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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしいサービスロボットの本

定価(税込)  1,650円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-08190-3
コード C3034
発行月 2022年02月
ジャンル 電子書籍 ビジネス 機械

内容

私たちの身近で活躍している「サービスロボット」への期待は、コロナ禍やDX対応などでますます高まっている。本書では、利活用の視点を中心に、ロボットと人とのコミュニケーション、サービスに応対するための自律移動、生体信号を用いたロボットのインターフェイスなど、キーになるテーマに焦点を当て、それぞれの導入課題を含めて紹介する。


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清水祐一郎  著者プロフィール

(しみず ゆういちろう)
株式会社NTTデータ経営研究所
情報未来イノベーション本部 先端技術戦略ユニット ロボット・AIグループ
マネージャー
1990年大阪府高槻市生まれ。
2015年東京大学総合文化広域科学専攻を修了。認知脳科学の研究に従事。
2015〜19年、PHC株式会社にて、R&Dと事業開発に従事。AIの研究開発とヘルスケアIT領域の事業開発を経験。
2019年10月より現職。現職では、民間企業と官公庁を相手に先端技術の戦略コンサルティングに従事。東京都で実施したTokyo Robot Collectionや神奈川県で実施した新型コロナウイルス感染症対策ロボット実装事業など、ロボットの実証実験や実装の伴走支援等多くのロボットプロジェクトに参画している。

目次

第1章 サービスロボットの基本
1 技術発展によってサービスロボットの市場は拡大 「サービスロボットの業務と要素」
2 ロボットを形作っているハードウェア 「ハードウェアの選択がロボットの機能を制限する」
3 サービスロボットの頭脳にあたるソフトウェア 「ハードウェアを制御するソフトウェア」
4 ロボットの状況を把握するためのセンサ 「ロボットに搭載される多様なセンサ」
5 ロボットにはサービスロボットと産業用ロボットがある 「ロボットは2種類に大別される」
6 サービスロボットは医療も支えている 「医療分野のサービスロボット」
7 介護士の負担削減や高齢者の健康増進用のロボット 「福祉分野のサービスロボット」
8 実は難しい農業分野の自動化 「農業分野のサービスロボット」
9 海外では宅配にドローンやサービスロボットが活躍 「物流分野のサービスロボット」
10 警備の人手不足にサービスロボットが活躍 「警備分野のサービスロボット」
11 コロナ禍でサービスロボットの活用範囲が広がる 「非対面非接触を実現するロボット」

第2章 コミュニケーションロボット
12 人と会話できるコミュニケーションロボット 「バーバルコミュニケーションとノンバーバルコミュニケーション」
13 コミュニケーションロボットの利活用は広がっている 「案内ロボットとしての活用が進む」
14 コミュニケーションロボットには人工知能が搭載されている 「会話するための人工知能」
15 音声認識はロボットが人の発言を理解する第一歩 「人工知能を用いた音声認識」
16 音の波を音素へと変換する 「音素への変換を可能にする音響モデル」
17 音素を文章へと変換する 「コーパスを利用する言語モデル」
18 コミュニケーションロボットが求められる会話 「3つの会話のパターン」
19 ロボットが人の意図を理解して回答することは難しい① 「1対1の質問応答の難しさ」
20 ロボットが人の意図を理解して回答することは難しい② 「理由や方法を問う質問応答の難しさ」
21 ロボットにも倫理観が求められている 「ロボットと倫理」
22 ロボットも問答集で予習する!? 「事前の問答集を検索して回答する」
23 多言語対応を求められるコミュニケーションロボット 「人工知能を用いた翻訳技術」

第3章 自律移動ロボット
24 自律的に動き、仕事をするサービスロボット 「自律移動ロボット」
25 自律移動ロボットの普及を国も積極的に支援 「実証実験や環境整備の検討が進む」
26 自律移動ロボットが動くための地図 「マッピングと自己位置推定」
27 地図作りのための光を利用したセンサ 「LiDARセンサ」
28 人工知能の発達でカメラの重要性が増す 「イメージセンサ」
29 画像解析には深層学習が用いられる 「畳み込みニューラルネットワーク」
30 自律移動ロボットが活躍しやすい施設環境 「地図が作りやすい環境が求められる」
31 自律移動ロボットが活躍しにくい施設環境 「ロボットの活躍のために整えるべき環境」
32 自律移動ロボットとエレベータの連携 「エレベータ連携によるロボットの上下階移動」

第4章 テレプレゼンスロボットとアバターロボット
33 遠隔地の人と会話しながら移動できるテレプレゼンスロボット 「動くWeb会議システム」
34 遠隔操作者の顔が見えないアバターロボット 「外見はロボット、中身は人」
35 アバターロボットの特徴による長所と短所 「アバターロボットはコミュニケーションが難しい」
36 テレプレゼンスロボットの市場動向 「コロナ禍で市場が萌芽」
37 テレプレゼンスロボットの利用方法 「4種別で整理できる」
38 テレプレゼンスロボットの運用時に気をつけること① 「安全への配慮が求められる」
39 テレプレゼンスロボットの運用時に気をつけること② 「運用時の決めごと」
40 運用を楽にするためのシステム機能拡張 「実証と開発」
41 アバターロボットの魅力 「AIとの融合で効率運用」
42 最新技術では触覚も伝送することができる 「テレエグジスタンス」

第5章 生体信号を用いたロボットの操作
43 ロボットを操作するためにも色々な方法がある 「コントローラや生体信号を用いたロボット操作」
44 生体信号の源泉となる脳 「脳はいまだ多くが謎に包まれている」
45 神経細胞が脳内で情報をやり取りしている 「活動電位の伝搬」
46 手軽に脳活動を計測できる脳波 「脳波の計測を行うEEG」
47 手軽に脳活動の計測ができる方法 「近赤外光を用いるNIRD」
48 自在に脳活動を操ることができる技術 「ニューロフィードバック」
49 脳活動を操りロボットを動かす 「ブレインマシンインターフェイス(BMI)」
50 脳の活動は運動神経などへと伝わっていく 「末梢神経の活動」
51 運動神経に伝わる信号でロボットを動かす 「筋電位によるロボット操作」
52 視線入力を利用してロボットを操作する 「視線検知」

第6章 サービスロボットの導入
53 ロボットの導入プロジェクトを立ち上げる 「プロジェクトチームの組成と目的の設定」
54 ロボット導入のために業務を見直す 「ロボットを導入する業務の特定とロボットの選定」
55 ロボット導入のため施設を整備する必要がある 「施設環境の整備」
56 起こるリスクを想定して対処を検討する 「導入リスクとその対処方法の検討」
57 導入効果を見極める実証実験の実施 「導入を見据えた実証実験」
58 運用体制の構築① 「コミュニケーションロボットの場合」
59 運用体制の構築② 「自律移動ロボットの場合」
60 運用体制の構築③ 「テレプレゼンスロボットの場合」

第7章 サービスロボットの今後
61 複数のサービスロボットが活躍するために 「サービスロボット間の連携」
62 5G通信でサービスロボットの性能が向上 「5G通信によるサービスロボットの未来」
63 スーパーシティとサービスロボット 「スーパーシティでのサービスロボットの役割」
64 ドローンなどの空の産業革命 「上空におけるサービスロボットの役割」
65 ロボット競技大会で次世代の技術やエンジニアを育成 「ロボット競技大会」
66 サービスロボットの普及のために 「政府・自治体の動向」

コラム
●ロボットに触れられる機会は増えた
●奥深い言語学の世界
●こんなところでLiDARが活躍
●VRが開く可能性
●脳活動を誘発する!?
●病院のロボット導入現場に潜入
●ロボット競技世界大会優勝者より

参考文献

はじめに

自動車産業や電機産業が活発な日本のロボット業界は、世界からも高い評価を受けています。高度経済成長期に製造業のオートメーション化が急速に進んだことで、ロボットの開発も進んでいきました。日本はロボット大国として、その技術が世界で認められ、多くの国で活用されることとなりました。世界から認められている日本のロボットの多くは、製造現場で活躍する産業用ロボットと呼ばれるロボットです。産業用ロボットは、普段生活する中では目に触れる機会はあまりなく、工場見学などの機会があれば、動いている様子を見ることができます。
ここまで産業用ロボットの話をしてきましたが、本書で取り上げるのは、日本の産業を縁の下で支える産業用ロボットではなく、私たちの日々の生活の中で活躍するサービスロボットと呼ばれるロボットです。例えば、ヒューマノイドロボットのASIMO、Pepperやペット型のロボットであるaiboなどはサービスロボットの1例です。お掃除ロボットのルンバも、皆様にとって身近で馴染みあるサービスロボットではないでしょうか。
先ほどから何度か出てきている“サービスロボット”ですが、仰々しくそのように命名されると少し近寄り難いような、とても高度で理解できないもののような印象を受けます。ロボットという名前に、映画のターミネーターのような怖い印象や、逆にドラえもんのように何でもできる親しみやすく温かいものの象徴であるからかもしれません。
しかし、サービスロボットは先ほどの例のように私たちのすぐ身近にあるものです。最近では家電も賢くなってきており、材料を入れてスイッチを押せば料理ができてしまうという非常に便利なものも増えてきました。調理家電というと私たちの生活を便利にしてくれそうですが、最近の調理家電にはロボットといえるような豊富な機能が搭載されており、調理ロボットといわれても違和感のないものも増えています。スマートスピーカーも豊富な機能が搭載されています。電話をかける指示をすれば電話をかけてくれますし、自分の聞きたい曲をかけてと頼めばその曲をかけてくれます。しかも音声で入力することが可能なため、どこかでスイッチを押す必要もありません。また、家電製品と連携させれば、音声で部屋の電気をつけることもできてしまいます。動かない上、スピーカーのような見かけをしているので、単なる家電製品のようにも思えますが、搭載された機能は立派なロボットです。実際、AmazonはスマートスピーカーのAlexaの機能を搭載した家庭用ロボットAstroを2021年9月に発表し、いよいよスマートスピーカーが自律的に家の中を動き回り、家庭での快適性を更に高めてくれるのではないかと俄かに期待が高まっています。
さて、そんなサービスロボットですが、街中で見かける機会はあまりないというのが正直なところです。日刊工業新聞社から『トコトンやさしいパーソナルロボットの本』が出版されたのが2003年のことです。もう20年近く以前からロボットが家庭や街中に普及される社会が提案されていたのです。それにもかかわらずサービスロボットを街中で見かける機会がいまだに少ないのは、1つにはやはり技術的な課題があったからだと思われます。街中では様々なことが起こります。子どもたちが何の悪気もなくロボットにちょっかいをかけてしまうとか、ぶら下がってしまうとか、そんなことは日常茶飯事だと思われます。そのような環境下で安全にロボットを運用するための方法はずっと模索され続けているのです。
しかし、2003年から現在にかけて大きな変化も起きています。AIの発展はその1つでしょう。スマートスピーカーに内蔵される音声認識技術もAIが活用されています。また、安全を検知するための動画像の解析技術も発展しました。動画像データを素早く転送するための5Gを始めとする通信技術の発展も目覚ましいものがあります。
技術の発展と同時に、2020年に発生したコロナウイルスの影響で、急激な人の価値観の変化が発生しています。DXと呼ばれるデジタルシフトは元より、非対面・非接触でサービス提供するためのロボット化のニーズも高まっている状況にあります。
そのような昨今の技術的なシーズの発展、社会的なニーズの変化などを踏まえ、本書を執筆させていただきました。
第1章では、様々な場所で活躍するサービスロボットの事例を取り上げています。徐々にサービスロボットが活躍する場所が増えていっているということを実感いただけると思います。そして、第2章では、コミュニケーションロボットを取り上げます。特に、コミュニケーションロボットに搭載される自然言語処理や質問応答システムといったAIについても解説を加えることで、コミュニケーションロボットの仕組みもわかるような内容としました。第3章では、自律移動ロボットを取り上げます。昨今のAIブームの火付け役となった深層学習を搭載した自律移動ロボットも活躍しています。深層学習に関する内容も解説しています。第4章では、市場の拡大が見込まれるテレプレゼンスロボット・アバターロボットを扱っています。第5章では、少し将来の展望として、脳波などを利用してロボットを動かすブレインマシンインターフェイスの技術など、人間とロボットの融合というテーマを取り上げています。少し先の未来は考えるだけでロボットを動かすことができるようになっているかもしれません。そのような可能性を感じていただければと思います。第6章では、サービスロボットの導入のための勘所を記しています。第7章では、ロボットの観点から社会の最新の動向とロボット産業への影響といった観点をまとめさせていただきました。
本書は、サービスロボットの最新の技術動向と、サービスロボットの導入のためのノウハウ、そして少し先の展望までをつかめるよう意識して構成いたしました。少しでもサービスロボットの普及にお役立ちできると幸いです。
初めて単著で本の執筆を行いました。本書の執筆にあたりご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。素材を快くご提供いただいたインディ・アソシエイツ様、パナソニック プロダクションエンジニアリング様、湘南鎌倉総合病院様。そして、第7章のコラムへの寄稿をお願いさせていただいた洛星高等学校ロボット研究部の池之上響さんは、本書のために推敲を重ね素晴らしい文章をご寄稿いただきました。皆様大変ありがとうございました。また、執筆のご理解をいただきご協力いただいたNTTデータ経営研究所の皆様、そして、寝る間を惜しんで執筆する私を支えてくれた妻と3人の可愛い子どもたちに感謝申し上げます。最後になりましたが、多彩なご経験で私の執筆に伴走いただきました担当編集の鈴木徹様に感謝申し上げます。

清水 祐一郎

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