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後継者不在、M&Aもうまくいかないときに
-必ず出口が見つかる「縮小型事業承継と幸せな廃業」-

定価(税込)  1,650円

編者
サイズ 四六判
ページ数 196頁
ISBNコード 978-4-526-08166-8
コード C3034
発行月 2021年10月
ジャンル 経営 電子書籍

内容

「後継者がいない」「このまま続けていても事業の先行きに不安がある」など、事業承継に悩む中小企業の経営者向けに、出口を見つけるための考え方と具体的な方策、ケーススタディをまとめました。特に引き継ぎやすい規模にして承継する「縮小型事業承継」や、従業員や取引先などに迷惑をかけず、経営者自身のこれからの生活も守ることができる「幸せな廃業」にフォーカスしているのが大きな特徴です。


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株式会社 青山財産ネットワークス  著者プロフィール

青山財産ネットワークスは、個人資産家と企業オーナーに対し、財産承継や事業承継、財産の運用・管理の「総合財産コンサルティングサービス」を提供している。相続対策、資本政策や不動産活用などの経験の豊富なプロフェッショナルコンサルタントと税理士・会計士・弁護士などの専門家が計画策定からその実行に至るまでの支援を展開。その知見・ノウハウをシステム化し、近年はテクノロジーも融合したコンサルティングが強みのひとつとなっている。1991年の創業から30年。財産コンサルティング分野における数少ない上場企業として、二代、三代先までを視野に入れた長期・全体最適のコンサルティング「100年財産コンサルティング」を行っている。
また、中堅・中小企業の後継者不在といった社会的問題の解決のため、従来の親族承継のコンサルティングに加え、M&Aや廃業支援、事業承継ファンドの活用といった、多様な選択肢をご提供できる体制を構築している。

著 者
島根 伸治(しまね しんじ)

取締役執行役員 コンサルティング第四事業本部長
公認会計士

監査法人等などを経て2001年に同社グループに入社。一貫してオーナー系企業の事業承継、相続、財務問題等を支援。近時は、経営状態の厳しい事業でも最適な出口を模索し、より多くの経営者の事業承継と雇用の継続の実現に力を注いでいる。パートナー企業と合弁の事業承継ファンドの責任者も務める。


中川 努(なかがわ つとむ)

コンサルティング第四事業本部 第二事業部副部長
中小企業診断士

大手銀行、金融系コンサルティング会社を経て現職。大手銀行では中小企業基盤整備機構へ出向、中小企業支援業務に携わる。現職では、事業再生業務、事業承継ファンド業務、M&A業務に従事。


吉田 壮一(よしだ そういち)

コンサルティング第四事業本部 第二事業部シニアコンサルタント

石油開発会社、メガバンクを経て現職。石油開発会社では中東において原油開発、メガバンクでは米国・欧州・中東においてプロジェクトファイナンスを中心に融資業務に従事した国際派。現職では、再生ファンド業務や事業承継ファンドの運営、資金調達ストラクチャーの構築に携わっている。

西田 成志(にしだ なるゆき)

コンサルティング第四事業本部 第二事業部コンサルタント
証券アナリスト

大手証券会社を経て現職。事業承継ファンド業務に従事し、価格算定、投資実行、投資回収等の運営全般に携わる。ファンド投資で得た財務分析の知見を生かし、財務的課題を抱えた企業に対し、事業計画や再生計画策定支援を行っている。


岡本 教孝(おかもと のりたか)

コンサルティング第四事業本部 第二事業部コンサルタント
経営学修士(MBA)、国際テクニカルアナリスト連盟検定テクニカルアナリスト

大手証券会社を経て現職。大手証券会社では社長賞等の数々の賞を受賞。現職では事業承継ファンド業務、M&A業務に従事。


松嶋 多寿久(まつしま たすく)

コンサルティング第四事業本部 第二事業部アソシエイト

大学卒業後、株式会社青山財産ネットワークスへ入社。事業承継ファンド業務に従事しつつ、事業再生関連業務にも携わっている。

目次


はじめに

第1章
決断の先延ばしは倒産への道

先が見えないときの「M&A」「廃業」
事業承継の壁「後継者」
加速する時代の変化
人材投資を後回しにしたツケ
個人消費の縮小
「銀行融資で安心」は禁物
早期決断が命運を分ける
決断の猶予はわずか
「数値」で事業継続を判断
「前向きな変化」は社会にも幸せ
「従業員スキル」は社会の宝
中小企業は地域活性化の要 

第2章
縮小型事業承継メソッド

事業承継は5つの視点で
第一に「読み込み」
選択肢はひとつではない
相談相手は慎重に
台頭する「M&A仲介会社」「事業承継ファンド」
「100」か「0」ではない
新手法「縮小型事業承継メソッド」
「強み」を受け渡す
廃業は「戦略的撤退」だ 

第3章
「幸せな廃業」で未来を拓く

廃業から逃げない 
できる企業、できない企業 
メリットとデメリット 
経営者の心配事 
「幸せな廃業」で解決する 
トラブルは付きもの
「幸せな廃業」なら他の道も 
第二の人生を考える
廃業後の生活コスト
「廃業は成功だ!」


第4章
ケーススタディに見る経営者の苦悩と実践

ケース1
事業を縮小してM&Aに成功

年商38億円、利益が5000万円の理由
経営再建、経費3分の1に圧縮
「もう続けられない」と悟る
専門家なしにM&Aはない
取引先に迷惑をかけない廃業
不採算事業から撤退、残りをM&Aに
売却金と厚生年金で悠々自適

ケース2
従業員と向き合うファンドから派遣された経営者

プロ経営者の視点
従業員への告知
神棚は誰のものか
悩んだら、すぐ専門家に 

ケース3
従業員を再就職させて廃業

相続問題から廃業を選択
キャリアアップできる就職支援を
組合と交渉
訴訟リスクを防ぐ 
業界事情を知るコンサルタント 

ケース4
採算店舗を従業員に譲渡

経営経験不足と構造不況で廃業を決意
一部でも残したいという創業家の思い
EBOで生き残る
従業員が買い手になるEBO

ケース5
不動産を生かし廃業

残しておいては相続人のお荷物になる
不動産M&Aが最適
老後は売却益を運用して暮らす

はじめに

はじめに

「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が叫ばれ、仕事でも個人の楽しみでも、身のまわりでデジタル化が急速に進んできました。さらには「ニューノーマル」という言葉が示すように、リモート環境で仕事や会議をしたり、買い物はインターネットによる通信販売を多用したりするなど、私たちの働き方や生活様式は大きく様変わりしています。そして、そのような変化に伴い、企業や産業も時代のニーズに即した、いわゆる勝ち組と、時代から取り残されてしまう企業・産業とに明暗が分かれています。
本来、時代の流れに即した変化には、それなりの時間を要します。経営者がその変化に応じて、あるいは先取りして転換を図っていけば、企業は時代に合わせて姿を変え、継続し、発展することができました。ところが昨今の社会の変化は急速です。さらに2020年はじめに生じた新型コロナウイルスの感染症拡大によって、時間軸は一気に縮まりました。生活様式が一変し、時代は一足飛びにDXへと突き進んでいます。
社会の急速なデジタルシフトやコロナ禍にとどまらず、少子高齢化の加速による日本市場の縮小、海外生産のコスト上昇、昨今の世界的な脱炭素の流れによる産業構造の変化などに直面し、「このままでは、事業が存続できなくなる」と危機感を抱いている経営者も多いのではないでしょうか。M&A(企業の合併・買収)によって経済力のある企業に渡そうか、あるいは若い経営者の下での建て直しなど、どのように事業承継をしようかと考えるかもしれません。傷が浅いうちの廃業を視野に入れて悩んでいるかもしれません。
そんなとき、最初に相談するのは身近な友人であることが多いようです。そんな人たちが、事業承継や廃業について経営者から相談をされたときには、「まだやれる」「頑張って」と励ますのが常です。しかし、それは少し無責任ではないかと思います。経営者は何とか打開策はないものかと考え得る手を打ち、すでに十分に頑張ったのです。そのうえで経営権を譲ろうかと悩んでいるのです。
また、その他の経営環境の変化や、経営者が引退の年齢に近づき、この先をどうするか、悩むことも多くなっています。
家族に会社を引き継いでもらう「親族承継」や、従業員に譲る「従業員承継」、会社や事業を第三者に売却するM&Aのいずれの方法でも、うまく会社を承継することは、経営者が情熱を注いで育ててきた会社を存続させるのに現実的な解決策です。とはいえ、業績が悪く、先行きが分からない企業では、買ってくれる相手や、後継者が見つからない場合もあります。
私ども青山財産ネットワークスには、多くのM&A仲介会社から「買い手が付かなかった企業についての相談」が舞い込みます。相談があれば、まずはその企業の数字を拝見し、経営者と話をしてみます。すると、企業全体としては苦しくても、部分的に将来性のあるものを持っている企業があります。そのようなケースでは、重しになっている部分を縮小することによって、M&Aでの買い手が見つかったり、お子様や親族の方が「それなら自分でもやっていけるから、継いでもいい」と言ってくれたり、場合によっては従業員の中から後継者が見つかるなど、次のステップが見えてくることが多くあるのです。
どこに将来性があるのかを見極め、どこを縮小するのか。それには客観的な判断が必要です。往々にして経営者には思い入れがあり、客観的な判断が困難です。創業者であればなおさらです。例えば、創業時に中心になった部門や、力を入れている製品の開発部門に対し、「どんなことがあっても、ここだけは手放せない」「ここがあるから、今の自分たちがある」と考えてしまいます。そういう思い入れが強いと、なかなか手放すことができないものです。
そのようなとき、冷静に数字を示しながら、「ここを畳んだらいいですよ。そうすれば、うまくいきますよ」とアドバイスしてくれるのは、気軽に「頑張って」と言う友人ではありません。専門的知識を持ち、経験も豊富なコンサルタントです。経営に行き詰まり悩んでいるのなら、友人に相談するのではなく、コンサルタントを頼るべきではないでしょうか。
事業を削り、縮小していくなかで、廃業という選択肢が出てくることもあります。廃業について、どのようなイメージをお持ちでしょうか。廃業を失敗だと捉える方がいらっしゃいますが、そうではありません。なぜなら、借金が多ければ廃業もできないからです。廃業できるということを、プラスに捉えることもできるのです。
従業員に退職金を渡して次の仕事に就くための支援をし、取引先にも迷惑をかけず、経営者自身のこれからの生活も守る。それが計画的に行う廃業です。手遅れになると廃業はできず、倒産となってしまいます。実際、企業の資産を早めに流動化し、清算して廃業することで、幸せな余生を送っている元経営者はたくさんいらっしゃいます。廃業はゴールとしてのひとつの形なのです。そこで本書では、事業を縮小して承継する「縮小型事業承継」と同時に、あえてこれまで語る人が少なかった「幸せな廃業」についても触れていきます。
私どもは決して「中小企業不要論」を支持しているわけではありません。むしろ、逆の考え方です。どんなに小規模な企業でも、従業員がおり、取引先があり、地域経済に貢献していることに、私どもは敬意を表します。培われた人や技術を存続させていくのがM&Aを含めた事業承継であり、「幸せな廃業」であると考え、支援してきました。「できればこのまま残したい」「大きなリストラなどしたくない」「従業員の生活を守りたい」といった経営者の声に真摯に耳を傾けながら、現実と理想の間で最善だと思われる道を提示してきたと自負しています。事業承継に悩んだら、あるいは事業承継について相談を受けたら、ぜひ、本書に目を通してください。後悔のない道を選んでいただきたいと思い、本書を執筆いたしました。

2021年10月
株式会社 青山財産ネットワークス

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