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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい乾燥技術の本

定価(税込)  1,650円

著者
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サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-08163-7
コード C3034
発行月 2021年10月
ジャンル 電子書籍 ビジネス 化学

内容

乾燥は、食品、医薬品、化学原料など多くの分野で行われている操作の1つである。同じ乾燥機、同じ条件でも、湿り材料や気象によって異なる結果が出てしまいトラブルになることもある。本書はこれから乾燥技術に携わる人に向けて、その基本をやさしく丁寧に解説する。


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立元雄治  著者プロフィール

(たてもと ゆうじ)
1995年 名古屋大学卒業(工学部分子化学工学科)
2000年 名古屋大学大学院博士課程満了(工学研究科分子化学工学専攻)
2000年 静岡大学教務員(工学部物質工学科)
2005年 静岡大学助手(同上)
2006年 静岡大学助教授(同上)
2007年 静岡大学准教授(同上)
2015年 静岡大学大学院准教授(学術院工学領域化学バイオ工学系列)
博士(工学)
専門:化学工学(乾燥工学、粉体工学)
著書:「わかる!使える!乾燥入門」(共著)、「はじめての乾燥技術」(共著)、「第2版 初歩から学ぶ乾燥技術」(共著)、「分離技術ハンドブック」(共著)、「スラリーの安定化技術と調製事例」(共著)、「エレクトロニクス分野における精密塗布・乾燥技術」(共著)、「乾燥大全集」(共著)、「過熱水蒸気技術集成」(共著)

中村正秋  著者プロフィール

(なかむら まさあき)
1965年 名古屋大学卒業(工学部化学工学科)
1970年 名古屋大学大学院博士課程満了(工学研究科化学工学専攻)
1982年8月〜1984年3月Research Associate, National Research Council, Canada
1994年 名古屋大学教授(工学部分子化学工学科)
1997年 名古屋大学大学院教授(工学研究科分子化学工学専攻)
2004年 名古屋大学大学院教授(工学研究科化学・生物工学専攻 分子化学工学分野)
2006年 名古屋大学名誉教授
工学博士
専門:化学工学(伝熱工学、反応装置工学、資源・環境学)
著書:「わかる!使える!乾燥入門」(共著)、「第2版 初歩から学ぶ乾燥技術」(共著)、「はじめての乾燥技術」(共著)、「実用乾燥技術集覧」(共著)、「分離技術ハンドブック」(共著)、「セラミックマシナリーハンドブック」(共著)、「化学工学ハンドブック」(共著)、「粉体工学ハンドブック」(共著)、「化学反応操作」(共著)、「移動層工学」(共編、共著)
HP:http://ntechx.com/

目次

第1章
身近にある乾燥技術

1 乾燥操作とはどのような操作か「乾燥と脱水のちがい」
2 乾燥操作はどのようなときに行われるか「乾燥する目的」
3 家庭にある乾燥機の仕組み「熱を発生させる、熱を与える」
4 乾燥操作のはじまりは自然乾燥「産業革命以前の乾燥操作」
5 機械式乾燥(人工乾燥)の発展「産業革命以降は機械化が進む」
6 食品を乾燥するのはなぜか「保存しやすく、輸送しやすく、さらにおいしく」
7 食品製造工程での乾燥「穀類、砂糖、インスタントコーヒー」
8 製薬工程での乾燥「成分を均等に含んだ顆粒を作るための乾燥」
9 洗浄工程での乾燥「洗浄したときに表面についた水を乾燥」
10 陶磁器・ファインセラミックスの乾燥「割れや変形を防ぐ・均質な原料顆粒を作る乾燥」
11 紙の製造工程での乾燥「シート状のものを多量に乾燥」
12 木材の乾燥「品質を重視した長時間乾燥」
13 有機汚泥の乾燥「水分を減らして有効利用を目指す乾燥」
14 衣料品製造工程での乾燥「衣料品を染色するときの乾燥」


第2章
乾燥操作の基本原理を知る

15 水分量をどのように表すか「含水率の表し方」
16 乾燥する対象物の量をどのように表すか「乾燥する対象物の量」
17 乾燥の速さをどのように表すか「乾燥の速度」
18 乾燥には熱が必要「蒸発熱」
19 加熱方法①加熱した空気を当てて加熱「対流伝熱による加熱」
20 加熱方法②加熱した棚や壁と接触させて加熱「伝導伝熱による加熱」
21 加熱方法③加熱した物体から出る熱線で加熱「放射(ふく射)伝熱による加熱」
22 加熱方法④電子レンジやニクロム線の加熱「マイクロ波加熱、通電加熱」
23 乾燥はどのように進むのか?「質量と温度の変化」
24 乾燥する対象物の表面で水分が蒸発「定率(恒率)乾燥期間」
25 乾燥する対象物の内部で水分が蒸発「減率乾燥期間」
26 定率乾燥期間と減率乾燥期間の境界の含水率「限界含水率」
27 水分を完全になくすことは難しい「平衡含水率」
28 定率乾燥期間が長く続くものはどのようなものか「定率乾燥期間か減率乾燥期間か」


第3章
乾燥操作と空気の性質の関係を知る

29 乾燥のしやすさと空気はどのようにかかわっているか「乾燥操作と空気」
30 空気中に含むことのできる最大限の水蒸気量「飽和水蒸気圧」
31 日常的に用いられる湿度「相対湿度(関係湿度)」
32 乾燥操作でよく用いられる湿度「絶対湿度」
33 空気中におかれた水塊を出入りする熱量のバランス「湿球温度」
34 水蒸気を含む空気を冷やすと結露する「露点」
35 空気の性質を図表で表す「湿度図表」
36 温度変化にともなう湿度の変化を読み取る「温度と湿度の関係を湿度図表で求める」
37 湿球温度を読み取る「湿球温度を湿度図表で求める」
38 露点、結露する水分の量を読み取る「露点を湿度図表で求める」
39 空気の湿度を下げる方法「吸着方式と冷却方式による除湿」


第4章
乾燥を速くする方法

40 定率乾燥速度—対流伝熱による「対流伝熱乾燥のときの定率乾燥速度を式で表現」
41 流速を上げて定率乾燥速度を上げる「熱伝達係数が大きくなる」
42 温度を上げて定率乾燥速度を上げる「熱源と乾燥する対象物との温度差を大きくする」
43 湿度を下げて定率乾燥速度を上げる「乾燥する対象物の温度(湿球温度)が下がる」
44 乾燥する対象物を小さくして乾燥速度を上げる「乾燥する対象物の表面積を増やす」
45 定率乾燥速度と限界含水率の関係「限界含水率の変化」
46 乾燥する対象物によって減率乾燥速度が変わる「減率乾燥速度」
47 伝導伝熱および放射伝熱のときの乾燥速度を上げる「伝導伝熱・放射伝熱による乾燥速度」


第5章
さまざまな乾燥機とその選定

48 加熱した空気を当てて乾燥する乾燥機「対流伝熱式の乾燥機」
49 加熱した棚や壁、熱線によって乾燥する乾燥機「伝導伝熱式、放射伝熱式の乾燥機」
50 乾燥する対象物の量による乾燥機の使い分け「回分(バッチ)操作と連続操作」
51 乾燥する対象物の形状による乾燥機の使い分け「対象物の形状と乾燥機」
52 液体・微粒子懸濁液状のものの乾燥機「噴霧乾燥機、円筒乾燥機、流動層乾燥機」
53 泥状・粒状のものの乾燥機「気流乾燥機、撹拌乾燥機」
54 塊状・粒状のものの乾燥機「回転乾燥機、通気竪型乾燥機、伝熱管付き回転乾燥機」
55 粉状・粒状のものの乾燥機「流動層乾燥機、多段円盤乾燥機、円筒撹拌乾燥機」
56 フレーク状・繊維状のものの乾燥機
「通気バンド乾燥機、振動流動層乾燥機、箱型通気流式乾燥機」
57 特定形状のものの乾燥機「台車トンネル乾燥機、箱型平行流式乾燥機」
58 シート状のものの乾燥機「多円筒乾燥機、噴出流乾燥機」
59 乾燥するときに真空にすると何が変わるか「乾燥における真空操作」
60 食品原料などの形・成分を保持しつつ乾燥「真空凍結乾燥機」


第6章
乾燥操作で注意すること

61 乾燥には多量の熱が必要である「乾燥に必要な最低限の熱量を求める」
62 乾燥機に加えた熱がどの程度有効に使われるか「熱効率を上げる」
63 乾燥機から排気される空気の熱を有効に使う「省エネルギーにつとめる」
64 乾燥する対象物の温度は乾燥時にどのようになるか「対象物の熱変質に注意する」
65 乾燥するときの変形や収縮はなぜ起こるのか「乾燥するときの変形に注意する」
66 空洞化した製品、均質な製品を得るための条件「形状を制御する」
67 乾燥できないときに注意することは何か「乾燥できない原因を探す」
68 乾燥する対象物を増やすときに注意すること「より多くの量を乾燥するときの注意点」


【コラム】
●食品産業を変えたインスタントラーメン
●食品の腐敗しやすさを表す「水分活性」
●エアコンのドライ機能
●乾燥速度を上げて効率よく乾燥することが常に正しいか
●液体を存在させない乾燥方法—真空凍結乾燥と超臨界乾燥
●乾燥機の事故対策


参考文献
索引

はじめに

乾燥とは、湿った物体に含まれる液体(本書では水を考えます)を蒸発させて、乾燥したものを得ることです。乾燥技術といいますと、なにか特別のことをイメージするかもしれませんが、洗濯物を干したり、髪の毛をヘアドライヤーで乾かしたりと、乾かす(乾燥する)ことは私たちの生活の中にいろいろあります。また、私たちの身近な製品の多くが乾燥工程を通じて作られており、それらの製造現場ではより速く、より効率よく、よりよい製品を得るために、乾燥の方法を工夫しています。
 本書の前半では、乾燥するときに起こる現象や乾燥が使われる場面(製造工程)の紹介、水分量や乾燥の速度を表す方法などの乾燥技術を知るうえで基本となる事項を解説しています。後半では、乾燥を短時間で行うための方法や工業的に使われている乾燥機の紹介、乾燥するときの注意点などのやや実務的なところも取り上げています。
 第1章では、乾燥技術とはそもそもどのようなものであるかということからはじまり、乾燥技術が使われる製品製造工程の例をいくつか挙げて解説しています。先述しましたように、ものを乾かすということは洗濯物の乾燥を代表例として生活の中で日常的に行われています。そのほかにも、私たちが日ごろ目にしている製品が作られるときには乾燥技術が使われています。本章を通じて乾燥技術を身近に感じていただけると幸いです。
 第2章では、乾燥技術を考える上でその基本となる事項をまとめています。工業的に乾燥製品を得るためには、計画的に生産する必要があり、乾燥工程において乾燥の速度やその原理を理解する必要があります。例えば乾燥は湿った物体中の水分を取り除く操作ですが、物体に含まれる水分量をどのように表すか、これもひとつの重要な要素です。
 第3章では、空気の性質と乾燥との関係について解説しています。乾燥するときに対象物から蒸発した水蒸気は空気中に含まれるようになります。このため例えば天気予報などで耳にする「湿度」など、空気の性質は乾燥の進み方に大きく影響します。また、冷やしたペットボトルに水滴がつくことや、夏場の打ち水、乾湿球温度計が示す温度などは乾燥技術とも密接に関係しています。ここでは空気の性質が乾燥にどのように関わってくるか、また空気の性質を表すための数値を図表によってどのように求めるか、について解説しています。
 第4章では、乾燥を速くする方法についてまとめています。先述のように身近な製品の中には乾燥工程を通じて作られているものが多数ありますが、それらの製品を工場で生産するときの乾燥工程では、より速く乾くことが望まれます。そこで、乾燥の速さに関係する要因とその影響についてまとめています。
 第5章では、乾燥機をどのような形状のものの乾燥に適しているかによって分類し、それぞれの乾燥機の特長について解説しています。工業的に使われる乾燥機にはさまざまなものがあり、乾燥する対象物の性質(特に形状)によって使い分けがされています。
 第6章は、乾燥によって製品を得るときによく起こる現象や課題を取り上げ、乾燥するときの注意点をまとめています。乾燥の仕方や条件によって乾燥後の製品の性質が大きく変わってきます。
 本書では、乾燥技術について「トコトンやさしく」解説することを命題として執筆しました。乾燥技術に初めて触れる方々にも読みやすいように、というつもりで執筆しましたので、本書を機に多くの方々が乾燥技術に興味を持っていただけますと幸いです。
 最後に、本書の執筆にあたりお世話をいただきました関係者の皆様に深く感謝申し上げます。
 令和3年9月                                著者

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