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新人IErと学ぶ
実践 IEの強化書

定価(税込)  2,200円

編者
サイズ A5判
ページ数 208頁
ISBNコード 978-4-526-08114-9
コード C3034
発行月 2021年03月
ジャンル 生産管理

内容

モノづくり変容/真の生産性向上に導くIE実践のバイブルとしてまとめた本。活動の全体像と勘どころを対話形式で平易に伝える。「動作」「工程」「生産ライン」「施設」「経営資源」とレイヤー別にムダ排除のアプローチを手ほどき。各種定義や分析技法などもやさしく図解する。

日本インダストリアル・エンジニアリング協会  著者プロフィール

【IE教材編集委員会メンバー】〈敬称略〉
委員長 斎藤 文 産業能率大学 情報マネジメント学部 教授
副委員長 赤木 宏匡 鹿島建設㈱ エンジニアリング事業本部生産・研究施設第2グループ 次長
委員 伊呂原 隆 上智大学 理工学部情報理工学科 教授
木内 正光 玉川大学 経営学部国際経営学科 准教授
高田 淳 ㈱東芝 生産推進部生産戦略室モノづくり人財開発担当シニアマネジャー
寺田 幸彦 NECプラットフォームズ㈱ 生産本部SC戦略室 室長
中川 雅之 日産自動車㈱ 生産企画統括本部APW推進部アライアンスエキスパートリーダー
皆川 健多郎 大阪工業大学 工学部環境工学科 教授
渡邉 祐子 NECプラットフォームズ㈱ 執行役員常務 生産本部長
林 辰彦 日本インダストリアル・エンジニアリング協会
幹事・事務局長
島田 豊 日本インダストリアル・エンジニアリング協会 事務局次長・グループマネージャー

※所属・役職は企画・製作当時のものです。

目次

【第1章】IEとは
Q1 IEって何ですか?
Q2 具体的にどこでどう使われるのでしょうか?
Q3 IEって工場の現場改善のために使う手法なのでは?
Q4 「ムダ」を見つけるって、どうやれば見つかるのでしょうか?
Q5 手法もいろいろな種類がありますが、どんな違いがあるんですか?
Q6 「ムダ」を見つけた後、「改善」に結びつけるにはどうしたらよいのでしょうか?
Q7 IEってどうやって学んだら職場で成果を出せるようになりますか?

【第2章】新人IErが身につけたい実践の勘どころ
2-1 動作・作業 対象:作業者
「虫の目」「鳥の目」で現場を見る/合理的に作業を行うには「動作経済の原則」で考える/「動作のムダ」が作業改善の第一歩/改善策を考えるには順番がある/「標準時間」がないと生産計画は立てられない/「定置化」すれば作業時間は短縮される/【日常パート】暮らしの中の“ストライクゾーン”

2-2 工程 対象:人・モノ・設備
作業者のムダを「稼働分析」で定量化する/モノの流れを見てムダを「工程分析」で定量化する/「設備の自動時間」と「手作業の時間」の関係を分析するには「MM(マン・マシン)チャート」を活用する/【日常パート】朝食の準備について分析してみた

2-3 ライン 対象:ライン
目標サイクルタイムは生産要求量から決める/作業編成のよい悪いは作業編成効率で評価する/多品種混流生産の場合は平準化生産し、投入ルールを考慮した編成を行う/多能工管理を行うと編成替えにも役立つ/自動機導入は会社としての方針や今後の変化を考慮する/小ロット生産に向けて段取り改善を行う/段取り改善では「外段取り」を増やし生産時間を確保する/【日常パート】待ち時間だらけの健康診断を観察してみる

2-4 施設全体 対象:レイアウト・物流
施設レベルの「流れ線図」では各工程で見つけられなかったムダが見つかる/供給動線のムダは運搬距離と強度を調べる「DI分析」で見つける/「VSM」でモノと情報の流れのムダを見つける/モノの流れが滞ったところに在庫のムダが発生する/プッシュ生産からプル生産へ移行することで在庫のムダをなくす/「かんばん」で工程間の在庫のムダをなくす/【日常パート】うどん屋とショッピングモールの動線調査

2-5 経営 対象:サプライチェーン
経営資源をムダなく活用して経営目的を達成する/IE改善が経営指標の改善につながる/IE改善がどのコストの改善につながるかを意識しよう/工場・企業でもインプットとしての経営資源を活用してアウトプットにつなげることが大切/工場の生産計画は需要予測から始まる/部品をムダなく発注する方法/工場で使う情報システムとはどんなもの?/グローバルな企業活動を支える物流も改善の対象/お金の流れをイメージしよう/人材育成は企業活動での最も重要な投資

【第3章】IEを実践するために知っておくべき基礎知識
3-1 現状を分析する手法
1 動作研究(motion study)/2 時間研究(time study)/3 稼働分析/4 工程分析/5 MMチャート(マン・マシン・チャート)/6 ラインバランシング/7 流れ線図/8 運搬活性分析/9 DI分析/10 VSM(Value Stream Mapping)/11 流動数分析
3-2 基本用語
1 動作経済の原則/正常作業域(ストライクゾーン)/2 ECRSの原則/3 リードタイム(lead time)/4 標準時間/5 段取り改善/6 プッシュ生産・プル生産


索引

はじめに

「IEって、ストップウォッチで時間測るアレでしょ? イマドキ必要ないよね」
「手を伸ばすとか、モノをつかむとか、人の動きをチマチマ分析しても工場は自動化されているんだから、時代遅れでイミないでしょ」

この本を手に取ってくださった方の中にも、そうした思いが少しはあるかもしれません。しかしIEは、この40年で手法も深化し、また適用場面も拡がっています。
私が初めてIEと出会ったのは、1980年代、当時大学で経営工学を学んでいたときでした。思い起こしてみると当時教えを受けた先生方は、いずれも日本におけるIE・経営工学という学問領域を確立し、かつ企業に対する影響力も大きい方々ばかりでした。当時は「IE」「経営工学」に関する書物もたくさん出版されていました。
しかし、あれから数十年が経ち、教える側になったあるとき、学生から「IEについて勉強したいのですが、何か良い本を紹介していただけませんか?」と問いかけられ、新しい本がほとんど見当たらないことに驚きました。
現場改善に関するノウハウ本はビジネス書の棚には並んでいますが、IEの考え方をきちんと整理してある本はありません。メインに取り上げられているのは、「工場の現場を改善するためのツールとしてのIE」ばかりでした。
確かにIEは、工場の現場を改善するツールです。そして同時に「工場の現場」だけでなく、世の中すべてをより良くするためのツールでもあるのです。

ただ残念なことに、歴史的に製造業の現場における作業改善のイメージが強く、また現場改善で大きな成果を上げてきたがため、冒頭に述べたようなイメージが定着してしまいました。しかし、このようなイメージでは、本来のIEの良さを、現場で、社会で活かすことは難しいのではないでしょうか。
本来、「IE・経営工学」は、経営上の問題を発見して解決するためのマネジメント技術です。つまり、IEを活用することで、企業や組織、社会の課題解決が期待できる、広く役立つものなのです。
ところが、経営工学を学ぶ大学では、「理論」「解法」「技術」を教えることに多くの時間を取られています。情報技術の進歩により、学ぶべき知識や技術が質・量ともに増加していることも影響しているのかもしれませんが、それでは本来のIEの力を発揮できないのではないかと忸怩たる思いがあります。
私は、IE・経営工学の面白さは、「最適解を早く、正確に導く方法論」が、実際に企業や社会で役立つことにあるのではないかと考えています。
そこで、IEの古いイメージを払拭し、成長したIEの全体像を、これからIEを学び、仕事に活かしていこうとしている方々にぜひ伝えたい。そう思ったことがこの本の企画のスタートでした。そして、IEの理論や知識がどのように社会で成果を出していくのかを感じ取っていただきたい。そう思いながら本書の執筆を進めました。

そのため本書では、第1章では、インダストリアル・エンジニアリング(IE)とは何かについて、基本的な考え方の枠組みなどについてまとめ、第2章では、組立産業の代表である自動車工場を舞台に、実践の場で新人IEr(アイ・イー・ヤー)をどのように育成していくかという視点でストーリーを組み立てています。実際に現場で交わされるであろう会話を盛り込みながら、物語風に展開しているこの章は、類書にはない本書の大きな特徴です。
第3章では、第2章で取り上げた手法について、目的・改善の着眼点・使い方という3点でまとめるとともに、第2章の中で特に重要なキーワードについて、関連知識も含めて解説しています。
IE・経営工学がカバーする範囲は幅広く、設計開発管理・品質管理・設備保全・生産管理・人事管理などなど、IEを活用して展開できるシーンやテーマはたくさんあります。本書ではそのすべてを取り上げることはできませんでしたが、まずは基本に絞って、身近なテーマでIEの重要性を実感できるような構成といたしました。

この本を作成するに当たっては、日本インダストリアル・エンジニアリング協会(日本IE協会)において、実際の企業でIEを実践されまたIE教育を担当されている企業の方々と、大学でIE・経営工学を教えている教員で構成されているIE教材編集委員会を立ち上げ、2019年10月から、計10回の委員会における検討を経て、共同執筆という形で進めてきました。途中、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言の発出という想定外のことが起こるアクシデントもありましたが、理論と実践を繰り返すことによってIEが深化する、という基本コンセプトを形にすることができたと感じています。
完成までの道のりの途中では、日本IE協会事務局の五十嵐健二氏、菅野孝洋氏をはじめ、事務局のみなさまには多大なご支援を賜り感謝しております。特に立ち上げに際してご尽力をいただいた大熨景氏、ライターの江頭紀子氏には心より感謝申し上げます。
成蹊大学名誉教授の渡邉一衛先生、早稲田大学教授の吉本一穗先生には全体の構成や細部にわたる記述について、貴重なアドバイスをいただきました。この本をたくさんの方々に読んでいただくことによって、ご指導いただいた先生方の教えが少しでも次の世代に伝わることが、先生方への恩返しになることを祈っております。
そして、本書を手に取ってくださった方々が、本書をきっかけに実際にIEを活用して、組織や社会に貢献していただけることを期待したいと思います。

2021年2月
IE教材編集委員会・委員長
斎藤 文(産業能率大学)

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