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認知症家族に寄り添う
介護しやすい家づくり
みんなが心地よく過ごせる間取りとリフォームのヒント

定価(税込)  2,200円

編著
著者
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サイズ A5判
ページ数 140頁
ISBNコード 978-4-526-08175-0
コード C3052
発行月 2021年12月
ジャンル 土木・建築

内容

近い将来、高齢者の5人に1人は認知症になると言われています。患者数の増加に伴い、在宅介護数も多くなっているため、自宅でどのように介護するか、どう環境を整えるかが重要になります。本書では、介護、住宅、インテリアの専門家の知見を交えて、認知症患者とその家族が快適に過ごすための家の工夫のヒントを紹介します。

堀越 智  著者プロフィール

(ほりこし さとし)
上智大学 理工学部 物質生命理工学科 教授

山崎 努  著者プロフィール

(やまざき つとむ)
積水ハウス( 株) 設計課 課長、一級建築士・インテリアプランナー・チーフアーキテクト

川野美智子  著者プロフィール

(かわの みちこ)
積水ハウス( 株) 設計課 主任、インテリアコーディネーター、色彩検定協会認定色彩講師、福祉住環境コーディネーター2級・一級色彩コーディネーター

壁 恵一  著者プロフィール

(かべ けいいち)
おだい介護サービス( 有) 介護福祉士、介護支援専門員、介護福祉専門学校元非常勤講師、認知症ケア専門士、福祉住環境コーディネーター2級

目次

序 章 認知症とは
さっきの記憶がなくなるということ
物忘れと認知症の違い
この本で出てくる「用語のまとめ」

第1 章  間取り
1 二世帯共働きでも安心できる間取り
2 玄関に近い部屋の間取りの問題
3 しまい忘れを減らす間取り
4 二世帯住居を考えた間取り
5 記憶障害に対応した間取り
6 在宅ワークしやすい間取り
7 リビング学習ができる間取り
8 細長い間取りを生かす
9 単身で暮らしやすい間取り

第2 章  玄関
10 専用の玄関
11 内玄関
12 大きい色差で玄関の事故防止
13 表札やポスト

第3 章  キッチン
14 自信を失わせないキッチン
15 火事を防ぐキッチン
16 満腹を思い出させるキッチン

第4 章  トイレと浴室
17 一人で行けるトイレ
18 わかりやすいトイレ用品
19 わかりやすい便器
20 たどり着けるトイレ
21 掃除のしやすいトイレ
22 自立入浴が続けられる浴室
23 認知症と浴室

第5 章  ドア
24 サインをつけたドア
25 安全なドア

第6 章  設備
26 見せないスイッチ
27 落ち着かない照明
28 落ち着く照明
29 徘徊感知センサー

第7 章  内装・外装・インテリア
30 認知症に適した床
31 良い手すり、悪い手すり
32 不安を減らし機能を増やす窓
33 家具や家電は使い慣れたものを
34 認知症に適した椅子
35 自立できる収納
36 脱臭する部屋
37 認知症とカーテン

第8 章  いつ? どこから? 住環境を変える
38 改善の見極め
39 介護の予測

第9 章 介護保険について
40 介護保険による住宅改修と福祉用具レンタル・購入
41 在宅療養者の居室と寝室
42 介護保険を利用した玄関の工夫
43 介護保険を利用した浴室の工夫
44 介護保険を利用したトイレの工夫

コラム
夕暮れ症候群とは
家電の遠隔操作
GPS は必需品へ
気分が不安定になったら

付録1  認知症の進行段階
付録2  高齢者の身体的変化
付録3  認知症と気づくきっかけ
付録4  認知症の症状の違い

参考文献
著者紹介

はじめに

家族や伴侶が「認知症」と診断された時、あなたはどんな気持ちになりますか? いきなり自分が介護者になったことに、少なからず驚きと不安を感じるのではないでしょうか。
一方で、すでに認知症の介護をしているご家族の場合、介護負担を和らげる工夫はできていますか?思いがけない精神的負担が日に日に増えているのではないでしょうか。
筆者もこのような経験をしてきました。

一般的に、高齢者になると「住み慣れた家」でも、不便を感じることが増えますが、さらに認知症の症状によって記憶や判断に影響が出るため、住環境の工夫をしなければ、今までと同じように暮らすことは容易ではなくなると介護経験の中で思いました。
また、認知症になると新しいことへの対応が難しいことが多くなるため、「長期記憶」(※)を生かせる家づくりが必要であることも実感しました。
認知症の方に対する住環境の正解はなく、例えば間取りを大きく変えることで認知症が発症してしまったり、認知症の症状が悪化することもあるので、住環境の整備が負に働くこともあります。一方で、備えや工夫を何もしないことで、認知症の進行につながったり、安全に問題が生じたり、介護の負担が大きくなることも考えました。

そこで、「介護のプロ」と「建築やインテリアのプロ」と共に、認知症の方の思考を意識しながら、住環境の整備が少しでも認知症のご本人にとって快適と安全につながり、介護負担を減らすことになるようなヒントをまとめました。

筆者があってよかったと特に実感した住環境の工夫に加え、ケアマネージャー、ホームヘルパー、デイサービスに従事する多くの専門家や、家族の介護をされている方から話を聞き、これも内容に加えました。
ご家族やご自身が年齢を重ねるに伴って二世帯住居や家のリフォームなどを計画されている方に「老後の備え」の1つとして、認知症についても考慮した工夫を取り入れるきっかけを持ってほしいと考え、本書の制作を行いました。

まずはご本人が「これからもどのような暮らしをしてゆきたいか?」をまとめ、これに沿う形で工夫ができるように、部屋や設備の項目ごとにまとめました。これらを必要に応じて取り入れ、「認知症に寄り添った家づくり」を目指す参考に使ってください。
ただし、本書をご活用される上でご注意いただきたいこともあります。環境を変えることは悪い影響もあることを念頭に置き、地域包括支援センター、主治医、ケアマネージャー(※)などと相談しながら、リロケーションダメージ( 環境変化ストレス) に気をつけ、本書を参考にしてください。そうすれば、きっと「認知症との距離を縮める」ための改善につながると思います。

落ち着きを取り戻してきた東京より
堀越 智
2021年12月5 日

(※)「長期記憶」、「ケアマネージャー」については、本書で解説しています。

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