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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい量子コンピュータの本

定価(税込)  1,650円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-08107-1
コード C3034
発行月 2021年01月
ジャンル コンピュータ・情報 電子書籍 ビジネス

内容

量子コンピュータは、量子力学を使って能力を飛躍的に向上させた次世代のコンピュータ。従来のコンピュータ(古典コンピュータ)の素子は「ビット」で扱うのに対して、量子コンピュータでは「量子ビット」 により情報を扱う。本書では、この話題の技術について、基礎理論から、関連知識、開発状況、未来展望までを紹介する。


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山﨑耕造  著者プロフィール

(やまざき こうぞう)
1949年 富山県生まれ。
1972年 東京大学工学部卒業。
1977年 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了・工学博士。
名古屋大学プラズマ研究所助手・助教授、核融合科学研究所助教授・教授を経て、2005年4月より名古屋大学大学院工学研究科エネルギー理工学専攻教授。その間、1797年より約2年間、米国プリンストン大学プラズマ物理研究所客員研究員、1992年より3年間、(旧)文部省国際学術局学術調査官。
2013年3月 名古屋大学定年退職。

現在 名古屋大学名誉教授、
自然科学研究機構核融合科学研究所名誉教授、
総合研究大学院大学名誉教授。

●主な著書
「トコトンやさしいプラズマの本」、「トコトンやさしい太陽の本」、「トコトンやさしい太陽エネルギー発電の本」、「トコトンやさしいエネルギーの本 第2版」、「トコトンやさしい宇宙線と素粒子の本」、「トコトンやさしい電気の本 第2版」、「トコトンやさしい磁力の本」、「トコトンやさしい相対性理論の本」(以上、日刊工業新聞社)、「エネルギーと環境の科学」、「楽しみながら学ぶ物理入門」、「楽しみながら学ぶ電磁気学入門」(以上、共立出版)など。

目次

【第1章】量子コンピュータはどれだけ凄いのか?
1 スパコンと比べても桁違いの実力! 「量子スプレマシーの実現」
2 世界のIT大企業や国家が激突! 「国家戦略としての夢の技術」
3 2つの方式で新たな可能性が生まれている! 「ゲート方式とアニーリング方式」
4 量子コンピュータの科学と可能性は? 「実用化は20~30年後?」

【第2章】量子コンピュータとは?
5 量子とは、コンピュータとは? 「量子化と計算機の電子化」
6 量子とコンピュータとを結びつける? 「ファインマンの夢」
7 古典力学と量子力学との違いは? 「確定性と不確定性」
8 古典ビットと量子ビットとの違いは? 「ビットからキュビットへ」
9 古典的コンピュータと量子コンピュータとの違いは? 「古典と量子のチューリングマシン」
10 古典暗号と量子暗号との違いは? 「計算量的安全性と情報理論的安全性」
11 万能量子コンピュータとは? 「完全な誤り訂正」

【第3章】量子の原理をどう使うの?
12 量子論から量子コンピュータへの歩みは? 「物理と数学からの量子コンピュータ」
13 量子的重ね合わせとは? 「0と1の基底ベクトル」
14 量子ビットとブロッホ球とは? 「状態ベクトルとブロッホ球」
15 2種のスピンや偏光を利用する? 「シュテルン=ゲルラッハの実験」
16 シュレーディンガーの猫がコンピュータになる? 「観測とデコヒーレンス」
17 アインシュタインも認めなかった量子もつれを利用する! 「EPR相関」

【第4章】量子コンピュータの種類は?
18 量子コンピュータはいろいろ? 「量子ゲート型と量子イジング型」
19 量子ゲート型コンピュータとは? 「汎用量子コンピュータ」
20 量子イジング方式コンピュータとは? 「エネルギー最小状態」
21 量子アニーリング方式とは? 「焼きなまし法」
22 量子ニューラルネット方式とは? 「光パラメトリック発振」

【第5章】量子ビットと量子ゲートとは?
23 古典ゲートと論理回路とは? 「不可逆な古典論理ゲート」
24 量子ゲートとユニタリ変換とは? 「可逆の量子ユニタリ論理ゲート」
25 量子計算のための物理の基礎は? 「波動関数とシュレーディンガー方程式」
26 量子計算のための数学の基礎は? 「複素ベクトルとユニタリ行列」
27 パウリゲートとは? 「X、Y、Zゲート」
28 アダマールゲートとは? 「Hゲート」
29 制御NOTゲートとは? 「CNOTゲート」
30 多量子ビットゲートへの拡張は? 「トフォリゲートとフレドキンゲート」 76
31 万能ゲートとは? 「回転ゲートとCNOTゲート」 78
32 量子もつれ状態のゲートとは? 「ベル状態とベルゲート」 80
33 量子フーリエ変換とは? 「制御回転ゲート利用」 82
34 量子誤り訂正とは? 「フォールト・トレラン卜計算」 84

【第6章】量子回路と量子アルゴリズムとは?
35 量子計算は従来となにが違うのか? 「量子計算の回路とアルゴリズム」
36 スワップ回路とは? 「交換演算」
37 足し算回路は? 「半加算回路と全加算回路」
38 乱数回路を作る? 「古典乱数と量子乱数」
39 量子テレポーテーション回路とは? 「ベルダガーゲート」
40 ドイチュ=ジョサ・アルゴリズムとは? 「関数の推測問題」
41 素数判定と素因数分解の方法は? 「フェルマーの小定理」
42 ショア・アルゴリズムとは? 「量子素因数分解と暗号解読」
43 グローバー・アルゴリズムとは? 「量子検索アルゴリズム」
44 量子計算の限界は? 「P問題とNP問題」


【第7章】量子ビットのハードウェアと量子暗号のしくみは?
45 量子ビットのつくり方は? 「コヒーレンス時間」
46 超伝導での磁束量子ビットとは? 「最小単位としての磁束量子」
47 超伝導での電荷量子ビットとは? 「改良型のトランズモン」
48 イオントラップと冷却原子の利用! 「エネルギー準位利用」
49 光量子利用と通信への応用! 「光量子ビットとキャビティQED」
50 さまざまな方式を開発中! 「量子ドット、NVC量子ビットなど」
51 RSA暗号のしくみは? 「フェルマーの小定理を利用した公開鍵暗号」
52 量子暗号とは? 「量子公開鍵暗号と量子鍵配送」

【第8章】量子コンピュータ開発の世界の現状は?
53 量子超越は達成されたのか? 「量子スプレマシーと量子アドバンテジ」
54 グーグルでの開発は? 「シカモア」
55 IBMでの開発は? 「Q ・ システム ・ ワン」
56 IBMでのクラウドサービスを使ってみる! 「IBM量子体験」
57 マイクロソフトやインテルでの開発は? 「QDKソフトとトポロジカル量子ビット」
58 スタートアップ企業での開発は? 「カナダのD-Wave 2000Q」
59 日本や中国での開発は? 「日本のアニーリング型、中国の量子暗号」
60 組み合わせ最適化問題とは? 「情報から流通、医療まで幅広く」
61 AIと機械学習、深層学習とは? 「シンギュラリティ」
62 創薬や新材料開発をめざして! 「量子化学シミュレーション」
63 フィンテック業界での利用は? 「金融と情報技術との連携」
64 暗号は量子コンピュータですべて解かれる? 「格子暗号と量子暗号」
65 量子テクノロジーの進展と遠い未来は? 「量子AI、量子生命、量子セキュリティ」

【コラム】
●量子人工知能が人間を超える! 映画『トランセンデンス』(2014年)
●世界最強の暗号に挑んだ天才数学者! 映画『イミテーション・ゲーム』(2014年)
●量子テクノロジーによる時空間転送装置! 映画『タイムライン』(2003年)
●彗星接近とシュレーディンガーの猫! 映画『ランダム 存在の確率』(2013年)
●記憶が80分しかもたない数学博士! 映画『博士の愛した数式』(2006年)
●コンピュータの内部世界に入る! 映画『トロン:レガシー』(2010年)
●謎の人工知能の数字暗号を解く! アニメ映画『サマーウォーズ』(2009年)
●十年後の世界から、現在の自分に出会う! アニメ映画『Hello World』(2019年)
●量子コンピュータにより管理される未来社会! 映画『ぼくが処刑される未来』(2012年)

はじめに

最新のテクノロジーとして、量子テクノロジー、とりわけ、量子コンピュータの話題が、新聞等をにぎわしています。スパコンを超える可能性のある新しい超高速超並列コンピュータとして、また、ビットコインなどの金融や個人情報のインターネットセキュリティ確保に関連して、量子コンピュータが話題となっています。特に、2019年秋には、学術研究誌ネイチャーに量子コンピュータがスパコンを超えるという「量子スプレマシー(超越性)」が発表され、将来の情報や金融の安全性の確保が懸念されるようになりました。最近では、拡張性は限られているものの、中国のグループによる光子ビットによる量子超越の実証も、2020年12月の米科学誌サイエンスに発表されています。
量子コンピュータのしくみを理解し、量子計算を考え、量子回路を自分で作り、結果を得るようになるためには、量子アルゴリズムを理解すると同時に、やさしい量子物理と初等数学とを学ぶことも重要です。
本書では、そもそも量子とは何か?量子コンピュータとは何か?をやさしく説明していきます。量子コンピュータに関連する量子物理や数学の基礎もまとめました。数式を含めた一口メモもいくつか記載しました。読者自身が興味を持って実際の量子計算を理解できる手助けになればと思います。概要のみを理解したい場合には、数式などをスキップして読み進んでいただければと思います。
1〜2章では、従来のコンピュータと比較しながら量子コンピュータの概要を述べ、3〜4章では、量子コンピュータの原理と種類をまとめています。5〜6章では、量子ビット、量子ゲート、量子回路、量子アルゴリズムについて順に述べていきます。特に、5〜6章では量子計算などの少し難解な数式が登場しますので、数式が嫌いな方は読み飛ばしてください。量子ビットのハードウェアと量子暗号を7章で、世界の開発の現状を8章でまとめ、最後の章で、量子コンピュータの利用と未来展望について、順にやさしく述べていきます。
コラムでは、筆者のこだわりの「映画の中の量子コンピュータ」として、関連する映画を紹介しています。いろいろな視点から量子コンピュータに興味を持ってもらえればと思います。
本書が量子コンピュータに関連する幅広い興味を持つ契機となれば、と願っております。
最後になりましたが、本書作成に当たり、日刊工業新聞社をはじめ、多くの関係者の方にお世話になりました。ここに深く感謝申し上げます。

2020年12月吉日 
山﨑耕造

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