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図解よくわかるフードテック入門

定価(税込)  2,420円

編著
サイズ A5判
ページ数 176頁
ISBNコード 978-4-526-08184-2
コード C3050
発行月 2022年02月
ジャンル 電子書籍 化学 その他

内容

人口増に伴う食糧・栄養不足への処方箋として注目集まる「フードテック」の全容と、それを支える基盤システムや要素技術、市場性をまるっと紹介。大豆ミートや食用藻類など代替素材の開発動向や、ITを駆使した生産体系を詳述。食の安心と安全を守る仕組みにも迫る。


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三輪泰史  著者プロフィール

(みわ やすふみ)
株式会社日本総合研究所 創発戦略センター エクスパート
広島県福山市出身
東京大学農学部国際開発農学専修卒業
東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻修士課程修了
農林水産省の食料・農業・農村政策審議会委員、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)アドバイザリーボード委員長をはじめ、農林水産省、内閣府、経済産業省、NEDOなどの公的委員を歴任
主な著書に「アグリカルチャー4.0の時代 農村DX革命」「IoTが拓く次世代農業 ーアグリカルチャー4.0の時代-」「図解よくわかるスマート農業」「次世代農業ビジネス経営」「植物工場経営」「グローバル農業ビジネス」「図解次世代農業ビジネス」(以上、日刊工業新聞社)、「甦る農業-セミプレミアム農産物と流通改革が農業を救う」(学陽書房)ほか

目次

はじめに

第1章 脚光を浴びる次世代技術“フードテック”
フードテックとは何か? X-Techの波が農業・食品分野へ
フードテックの分類 生産分野がフードテックの牽引役
なぜフードテックが注目されているのか SDGsが市場拡大の追い風に
フードテックの位置づけとマーケット拡大戦略
既存の農林水産業との共存共栄がカギ

第2章 フードテックを後押しする社会トレンド
農林水産業におけるSDGsの重要性 農業の多面的機能に改めてスポットライトを
健康ブームと栄養摂取トレンドの変化 コロナ禍で加速するタンパク質の積極的摂取
高齢者におけるタンパク質摂取の重要性 マーケット拡大で生まれるビジネスチャンス
農林水産業で顕在化する気候変動リスク
国内外のあらゆる地域で影響が懸念される
求められる農業における温室効果ガス削減
意外と多い農林水産業からの温室効果ガス排出
農林水産業における気候変動影響の見える化
サプライチェーン内の情報開示が重要に
国際的な食料不足のリスク回避 国内での効率的な食料生産手法が不可欠に
台頭するフードテックベンチャー 様々な成り立ちの企業が存在感を発揮
フードテックを後押しする金融業界
融資・出資のほか経営ノウハウ支援のサポートを行う主体も

第3章 次世代のタンパク源“代替肉”
代替肉の分類と概要 中核となるのは植物肉と培養肉
植物肉の特徴 日本人になじみのある代替肉
植物肉の原料と調達 原料作物の生産振興がポイント
植物肉の製造技術の発展戦略 植物肉が目指す価値とは
評価高まる植物肉商品 肉の価値を超えるか、オンリーワンの価値を生み出せるか
植物肉に対する消費者ニーズ 「肉っぽくない」ことが強みになることもある
ヴィーガン、ハラルマーケットでの展開
思想とルールを理解し、適切な対応と情報開示を
外食で進む植物肉メニューの採用
無意識的な喫食機会の提供が市場成長のきっかけに
植物肉が牽引する農業活性化 求められる国産原料の増産
培養肉の特徴 動物細胞を人工的に培養
培養肉の製造技術 量産に向けた研究が進む
海外で始まった培養肉の商品化 先行する海外に日本も追いつけるか
代替肉は“肉を代替”するのか?
食肉+代替肉の補完関係で安定的なタンパク質源の供給を
代替肉による効率的な食料供給 少ない土地からより多くのタンパク質を供給可能

第4章 新製品が続々登場する“藻類食品”
藻類食品の概要 藻類の種類によって魅力・形態は様々
なぜ藻類食品が“再ブレーク”したのか 改めて注目されることになった3つの理由
藻類食品の培養技術 大規模化、高密度化、効率化がカギ
藻類食品の加工技術 風味・匂い・栄養価を決めるキーテクノロジー
藻類食品のマーケット タンパク質不足・植物性食品志向が市場拡大を後押し
様々な用途を持つ藻類 複数の製品をカバーする生産プロセス全体の効率化がカギ
藻類食品の普及に向けた課題
「大量生産体制/技術」と「多くの人に訴求する販売戦略」がポイント

第5章 異色の新食材“昆虫食”
次世代のタンパク質源“昆虫食”の概要 伝統食材の価値の見直し
現代において昆虫食が求められる背景
キーワードは「環境負荷低減」「循環型経済」「地域活性化」
昆虫の調達手段(コオロギを例に)
食料として普及するには大規模養殖の実現が課題
昆虫食に関わる国内のプレイヤー 多種多様な業界からの参入
養殖の餌としての昆虫 養殖漁業も“食料”調達に課題
昆虫食の普及・定着に向けた課題 心理的ハードルを乗り越えるための施策

第6章 農産物栽培を人工的にコントロールする“植物工場”
植物工場の分類と概要 ニーズ起点の次世代型へ進化中
植物工場の強み 安定生産とコスト削減で存在感が向上
植物工場野菜のマーケティング戦略
ニーズに合わせたオーダーメイド型が拡大へ
加速する植物工場のオートメーション化
全作業が自動化可能な技術レベルに
植物工場に導入が進むAI 人工知能・ビッグデータの活用でさらなる先鋭化へ

第7章 バイオテクノロジーを駆使した“スマート育種”
スマート育種の定義と分類 技術革新により育種期間を短縮
遺伝子組換えの概要 元の生物にない外来遺伝子を組み込む
ゲノム編集技術の概要 ゲノム中の狙った場所をピンポイントで編集
国産ゲノム編集技術への期待 海外知財に抵触しない国産技術が必要
ゲノム編集農林水産物がいよいよ販売開始
ゲノム編集は研究段階から商業化段階へ
ゲノム編集食品に関する制度
外来遺伝子の導入がなければ食品としての安全性審査は不要に

第8章 消費者ニーズと環境配慮に応える“陸上養殖”
日本の水産業の現状と陸上養殖への期待
養殖による供給量確保で食卓を守る
技術革新が進む陸上養殖 外的環境の影響を受けにくい新たな養殖技術
養殖技術を活かした需要起点の商品設計
消費者ニーズに合わせて水産物を“デザイン”
IoT/AIを活用したスマート水産業 スマート農業と比べて普及に遅れ
陸上養殖で生産される主な商品 高級魚種を中心に事業展開
陸上養殖のメリット/デメリット 外部環境の変化でさらなる拡大の見込み
農業と養殖を掛け合わせたアクアポニックス
次世代の循環型農法だが採算性が課題

第9章 流通や加工におけるフードテックの躍進
活躍の場が広がるフードロボティクス
製造業よりも高いハードルをいかに乗り越えるか
3Dフードプリンタ 多様なニーズにマスカスタマイズで応える注目技術
期待されるフードチェーンのスマート化 消費者・実需者に安心と信頼を提供
農産物の鮮度の見える化 消費者への新たな価値訴求
進化を続ける品質保持技術
フードロス削減だけでなく、安心・安全や美味しさ向上に貢献

第10章 フードテックを取り巻く政策
食料・農業・農村基本計画 日本の農業政策の根幹となる羅針盤
みどりの食料システム戦略 持続可能な農・食に向けたイノベーションの道筋
農業DX(デジタルトランスフォーメーション)構想
加速する農業・農村の革新的イノベーション
グリーン成長戦略 フードテックで「農業×グリーン」のチャンスをつかむ
バイオ戦略 フードテックと切り離せない重要テーマ

Column
躍進する日本の農林水産物輸出
“ポテトショック”から見る日本のフードセキュリティ
マーガリンの歴史から学ぶ代替肉のブランド戦略
インバウンド消失が日本の農林水産業に与える影響
気候変動への適応策としての「産地シフト」
マイクロファーミングで実現する「全員農業」
スマート育種を支えるオミクス解析
フードテックに並ぶ最新トレンド=農村デジタルトランスフォーメーション
在庫可視化と自動発注で食品ロスの削減を目指す


引用/参考文献
参考資料
索引

はじめに

農林水産業・食産業を取り巻く環境が近年激変しています。新興国や途上国を中心とした経済成長と人口増加で食料需要が増加する一方で、栽培可能な農地や水産物などの天然資源には限りがあり、今後需給ひっ迫が深刻化すると懸念されています。さらにはSDGsの観点から、特に温室効果ガスの排出削減が世界的な命題となっており、それに伴い温室効果ガス排出量の多い畜産業などに厳しい視線が送られるようになっています。

このような課題への対策として、「食」×「先進テクノロジー」であるフードテックへの期待が高まっています。フードテックの範囲は多岐にわたりますが、中でも代替肉、藻類食品、昆虫食、陸上養殖、植物工場、スマート育種などが特に注目されています。優れた食と技術を有する日本にとって、その掛け合わせであるフードテックは大きなチャンスがある分野です。現在、多くの企業や研究機関がフードテックの研究開発や事業化に取り組んでおり、SDGsへの関心の高まりも相まって、一種のブームのようになっています。
ただし、フードテックビジネスを展開する際には、フードテックの置かれたポジションや役割を明確に理解し、意識することが重要です。フードテックは従来の農林水産業と対立軸にある存在ではありません。フードテックの良さをアピールするために農林水産物を否定・批判しているケースが見られることもありますが、そのような過激なフードテック原理主義では、マーケットを開拓して広く消費者に浸透していくのは困難です。本書ではフードテックの強みを解説するとともに、その弱みや課題についてもきちんと言及しています。農林水産物との間で、お互いの弱みをカバーし合う共存共栄関係を築くことが、ビジネスのスタートラインとなります。
上記のような観点を踏まえ、本書では、フードテックを構成する代表的な技術にフォーカスし、具体事例を中心に紹介するとともに、今後の普及のためのポイントやビジネス化の際の注意点について解説しています。本書の内容が、フードテックに関する新規事業を検討するビジネスパーソン、新たな研究に挑戦しようとする研究者や学生、地域振興のシーズを探索している自治体職員などのみなさんに対して、少しでもお役に立てば、筆者としてこの上ない喜びです。

本書では、株式会社日本総合研究所に所属する農林水産業・食品・テクノロジー・環境などを専門とする多くの研究員に、執筆に参画してもらいました。豊富な経験と鋭い発想力をもとにフードテックの概要、活用方法、将来性などについて、わかりやすく解説頂いた執筆者のみなさんに感謝申し上げます。
本書の企画、執筆に関しては日刊工業新聞社の矢島俊克様に丁寧なご指導を頂きました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
最後に、筆者の日頃の活動にご支援、ご指導を頂いている株式会社日本総合研究所に対して心より御礼申し上げます。

2022年2月
株式会社日本総合研究所
創発戦略センター
三輪 泰史

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