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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしいウェアラブルの本
キーテクノロジーと活用分野がわかる!

定価(税込)  1,650円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-08108-8
コード C3034
発行月 2021年01月
ジャンル コンピュータ・情報 ビジネス

内容

コンピュータの小型化により実用的なウェアラブルが数多く発売され、日本では産業用途での利用が広まっている。ウェアラブルの仕組み・技術や出来ること、効果的な使い方などがこの一冊で理解できる。

塚本昌彦  著者プロフィール

(つかもと まさひこ)
神戸大学大学院工学研究科 教授(電気電子工学専攻)
NPOウェアラブルコンピュータ研究開発機構 理事長
NPO日本ウェアラブルデバイスユーザー会 会長
NPOウェアラブル環境情報ネット推進機構 理事

1987年 京都大学工学部数理工学科卒業
1989年 京都大学大学院工学研究科応用システム科学
専攻修士課程修了
1989年 シャープ株式会社入社、研究開発に従事
1995年 大阪大学工学部情報システム工学科講師
1996年 大阪大学工学部情報システム工学科助教授
2002年 大阪大学大学院情報科学研究科助教授
2004年 神戸大学工学部電気電子工学科教授
2007年 現職

ウェアラブルコンピューティング、ユビキタスコンピューティングのシステム、インタフェース、応用などに関する研究を行っている。応用分野としては特に、エンターテインメント、健康、エコをターゲットにしている。
2001年3月よりHMDおよびウェアラブルコンピュータの装着生活を行っている。

目次

【第1章】注目が高まるウェアラブル
1 ウェアラブルとは 「コンピュータを身につける新しいスタイル」
2 ウェアラブルの歴史 「コンピュータが生まれたころから考えられていた」
3 PC、スマートフォンとの違い 「実世界で活動しながら利用できる」
4 ウェアラブルの普及状況 「世界的に普及のきざしが見えている」
5 ウェアラブルに関わる産業 「あらゆるビジネス、サービスを巻き込んで巨大産業に成長する」
6 ウェアラブルへの期待 「人々の仕事と暮らしを根底から変えるポテンシャル」

【第2章】ウェアラブルでできること
7 運動や睡眠の時間を管理 「常時身体に装着するデバイスで日常生活をモニタリング」
8 感情をトラッキングする 「カメラやセンサを用いて感情がわかる」
9 情報をリアルタイムに通知する 「メッセージの着信や予定時刻を知らせる」
10 コミュニケーションの新しい形を作る 「実世界活動の中での遠隔コミュニケーション」
11 現場での作業を支援する 「マニュアル提示や遠隔支援で現場業務サポート」
12 業務を管理する 「業務中の行動、状態を記録して業務を効率化」
13 ファッションとして新しい魅せ方を演出する 「新たなファッションを作り出す可能性」

【第3章】さまざまな形のウェアラブル
14 眼鏡型デバイス 「ウェアラブルの本命デバイス」
15 腕時計型デバイス 「いち早く立ち上がったウェアラブルデバイス」
16 ヒアラブル 「ワイヤレスイヤホンが高機能化したもの」
17 帽子型デバイス 「頭部をセンシングして安全性・快適性をモニタリング」
18 靴型デバイス 「自由度が高く、さまざまな商品が登場」
19 ウェア型デバイス 「健康分野でも、エンターテインメント分野でも注目」
20 チェストベルト型デバイス 「デバイスを固定して使用する」
21 ベルト型デバイス 「収納面でも記録面でもポテンシャルが高い」
22 貼り付け型デバイス 「長時間のモニタリングに適している」
23 指輪型デバイス 「他のデバイスの操作にも利用できる」

【第4章】 ヘッドマウントディスプレイ(HMD)
24 ヘッドマウントディスプレイ(HMD)とは 「スマートグラス? ARグラス? VRグラス? どう違うのか」
25 小型HMDの仕組み 「小型ディスプレイと光学系を組み合わせたさまざまな仕組み」
26 シースルーHMDの仕組み 「ハーフミラーと導光板」
27 網膜投影型HMDの仕組み 「光が直接網膜に投影される」
28 HMDの焦点深度 「画像をどれくらいの距離に表示させるのか」
29 HMDの明るさ調整 「画面の見えやすさが重要」

【第5章】 ウェアラブルを支える技術
30 人間を対象にしたセンサ 「行動認識や感情の推定、医療への利用まで幅広く」
31 周囲の環境を測定するセンサ 「環境に応じた行動の指針になる」
32 電気を通す糸と布 「着るデバイスに欠かせない導電性繊維」
33 ウェアラブルの要となるカメラ 「社会での合意形成が発展の鍵を握る」
34 計算能力を左右するプロセッサ 「汎用品から専用品へ」
35 AR物体の表示に欠かせないSLAM 「自動運転などにも使われる技術」
36 人の行動をどのように推測するか 「センサの情報を正しく読みとるために」
37 長時間触れても安全な材料 「人体への影響を考慮した生体適合材料」
38 デバイスの特徴に合わせたバッテリー 「小型、低電力などさまざまな要求がある」
39 通信規格は用途にあわせて使い分ける 「特徴に応じた4つのカテゴリ」
40 センサからデータを収集する 「デバイスの情報の統合が期待される」
41 収集した情報をどのように分析するか 「データによって分析手法を使い分け」
42 情報を分かりやすく表示する方法 「状況に応じた変化をつける」
43 情報を入力するためのインタフェース 「長年の研究によりさまざまな手法が編み出された」
44 耳を塞がない骨伝導スピーカー 「補聴器の技術の延長線上」
45 セキュリティリスクを正しく理解する 「ウェアラブルはプライベートな情報の集合体」

【第6章】 ウェアラブルの利用と安全
46 注意の転導が起こることを理解する 「通知によって注意が引きつけられる」
47 物理的な危険に配慮する 「使用方法を決めるとともに安全に配慮した設計も必要」
48 脳への影響をできる限り避ける 「頭部に装着するものは特に注意が必要」
49 安全性の高い製品を設計するために 「使用時の事故を設計で防ぐ」

【第7章】 ウェアラブルを活用する場面
50 ヘルスケア現場での利用 「ウェアラブルを利用する本命の分野の一つ」
51 フィットネス・スポーツ分野での利用 「楽しく、長く、効果的に運動できる」
52 日常生活での利用 「24時間、あらゆる行動が記録の対象」
53 エンターテインメント分野での利用 「遊びの幅がウェアラブルで広がる」
54 工場や保守点検の現場での利用 「やるべき作業が明確になる」
55 オフィス内での利用 「業務効率化と個人情報保護のバランスが大切」
56 物流現場での利用 「検品やピッキング作業を効率化する」
57 警備現場での利用 「情報の共有だけでなく不審者の割り出しも進む」
58 観光分野での利用 「AR映像の提示や同時翻訳に利用」
59 保険業界での利用 「ウェアラブルによる健康管理で保険料割引」
60 警察 ・ 軍事での利用 「捜査、対人業務、軍事作戦と利用範囲は幅広い」

【第8章】 ウェアラブルの新しい展開
61 AR、VRとウェアラブル 「ARデバイスの本命はウェアラブル」
62 ウェアラブルで自動決済 「スマートフォンより手軽に買い物できる」
63 ウェアラブルで同時通訳 「コミュニケーションの壁を越えて活動を広げる」
64 人工知能(AI)を利用したウェアラブル 「認識できるものの幅が広がる」
65 ロボティックスとウェアラブル 「ロボティックスとの融合で人間の能力を強化」
66 身体がインターネットにつながる(IoB) 「ウェアラブルからインプラント、そして脳へ」

【コラム】
●ウェアラブルが見せる将来のビジョン
●ウェアラブルのアプリケーション
●健康管理にも有効なコンタクトレンズ型デバイス
●ウェアラブルとNPO
●新型コロナウイルスの早期発見にウェアラブルを有効活用
●コロナ禍で突然広がり始めた業務用スマートグラス
●スマートグラスをめぐる世界企業の動き
●ウェアラブルからサイボーグへ

●参考
●索引


はじめに

40年以上も前にコンピュータ系の研究分野として立ち上がった「ウェアラブル」ですが、最近になってようやく普及の兆しが見えるようになりました。
腕時計・リストバンド型やイヤホン・ヘッドホン型などはここ数年で一気に販売台数を伸ばし、日常生活の中で使われるようになってきています。一番の注目はメガネ型です。なかでも視覚を増強するHMD、あるいはスマートグラスは人々の暮らしや仕事を根底から変革するポテンシャルを持ち、ポストスマートフォンとして最も有力なデバイスとされています。
筆者はHMDを約20年前から日常生活の中で常に装着し続け、今にもHMDの時代がやってくることを主張し続けてきました。そして今、ようやく多くの大手IT企業のトップたちが同じことを言うようになってきたのです。この先、2021年からの5年間で数多くの商品が登場し、そのうちのいくつかは失敗し、いくつかは成功することになるでしょう。
今挙げた以外のデバイスも多数登場しています。海外のクラウドファンディングやCES(米国で開催されている電子機器の見本市)などの展示会では、この10年間、数多くのアイデアを基にして、体のいたるところに装着できるデバイスが発表されてきました。人間の体にITを足せば、驚くほど多くの身体機能が拡張されるのです。その恩恵を受け、人々はより便利・快適、安全・安心、豊かで楽しい生活を送れるようになるでしょう。
ウェアラブルコンピューティングは日常生活や仕事など、さまざまな活動の中で利用されるものです。未知数の部分も多く、必要とされる技術も多岐にわたります。本書では、このような幅広い技術や応用をできる限り網羅し、ウェアラブルの全体像を俯瞰することを目指しました。技術や応用はまだまだ変化の途中にありますが、大きなステップを踏み出した今、それらをまとめることは多くの人に有用だと考えています。
この分野では、今まで多くの失敗がありました。筆者の知る限り、その多くの原因は初歩的な「知識の不足」によるものです。どうやら、人間に関すること、ウェアラブルデバイスに関することは、少し知っただけで全部分かったつもりになってしまうようです。ところが、実際にはウェアラブルデバイスを開発する人も利用する人も、原理や技術など、さまざまなことに熟知している必要があります。WebやYouTubeのように誰もが簡単に利用できるものとは異なり、実世界の道具は時間をかけて使いこなせるようになったものが最も便利なのだという点が、大きな違いなのではないかと思います。
これから一気にウェアラブルの時代がやってきます。開発者、利用者に関わらず、ウェアラブルに関する広範な知識を身に着け、それらを正しく使いこなしていくことを目指しましょう。


2021年1月
塚本 昌彦

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