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原材料から金属製品ができるまで
図解よくわかる金属加工

定価(税込)  1,980円

著者
サイズ A5判
ページ数 152頁
ISBNコード 978-4-526-08158-3
コード C3057
発行月 2021年09月
ジャンル 金属

内容

本書は、はじめて金属加工について学ぶ人にも理解できるよう、各加工法の解説だけでなく、鉱物から金属材料を経て製品になるまでの加工の流れをつかめるような構成とした。金属加工に欠かせない「金型」「設備」「測定・評価」についてもやさしく解説しているため、これ1冊で金属加工に関する基礎知識を網羅できる。

吉村泰治  著者プロフィール

(よしむら やすはる)
●略歴
1968年生まれ
1994年3月 芝浦工業大学大学院工学研究科金属工学専攻 修了
1994年4月 YKK株式会社 入社
2004年9月 東北大学工学研究課博士後期課程材料物性学専攻 修了
2016年4月 YKK株式会社 執行役員 工機技術本部 基盤技術開発部 部長
2021年4月 YKK株式会社 専門役員 
博士(工学)、技術士(金属部門)

●著書
『パパは金属博士』技報堂出版、2012.4
『銅のはなし』技報堂出版、2019.8
『トコトンやさしい金属材料の本』日刊工業新聞社、2019.10
「生活を支える金属 いろはにほへと」
(『月刊ツールエンジニア』(大河出版)に2013年4月から2019年10月まで隔月連載)
「モノづくりを支える金属元素 いろはにほへと」
(『月刊ツールエンジニア』(大河出版)に2021年2月から隔月連載中)

目次

はじめに

第1章 金属材料とその加工
1 人類の金属加工との出会い
金属加工は自由鍛造から始まり、溶解・鋳造、熱間鍛造、製錬、接合へと進化
2 金属材料の種類と特徴 さまざまな種類と特徴を持つ金属材料
3 鉄鋼材料 私たちの身の周りでさまざまな用途に使用されている金属材料
4 非鉄金属材料 鉄を主成分とする鉄鋼材料以外の金属およびその合金
5 銅と銅合金 人類が初めて手にした歴史ある非鉄金属材料
6 アルミニウムとアルミニウム合金
さまざまな優れた特性を有する代表的な非鉄金属材料の1つ
7 金属加工の目的と分類
金属材料にエネルギーを与えて形状や機能を付与して金属製品へと仕上げる
8 金属加工に重要な材料特性 金属材料の特性を考慮した金属加工プロセス選定

第2章 原材料から元材をつくる
9 原材料から1次加工元材へ
鉱石を採鉱・選鉱・製錬し、鋳型に流し込み、1次加工元材へと形作る
10 1次加工で形作られる形状 塊状と粉状、さらには板・条・型材・管・棒・線・箔
11 溶解 固体の金属を加熱して液体の金属に状態が変化
12 鋳造 液体金属を鋳型に注湯し、冷却して目的の形状に凝固
13 バッチ式鋳造
一定量の溶湯を1回ずつ鋳型に注ぎ、注湯毎に独立した鋳塊を得る鋳造方法
14 連続式鋳造 鋳塊を連続的に得る鋳造方法
15 ダイカスト 溶湯を精密金型に高速・高圧充填させて高精度鋳物を大量に生産
16 アトマイズ法 金属粉末の代表的な製造方法
17 粉末冶金 金属粉末を元材とする金属加工プロセス
18 圧延 回転する2本のロールで長尺な素材を得る
19 押出 さまざまな断面形状の長尺な素材を得る
20 連続押出 元材を連続的に金型内に供給して無限長の押出材を得る
21 伸線・引抜き 穴ダイスから元材を引抜いて金属に穴形状を付与

第3章 元材に形状を付与し金属製品に仕上げる
22 鍛造 素材を圧縮・打撃して形状付与と特性向上
23 絞り・張出し 円筒、角筒、円錐などの継ぎ目のない中空のくぼみを持つ形状を付与
24 切断・せん断 金属材料を切り離す
25 曲げ 1次加工された素材に曲げ変形を与える
26 切削 相対的な運動を与えて金属材料を工具で削る
27 研削 砥石を使用して不要な個所を削り取る
28 接合 2つ以上の物をくっ付けて一体化
29 非接触加工 金型や工具を接触させずに金属材料を加工

第4章 元材に機能を付与し金属製品に仕上げる
30 投射 無数の投射材を高速で衝突させ金属表面を塑性加工や除去加工する
31 熱処理 金属材料を加熱・冷却して、金属の特性を向上させる
32 表面処理 金属材料の表面に装飾や機能を付与する
33 化成処理
化学反応で金属材料の表面に素地とは異なる非金属物質の皮膜を生成させる
34 めっき処理 金属材料の表面に素地とは異なる金属皮膜を生成させる
35 陽極酸化処理 金属材料を電解処理して表面に酸化皮膜を生成
36 塗装 金属材料の表面に樹脂を主成分とした塗膜を施す
37 浸炭焼入れ・窒化 金属表面に炭素や窒素を拡散させて硬くする
38 溶射 加熱・溶融させた液体粒子を高速で衝突・積層させて皮膜を形成

第5章 金属加工を実現させる金型
39 金型 金属加工で使用する金属製の型
40 合金工具鋼 冷間金型や熱間金型に使用される鉄鋼材料
41 超硬合金 高い弾性率と硬度、優れた耐摩耗性を有する複合材料
42 金型表面処理 鋳造加工や塑性加工で使用する金型の寿命を向上させる

第6章 金属加工を実現させる設備
43 金属加工機械 金属材料に形状や機能を付与する金属加工に使用する機械
44 プレス機械 金属材料を成形するプレス加工で使用する金属加工機械
45 工作機械 除去加工で形状を付与する金属加工機械
46 ボール盤 被加工材にドリルを使用して穴あけ加工を行う工作機械
47 旋盤 円柱や円錐などの丸形状に切削加工を行う工作機械
48 フライス盤 角形状に切削加工を行う工作機械
49 研削盤 砥粒を固めた砥石で被加工材の表面を微小に削り取る工作機械
50 放電加工機
アーク放電の熱的エネルギーで被加工材を溶解させて加工する工作機械
51 溶接機 金属材料に熱的エネルギーを与えて接合する機械

第7章 金属加工を下支えする測定・評価技術
52 測定・評価技術 測定と評価は物づくりの原点
53 温度測定 金属加工時の温度を測定し管理する
54 寸法測定 金属加工時の寸法を測定し管理する
55 表面粗さ測定 外観や機能に影響する微細凹凸の数値化
56 光沢度・色調測定 光沢と色調を数値化する
57 硬さ試験 金属の硬さを調べる試験
58 引張試験 引張荷重負荷時の変形挙動を求める試験
59 疲労試験 金属の疲労特性を調べる試験
60 摩擦・摩耗試験 摩擦運動部分の挙動を把握する試験
61 顕微鏡観察 現物を観察して現象を捉える

第8章 金属加工のこれから
62 積層造形 CADデータを元に金型を使用せずに立体形状を製造する技術
63 金属加工におけるIoT IoTで数値化・収集・一元管理、そして活用
64 環境対応の金属加工技術 環境に配慮した物づくり推進の高まり

コラム
01 〜かつては銀の価値は金より高かった〜
02 〜そもそも元素って何?〜
03 〜地球に鉄が多く存在する理由〜
04 〜金属は人間が鉱石から抽出したもの〜
05 〜金属加工に関連する言葉やことわざ〜
06 〜身近な鋳物 マンホールの蓋〜
07 〜注目が集まる 銅の抗菌・抗ウイルス特性〜
08 〜アルミニウムは「電気の缶詰」〜
09 〜ふいご〜
10 〜ステンレス鋼は、なぜ被削性が劣るの?〜
11 〜工作機械の受注動向は経済の先行指標〜
12 〜伝統工芸技術を活かしたキャラクター銅像〜
13 〜鋳物用合金と展伸用合金〜
14 〜圧延加工された身近な金属製品〜
15 〜実は亜鉛合金〜

はじめに

人類が初めて手にした金属は、金や銅と言われており、その時期はおおよそ紀元前7,000年から8,000年頃と推定されています。当時、人類が手にした金や銅は、自然金属と言われる天然に産出される金属であるため、その形状は不定形でした。当時、その不定形な金や銅を叩いたり、削ったりして目的とする形状へと形作ったと言われています。その後、鋳造や塑性加工、接合など、現代で行われている金属加工へと進化させていきました。そのため現代における金属加工の基礎は、当時、確立されたとも言われています。
本書では、歴史のある金属加工について全8章で解説し、金属に関するトピックスをコラムとして紹介しました。各章の内容は、第1章では金属材料と金属加工の概論、第2章では金属材料の素材をつくる1次加工、第3章では素材に形状を付与して金属製品へと仕上げる金属加工、第4章では素材に機能を付与して金属製品へと仕上げる金属加工、第5章では金属加工を実現させる金型、第6章では金属加工を実現させる設備、第7章では金属加工を下支えする測定・評価技術、第8章では金属加工のこれから、となっています。特に、第8章では今後期待される3Dプリンティングに代表される金属積層造形やIoT技術、環境対応についても言及しました。
本書は、メーカーに勤務する金属材料および金属加工を担当する技術者が、開発・物づくりの実経験を活かして金属加工に関して平易にわかりやすく解説しました。具体的には、従来までの金属加工に関する書籍の内容に留まらず、表面処理や金型、金属加工設備、測定・評価技術など幅広く網羅した内容としました。また、産業への応用という観点から、金属加工法同士の比較や、金属加工に欠かせない金属材料の特性との紐づけを行うように努めました。さらには、各分野の歴史、市場規模についても数値で示しました。
本書の対象読者は、初めて金属加工について学ぼうとしている方であり、具体的には、高校生や高等専門学校生、大学生、金属を取り扱う素材・加工メーカーの技術者や商社担当者、さらには、金属をはじめとする材料科学に興味を持たれている一般の方です。
最後に、本書の発刊にあたり、日刊工業新聞社の木村氏および土坂氏にはお世話になりました。この場をお借りして深く感謝申し上げます。

2021年6月
吉村泰治

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