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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい電気自動車の本
第3版

定価(税込)  1,650円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-08155-2
コード C3034
発行月 2021年08月
ジャンル ビジネス 電気・電子 機械

内容

持続可能な社会の機運が高まるなか、自動車産業では電気自動車に注目が集まっている。2016年に発行された書籍を元に、開発が進む車載電池や自動車の新しい位置づけであるCASEなど、最新の状況が分かる改訂版。

廣田幸嗣  著者プロフィール

(ひろた ゆきつぐ)
1946年生まれ。1971年、東京大学工学系研究科電子工学修士課程修了。同年、日産自動車入社。同社総合研究所でEMC、ミリ波レーダ、半導体デバイスなどの研究開発に従事。この間、商品開発本部ニューヨーク事務所に3年間駐在。2015年3月まで、日産自動車で技術顧問、カルソニックカンセイでテクノロジオフィサ、放送大学非常勤講師。

人工知能学会理事、技能五輪シドニー大会電子組立エキスパート、東大大学院非常勤講師などを歴任。

●主な著書
「電気自動車の制御システム」 (共著、東京電機大学出版局)
「電気自動車工学」 (共著、森北出版)
「パワーエレクトロニクス回路工学」 (共著、森北出版)
「バッテリマネジメント工学」 (共著、東京電機大学出版局)
「ワイヤレス給電技術入門」(共著、日刊工業新聞社)

目次

【第1章】電気自動車はこのように進化した
1 いま電気自動車が注目されるわけ「クルマのCO2排出問題を解決する希望の星」
2 エコカーのCO2排出量の比較「再生可能エネルギー時代の究極のエコカーは電気自動車」
3 自動車産業夜明け期の電気屋さん「フォード、ロイス、ポルシェは電気屋から自動車屋に転身」
4 自動車と電気技術の関わりの歴史「過去百年の進歩の蓄積の上に立つ電気自動車」
5 電気自動車を再浮上させた技術革新「パワーエレクトロニクス技術と電池の進歩が実用化の両輪」
6 陸海空の電動ビークルファミリー「飛行機から潜水艦まで電池で動く時代が来た」
7 電気自動車の基本的な仕組み「サラブレッド(純血)EVの基本構造は極めてシンプルだ」
8 完全電動化でクルマの構造と機能が変わる「エンジンとトランスミッションがないとクルマの設計思想が大きく変わる」
9 電動化でクルマの産業構造が激変する 「いまの自動車産業の構造はEVの普及で徐々に変わる」
10 なぜ電気自動車はいますぐに普及しないか?「中身の電気代に比べて入れ物の電池が3桁以上も高いのがネック」
11 EV普及と電力インフラ整備は同時進行する「充電、水素ステーションの整備とエネルギー部門のクリーン化が進む」
12 走行に必要なエネルギーはどのくらいか「限られた電池のエネルギーで長距離を走行するには」
13 電気自動車の本格普及への道「電池の進化や各国の環境対策、充電インフラ整備で本格普及へ」

【第2章】電気自動車とその仲間たち
14 モータはクルマの動力源として最適「エンジンと比べるとモータは効率とレスポンスと始動性に優れる」
15 電気自動車のパワートレイン「4つのモータの動力配分で安定かつ俊敏な動きが可能に」
16 電気自動車の走りを制御する「駆動力だけでなくブレーキ力もモータで高速に制御できる」
17 回生ブレーキでエネルギー効率アップ「エンジンに絶対できない走行エネルギーの回収」
18 ハイブリッド車の基本構造「エンジンとモータのハイブリッド(混血)で良いところどりをする」
19 エンジンとモータの効率の違い「自動車でよく使う部分負荷での効率がガソリンエンジンは悪い」
20 ハイブリッド車は二刀流の達人「走行状況に合わせてエンジンとモータの出力配分を変える」
21 ハイブリッド車はなぜ燃費が良いのか「熱効率が高い領域でのみエンジンを動かすのがミソ」
22 ハイブリッド車の充放電のやり方「電池の蓄電エネルギーをどう上げ下げしたらよいか」
23 充電できるプラグインハイブリッド車「行けるところまでEVで走行し電池が切れたらHVへ切り替え」
24 エンジン発電機のついた電気自動車「給油インフラを使って走れる電気自動車」
25 燃料電池車のからくり「水素と空気を化学反応させる電池は航続距離を長くできる」

【第3章】エネルギー源となる電池
26 電気エネルギーの貯蔵法「電気インフラから移動機器まで」
27 私たちの生活を変えてきた電池「懐中電灯からウォークマン、携帯電話、ノートパソコンまで」
28 たくさんある化学電池の仲間たち「化学電池の正極と負極の材料の組み合わせはたくさんある」
29 電池の働きをエンジンと比較する「エンジンと、一次電池や二次電池の本質的な違いは何か」
30 化学電池の基本原理は酸化還元反応「正負の電極で酸化反応と還元反応を別々に行い電気を取り出す」
31 鉛蓄電池は二次電池の最古参「いまも自動車に使われている鉛蓄電池の動作原理を学ぶ」
32 いま主流のリチウムイオン二次電池「たくさん電気を貯められる二次電池の現役チャンピオン」
33 水素と酸素から電気と水を作る燃料電池「水の電気分解と逆の反応によって電気を作る」
34 実用化が期待される次世代電池「リチウムの代わりにアルミや、正負極のエネルギー密度を上げるなど」
35 電気自動車のバッテリ構成「電池の種類や組み合わせはいろいろ考えられる」 82
36 二次電池内部の状態を何で表すか「代表的なパラメータは充電率、劣化度、充放電許容電力」
37 二次電池の充電のしかた「過度な急速充電をすると電池が発熱し寿命を縮める」
38 バッテリコントローラの役割「電池から最大のパワーを出しかつ長寿に保つ仕掛けとは」
39 二次電池の寿命を決めるもの「劣化は置かれた環境や使い方で大きく変わる」
40 電圧を自在に作り出すコンバータ「電池とモータなどの負荷との電圧ギャップを埋めるポンプの働き」

【第4章】電気をどのように自動車へ届けるのか
41 電気エネルギーや水素燃料は何から作るのか「発生源までたどるとEVやFCVはゼロエミッションではない」
42 いろいろなエネルギーインフラの姿「私たちの生活と産業を支える縁の下の力持ち」
43 電気のある生活と電力インフラ 「全国津々浦々を網羅する電力供給システム」
44 発電方式によるCO2排出量の違い「自然エネルギーを利用するのが21世紀の課題」
45 エコで期待される小口分散発電「風力発電や太陽発電の普及が期待される」
46 先端技術で電力インフラが変わる「ワットとビットを融合させたスマートグリッド(賢い電力網)」
47 電気自動車の充電方式のいろいろ「プラグイン充電から非接触充電まで」
48 普通充電器と急速充電器の仕組み「雨天時に操作しても感電しない高電圧・大電力の充電器」
49 再生可能エネルギー社会の姿「「電気社会」はこれからも続くが地産地消と蓄電が重要に」

【第5章】駆動力を生み出すモータ
50 電動モータの働きを理解する「電流を切り替えたり界磁コイルに交流を流したりしてロータを回転させる」
51 トルクと起電力の発生原理「永久磁石DCモータの基本構造と働きがすべてのモータの基礎」
52 産業用の三相モータ「120度位相が異なる三つの電流で回転磁界を作る」
53 電気自動車に使われるモータ「効率や重量、可変速制御のやり易さなどがモータ選択のポイント」
54 非同期モータの代表は誘導モータ「新幹線で使われている誘導モータは電気自動車でも使われている」
55 エコ分野で定番の永久磁石同期モータ「埋込磁石同期モータは磁石力とリラクタンス力の両刀使い」
56 磁石が要らないリラクタンスモータ「磁石が不要で丈夫で長持ち、高速回転できるのも強み」
57 交流モータの可変速制御「ベクトル制御を使うと直流モータのようにトルクを電流で自在に操れる」

【第6章】パワーコントロールユニット PCU
58 インバータ回路はPCUの中核「モータの駆動に必要な交流電流を自在に作りだす装置」
59 スイッチングによって電圧を変える「パルス幅を変調して平均的な電圧を自由にコントロールする」
60 インバータの主役はパワートランジスタ「絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)はMOSとバイポーラの混血」
61 部品を集積したパワーモジュール「トランジスタとダイオードと回路を一体にして使い易くする」
62 高電力高密度実装の課題「部品を高密度で実装すると熱やノイズの干渉が大きくなる」
63 電子部品が壊れないようにするには「電子部品に無理をさせると突然壊れたり疲労破壊を起こしたりする」
64 やっかいな熱を排除する冷却システム「モータや電池、インバータを適温に保持する重要な裏方」

【第7章】電気自動車の将来像を展望する
65 知能を持った自在ロボットになる電気自動車「電動化と知能化を両輪にしてクルマは進化する」
66 CASE構想の中核としての電気自動車「情報通信、自動運転、サービスを支えるEVの豊富な搭載電力」
67 日本に期待される新しい価値の創造「自由な発想とオープンな開発環境が豊潤な未来社会を創造する」



【コラム】
●1kWhのエネルギーとは
●EVのプラトーン(群)走行
●「ケメトロニクス」の勧め
●電気の運び手は電子か
●フレミングの右手と左手は左右対称形
●新幹線のパワーエレクトロニクス
●レーダ開発競争の失敗に学ぶ

参考文献
索引

はじめに

地球温暖化対策として、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)などのいわゆるエコカーが世界的に注目されています。これに関連するモノのインターネット(IoT)、エネルギーインターネット(IoE)、Smart Cityなどの用語がメディアに頻出していますが、これらがどう関係し進化してゆくのか、将来のエネルギー社会はどうなるのかについては必ずしも明らかにされていません。
ハイブリッド車(HV)はエンジンとモータを搭載した複雑なメカニズムで構成されています。走行中はエンジンとモータ間で駆動力の配分、減速時には摩擦ブレーキと回生ブレーキ(発電による制動)間で制動力の配分を細かく制御する必要があります。燃費を上げるためにはモータによる駆動と発電を、電池の充電と放電を状況に応じてこまめに制御する必要があります。HVはエンジン車が100年かけてたどり着いた究極の姿とも言えます。
EVはエンジンやトランスミッションが不要です。吸気系や排気系、排気対策部品も不要です。電線をつなげばモータは動きます。これまでエンジンとトランスミッションによりクルマの「姿かたち」と「走りの機能」が制約を受けていました。モータは自由にレイアウトできるのでエンジンルームをなくすこともできます。モータはエンジンより2桁もレスポンスが良いのでエンジンができなかったいろいろな走りの機能を追加できます。こうしてEVはこれまでの自動車の常識を変えるでしょう。エンジン部品が無くなりますから既存の自動車部品産業は大きなインパクトを受けるでしょう。
本書は未来のモビリティに関連する技術を、電気自動車を中心に解説します。特にモータや電池、電力インフラの特徴や開発の流れを示し、CASE(Connected:つながる車、Autonomos:自動化、Service & Shared:所有から利用、Electric:電動化)への流れを展望しようとするものです。
第1章はエコカーの中でEVがいま注目されている歴史的、社会的、技術的な背景とEVの本格普及への課題について述べています。
第2章ではEVとHV、FCVのからくりを解説します。
第3章では電池とその充放電の制御や電力変換について詳しく見てゆきます。
第4章ではEVやFCVに欠かせないエネルギーインフラについて説明します。
第5章ではEVやHV、FCVで使われるモータについてその基本原理と実際に使われるモータおよびその可変速制御について説明します。
第6章ではモータを動かすパワーコントロールユニット(PCU)のインバータ回路、パワーモジュールおよびPCUの高密度実装技術とその課題について解説します。
第7章では第6章までの各論を踏まえ、CASE技術がつくる未来社会に想いをめぐらせます。
2016年の第2版以降の、電気自動車をめぐる多くの進展を踏まえ加筆修正いたしました。多少の誤りや行き過ぎはご寛容いただくとともに、諸賢よりのご指摘、ご叱正を賜れば幸いです。
最後に第3版の出版に当たり、日刊工業新聞社の岡野晋弥さんには貴重なアドバイスをいただきました。ここに厚く御礼申し上げます。

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