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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい環境発電の本

定価(税込)  1,650円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-08170-5
コード C3034
発行月 2021年11月
ジャンル ビジネス 電気・電子

内容

本書で述べる「環境発電」は、大規模な再生可能エネルギーによる発電ではなく、「身の回りの微小な未利用のエネルギーを用いた発電」のこと。微小なエネルギーを収穫することで新たなエネルギーを得る注目の技術で、最近では独立電源用の環境発電機器の利用も期待されている。本書では、この環境発電の手法やしくみ、応用例などを、丁寧に解説する。

山﨑耕造  著者プロフィール

(やまざき こうぞう)
1949年 富山県生まれ。
1972年 東京大学工学部卒業。
1977年 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了・工学博士。
名古屋大学プラズマ研究所助手・助教授、核融合科学研究所助教授・教授を経て、2005年4月より名古屋大学大学院工学研究科エネルギー理工学専攻教授。その間、1797年より約2年間、米国プリンストン大学プラズマ物理研究所客員研究員、1992年より3年間、(旧)文部省国際学術局学術調査官。
2013年3月 名古屋大学定年退職。

現在 名古屋大学名誉教授、
自然科学研究機構核融合科学研究所名誉教授、
総合研究大学院大学名誉教授。

●主な著書
「トコトンやさしいプラズマの本」、「トコトンやさしい太陽の本」、「トコトンやさしい太陽エネルギー発電の本」、「トコトンやさしいエネルギーの本 第2版」、「トコトンやさしい宇宙線と素粒子の本」、「トコトンやさしい電気の本 第2版」、「トコトンやさしい磁力の本」、「トコトンやさしい相対性理論の本」(以上、日刊工業新聞社)、「エネルギーと環境の科学」、「楽しみながら学ぶ物理入門」、「楽しみながら学ぶ電磁気学入門」(以上、共立出版)など。

目次

【第1章】環境発電とは?
環境発電は「環境」+「発電」と違うの? 「エネルギーハーベスティング」
従来の自然エネルギー発電との違いは? 「微小な環境発電と大規模な系統発電」
環境発電のエネルギー源と用途は? 「力学、熱、光、電波のエネルギー」
環境発電のさきがけは? 「鉱石ラジオやソーラー電卓」
IoTでの電源と通信は? 「自立電源と無線通信」

【第2章】環境発電のしくみは?
環境の広がりと人間活動のエネルギーは? 「地球環境から宇宙環境へ」
環境発電のエネルギー源の強さはは? 「屋外太陽光が最大パワー」
環境発電はなぜ必要か? 「微小規模のメインテナンスフリー機器」
電気のエネルギーとパワーの違いは? 「ジュールとワット」
環境発電のシステム構成は? 「発電、蓄電、無線通信」
いろいろなエネルギー変換と環境発電は? 「電気への身近なエネルギー変換」

【第3章】運動の環境発電とは?
力学エネルギーとは? 「騒音、空気圧、流水環境」
運動の環境発電の原理は? 「電磁誘導、静電誘導、圧電効果、逆磁歪効果」
磁石の運動が電圧を生む? 「力学発電の原理(1)電磁誘導」
電極の変化により電圧が生じる? 「力学発電の原理(2)静電誘導」
圧力による歪みで電圧を生む? 「力学発電の原理(3)圧電効果」
磁性体の磁化が圧力で変化する? 「力学発電の原理(4)逆磁歪効果」
さまざまな様式の力学環境発電とは? 「振動、変形、流動による発電」
JR東日本での床振動発電試験の事例! 「圧電素子による発電床」
トイレでの流水発電の事例! 「スマート水栓、スマートシャワー」

【第4章】温度差の環境発電とは?
熱と温度の違いは? 「熱、熱容量、温度差」
温度差と熱機関の発電原理は? 「熱効率最大のカルノーサイクル」
環境熱発電のさまざまな方法とは? 「熱電の無次元性能指数」
熱電発電とは? 「ゼーベック効果とペルチェ効果」
熱磁気発電とは? 「ネルンスト効果と異常ネルンスト効果」
スピンゼーベック発電とは? 「スピン流から電流へ」
その他のいろいろな熱発電は? 「熱光起電力、熱電子、焦電体」
熱環境発電の応用事例! 「発電鍋と原子力電池」

【第5章】光の環境発電とは?
光の正体とエネルギーは? 「高エネルギーは高周波数」
光エネルギーの利用は 「単位はカンデラ、ルーメン、ルクス」
光発電の原理は? 「内部光電効果(光起電効果)」
太陽電池はいろいろ? 「シリコン系、化合物系、有機系」
環境発電に適した太陽電池は? 「色素増感型」
スマートグッズでの環境光発電の事例! 「スマートマウス、スマートセンサ」

【第6章】電波の環境発電とは?
電界と磁界で波ができる? 「アンテナによる電波発生」
いろいろな電波の利用は? 「放送・通信用や加熱調理用」
電波のエネルギーの発電利用は? 「周波数変換による発電」
レクテナとは? 「整流器つきアンテナ」
電波発電の歴史的事例! 「鉱石ラジオ」
環境と医療のセンサでの電波発電事例! 「スマートコンタクトレンズ」

【第7章】バイオの環境発電とは?
生物のエネルギーの源は? 「ATPは「エネルギー通貨」」
微生物発電のしくみは? 「微生物燃料電池での酸化還元反応」
植物発電とは? 「田んぼ発電と森林監視」
動物生体発電とは? 「電気ウナギとカタツムリ発電」
人体内のデジタル医薬品とは? 「センサ入り錠剤」
尿や果汁で発電する? 「尿発電と塩水発電、レモン電池」

【第8章】環境発電のための蓄電と無線通信は?
環境発電システム用デバイスとは? 「低消費電力でメインテナンスフリー」
電池と蓄電器は? 「化学2次電池と静電蓄電器」
電気二重層キャパシタとは? 「EDLC」
低消費電力の無線通信とは? 「BLEやLPWA」
無線給電の利用は? 「IH調理器、ICカード、自動車給電」

【第9章】さまざまな環境発電の応用は?
電源不要のスマートウォッチ! 「振動、光、熱発電のウォッチ」
スイッチ発電利用のスマート照明! 「電磁誘導方式と圧電方式」
ロンドン発のスマートストリート! 「電磁誘導による発電タイル」
スマートごみ箱での環境発電! 「太陽光発電・蓄電による管理」
インフラとしての道路での環境発電! 「夢シス、橋のライトアップ、下水の水位監視」
自動車でのいろいろな環境発電! 「ソーラーカー、排熱発電、回生ブレーキ」
火山観測で活躍する環境発電! 「REGMOS」
人体のエネルギーで発電する! 「汗発電と摩擦発電」
振動や体温利用の心臓ペースメーカー! 「自然のペースメーカーは洞結節」

【第10章】環境発電の未来は?
環境発電の課題は? 「消費電力、信頼性、寿命、価格」
宇宙環境エネルギーの活用は? 「宇宙開発と放射線利用」
社会の進展と環境発電は? 「インダストリー4・0とソサエティー5・0」
IoTからIoHへ? 「「人間」のインターネット」

【コラム】
●エネルギーをみんなに、そしてクリーンに! 映画『不都合な真実2 放置された地球』(2017年)
●再生可能エネルギーへの強烈な批判! 映画『プラネット・オブ・ヒューマンズ』(2020年)
●身近な風がアフリカの村を救った! 映画『風をつかまえた少年』(2019年)
●砂の惑星で生き抜く? 映画『デューン/砂の惑星』(1984年)
●雷で人間を蘇らせる? 映画『フランケンシュタイン』(1931年)
●電波で瞬間移動? 映画『プレステージ』(2006年)
●未来のインプランタブルデバイス! 映画『マトリックス』(1999年、2003年、2021年)
●電気は直流と交流どちらが便利? 映画『エジソンズ・ゲーム』(2017年)
●インターネットはIoTからIoHへ! 映画『ザ・インターネット』(1995年)
●火星でひとり生き残る? 映画『オデッセイ』(2015年)

参考図書
索引
著者略歴等

はじめに

「環境」と「発電」は非常に重要なキーワードです。相反すると考えられている環境保全と電源開発とを調和させて、持続可能な社会を構築することが期待されています。
「環境」と「発電」とを単純に結びつけた「環境発電」という言葉は、一般には聞きなれない言葉かもしれません。「環境からのエネルギーを利用する発電」を意味しているのでしょうか? それとも「環境にやさしい発電」システムを意味しているのでしょうか?
本書で述べる「環境発電」は、規模の大きな自然エネルギー発電と異なり、『身の回りのさまざまな環境からの微小な未利用のエネルギーを用いた発電』を意味しています。英語での「エネルギーハーベスティング(エネルギー収穫)」で、日本では「環境発電」と呼んできました。日本語の環境発電のニュアンスに近い英語としては、「アンビエントパワー(周辺電力)」があります。
身近な未利用のエネルギーを発電に使う試みは、これまでさまざまに行われてきましたが、近年、電力消費が非常に少ない回路が開発されてきて、幅広い応用が可能となってきました。エネルギー源としては、振動、熱、光、電波、生物などがあります。特に、現代のIoT(モノのインターネット)社会では、電源配線や電池の不要なデバイスが重要になってきています。
現在、2030年までに取り組むべき世界の目標として2015年の国連総会で採択された17項目のSDGs(エス・ディー・ジーズ、持続可能な開発目標)があります。特に、7番目の「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」の目標に対しては、電気の使えない発展途上国の貧しい人々に、環境発電技術が大いに役立つと考えられています。
本書では、環境発電のしくみやその応用事例をやさしく説明します。1~2章では、従来の自然エネルギー発電と比較しながら環境発電の概要を述べ、3~7章では、環境発電の原理と種類をまとめます。力学環境発電を3章に、熱環境発電を4章に、光環境発電を5章にまとめます。電波環境発電と生物環境発電をそれぞれ6章と7章に記載しています。8章では、環境発電システムのためのデバイスを述べ、9章ではさまざまな環境発電の事例を概観します。最後の章では、環境発電の未来について、順にやさしく述べていきます。
コラムでは、「映画の中の環境と発電」として、関連する映画を紹介します。いろいろな視点から環境発電に興味を持って頂ければと思います。
本書が、エネルギー問題や環境問題に関連して、身近な環境エネルギーと小さな発電に関連する幅広い興味を持つ契機となれば、と願っております。
最後になりましたが、本書作成に当たり、日刊工業新聞社の鈴木徹部長をはじめ、多くの関係者の方にお世話になりました。ここに深く感謝申し上げます。

2021年7月吉日 

山﨑耕造

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