスプロケットの損傷判断  
①チェーンの伸びは潤滑不足が原因
②スプロケットの損傷原因
3-8 安全な分解作業のポイント  
①チェーンの巻き込みは指を切断する
②駒を上手に外す
3-9 チェーンのうまい張り方と定期点検  
①スプロケットの芯出し
②チェーンの張り調整
3-10 チェーンの試運転と定期的な張り直し  
①運転後のチェーンの張力を管理する
②回転速度の違いによる跳ね上がりに注意せよ
column ❶ 一緒に機械設備を診よう  

第4章 回転性能に影響する軸と要素部品の取り外し作業
4-1 要素部品の役目と点検ポイント  
①動力伝達経路と機器の構成を確認しよう
②回転振れを検出しよう
4-2 分解前に締結状態を判断せよ  
①組立精度ははめ合いが関係している
②分解前の位置合わせを忘れるな
4-3 軸とプーリーを取り外す際の注意点 
①軸とのはめ合い状態を感じ取れ
②引き抜き器具(プーラー)を用いる場合は「しまりばめ」と判断せよ
4-4 キーの変形を見逃すな  
①キーの損傷は軸とプーリーに影響する
②キーの点検箇所
4-5 キーの分解方法は外観から見極めろ  
①沈め平行キーの取り外し方法
②勾配キーの取り外し方法
③半月キーの取り外し方法
4-6 回転性能を左右する軸受の特徴  
①軸受の構造とはめ合い
②軸受の固定側と自由側の位置関係
4-7 軸受の取り外し方法  
①正しく分解しないと異常を見抜けない
②芯を合わせて軸受を取り付ける
4-8 多方面で扱われる軸受ユニットの特徴  
①自動調心性をうまく使いこなす
②軸受ユニットの構成
4-9 回転精度を高める軸受の取り付けと調整   
①軸受ユニットの軸と軸受の取り付け
②2点の締結ではねじれを意識する
③運転に欠かせない最適なグリス量
column ❷ 損傷した工具や測定器を教材に活用しよう  

第5章 機器の寿命を改善できる2軸の芯出し方法
5-1 芯出し作業の狙いは同軸にある  
①軸線上の組み付けユニットの活用場所
②ミスアライメントによる偏芯偏角とは
5-2 カップリングはミスアライメントを吸収できない  
①カップリング取り付けのポイント
②ミスアライメントによる損傷
5-3 軸継手の外周は軸芯ではない  
①軸継手の特徴
②軸継手の損傷
5-4 芯ズレ量を数値で判断する  
①測定器を使いこなす
②2軸の芯高さをライナー(シム)で調整する方法
5-5 ライナー(シム)で取り付け平面をつくり出すコツ  
①ライナー(シム)による高さ調整のポイント
②ライナー(シム)の製作と締め加減のコツ
ユニットの軸芯を合わせる4つの工程①
5-6 取り付け台座の高さ調整  
①取り付け台座がすべての基準
②ダイヤルゲージによる台座の高さ計測(ポンプ側2カ所の測定)
③ダイヤルゲージによる台座の高さ計測(モーター側4カ所の測定)
ユニットの軸芯を合わせる4つの工程
②5-7 ユニットの軸芯(偏角)を確認する  
①軸芯(偏角)をダイヤルゲージで計測する
②偏角量をライナー(シム)で調整する
ユニットの軸芯を合わせる4つの工程③
5-8 2軸の軸芯高さ(偏芯)を合わせる
①2軸の軸芯高さをダイヤルゲージで計測する
②偏芯量をライナー(シム)で調整する
ユニットの軸芯を合わせる4つの工程④
5-9 2軸の平行を確認する  
①水平方向の傾きを確認する
②試運転の進め方
column ❸ 点検表を見直して設備トラブルを防ごう  

索引   

はじめに

機械設備は、過負荷や使用部品の経年劣化によって常に状態が変わります。振動や異音、動きの鈍さから「おかしいな…?」と異常を判断することが、機械保全マンとしての第一歩です。

しかし、異常とはどの程度の度合いを指すのでしょうか。設備の動力源に欠かせないモーターとベルト駆動のトラブルは避けたいものです。特にベルトのスリップする音を聞き漏らすと、いずれは破断に至ります。
だからこそ、ベルトの交換作業は一人でできるようにしたいところです。しかしベルトを交換しようにも、締結部品(ボルトなど)は必ず外さなければいけません。その際、ボルトのサイズに合うものなら、工具はどれを選定してもよいとは限りません。
また、ベルトの張り具合を間違えて軸受を損傷させた場合、どのように対処すべきでしょうか。部品交換後には、必ず「芯出し」作業が必要です。ベルトは2軸間のプーリーの平行が得られなければいけません。ここまで作業ができて、ようやく試運転を迎えられることになります。ただし、運転後もベルトの張り直しなどの調整が必要です。

このように機械保全作業では、機械設備の異常判断、部品交換、芯出し、試運転後の状態把握まで幅広く手掛けなければなりません。特に機械要素部品の取り扱いが悪ければ、「いじり壊し(部品損傷)」という現象につながります。これを回避するには“我流”を見直し、これまで培ってきたノウハウ(カン・コツ)を共有化して、作業の標準化に結びつけることが大事です。そのスキルが、現場の持つ大きな武器となります。

そこで本書では、生産現場で発生する機械トラブルに対して、これだけは絶対に身につけておきたい機械保全作業に絞り込み、対策法を紹介しています。
初めに、設備には必ず部品交換作業が発生します。このとき、「ねじ」と「工具」の取り扱いは必須です。この単純な作業が、実はうまくこなせないために、ねじの締結不足や工具損傷を招いているのです。したがってねじと工具を一対で理解し、工具締結時の力加減(感覚)を身につけることで、設備寿命をグッと延ばすことができます。
次に、ベルトやチェーンの適正な交換作業を取り上げます。ベルトの張りすぎは寿命の低下や破断のほか、軸受損傷につながります。軸受交換となれば軸からプーリーを抜き、キーを的確に外せないと軸を傷つけてしまいます。そのため軸周りの機械要素部品を理解し、正しく取り扱う技能を手ほどきします。
そして最後に、交換した軸受は必ず軸と回転中心(軸芯)を合わせます。芯出し不良(ミスアライメント)は大きな振動発生の原因となり、故障や漏れなどを引き起こします。芯出しは対象機器によってさまざまな手法がありますが、基本作業を読み解くことで実施が可能です。

設備に使用される機器によって、実に多様なトラブルが発生します。このとき大切なのは、基本をしっかり理解しておくことです。異常を発見し、適切に部品を交換する。この作業ができれば、多くの設備トラブルに対応できるはずです。そのため、本書では基本作業から設備の寿命延長に結びつくノウハウを整理して伝えます。みなさんの機械保全に関わる基礎スキルが向上することを願っています。
最後に、本書の企画の段階から多くのアドバイスをいただき、出版にご尽力いただきました日刊工業新聞社出版局書籍編集部の矢島俊克氏に深くお礼申し上げます。

著 者

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