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ちっちゃな「不」の解消から始めるカイゼン活動
短期間で成果を出して勝ちグセをつける!

定価(税込)  2,420円

著者
サイズ A5判
ページ数 208頁
ISBNコード 978-4-526-08152-1
コード C3034
発行月 2021年09月
ジャンル 生産管理

内容

身の回りの些細な不満や不具合を徹底的に洗い、解消することからカイゼン活動に弾みをつける策を伝授する。小さな成功体験の積み重ねが知らず知らずにノリを生み、自発的に活動が続くようになるメカニズムを図解とともに詳述。トップと現場の狭間で悩めるリーダーを救う書とする。


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小野 司  著者プロフィール

(おの つかさ)
株式会社リーガルマネジメント 代表取締役
中小企業診断士、技術士(経営工学)、司法書士

1991年東北大学大学院工学研究科機械工学専攻を修了後、富士写真フイルム(現・富士フイルム)株式会社に入社。研究開発部門にてプロジェクトマネジメント業務、風土改革業務、戦略立案業務などに携わる。2011年経営コンサルタントとして独立。(独法)中小企業基盤整備機構の経営支援アドバイザー、商工会・商工会議所など中小企業支援の専門家など多数の公的役職に就任している。

ワイガヤ手法などを用い、現場力アップと経営力アップを融合させた独自のカイゼン活動を展開する。製造業にとどまらず、業務改革を必要とする企業全般の支援に乗り出す。最近はこれらの手法を応用し、事業計画策定支援、補助金申請支援、事業承継支援などカイゼンを超えた分野に適用し、手法を進化させている。

目次

まえがき

第1章 なぜ、ちっちゃな「不」の解消が
カイゼンにつながるのか
自分たちのために、自分でスキルアップできる方法
1-1 カイゼン活動にはエネルギーがいる
1-2 現場の欲求を見えるようにする
1-3 ちっちゃな「不」の吐き出しからエネルギーを生み出す
1-4 カイゼン活動のエネルギーを大きくする
1-5 カイゼン活動のエネルギーを持続させる
1-6 リーダー自身のためにカイゼン活動をする
カイゼンリーダーはワイガヤから元気をもらう

第2章 カイゼンのエネルギーを
減少させること
良かれと思ってやっていること
2-1 トップダウンで課題を設定する
2-2 大きなステップで取り組む
2-3 エースの力を最大限活用する
2-4 人を変えようとする
伝家の宝刀は、いざという時のためにとっておく

第3章 「不」を吐き出す
カイゼン活動のエネルギー源を探す
3-1 「不」の吐き出しをすると後ろ向きになる?
3-2 「不」を吐き出すと現場は混乱・困惑する?
3-3 現場の「不」は、わかっているので吐き出しはいらない?
3-4 自分たちの「不」を吐き出す
3-5 他の「不」を吐き出す
3-6 「不」の吐き出しは、個別に行ってからチームで共有する
3-7 「不」の吐き出しにはワイガヤ手法を用いる
繁忙期でも安全で安心な場

第4章 ワイガヤルールで
カイゼン活動の場をつくる
自由で創造的なエネルギーとは
4-1 安全で安心な場をつくる
4-2 平等な場をつくる
4-3 自分の頭で考える場をつくる
4-4 視野を広げ、自由に発言できる場をつくる
4-5 ワイガヤの場を日常にする
4-6 上司への「不」がないのはいいことか?
4-7 「不」の吐き出しに対する暗黙のプレッシャーはあるか?
返報性の原理を意識してカイゼン活動を全員に広げる

第5章 現場の興味を引き出し、
課題を設定する
カイゼン活動のエネルギーを生み出す
5-1 現場の興味を引き出し、課題設定するためのステップ
5-2 「不」の吐き出しのメンバーは立候補で決める
5-3 「不」を吐き出しやすいチームをつくる
5-4 ワイガヤの準備をする
5-5 個々の「不」を吐き出す
5-6 チームで「不」を共有する
5-7 「不」を整理して、さらに深掘りする
5-8 「不」の解消のためにできることを挙げる
「不」の吐き出しでいつも感じる“表現の自由”

第6章 最初の成功体験をつくる
カイゼン活動のエネルギーを大きくする
6-1 カイゼン活動はベビーステップで始める
6-2 ボトルネック解消に結びつく「不」を探し出す
6-3 「不」を分析する
6-4 経営トップを巻き込む
6-5 カイゼン活動のチームをつくる
6-6 最初のカイゼン課題は身近なものにする
6-7 経営者や上司もカイゼン活動に取り組む
6-8 最初の勝ちグセをつくる
カイゼン活動はカイゼンリーダーを映す鏡

第7章 勝ちグセをつけ、活動を
継続できる仕組みをつくる
カイゼン活動のエネルギーを持続させる
7-1 理想は変化やチャレンジを面白いと感じられること
7-2 振り返りで勝ちグセをつくり上げる
7-3 見える化して勝ちグセをつける
7-4 生産管理の手法を使って勝ちグセをつける
7-5 カイゼンの風土をつくる

参考文献
あとがき
索引

はじめに

会社員時代、社内では多くの部署でカイゼン活動に取り組んでいました。私の最初の配属は研究開発部門でした。そこでも精力的に着手していました。当初は、現場でカイゼン活動を“する”立場でした。私は、“カイゼン”そのものは好きでしたが、カイゼン“活動”は苦手でした。学校時代の夏休みの宿題のイメージに似ていたからです。
当時のカイゼン活動のイメージは、リーダーがメンバーのお尻を叩きながら、トップダウンで進めていくものでした。そして、外部コンサルタントらが用意したフレームワークを埋めていくものが多かったです。私は、上司の求めるものを考え、その答えを見つけようとしていました。上司に認められるため、上司に叱られないために活動をしていた時期もあります。また、期末には成果報告があるため、それに間に合わせようとしていました。期末は、夏休み終盤の追い込みのようでした。
しかし、カイゼン活動の推進部署に所属する同期社員に出会ってから、考えが変わりました。その同期に、「なぜカイゼン活動するの? その目的は何?」「それは、意味のあることなの?」「意味がないと思うのならばやめたら?」と言われました。さらに「自分の頭で考えたのであれば、それが合っていようといまいと、それでいいと思う。もっと自分を信じて」「自由に考えてもいいよ」とも言われたのでした。
それから、自分の頭で考え、自分の言葉で発言するようになりました。視点が外れたり不勉強もあったりして、恥ずかしい思いやお叱りを受けたこともたくさんありました。それでも、自分の頭で考えて続けていると、カイゼン活動にやらされ感はなくなっていきました。自分の足で歩いていると感じられるようになったわけです。
さらに、遊び感覚が生まれてきました。というより、いたずらっ子に似た感覚でしょうか。「こんなことやったらびっくりされそう」「こんなことを提案したら“ふざけるな”と言われそうだけど面白そう」という感覚でした。叱られるのがわかっていてもやってみたい、という子供時代のいたずらっ子に似た感覚です。
いたずらっ子になっている自分は、独創的でチャレンジングでした。次々と考えが浮かんできます。すぐに試したくなりました。
自分の頭で考え、自分で行動するようになった時期は、改革活動に取り組んでいる人が多数参加する社外の研究会に出たり、技術士(経営工学)や中小企業診断士の資格試験の勉強を始めたりした頃でもありました。多くの人と交流し、専門知識が増えてくると自主性や創造性も高まってきました。その後、社内異動があり、カイゼン活動を推進する職場に異動になりました。そして、組織風土カイゼンのリーダーを務めることになるのです。
その頃も、カイゼン活動について現場には、やらされ感がありました。社内社外を問わずコンサルから逃げる人も多くいました。カイゼン活動をする時間があれば、日常業務に専念したいという人が多かったのです。
私は、それを変えたいと思いました。カイゼン活動はトップの号令で始まっても、自分たちのために、自分がスキルアップするために活動するという想いで取り組んでほしいと考えました。
もちろん、カイゼン活動は、自分たちのためだけではなく、会社のための活動です。そのため、問題発掘は“自分たちのため”という立ち位置から考えますが、カイゼン課題は会社のためでもあるものに設定しました。現場は、自分のためと思えたとき、自由に、創造的に考え始めます。そして、自走し、自立していくからです。過去の自分の経験を活かしました。

そして生まれたのが、ワイガヤによるカイゼン手法です。もともとは、外部のコンサルタントが編み出したフレームがありました。ただし、課題設定まで1年間をかけるという本格的なものでした。その頃はリーマンショック直後で、スピード感を持った活動を求められていました。そのため、ときには外部コンサルと主張をぶつけ合いながら検討を重ねました。そして大胆な変更を加え、3カ月で取り組めるプランを組んでもらったのです。多少不完全な現状分析や課題設定であっても早く行動し、結果を出すことが狙いでした。
その後、私は士業の専門家として独立し、中小企業でカイゼン活動を指導する立場になります。中小企業の現場に入ると、カイゼン活動をする時間がないことを改めて痛感しました。そのため、3日間で課題設定するプランを考えたのです。しかし、中小企業の社長に提案すると、3日間も現場を止めるなどとんでもない、という回答が飛んできました。カイゼン活動を数時間しただけで、その間は製造が止まる、あるいは生産性が半分以下になるというところもあったのです。また、現場でも拘束時間が長いことを嫌う人がいました。
そのため、さらに変更を加えました。そして3時間程度で、現場で粗く課題設定する方法に至ったのです。現場の人にとっても、飲み会1回分の時間であるため反応はいいものでした。

この時期に本書のメインテーマである、ちっちゃな「不」の解消によるカイゼンの手法が出来上がってきました。なお「不」とは、不便、不自由、不足、不安、不平など「不」のつくものです。
基本的な考え方は以下の3つです。
1.カイゼン活動に対する現場メンバーの興味を引き出す
2.身近な「不」の解消から取り組み、最初の成功体験をつくる
3.勝ちグセをつけ、活動を継続できる仕組みをつくる
最初に、現場にカイゼンをやってみたいという興味を引き出します。その1つが、個別に行う「不」の吐き出しです。このとき、「不」を解消できるかもしれないという興味や好奇心が生まれます。これが、カイゼン活動への最初の意識づけになります。
また、カイゼン活動では最初の一歩がとても重要です。最初は、小さなものでもいいので、成功体験をつくります。人は成功すると、達成感や充実感などが生まれます。また、ちっちゃな「不」でも解消されれば、心の安らぎが生まれることもあるでしょう。さらに、メンバーみんなで知恵を出し合い、支援し合えれば、仲間とのつながりも生まれます。小さな成功体験でも、仲間と噛みしめることで達成感や充実感が深まります。カイゼンリーダーは、その噛みしめる場をつくり出していくのです。
そして、「不」の解消を積み上げる中で、また達成感や充実感を得たい、心の安らぎや仲間とのつながりを深めたいという気持ちを育てていきます。これらは、主にワイガヤの“振り返り”の場で行います。振り返りは原則、ポジティブフィードバックで実施します。また、人の強みや才能は、自分では見つけにくいものです。自分が苦労せず、普通にできるところに強みや才能があるからです。振り返りでは、それを掘り下げます。これを通じて、ちっちゃな「不」の解消による達成感や充実感を噛みしめていきます。また、仲間とポジティブフィードバックをし合うことで、小さな安らぎや他者とのつながりを深めます。
これが、“勝ちグセ”につながります。“勝ち”とは過去の自分に勝つこと、“グセ”は繰り返すことです。“勝ちグセ”とは、この小さな成功体験を積み上げ続けることです。

本書のワイガヤでは、一定のルールを設けています。目的は、カイゼン活動に安全で安心と思える場をつくり出すためです。そして、メンバーが自立し、創造的に動けるようにします。さらに振り返りにより、これらの場が成熟していきます。そして、ちっちゃな「不」の解消をしていくと、大きな課題を達成していた、というようになっていきます。
メンバーが自立して、創造的に動くようになると、カイゼンリーダーもメンバーから元気をもらうようになります。同時に、カイゼンリーダー自身の「不」も解消されます。私は、多くのカイゼン活動を通じて、現場の方々からたくさんのエネルギーをいただいてきました。そして、カイゼン活動に“はまって”いきました。カイゼンリーダーにも、同じように“はまって”ほしいと考えています。

今、新たな変革の時期を迎えています。このようなときこそ、経営者やリーダーは、現場の人たちの「不」を解消したいという気持ちと向き合ってみてください。そして、その気持ちをカイゼン活動に活かしてください。本書を手にとっていただいた方々、みなさまの成功を祈念いたします。

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