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グローバル図面(新ISO準拠)って、どない描くねん!
幾何公差で暗黙の設計意図を見える化する

定価(税込)  2,420円

著者
サイズ A5判
ページ数 252頁
ISBNコード 978-4-526-08143-9
コード C3053
発行月 2021年05月
ジャンル 機械

内容

大好評!「図面って」シリーズ最新刊。国際的な規格(ISO)に準拠した新しい製図の在り方と描き方をやさしく紹介する。2011年・2017年にISOが改訂されたが、現時点のJIS規格にはその情報は未だ反映されていない。本書では、製図(図面の描き方)として、国際的に評価される新しい図面(グローバル図面)の描き方を新ISOに則って丁寧に解説する。

山田 学  著者プロフィール

(やまだ まなぶ)
S38年生まれ、兵庫県出身。 ラブノ−ツ 代表取締役。
著書として、『図面って、どない描くねん! 第2版』、『図面って、どない描くねん! LEVEL2 第2版』、『図面って、どない読むねん! LEVEL00 第2版』『設計の英語って、どない使うねん!』、『めっちゃ使える! 機械便利帳』、『図解力・製図力 おちゃのこさいさい』、『めっちゃ、メカメカ! リンク機構99→∞』、『メカ基礎バイブル〈読んで調べる!〉設計製図リストブック』、『図面って、どない描くねん! Plus+』、『めっちゃ、メカメカ!2 ばねの設計と計算の作法』、『めっちゃ、メカメカ! 基本要素形状の設計』、『設計センスを磨く空間認識力“モチアゲ”』、『図面って、どない描くねん!バイリンガル』、共著として『CADって、どない使うねん!』(山田学・一色桂 著)、『設計検討って、どないすんねん!』(山田学 編著)などがある。

目次

第1章 サイズ、サイズって、そんな気にせなあかんの!?
1-1 グローバル図面への転換
1-2 長さサイズの定義と指定条件
1-3 角度サイズの定義と指定条件
1-4 その他のサイズに関わる記号

第2章 データムに使う新しい記号って、 なんやねん!〜ISO 5459:2011準拠〜
2-1 データムに関連する用語と記号
2-2 データム記入のルール
2-3 データムのための特別な記号
2-4 共通データムとデータム系
2-5 データムターゲットのための特別な記号

第3章 あいまいさをなくす記号が追加されてん!(1)〜ISO 1101:2017、ISO 5458:2018準拠〜
3-1 幾何特性に関連する用語の整理
3-2 あいまいさをなくす記号一覧
3-3 幾何特性の指示と公差領域
3-4 様々な修飾記号の解釈と使い方
3-5 適用できる公差形体のまとめ

第4章 あいまいさをなくす記号が追加されてん!(2)〜ISO 1101:2017準拠〜
4-1 幾何特性に関連する用語の整理
4-2 オプション記号一覧
4-3 オプション記号の記入法と解釈
4-4 公差形体のフィルター記号

第5章 2次元図面と3DAモデルって、共存でけへんの!?
5-1 2次元図面の活用術

第6章 グローバル図面Before-After〜円筒形状の図面に魂(設計意図)を入れる〜
6-1 従来図面に魂(設計意図)を入れる

第7章 グローバル図面Before-After〜ブロック形状の図面に魂(設計意図)を入れる〜
7-1 従来図面に魂(設計意図)を入れる

第8章 グローバル図面Before-After〜板金/その他形状の図面に魂(設計意図)を入れる〜
8-1 板金図面に魂(設計意図)を入れる
8-2 その他形状の図面に魂(設計意図)を入れる


検査方法の指示までできてはじめて意図が伝わる

はじめに

グローバル図面が要求される背景

3次元CADを使って設計し、モデルデータがあればCAMによって加工ができる時代となった現在、図面の重要性への認識が薄れつつあります。ところが一方で、図面の品質が不十分なことに起因するトラブルの数は増えており、図面の品質を高めなければならないと感じる企業も増えています。そのため、設計製図を教える立場から、図面回帰の必要性を肌で感じています。
企業が作成し管理する図面において、従来の国内調達における問題点を列記します。
・長年の取引業者とのなれ合いで、図面に記載されない口約束の決まりごとが存在するため、図面と納品される部品とが合致しない。
・加工者の異動や退職によって、暗黙知が形式知になっておらず、次の加工者にノウハウが引き継がれず、同じものを納品できない。
・「反りなきこと」「バリなきこと」「傷なきこと」のようなあいまいな表記が多い。
このような国内の問題を抱えた状態で、バリューチェーンのグローバルシフト化(下図参照)によって、製造業の開発からの流通の仕組みが根本的に変化しています。
海外の製造現場に従来のあいまいな表記のままで出図した場合、設計者の意図をくみ取って加工や検査をしてくれません。サイズ寸法は満足しているけど、微妙な変形や位置ずれによって、要求機能を満足できずに不具合が発生する事案が多発しています。
国内の業者の場合、たとえ図面に不備があったとしても、親会社から命令されると、仕方なしに無償かつ特急で希望する形状になるように再製作してくれます。
しかし海外の加工業者の場合、図面に不備があれば、「図面が悪い!」と取り合ってもくれず、有償かつ納期は再設定した状態で取引せざるを得ないのです。
2020年以降、世界中で猛威を振るっているCOVID-19(新型コロナウィルス)によって、世界の流通が停止しました。しかしCOVID-19が終息した後でもバリューチェーンのグローバル化に変化はありません。次世代のエンジニアは世界に目を向け、世界の企業と協力しながら製品開発に取り組まざるを得ないことは必至です。そのため世界に通用するグローバル図面の実現は必要不可欠です。
グローバル図面とは、解釈のあいまいさを排除した図面のことで、次のような項目があげられます。
・サイズに関するバラツキにはサイズ公差を記入する。
・変形や姿勢、位置、振れのバラツキには幾何公差を記入する。
・世界共通言語である英語表記とする。
大きさも位置も寸法公差で表現する従来の“日本式のガラパゴス図面”から、基準を明示したうえで「サイズ公差」と「位置の公差」を明確に使い分けた“世界に通用するグローバル図面”を提示しなければ、日本の製造業は今後、生き残ることはできないといっても過言ではありません。
それでは、“設計意図を正確に表現する”にはどうすればよいのでしょうか?
それを実現するアイテムが、従来の大きさを表現するサイズ公差に加えて、幾何公差を併用することです。
しかし、従来からある幾何公差のルールでは、一部あいまいさが残った状態で運用せざるを得ませんでした。例えば、次のような項目があります。
・母線で評価する際の座標系を設定できない。
・矩形の公差領域の向き(X-Y座標の定義)は、暗黙のもとに読み手が解釈しなければいけない。
・サイズや幾何特性を3次元測定機で計測する際のフィルター(最小二乗法や最大内接、最小外接など)の選択は検査任せ。
2011年にISO 5459(Geometrical product specifications(GPS) — Geometrical tolerancing —Datums and datum systems)として、データムとデータムシステムのルールが改正され、2017年にISO 1101(Geometrical product specifications(GPS) — Geometrical tolerancing —Tolerances of form, orientation, location and run-out)、2018年にISO 5458(Geometrical product specifications(GPS) — Geometrical tolerancing —Pattern and combined geometrical specification)として、幾何偏差のルールが改正されて、あいまいさがなくなるように改正されています。
これらの規格では、将来的に3Dモデルにアノテーション(データに関連する情報)を付加して運用する場合を想定した新しい記号も増えており、2次元図面にも適用することが可能です。
本書発刊時点(2021年初旬)のJISには、これらの改正点が未だに反映されておりません。本書では、一足先に最新のISOの規定の中で実務に有用であると思われるものも抜粋し解説するとともに、従来の日本国内で流通しているガラパゴス図面を新しい記号を使ってグローバル図面に変更したBefore-Afterを示すことで、より設計意図を明確にするテクニックを解説します。
読者の皆様からのご意見や問題点のフィードバックなど、ホームページを通して紹介し、情報の共有化やサポートができ、少しでも良いものにしたいと念じております。

「Lab notes by六自由度」
書籍サポートページ
https://www.labnotes.co.jp/

最後に、本書の執筆にあたり、お世話いただいた日刊工業新聞社出版局の方々にお礼を申し上げます。

2021年5月
山田 学

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