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きちんと知りたい!
モータの原理としくみの基礎知識

定価(税込)  2,420円

著者
サイズ A5判
ページ数 184頁
ISBNコード 978-4-526-08157-6
コード C3053
発行月 2021年09月
ジャンル 機械

内容

図面とイラストでメカニズムのしくみを紹介する「きちんと知りたい!」シリーズの新しい1冊。電子機器、自動車などを中心に、あらゆる機器に使われているモータについて紹介。「図・イラストによる丁寧なメカニズム解説」というコンセプトの下、モータを理解するための予備知識、各種モータの構造・特徴・用途までをやさしく解説する。

白石 拓  著者プロフィール

(しらいし たく)
本名、佐藤拓。1959年、愛媛県生まれ。京都大学工学部卒。サイエンスライター、作家。弘前大学ラボバス事業(文科省後援)に参加、「弘前大学教育力向上プロジェクト講師(2009.15年)。遺伝子から宇宙論まで幅広い科学分野の執筆に従事。週末は新極真会東京ベイ小井道場で汗を流す。

【主な著書】
・『医師の正義』(2008年宝島社刊)
・『ノーベル賞理論! 図解「素粒子」入門』(2008年宝島社刊)
・『ここまでわかった「科学のふしぎ」』(2010年講談社刊)
・『透明人間になる方法 スーパーテクノロジーに挑む』(2012年PHP研究所刊)
・『太陽と太陽系の謎』(2013年宝島社刊)
・『地球46億年目の発見』(2014年宝島社刊)
・『異常気象の疑問を解く』(2015年廣済堂出版刊)
・『「ひと粒五万円!」世界一のイチゴの秘密』(2017年祥伝社刊)
・『きちんと使いこなす!「単位」のしくみと基礎知識』(2019年日刊工業新聞社刊)
・『最新 二次電池が一番わかる』(2020年技術評論社刊)
なお、2019年に刊行した単位の本は、単位の換算に焦点を当てた他に類書がない内容で、好評発売中です。

目次

はじめに

第1章 モータはなぜ回るのか?
●電磁モータとは?
1-1 エンジンもモータ?
1-2 電磁モータの歴史
●電流と磁気の関係
1-3 電流の磁気作用
1-4 磁力はなぜ生じるか
1-5 物質の磁性
1-6 電気と磁気は同じもの
1-7 電磁石の発明と電磁作用ではたらくアンペール力
1-8 ファラデーモータとアラゴの円板
●電磁誘導のしくみ
1-9 電磁誘導はなぜ起こるのか
1-10 ローレンツ力とフレミングの法則

COLUMN 1 日本人が発明した世界最強のネオジム磁石

第2章 電磁モータの構造と性能
●電磁モータの構造
2-1 電磁モータの基本構造
2-2 20分で手作りできる超簡単モータ
●電磁モータの性能
2-3 電磁モータの性能(1) 回転数、トルク
2-4 電磁モータの性能(2) 出力と入力、損失、効率
2-5 電磁モータの性能(3) 機械的時定数
2-6 電磁モータの性能(4) 電気的時定数とインダクタンス
2-7 電磁モータの性能(5) モータの設計と定格
●逆起電力とモータの損失
2-8 逆起電力
2-9 ヒステリシス損失と渦電流損失

COLUMN 2 宇宙エレベータで活躍するモータ

第3章 電磁モータの運転と保護
●モータの選定と負荷特性
3-1 モータの選定手順
3-2 負荷の特性
●電磁モータの減速機構
3-3 ギヤとプーリの減速機構
3-4 ギヤを用いたモータの減速機構
3-5 ギヤを使わないダイレクトドライブ
●モータの制動
3-6 モータの制動(1) 電気的制動法
3-7 モータの制動(2) 機械的制動法
●モータの保護
3-8 モータの保護(1) 過負荷と過電流保護
3-9 モータの保護(2) 過熱保護
●モータの振動と騒音
3-10 モータに発生する振動・騒音の原因

COLUMN 3 ガソリン車か電気自動車か、120年前のドライバーも悩んだ

第4章 DC(直流)モータの種類としくみ
●DCモータの種類
4-1 DCモータの分類
●永久磁石界磁形モータ
4-2 永久磁石界磁形モータ(1) 形状と構造
4-3 永久磁石界磁形モータ(2) スロット形モータ
4-4 永久磁石界磁形モータ(3) スロットレスモータ
4-5 永久磁石界磁形モータ(4) コアレスモータ
4-6 永久磁石界磁形モータ(5) ラジアル形とアキシャル形
●巻線界磁形DCモータ
4-7 巻線界磁形DCモータ(1) 原理と特徴
4-8 巻線界磁形DCモータ(2) 分巻モータ
4-9 巻線界磁形DCモータ(3) 直巻モータと複巻モータ
4-10 巻線界磁形DCモータ(4) 他励モータ
●DCモータの制御
4-11 DCモータの制御(1) 制御法の分類
4-12 DCモータの制御(2) 回転速度・トルクの制御

COLUMN 4 直流か、交流か、エジソンとテスラの電流戦争

第5章 スイッチング制御で作動するモータ
●ブラシレスDCモータ
5-1 ブラシレスDCモータ(1) 基本構造と種類
5-2 ブラシレスDCモータ(2) 回転磁界と制御回路
5-3 ブラシレスDCモータ(3) 駆動原理
5-4 ブラシレスDCモータ(4) 巻線とセンサ
●ステッピングモータ
5-5 ステッピングモータ(1) 回転原理
5-6 ステッピングモータ(2) 構造による分類と特徴
5-7 ステッピングモータ(3) 駆動法による分類と特徴
5-8 スイッチトリラクタンスモータ(SRモータ)

COLUMN 5 日本列島を2分する50Hz-60Hz問題

第6章 AC(交流)モータの種類としくみ
●ACモータの分類方法
6-1 ACモータの分類
●同期モータ
6-2 同期モータ(1) 回転原理と始動法
6-3 同期モータ(2) 種類と特徴①
6-4 同期モータ(3) 種類と特徴②
6-5 同期モータ(4) 電機子反作用とV曲線特性
●誘導モータ
6-6 誘導モータ(1) 構造と回転原理
6-7 誘導モータ(2) すべりとトルク特性
●三相誘導モータ
6-8 三相誘導モータ(1) かご形と巻線形
6-9 三相誘導モータ(2) 突入電流と巻線形の始動法
6-10 三相誘導モータ(3) かご形の始動法と特殊かご形
●単相誘導モータ
6-11 単相誘導モータ(1) 交番磁界と回転原理
6-12 単相誘導モータ(2) 構造の特徴、種類①分相始動形
6-13 単相誘導モータ(3) 種類②コンデンサモータ
6-14 単相誘導モータ(4) 種類③くま取りコイル形、反発始動形
●交流整流子モータ
6-15 交流整流子モータ
●ACモータの制御
6-16 サーボモータ
6-17 ACスピードコントロールモータ
●トップランナー制度
6-18 トップランナー制度とトップランナーモータ

COLUMN 6 潜水艦の最大の武器とモータ

第7章 産業用特殊モータとこれからのモータ
●産業用特殊モータ
7-1 リニアモータ
7-2 スキャナモータ/ボイスコイルモータ
7-3 スピンドルモータ/中空モータ
7-4 超音波モータ
7-5 油圧モータ/空圧モータ
●これからのモータ
7-6 静電モータ/静電形光モータ
7-7 分子モータ(1) 細菌のべん毛モータ
7-8 分子モータ(2) 真核生物の分子モータ

COLUMN 7 超電導体のマイスナー効果とピン止め効果

索引
参考文献

はじめに

小学生のとき、モータは恰好の遊び道具でした。船のプラモデルを作っては、付属のモータを取り付けて池に浮かべ走らせました。戦車も自動車も走らせて悦に入っていました。50年以上前のことですが、電池とモータで飛ぶヘリコプターは(たぶん)なかったので、自作して飛ばすことに挑戦もしました。機体をできるだけ軽くするためにバルサ(サッカーのFCバルセロナではない)と呼ばれる軽くて柔らかな木材で作り、プロペラを取り付けました。しかし、単3電池が重すぎるのか、ヘリコプターはピョコピョコ跳ねるだけで飛ぶことはありませんでした。
中身はどうなっているだろうと、モータを分解したこともあり、巻かれているエナメル線がとても長いことに驚いたり、磁石を取り出して得した気分になったりした記憶があります。こうした遊びがものづくりへの興味を膨らませたと思います。しかし、小学生の私は、モータが回るしくみを調べたり、モータを作ってみようとすることはなく、遊びは遊びで終わってしまいました。歴史に名前を残す偉い科学者・技術者たちはきっと図書館に通ってモータについて深く調べたり、モータを手作りしたりするような子どもだったのでしょう。

●裏ではモータが動いている
50年前にすでにそうだったのかもしれませんが、モータは世の中を埋めつくし、社会になくてはならないものになっています。身の回りでどこかしら動いている電気製品にはすべてモータが入っています。この原稿を書いている深夜の今、冷蔵庫が急にブーンという音でうなり始めましたが、コンプレッサーが動き出したからであり、冷蔵庫のように見た目は動かないものでも実は内部でモータが動いているのです。
本文でも触れましたが、世界で消費されている電力のうち、驚くべきことに4.5割はモータに使われています。電灯ではなく、モータなのです。モータこそが産業界を、ひいては文明社会を牽引しているのです。
政府が主導してモータの省エネ化を進めていますが、それもわかりますね。1台のモータのエネルギー効率をほんのわずかでも高めることができれば、世界中でとてつもない量のエネルギーを節約でき、地球環境に計り知れないプラスの影響を与えることは間違いありません。

●楽しみながら味わうモータの世界
モータが誕生しておよそ200年が経ち、その間に新しいしくみの製品が次々に開発されてきました。いまやモータの種類も膨大になり、どのようなモータがどこで使われているのか、整理するのもひと苦労な状況です。
そこで本書では、モータをイチから学びたい読者に、モータの種類をわかりやすく提示し、それぞれのモータについて構造と特徴、回転原理などを丁寧に説明しています。それと同時に、そもそもなぜモータが回るのか、モータ誕生の歴史を追いながら、物理学の基礎を図解しています。
モータは回転するだけではありません。直線的に運動するモータもあり、JRの超電導で磁気浮上するリニアモーターカーも開業間近です。また、モータには電気以外で作動するものもあり、本書ではそのような特殊なモータについてももらさず解説しています。さらに、実用化はまだ先ですが、近い将来ナノメートルサイズの極小モータを実現するために研究が進んでいる、生物が持つ分子モータについても紹介しています。
本書はモータの基礎を学ぶためのものですが、モータの上っ面をなでただけの本では決してありません。基礎知識がしっかり得られ、疑問が解決され、次なる勉強に確実につながる内容になっていると自負しています。読者の皆様には楽しみながらモータの世界を味わっていただけることを信じています。

2021年9月吉日  白石 拓

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