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儲かる企業は必ずやっている「見えないコスト」削減!

定価(税込)  2,420円

著者
サイズ A5判
ページ数 224頁
ISBNコード 978-4-526-08197-2
コード C3034
発行月 2022年03月
ジャンル 経営 電子書籍 生産管理

内容

部門主導による部分最適型のコストダウン活動を改め、部門間に潜む構造的なムダ(=見えないコスト)をあぶり出す方法を手ほどき。業務フロー革新から着手する部門横断型コストダウンの手順と進め方を明快に示す。コストダウン活動の推進者に確かな処方箋を授ける。


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岩室 宏  著者プロフィール

(いわむろ ひろし)
㈱アステックコンサルティング 代表取締役社長
㈱インサイト 代表取締役社長

1985年鹿児島大学理学部卒。食品メーカーにおいて研究開発、新商品開発、生産技術を経験。その後、大手コンサルタントファームにて企業の収益改善、生産性の抜本的向上、工場革新活動に従事。
2001年㈱アステックコンサルティング設立、代表取締役に就任
2021年㈱インサイト代表取締役就任
豊富な実践経験に裏打ちされた緻密な理論と最新の知識を駆使し、常に新しい改善技術開発と従来の価値観に束縛されない新しい改革を提唱している。現在、上場・大手企業を中心に一気通貫生産方式の導入支援、総収益改善、リードタイム短縮などの生産革新に活躍中。
著書:「セル生産システム」「トコトンやさしいセル生産の本」
   「脱カンバンの生産革新 一気通貫生産方式」
   「利益を生み出す『強い製造』『強い設計』の作り方」
   「安く作る『技術』」
   (以上、日刊工業新聞社刊)

目次

はじめに
第1章 「見えないコスト」が存在する
1 日本の生産性は低い
(1)こんなに低い日本の労働生産性
(2)作り方が何も変わっていない
(3)業務フローが複雑になっている
(4)「改善」は得意だが「改革」は苦手
(5)生産性が上がらない理由
2 「見えるコスト」と「見えないコスト」
(1)原価の見方の多様性
(2)「見えるコスト」と「見えないコスト」の決定的な違い
(3)「見えないコスト」は放置されている
(4)高コスト体質と低コスト体質
(5)「見えないコスト」の典型例
3 「見えないコスト」に気づかない
(1)世間の動きに合わせて対応できない
(2)ムダとわかっていてもやめられない
(3)大きなロスは部門間に存在する
(4)「見えないコスト」が放置される理由
4 「見えないコスト」を助長する諸要因
(1)生産環境に合わない生産方式
(2)改善難易度が上昇している
(3)従業員の教育水準が低下している
(4)全体最適思考の欠如
5 フローコストという考え方
(1)フローコストとは何か
(2)業務の非効率さが高コスト体質を作る
(3)製造業における6つの基本フロー
(4)フローコスト分析で実態把握
(5)コストはすべて人件費

第2章 基本フローにおける「見えないコスト」と改善策
1 生産管理フローにおける「見えないコスト」
(1)生産管理フローの目的と機能
(2)生産計画の変更が諸悪の根源
(3)生産計画体系に起因するロス
(4)緻密な生産指示と進捗管理
(5)生産管理システムとの整合性
2 製造フローにおける「見えないコスト」
(1)製造フローの目的と機能
(2)ネック工程対策の遅れ
(3)生産性管理の徹底不足
(4)人員配置体制の問題点
(5)生産安定性の5要素
3 調達フローにおける「見えないコスト」
(1)調達フローの目的と機能
(2)納期管理が最大のポイント
(3)設計部門と調達部門間の問題点
(4)生産管理部門と調達部門間の問題点(予測系と実需系の生産計画)
(5)製造部門と調達部門間の問題点
(6)購買·外注先と調達部門間の問題点
4 設計フローにおける「見えないコスト」
(1)設計フローの目的と機能
(2)顧客起因の出図遅れ
(3)自社起因の出図遅れ
(4)設計外注管理における問題点
(5)生産設計という考え方が必要
5 営業フローにおける「見えないコスト」
(1)営業フローの目的と機能
(2)受注前活動の徹底が必要
(3)営業フローはいろいろな「差」が発生しやすい
(4)スクラップ&ビルド戦略を有効に活用する
6 内部管理フローにおける「見えないコスト」
(1)内部管理フローの目的と機能
(2)間接業務とは情報を加工すること
(3)管理しなければ必ず仕事は増えていく
(4)判断業務と伝達業務が仕事の大半

第3章 「見えないコスト」削減活動の進め方
1 「見えないコスト」削減の考え方と取り組み方
(1)「見えるコスト」削減から「見えないコスト」削減へ
(2)改善も分散型から集中型へ
(3)全体最適思考の中で考える
(4)「見えないコスト」削減の3つの方向性
2 モノづくりの仕組みを変えていく
(1)リードタイムを切り口にする意味
(2)生産計画の立て方と現場への生産指示の出し方
(3)モノの流れをコントロールする取り組み
(4)生産フロー全体の流れを制御する
(5)生産変動に対処するための取り組み
3 業務フローを単純化・高速化していく
(1)業務フロー改善のキーは単純化·高速化
(2)各部門の本来業務を明確にする業務機能設計
(3)業務フローの再設計の手順
(4)業務フローの高速化を進める
(5)ルーチンワーク化の高速化
4 仕事の総量を減らしていく
(1)仕事の総量を減らせば確実に効率は上がる
(2)「無くす改善」を先に進める
(3)「減らす改善」の実施
(4)従来の改善活動のイメージに近い「効率を上げる改善」
(5)偶発トラブルの未然防止
第4章 仕組みを変えてコストを下げる
1 「見えないコスト」削減の結果はどこに現れるか
(1)総原価が下がっていくイメージ
(2)コストアップの原因は各種トラブル
(3)キャッシュフローに着目する
(4)正しい指標で評価する
2 DXで構造改革を促進する
(1)日本企業は構造改革が必要
(2)DXが現状打破の切り口になる
(3)社内構造のフラット化を推進する
(4)DXの5つのステップ
(5)DXと「見えないコスト」削減との関連性
3 最終目的は競争力強化であることを忘れない
(1)全体最適改善は狙って行うもの
(2)分析的アプローチからの脱却
(3)人材育成が未来を決める
(4)仕組みを変えればコストは下がる

参考文献
索引

はじめに

 今から25年以上前、日本の生産性は世界のトップレベルにありました。特に製造業における労働生産性は、他国を大きく引き離してダントツの1位であったのですが、残念ながら現在は中位クラスに落ちています。実際には、上位にある欧米などの先進国と比べると大差がついており、中進国と言われる国々を入れて何とか中位を保っているレベルです。
 かつて世界一のレベルを保っていた日本がここまで順位が落ちた原因は明白で、25年以上にわたって日本の生産性がまったく上がっていないためです。日本以外の国は、多少の変動はあっても毎年確実に生産性は向上しているため、いつの間にか抜かれて気がつけば下位ランクに落ちる寸前のところまで来ているのが実態なのです。
 それでは、日本はなぜ労働生産性がまったく伸びなくなったのかを考えると、日本の製造業において変革・改革がまるで進まず、生産の仕組み自体が長年ほとんど変わっていないからだと言えます。当然ながら日本経済がまったく成長しなかったことも大きな原因ですが、労働生産性という視点から見れば、アウトプット量(製造金額)に対するインプット量(人の数)の比率が25年間ほとんど変わっていないため、結果的に労働生産性は変化していないのです。
 日本の製造業を取り巻く環境は、日本の生産性が低迷し始めた時期と軌を一にして大きく変わっています。要は多品種少量生産にシフトしてきたということですが、残念ながらこの多品種少量生産に適合する新たな生産の仕組みを構築できていないところが、生産性が伸びなくなった原因の一つになっているのは間違いありません。日本は世界的に見ても改善が有名ですし、改善活動を基軸に世界一の生産性を実現できた国ですが、逆に大きな改革が必要なときも従来型の改善で対応しようとしたことで、大きく生産の仕組みを変えることができなかったと言えるのです。
 本書では日本の製造業の生産の仕組み、工場管理の仕組みのひずみによって発生する構造的なロスコストのことを「見えないコスト」と呼び、その「見えないコスト」が原因で日本企業が高コスト体質化していること、そして生産の仕組みがほとんど変わっていないために、労働生産性がまったく伸びなくなっている原因とその解決策について解説しています。
 本書は4章構成になっていますが、まず第1章では「見えないコスト」という存在があること、その視点で見ていけば多くのムダを認識できることを書いています。そして第2章では、「見えないコスト」は仕事の流れや業務フローの中に存在し、職場間や部門間において数多くの問題を発生させること、第3章では「見えないコスト」を削減していくための考え方や手法、具体的なアクションの取り方などを記載しています。最後の第4章では、「見えないコスト」削減活動の進め方や評価方法、今後の日本企業の展望なども書いています。ちなみにこの第4章では、経済産業省の後押しもあって最近急速に人気が出てきたDXの考え方や具体的な取り組み方も記載しています。
 本書は、今まであまり語られることのなかった視点での問題点の見つけ方や、改善の仕方を記載しています。特に「見えないコスト」や「フローコスト」「リードタイム短縮の重要性」など、今まで行われてきた改善活動ではほとんど手をつけられることのなかった部分にフォーカスを当て、改善を進めていく必要性を提示しています。これらの考え方や手法は長年のコンサルティングの中で生まれたもので、数多くの実践の中で磨かれてきたものです。本書で提案している手法をしっかり学び、企業内で展開すれば確実に大きな成果につながりますので、ぜひ取り組んでいってほしいと思っています。
 以上、本書で示した考え方や手法が、多くの企業の変革の一助となることを祈念して、前書きとさせていただきます。

2022年2月吉日
株式会社アステックコンサルティング
代表取締役社長 岩室 宏

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