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図解!わかりやすーいプラスチック材料を使った機械設計実務入門
材料特性にとことんこだわって解説

定価(税込)  2,200円

著者
サイズ A5判
ページ数 172頁
ISBNコード 978-4-526-08201-6
コード C3053
発行月 2022年04月
ジャンル 機械

内容

プラスチック材料を使った機械設計について、必要な図表や式から紹介、それらをしっかり読み取れるように解説した入門書。さらに<付録 プラスチック材料特性便利帳>として、実務ですぐに使えるように、材料特性や設計に必要な留意点、関連規格一覧や略語、材料特性チェックリストなども巻末に掲載。

田口宏之  著者プロフィール

(たぐち ひろゆき)
1976年長崎県長崎市生まれ。田口技術士事務所代表。技術士(機械部門)。
九州大学大学院修士課程修了後、東陶機器㈱(現、TOTO㈱)に入社。12年間の在職中、ユニットバス、洗面化粧台、電気温水器等の水回り製品の設計・開発業務に従事。金属、プラスチック、ゴム、木質材料など様々な材料を使った製品設計を経験。また、商品企画から3DCAD、CAE、製品評価、設計部門改革に至るまで、設計業務に関するあらゆることを自らの手を動かして実践。それらの経験をベースとした講演、コンサルティングには定評がある。
2015年、福岡市に田口技術士事務所を開設。中小製造業やスタートアップ企業へ、製品立ち上げや人材育成の支援などを行っている。
毎月十万人以上が利用する製品設計者のための情報サイト「製品設計知識」の運営も行っている。
「製品設計知識」 https://seihin-sekkei.com/
〈著書〉 「図解!わかりやすーい強度設計実務入門」(日刊工業新聞社刊)

目次

序章 プラスチックの材料特性を考えることの重要性
0―1 プラスチックのメリット/デメリット
0―2 金属材料との違い① 材料特性の比較
0―3 金属材料との違い② 材料特性の決定プロセス
0―4 金属材料との違い③ ストレス-ストレングスモデル

第1章 プラスチックを使ったものづくりの概要
1―1 プラスチック関連知識①
1―2 プラスチック関連知識② 材料
1―3 プラスチック関連知識③ 成形・金型
1―4 プラスチック関連知識④ 二次加工
1―5 プラスチック関連知識⑤ 製品設計
設計事例1 プラスチックの選定
Column 1 プラスチックの材料特性と不具合事例

第2章 プラスチック材料の基礎知識
2―1 プラスチックの構造と分類
2―2 熱硬化性プラスチック
2―3 熱可塑性プラスチック① 結晶性プラスチックと非晶性プラスチック
2―4 熱可塑性プラスチック② 汎用プラスチック
2―5 熱可塑性プラスチック③ エンジニアリングプラスチック
2―6 リサイクル材料
2―7 その他の知っておきたいプラスチック
2―8 配合剤(添加剤)
2―9 略語/材質表示
設計事例2 材料特性のトレードオフ
Column 2 リサイクル材料の課題

第3章 物性表から読み取るプラスチックの基本特性と設計のポイント
3―1 物性表
3―2 物理特性① MFR/MVRと分子量
3―3 物理特性② 成形収縮率
3―4 物理特性③ 密度/比重
3―5 物理特性④ 吸水率
3―6 機械特性① 応力-ひずみ曲線(S-S曲線)
3―7 機械特性② 引張特性①
3―8 機械特性③ 引張特性②
3―9 機械特性④ 曲げ特性
3―10 機械特性⑤ 圧縮特性
3―11 機械特性⑥ 耐衝撃性
3―12 機械特性⑦ 表面の耐傷付き性
3―13 熱特性① ガラス転移温度/融点
3―14 熱特性② 荷重たわみ温度
3―15 熱特性③ 線膨張係数
3―16 熱特性④ 熱伝導率
3―17 熱特性⑤ 難燃性(燃焼性)
3―18 電気特性
3―19 光学特性
設計事例3 異物クレーム対策
Column 3 濡れ性

第4章 トラブルを防ぐ! プラスチックの応用特性と設計のポイント
4―1 温度特性
4―2 粘弾性特性①
4―3 粘弾性特性② クリープ
4―4 粘弾性特性③ 応力緩和
4―5 劣化①
4―6 劣化② 熱劣化
4―7 劣化③ 加水分解
4―8 劣化④ 紫外線劣化
4―9 劣化⑤ 劣化の寿命予測① アレニウスの式
4―10 劣化⑥ 劣化の寿命予測② 耐候性試験機による促進試験
4―11 劣化⑦ RTI(相対温度指数)
4―12 耐薬品性①
4―13 耐薬品性② ソルベントクラック
4―14 耐疲労性
4―15 配向/異方性
設計事例4 長期耐熱性の寿命予測
Column 4 成形不良


第5章 プラスチックの材料特性を考慮した設計の進め方
5―1 設計の進め方
5―2 要求事項の抽出
5―3 製品の使われ方と使用期間
5―4 材料評価の注意点
5―5 要求事項の取り交わし方法①
5―6 要求事項の取り交わし方法②
設計事例5 ABS製壁固定式ラックのソルベントクラック
Column 5 アニール処理

付録 プラスチック材料特性便利帳
付録1 主なプラスチックの材料特性と設計上の注意点
付録2 耐薬品性一覧表
付録3 プラスチック関連規格
付録4 プラスチックの名称と略語
付録5 プラスチック材料チェックリスト

参考文献
索引

はじめに

現在、企業間の競争は熾烈さを極めています。市場で勝ち残るために、多くの企業が乾いた雑巾を絞るような努力を続けています。設計者には「1円でも安く」「1gでも軽く」といった要求に応えることが強く期待されていることでしょう。そのような要求に応えるための有効手段の1つがプラスチックの活用です。プラスチックは形状の自由度が高く、製品を効率的に生産することができます。着色も容易で腐食しないため、塗装やめっきなどの二次加工が必要最低限ですみます。また、比重がとても小さく、形状を工夫することで製品の軽量化を実現することが可能です。そのため、金属材料で作ることが当たり前だった製品でも、プラスチックに代替する動きが非常に活発になっています。これまで金属材料を主に使ってきた設計者にとっても、プラスチックと無縁でいることが難しい状況になっているといえます。
プラスチックには多くのメリットがある反面、様々なデメリットもあります。プラスチックは金属材料のように腐食することはありませんが、熱や紫外線などにより劣化します。劣化を完全に止める方法はないため、劣化による材料特性の変化を想定した設計が不可欠です。また、使用環境条件による材料特性の変化が非常に大きいこともデメリットの一つです。その他にもクリープや応力緩和を生じやすこと、材料特性のばらつきが大きいことなど、色々なデメリットを持っています。品質の高いプラスチック製品を設計するためには、プラスチックの材料特性についてしっかり学ぶことが設計者に求められます。
それにもかかわらず、設計者がプラスチックの材料特性について学ぶ機会は非常に少ないのが実情です。工学系の学校でも材料に関する授業は金属材料が中心です。材料力学の教科書における解説も使用する材料の前提が金属材料であることがほとんどです。企業内においてもプラスチックの材料特性について学ぶ機会は非常に少ないといわざるを得ません。プラスチックに関する書籍も多数出版されていますが、多くが材料自体の専門家や成形・金型の技術者に向けて書かれたものです。設計者が読むには難解すぎたり、知る必要のない内容だったりすることが多いといえます。
そこで本書は、設計者がプラスチックの材料特性について学ぶことを前提に執筆しました。化学式などの難解な部分は極力省き、設計者にとって必要な内容のみに焦点を絞っています。プラスチックには数多くの種類がありますが、使用頻度が高い代表的な熱可塑性プラスチックを中心に解説を進めています。1つのテーマは原則見開の2ページで解説し、重要なポイントを左ページに整理しています。また、本書の解説内容を活用したプラスチック製品の設計事例を章末毎に掲載し、材料特性を考慮した設計の参考になるようにしました。さらに巻末には付録として代表的な熱可塑性プラスチックの特性一覧やチェックリストなどを掲載しています。
最後に、本書の企画、編集、校正に至るまで、日刊工業新聞社出版局の鈴木氏には大変お世話になりました。感謝申し上げます。

2022年3月1日 著者 田口宏之

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