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ユーザー目線で役立つ
接着の材料選定と構造・プロセス設計

定価(税込)  2,530円

著者
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-08188-0
コード C3043
発行月 2022年02月
ジャンル 電子書籍 化学

内容

接着剤を選ぶ際の指針や候補絞り込み法のプロセスを手ほどき。化学に不慣れな機器の設計・生産技術者が正しく行える「新しい選び方」と、接着強度を見積もる簡易設計法を示す。開発段階から設計者と生産技術者が連携をとり、接着設計と施工管理の最適化を実現する。


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原賀康介  著者プロフィール

(はらが こうすけ)
㈱原賀接着技術コンサルタント 専務取締役 首席コンサルタント 工学博士
日本接着学会構造接着・精密接着研究会幹事、接着適用技術者養成講座講座長、
接着技術者スキルアップ講座講座長

専門:接着技術(特に構造接着と接着信頼性保証技術)
1973年、京都大学工学部工業化学科卒業。同年に三菱電機㈱入社、生産技術研究所、材料研究所、先端技術総合研究所に勤務。入社以来40年間にわたり一貫して接着接合技術の研究・開発に従事。2012年3月、㈱原賀接着技術コンサルタントを設立し、各種企業における接着課題の解決へのアドバイスや社員教育などを行っている。

開発した技術
接着耐久性評価・寿命予測技術
接着強度の統計的扱いによる高信頼性接着の必要条件決定法
耐用年数経過後の安全率の定量化法
接着の設計基準の作成
「Cv接着設計法」の開発
複合接着接合技術(ウェルドボンディング、リベットボンディングなど)
ハニカム構造体の簡易接着組立技術
SGAの高性能化(低ひずみ、焼付け塗装耐熱性、高温強度・耐ヒートサイクル性、難燃性ほか)
内部応力の評価技術と低減法
被着材表面の接着性向上技術
精密部品の低ひずみ接着技術
塗装鋼板の接着技術 など

受賞
1989年 日本接着学会技術賞
1998年 日本電機工業会技術功労賞
2003年 日本接着学会学会賞
2010年 日本接着学会功績賞

著書
「高信頼性を引き出す接着設計技術―基礎から耐久性、寿命、安全率評価まで―」、日刊工業新聞社、(2013年)
「高信頼性接着の実務―事例と信頼性の考え方―」、日刊工業新聞社、(2013年)
「自動車軽量化のための接着接合入門」(佐藤千明共著)、日刊工業新聞社、(2015年)
「わかる!使える!接着入門」、日刊工業新聞社、(2018年)
その他共著書籍 31冊

目次

まえがき

第1章 接着剤のユーザーが知っておくこと、知らなくてよいこと
1.1 接着は境界領域の技術
1.2 接着剤を作る立場と使う立場で必要な技術は異なる
1.3 開発段階での品質作り込みの重要性
1.3.1 接着は特殊工程の技術
1.3.2 設計と生産技術は車の両輪
1.3.3 接着設計技術と接着生産技術
(1)接着設計技術  
(1-1)接着設計技術とは/(1-2)接着設計技術の構成要素/(1-3)各要素技術の内容
(2)接着生産技術  
(2-1)接着不良品の発見・補修は困難/(2-2)接着生産技術とは/(2-3)接着生産技術の
構成要素/(2-4)各要素技術の内容
(3)コンカレントな開発を行う  

第2章 これだけは知っておきたい接着の基礎知識
2.1 接着接合の特徴
2.1.1 接着の利点と得られる効果
(1)接着の特徴  
(2)接着の特徴から得られる効果  
2.1.2 接着の欠点と対策
(1)接着の欠点  
(2)欠点の解消策─複合接着接合法─  
2.2 やさしい接着のメカニズム
2.2.1 接着の種類と結合の原理
(1)分子間力による結合  
(2)分子の相互拡散による結合  
(3)機械的結合  
2.2.2 分子間力による接着の過程と最適化
(1)接着の過程  
(2)接着剤の分子と被着材料の分子間の距離を近づける  
(3)被着材表面の極性を高くする  
(4)部品の表面張力  
(5)最も強い分子間力「水素結合」  
(6)表面改質  
(7)プライマー、カップリング剤処理  
(8)接着剤の硬化と内部応力の発生  
2.3 よく使われる用語の意味と注意点
2.3.1 粘度・チキソ性
2.3.2 接着強度の評価法
(1)JISなどの規格試験  
(2)微小部品の接着性評価法  
2.3.3 引張りせん断試験における応力集中
(1)重ね合わせ長さの影響  
(2)板厚、板の弾性率、接着層の厚さ、接着剤の弾性率の影響  
(3)接着部の曲がりの影響  
2.3.4 ガラス転移温度(Tg)
(1)接着剤のガラス転移温度(Tg)  
(2)接着強度の温度特性  
(3)Tgの数値は目安と考える  
2.3.5 粘弾性と速度依存性、クリープ特性、応力緩和
(1)粘弾性体  
(2)速度依存性  
(3)クリープ  
(4)応力緩和  
2.3.6 接着剤の物性と接着強度の関係
(1)接着剤の硬さ、伸びと接着強度の関係  
(2)接着剤は硬すぎず軟らかすぎず  
(3)接着剤選定時の注意点  
(4)粘着テープ選定時の注意点  
(5)感触による弾性率や硬さの目安  
2.3.7 接着層の厚さ
(1)接着層の厚さと強度の関係  
(2)最適な接着層の厚さはどのくらいか  
2.3.8 内部応力
(1)内部応力によって生じる不具合  
(2)接着部に生じる内部応力の種類  
(2-1)接着の内部応力の分類/(2-2)接着剤の硬化過程で生じる内部応力/(2-3)使用中の環境変化で生じる内部応力/(2-4)被着材の変形による応力
(3)内部応力に影響する諸因子  
(3-1)接着剤の物性/(3-2)部品の剛性/(3-3)接着部の構造/(3-4)接着工程/(3-5)
その他の因子
2.4 接着剤の種類と特徴、使用上のポイント
2.4.1 接着剤の硬化・固化の方式と注意点
(1)二液の混合による硬化  
(2)加熱による硬化  
(3)二液の接触による連鎖反応での硬化  
(4)空気中の水分との反応による硬化  
(5)接着面に付着している水分との反応  
(6)酸素の遮断と活性金属への接触による硬化  
(7)光照射による硬化  
(8)溶媒の乾燥による固化  
(9)冷却による固化  
(10)状態が変化しないもの  
2.4.2 部品や機器の組立に多用されている接着剤の種類と特性
(1)構造用接着剤、準構造用接着剤  
(1-1)エポキシ樹脂系接着剤/(1-2)変性アクリル系接着剤(SGA)/(1-3)二液型ウレタン
樹脂系接着剤
(2)エンジニアリング接着剤  
(2-1)嫌気性接着剤/(2-2)光硬化型接着剤/(2-3)瞬間(シアノアクリレート系)接着剤/(2-4)シリコーン系接着剤/(2-5)変成シリコーン系接着剤/(2-6)両面粘着テープ(感圧接着テープ)

第3章 ユーザー視点からの“新しい”接着剤の選び方
3.1 従来の接着剤の選び方
3.1.1 被着材料の種類と組合せから選ぶ(直交表)
3.1.2 SP値(溶解度パラメーター、凝集エネルギー密度)で選ぶ
3.1.3 樹脂やゴムの各種特性の星取り表から選ぶ
3.2 “新しい”接着剤の選び方
    ─要求スペックと用途、カタログデータから選ぶ─
3.2.1 接着剤のユーザーが求めていること
3.2.2 接着剤選定時に考慮すべき項目
3.2.3 社内で使用されている接着剤を知っておく
3.2.4 接着剤や接着剤メーカーについての情報を知る
(1)接着剤メーカーを知る  
(2)定番商品を知る  
3.2.5 接着剤の選定手順
(1)要求スペックを明確化する  
(2)〈絶対的な制約条件〉に影響する接着剤の特性因子を抽出する  
(3)特性因子の従属性と相反性を考えながら、どのような物性であれば
よいかの当たりをつける  
(4)接着剤の種類の目途をつける  
(5)候補品の探索  
(6)カタログや技術資料のチェック  
(7)1次選定品の使用・管理上のポイントをチェックする  
(8)メーカーへの問い合わせ  
(9)サンプル品での評価  
(10)メーカーとの再打ち合わせ  
(11)接着剤選定フローチャート  

第4章 高信頼性・高品質接着のための目標値と簡易設計法
4.1 開発段階での作り込みの目標値
4.1.1 高信頼性・高品質接着とは
4.1.2 開発段階での作り込みの目標値
(1)接着部の破壊状態─凝集破壊率を40%以上確保する─  
(1-1)接着の破壊箇所/(1-2)凝集破壊率/(1-3)界面破壊が良くない理由/(1-4)凝集
破壊が良い理由/(1-5)凝集破壊率が40%以上あれば良い理由/(1-6)内部破壊の発生/
(1-7)凝集破壊率の向上による接着特性の向上の例
(2)接着強度のばらつき─変動係数を0.10以下にする─  
(2-1)変動係数と必要値/(2-2) 接着強度のばらつきと変動係数のイメージ/(2-3)必要な
変動係数は要求される信頼度によって異なる/(2-4)変動係数と凝集破壊率の相関
(3)接着面の表面張力を高くする  
(4)必要な平均破断強度を確保する  
4.2 設計許容強度、初期の必要破断強度、必要Cv値を簡易に
見積もる「Cv接着設計法」
4.2.1 設計基準、設計指針の必要性とCv接着設計法
4.2.2 接着の設計基準強度、設計許容強度の考え方
4.2.3 Cv接着設計法で見積もりたいもの
4.2.4 Cv接着設計法における前提条件
(1)接着強度の分布の形  
(2)接着部に加わる力と発生不良率  
4.2.5 Cv接着設計法における接着強度の低下因子
(1)接着強度のばらつき  
(1-1)ばらつき係数d、変動係数Cv、許容不良率F(x)/(1-2)工程能力指数CpLと信頼性指数R
(2)劣化による接着強度の低下と強度ばらつきの増大  
(3)内部破壊  
(3-1)内部破壊/(3-2)内部破壊係数/(3-3)静荷重負荷のみが加わる場合の内部破壊係数h1/(3-4)高サイクル疲労の場合の内部破壊係数h2/(3-5)熱応力の繰り返しによる低サイクル
疲労の場合の内部破壊係数h3
(4)接着強度の温度依存性  
(5)安全率  
4.2.6 設計基準強度と設計許容強度の算出式
(1)初期室温平均破断強度μR0と設計基準強度pyThの比率の算出式  
(2)初期室温平均破断強度μR0と設計許容強度pyThSの比率の算出式  
(3)必要な初期室温平均破断強度と必要面積の算出式  
(4)初期の必要変動係数の算出式  
(5)初期の変動係数CvR0を設定して初期のばらつき係数dR0を
求める算出式  
4.2.7 Cv接着設計法の見積もり例
(1)初期室温平均破断強度と設計許容強度の比率の計算例  
(2)初期の室温における必要な接着強度と接着面積の試算  
(3)初期の必要な変動係数CvR0の試算  
(4)初期の変動係数CvR0を仮定して必要な接着強度μR0と
接着面積を見積もる  
4.3 設計・施工における留意点
4.3.1 単純重ね合わせせん断試験の平均せん断強度を用いてよいか
4.3.2 水分劣化に対する設計
(1)接着部の形状・寸法  
(2)細長い接着部における接着部の幅  
(3)試験片での劣化データから製品の接着部の寸法を決める  
4.3.3 クリープに対する設計
4.3.4 接着層厚さ基準の設計と施工
4.3.5 破壊に対する冗長性の確保
(1)瞬時の破壊の防止  
(2)火災などによる崩壊の防止  
4.3.6 空気溜まりを作らない設計と施工
(1)嵌合接着での注意点  
(2)平面同士の接着での注意点  
4.3.7 二度加圧を回避する治工具設計

付 録
付録1 ばらつきの少ない引張りせん断試験片の作り方
(1)対象試験片  
(2)接着強度のばらつきに影響する因子  
(3)試験片の作製方法  
(3-1)準備するもの/(3-2)試験片作製の手順
付録2 消去法による接着剤選定チェックリスト
付録3 接着剤の管理のポイントチェックリスト
あとがき
索引

はじめに

接着剤による接合・組立は、多くの産業分野で多種多様な部品や製品に適用され、組立の要素技術の一つとなっています。しかし、接着の技術は化学的な側面が強く、化学になじみが少ない部品や機器の設計・生産技術者には扱いにくい技術であることも事実です。
筆者は、総合電気機器メーカーで39年間にわたって接着の適用技術開発に従事してきました。そして退職後、接着剤を用いてものづくりをする企業を対象としたコンサルタント会社を設立し、これまで多くの企業の技術者が抱える接着に関する悩み事の相談に乗ってきました。その中で、それまで化学系の企業や技術者を中心に発展してきた、接着の技術の考え方やアプローチの仕方が接着剤のユーザーにはなじみにくく、多くの課題があることに気づかされました。
第一の課題は、接着は主に化学的な結合であり、接着剤そのものも化学品であるため、どのように結合しているのか、接着剤が硬化すると接着剤の内部はどのような構造になっているのかなど、五感で判断することは非常に難しく、出来映えの良し悪しがわかりにくいという点です。
第二の課題は、化学系技術者と機械系技術者のように技術分野が異なる技術者間では、専門知識や感覚の違いから思うように意思の疎通が図れないということです。筆者は長年にわたって電気・電子機器の接着組立技術の開発に携わってきましたが、一つの製品を開発して完成させるまでには機械系技術者、電気・電子系技術者など化学系ではない多くの技術者が関わります。接着に関する部分では化学系の材料関係技術者が関わりますが、技術分野が異なる技術者間の意思疎通には苦労しました。
第三の課題は、多くの接着剤の中から最適な接着剤をどうやって選べばよいのかということがあります。実際、筆者も多くの接着剤の選定を行ってきましたが、化学系技術者の方々が指南されている選定方法では目的のものに行き着くのは困難を極めます。
第四の課題は、接着の設計法や指針が明確化されていないため、設計者にとって接着を扱うのは大変な労力を要するという点です。
そこで、接着剤を用いて部品や機器を製造する設計・生産技術者の方々の悩みを、少しでも解消するために本書を執筆しました。
接着は多くの技術の境界領域に位置する技術であり、関連するすべてのことを知るに越したことはありませんが、多忙な企業の技術者が専門領域外の技術まで習熟することなど到底できることではありません。実際、接着に関わる立場によって必要な技術と知らなくてもよい技術は異なっています。そこで第1章では、部品や機器の設計・生産技術者が知っておくべきこと、知らなくてもよいことを、第2章では、接着剤を使ってものづくりを行うために最低限知っておいていただきたい接着の基礎知識を記載しました。第3章では、筆者自身が接着剤を選ぶときに何を考え、どうやって候補品に近づき、さらに絞り込んできたかということを改めて見直し、部品・機器の設計・生産技術者でも行える「接着剤の新しい選び方」を初めてまとめてみました。
第4章では、設計基準や設計指針の一助とするため、筆者が長年にわたって開発してきた接着の実力強度、接着部の必要強度・面積、作り込みの程度などを簡単に見積もる「Cv接着設計法」について記載しました。この章も初めての執筆となります。
なお、本書では、これまでに筆者があまり執筆してこなかった内容を中心としたため、既刊書籍で記述した内容に関しては割愛した部分も多々あります。これらに関しては既刊書籍を参照いただきたく思います。
本書が部品や機器の設計・生産技術者のお役に立てれば幸いです。

2021年12月
原賀康介

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