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プレス加工のトラブル対策 第4版

定価(税込)  3,300円

著者
著者
サイズ A5判
ページ数 272頁
ISBNコード 978-4-526-08105-7
コード C3053
発行月 2021年01月
ジャンル 機械

内容

現場実務に長け、業界の規格・標準化を主導してきた著者が送る「プレス加工トラブル回避の勘どころがわかる」一冊。個人が持つ対策術を共通・共有・管理することで、全社展開・レベルアップと再発防止が図れる。将来、発生が予見される不具合にも事前対処できる。

吉田弘美  著者プロフィール

(よしだ ひろみ)※吉は新字体
1939年東京都生まれ。松原工業株式会社、株式会社アマダを経て1979年

山口文雄  著者プロフィール

(やまぐち ふみお)
1946年埼玉県生まれ。松原工業株式会社、型研精工株式会社を経て1982年山口設計事務所を設立。現在に至る。高度ポリテクセンター講師などを兼務。この間、日本金属プレス工業協会「金型設計標準化委員会」「金型製作標準化委員会」などの委員を歴任する。
著 書:「小物プレス金型設計」「プレス順送り型の設計」「プレス金型設計・製作のトラブル対策(共著)「図解プレス金型設計(Ⅰ,Ⅱ)」「プレス工法選択アイデア集」ほか

目次

序 文
第4版の刊行に当たって

【第1章】トラブル対策の基本的な考え方と進め方
1.1 トラブルをどう考えるか
1.1.1 トラブルの把握
1.1.2 基本方針
1.2 対策の方法と評価の明確化
1.2.1 部門別の業務評価と費用の負担
1.2.2 比較が困難な評価と優先順序
1.3 失敗の教訓とその活かし方
1.3.1 成功例より失敗例の方が得るものが多い
1.3.2 ハインリッヒの法則とトラブル対策への活用
1.3.3 真の原因の見つけ方
1.3.4 人を責めない
1.3.5 理論と実際の整合性
1.4 トラブル対策の手順と進め方
1.4.1 トラブル対策は理屈より余裕
1.4.2 処置と対策の明確な区分
1.4.3 企業および職場内のソフトウェアの整理・整頓
1.4.4 尺取り虫の法則
1.4.5 調査および分析の能力の向上
1.4.6 プロセスの品質を第一とする考え方とその推進
1.5 トラブルを未然に防ぐ対策へ
1.5.1 事前の予防策としてのトラブル対策
1.5.2 標準化と全社への普及
1.5.3 経歴より経験
1.5.4 情報の「見える化」と全社への普及
1.5.5 改善から開発へ
1.5.6 将来への挑戦のためのトラブル対策

【第2章】プレス加工固有の特徴とその対応
2.1 プレス加工産業と加工の特徴
2.2 プレス加工ではトラブルの原因究明が困難
2.2.1 実験での検証が困難
2.2.2 加工中の状況は見えない
2.2.3 加工途中の材料と金型は面接触をしていない
2.2.4 金型全面で加圧する時間が非常に短い
2.3 プレス加工の加工上の問題
2.3.1 加工における金属材料の変化
2.3.2 反力による機械および金型の変形と動的精度の向上
2.4 プレス加工独特の品質管理
2.4.1 プレス加工で作られる製品の品質上の特徴
2.4.2 一般的な品質管理との標準偏差の違い
2.4.3 管理の対象項目と基準が不明
2.4.4 スクラップの重要性と管理
2.4.5 音、振動および温度
2.5 企業固有のデータベースとその活用
2.5.1 プレス加工での情報の整理・整頓とその活用
2.5.2 データベース化
2.5.3 シミュレーションの精度向上のための固有データの蓄積
2.5.4 プレス加工での情報の金型へのフィードバック

【第3章】プレス作業と設備の保守整備
3.1 プレス加工のための実務作業
3.1.1 段取りとその作業
3.1.2 プレス作業
3.2 金型の保守整備
3.3 プレス機械の保守整備
3.4 周辺機器の保守整備

【第4章】抜き加工のトラブル対策
4.1 抜き加工の基本
4.1.1 抜き加工の種類
4.1.2 抜き過程
4.1.3 抜き加工で材料に働く力
4.1.4 抜き加工で刃先に働く応力
4.1.5 抜き型の構造
4.2 バリ(かえり)
4.2.1 バリ発生の原因と対策
4.2.2 全周に出るバリ
4.2.3 左右で異なるバリ
4.2.4 部分的に大きく出るバリ
4.2.5 全周に壁のようなバリが出る
4.2.6 多くの穴の中で限られた穴にバリが出る
4.2.7 コーナ部分のバリ
4.2.8 マッチング部にバリが出る
4.2.9 ときどき大きなバリが出る
4.2.10 段取りの都度バリの出方が変わる
4.2.11 刃先を再研削してもすぐにバリが出る
4.2.12 切断部分にバリが出る
4.3 寸法および形状不良
4.3.1 抜き寸法
4.3.2 外形と穴の関係位置が変化する
4.3.3 穴のピッチが変化する
4.3.4 順送り加工の外形寸法が変化する
4.3.5 ブランク抜きで反る
4.3.6 穴抜きで波打ち、穴縁の盛り上がりが出る
4.3.7 細い抜き部の不具合(ねじれ、振れ、抜き幅など)
4.3.8 順送り片キャリアでの横曲がり
4.3.9 きず・打痕
4.3.10 プッシュバックがうまく入らない
4.4 抜き加工とせん断切り口面の形状
4.4.1 せん断切り口面の形状
4.4.2 良好なせん断面を得る方法
4.4.3 抜き形状による抜け状態の変化
4.4.4 せん断面の不具合現象と対策
4.5 かす浮き(かす上がり)
4.5.1 かす浮きのメカニズム
4.5.2 かす浮き対策
4.6 かす詰まり
4.6.1 かす詰まりのメカニズム
4.6.2 かす詰まり対策

【第5章】曲げ加工のトラブル対策
5.1 曲げ加工の基本
5.1.1 曲げの原理とスプリングバック
5.1.2 曲げ加工と基本様式
5.1.3 曲げ加工の詳細
5.2 曲げ部の割れ
5.2.1 圧延方向(繊維方向)と割れ
5.2.2 曲げ半径の限界
5.2.3 バリ方向と割れ
5.2.4 曲げ線と外形の一致による割れ
5.2.5 2辺の曲げが接する角部の割れ
5.2.6 狭い幅の曲げ
5.3 曲げ角度の不良
5.3.1 V曲げで角度が変動する
5.3.2 長尺のV・U曲げでのスプリングバック
5.3.3 L・U曲げのスプリングバック対策
5.3.4 曲げ角度が閉じる
5.3.5 角度のバラツキがあり安定しない
5.3.6 フランジ幅の異なる製品の角度不良
5.3.7 フランジが平行でない製品の角度が開く
5.3.8 スプリングバックを見込んだ曲げ
5.3.9 曲げ加工圧による逃げの影響
5.3.10 Z曲げのスプリングバック対策
5.4 寸法不良
5.4.1 曲げ寸法がプラス(マイナス)する
5.4.2 V曲げでブランクがずれて寸法不良となる
5.4.3 V曲げで左右フランジ長さの差が大きい製品の寸法不良
5.4.4 左右の曲げ幅の異なる製品の寸法不良
5.4.5 穴位置不良とその対策
5.5 変形・きず
5.5.1 V曲げ加工のそり
5.5.2 V曲げの鞍状のそり
5.5.3 V曲げのフランジそり
5.5.4 V曲げでのねじれ
5.5.5 曲げ部のふくれ
5.5.6 曲げ限界による変形
5.5.7 曲げ内側に突起のある製品の曲げ部の変形
5.5.8 幅の狭い曲げ部が横に曲がる
5.5.9 L曲げによるウエッブのひけ
5.5.10 U曲げで排出時に変形する
5.5.11 Z曲げの変形と割れ
5.5.12 切曲げの変形と割れ
5.5.13 U曲げのそり
5.5.14 側壁の波打ちとそり
5.5.15 ショックマーク(肩当たり)
5.5.16 面当たり
5.5.17 きず・打痕
5.5.18 金型の摩耗ときず

【第6章】成形加工のトラブル対策
6.1 成形加工の基本
6.1.1 成形の基本要素
6.1.2 成形金型の構造
6.1.3 材料特性を読む
6.2 フランジ成形の不良対策
6.2.1 フランジ成形の基本形状
6.2.2 フランジ成形での不具合と対策
6.2.3 エンボス・ビード成形での不具合と対策
6.2.4 リブ成形の不具合と対策
6.2.5 バーリング加工での不具合と対策
6.2.6 カーリングでの不具合と対策
6.2.7 成形加工で製品表面にきずができる

【第7章】絞り加工のトラブル対策
7.1 絞り加工の基本
7.1.1 絞りの加工限界と難易度(円筒絞りの例)
7.1.2 円筒絞り加工
7.1.3 張出し加工
7.1.4 パンチRとダイRの関係
7.2 円筒絞りのトラブル対策
7.2.1 しわ
7.2.2 割れ
7.2.3 形状・きず不良
7.3 角筒絞り・異形絞り
7.3.1 角絞り加工の基本
7.3.2 角筒・異形絞りの割れ不良
7.3.3 角筒・異形絞りのしわ・面不良

【第8章】圧縮加工のトラブル対策
8.1 圧縮加工の基本
8.1.1 加工力と金型の変形
8.1.2 摩擦対策
8.1.3 加工速度
8.2 加工内容別のトラブル
8.2.1 据込み加工
8.2.2 押出し加工
8.2.3 エンボス加工
8.2.4 押込み加工
8.2.5 ならし加工
8.2.6 増厚加工

索 引

はじめに

序  文
トラブル対策は技術の中でも非常に重要であり、難しいものの1つですが、自動化や高速化といった技術に比べて地味で、本来あってはならない後ろ向きの技術のように考えがちです。
しかし、トラブルは現状を打破し、新しい可能性にチャレンジするときに生じる必然的なものだとも言え、トラブルを必要以上に恐れたり、避けたりしていたのでは進歩も発展も期待できません。とは言え、トラブルは起こさないで済めばそれに越したことはなく、そのための技術と努力はこれまた欠かせず、事前の心がけが大切です。
トラブル対策の難しさは机上の空論や設備投資では解決できず、専門的な知識と合わせて実務上の知識や経験、ときには勘やひらめきのようなものが必要です。しかし、多様な  トラブルの解決に、すべて経験で対処するのは不可能であり、その必要もありません。
トラブル対策をはじめ世の中の大部分の技術は、大勢の人の経験や工夫が積み重ねられた土台の上に成り立っており、次の世代はこれを踏み台としてさらに新しい経験や工夫を重ねて進歩し、今日に至っているのです。
本書は多くのトラブル対策の一部を紹介したに過ぎませんが、これを踏み台としてさらに新しい技術を積み重ね、それぞれの企業の固有技術としてほしいと思います。
トラブル対策の内容とその対応は、それぞれの企業での製品の種類と品質、金型、プレス加工システム、技術および管理レベルなどによってさまざまであり、企業固有の問題も多数存在します。しかし、多くの企業のさまざまな事例に接してみると、共通事項が多く、同じようなトラブルで悩んでいる例が多いということを実感しています。
はじめは個々に対応していたトラブルも、数多く接していると共通事項が見えてきて、偶然と思えたことにも必然性があり、理論的に体系づけられることも多くあることに気づきました。そこで、できるだけ実際の対応だけでなく、理論的な裏付けを心がけてまとめました。
今後ますます要求は厳しくなり、新しいトラブルも発生すると思いますが、基礎を身につけ感性を磨くことで、道は必ず開けるものと確信しています。
終わりに本書の刊行に当たり、企画の段階から懇切なるアドバイスと協力をいただいた、日刊工業新聞社技術雑誌「プレス技術」編集部ならびに同社の書籍編集部の方々に深く感謝し、厚くお礼申し上げます。

昭和62年8月
吉田 弘美

第4版の刊行に当たって
本書は初版を出版以来、30年余りが過ぎ、第3版の発行からも10年以上経ちますが、この間のプレス加工は需要先産業、作る製品とその要求内容、設備その他の作り方などが大きく変わりました。
製品も、それまで世の中になかった新製品が生まれる一方で、消えてなくなったものが少なくありません。これらに対応する作り方も、自動化をはじめとする機械設備、コンピュータをはじめとする情報処理の方法など大きく変化しています。
一方、当時も、今後も変わらないものがあります。それは、調査に基づく原因の追求および分析による事実の確認、原理・原則などの理論との整合性と再現性などです。
トラブル対策では、変わらなければいけない部分は大胆に変え、変えてはいけない部分は大事に守って行く必要があります。今回の改訂では、現実に発生しているトラブルへの対応はもとより、今後の新しい課題に挑戦するときに発生すると思われる、将来のトラブルに対応できる対策にも力を入れました。
トラブル対策の本質は現在発生しているトラブルが減少し、ほぼなくなったときが理想ではなく、ゴールでもありません。そのときは、新しくより高度な目標に向かって挑戦するスタート点であり、それまでに行ってきた対策は、次の目標にチャレンジするための準備だとも言えます。この意味で、プレス加工のトラブル対策は今後も永遠に続きますが、それらの新しい課題への対応に本書が参考になれば幸いです。
どこの企業も「挑戦したい」という目標に対して、「心配でできない」という悩みと恐れを持っていますが、その多くはそのときに発生すると思われるトラブルです。昔から「段取り八分、仕事二分」と言われているように、仕事をする場合に成果の80%は段取り(前準備)で決まり、実作業などでの成果は20%という意味です。これは、作業開始前の段取りに80%の時間をかければ、実際の作業時間は20%程度で済むということでもあります。
変化がますます激しくなる中で、トラブル対策も「生産を始めた後に改善を積み重ねて徐々に良くする」という方法から、「生産開始前の準備をしっかり行い、その後は改善を必要としない」という方法に変えることで、成果は大きく変わります。今後もプレス加工のトラブルとその対策は続くと思いますが、その意味で本書から直接回答が得られない場合にも、新しい課題を解く場合の参考(ヒント)にしていただければ幸いです。
最後に今回の改訂に当たり、企画段階から完了までご尽力とアドバイスをいただいた日刊工業新聞社出版局の矢島俊克氏に深く感謝し、厚くお礼を申し上げます。

2020年12月
吉田 弘美

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