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3DAモデル(3次元CADデータ)の使い方とDTPDへの展開
24の3DAおよびDTPDの設計開発プロセス(ユースケース)を体系化

定価(税込)  2,860円

著者
サイズ A5判
ページ数 272頁
ISBNコード 978-4-526-08104-0
コード C3053
発行月 2021年01月
ジャンル 機械

内容

昨今の機械設計において、3次元設計手順は各社のノウハウとなっているが、3Dモデルはグローバル規模で標準データでなければ流通しない。JEITA三次元CAD情報標準化専門委員会では、設計情報のデータ化の方法をまとめて3DAモデルとして定義、JIS化を進めている。本書は、その定義に基づき、電機精密の製品開発で実践された3次元設計の手順と方法を示した専門書。

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一般社団法人電子情報技術産業協会 三次元CAD情報標準化専門委員会  著者プロフィール

・編集(編者)  藤沼知久(ふじぬま もとひさ)
1983年(株)東芝に入社し、家電から重電機器まで幅広く、三次元CAD・CAE・PLM・設計プロセス改革に従事。技術士(機械部門)。2010年からJEITA三次元CAD情報標準化専門委員会に参加し、電機精密産業界での3DAモデル/DTPDの企画推進。日本機械学会会員、日本インダストリアル・エンジニアリング協会会員、PTCジャパン・ユーザ会会員。

・国際標準  相馬淳人(そうま あつと)
(株)エリジオンCTO。1985年入社後、三次元CADに関する形状処理、データ変換、品質検査・修正等のソフトウェア開発に従事。ISO/TC184/SC4国内対策委員会にてPDQ、同一性検証に関する国際規格開発プロジェクトに参加。2014年からJEITA三次元CAD情報標準化専門委員会に参加。

・標準化  山田基博(やまだ もとひろ)
1985年ミノルタカメラ株式会社(現コニカミノルタ株式会社)入社。レーザービームプリンタの製品開発、主に給紙・搬送系、駆動系、筐体などの機械設計を担当。1995年から情報システム部にて、フィルムカメラ・複写機の製品開発への3次元製品化プロセス導入を主導。2007年のJEITA三次元CAD情報標準化専門委員会の設立メンバー。その後、グループ会社全体のIT戦略構築、販売会社の情報システム責任者を歴任。

・幾何公差  亀田幸徳(かめだ ゆきのり)
1987年にソニー株式会社へ入社。放送業務用ビデオカメラのドラム(シリンダー)設計・立ち上げにおいて構造解析及び三次元CADを用いた設計現場を経験。その後、VAIO及びCree(PDA)の10機種ほどのセット設計におけるメカリーダーを経て、ソニーの技術標準化業務に従事。業界活動のJEPIIIからJEITA三次元CAD情報標準化専門委員会へ参加。3DAモデルガイドラインやJEITA規格発行活動を行う。ISO/TC213A国内委員会オブザーバメンバー。

・活用実証  重田国啓(しげた くにひろ)
1985年富士ゼロックス株式会社に入社し、ファクシミリ/複写機/複合機の機構設計、主に用紙搬送機構/搬送Timing設計を担当。2007年から、三次元CAD/PDM、設計プロセス改革に従事すると共に社外の標準化活動に参画し、2010年のJEITA三次元CAD情報標準化専門委員会は立ち上げ準備から参加。現在は3Dデータの活用を中心とした分科会/検討会を担当。


〈一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)三次元CAD情報標準化専門委員会の紹介〉
 JEITA三次元CAD情報標準化専門委員会は、日本の主要な電機精密製品製造企業(19社)から構成され、2007年9月に設立された。ツールに依存しない三次元CAD情報を有効に活用する業界標準の確立と、関連業界内に広く普及させていくことで、我が国のものづくり技術の進歩、すなわち設計・製造の革新と高度化を図ることを目的としている。委員会での成果は業界標準(JEITA規格)として制定・発行し、更に、これを広く普及させていくとともに、日本工業標準規格(JIS)への提案、更にはISOにおける国際標準の確立を目指している。本書執筆メンバーは、日本の主要な電機精密製品製造企業において、長年に渡り、3次元設計を企画・推進しているメンバーである。

目次

はじめに

第1章 3次元設計における基本的な考え方
1.1 電機精密製品産業界の課題と3次元CAD導入経緯
1.2 3DAモデルとDTPD
1.3 日本と欧米の機械設計の違い、図面レスと製図レス
1.4 設計情報伝達から考えた3D正運用の定義
1.5 電機精密製品産業界の標準的な製品開発プロセス
1.6 標準的な製品開発プロセスでの3DAモデルの活用

第2章 3次元設計の国際標準化動向

第3章 3DAモデルによる3次元設計
3.1 3DAモデルの定義とスキーマ
3.2 3DAモデルの3次元設計手順(3DAモデルへの設計情報の作り込み)
3.3 板金部品
3.4 組立品
3.5 樹脂成形部品

第4章 3DAモデルを利用したDTPDの作成
4.1 DTPDの定義とスキーマ
4.2 板金加工
4.3 組立
4.4 金型加工・樹脂成形

第5章 DTPDの作成と運用
5.1 機械設計→検図
5.2 機械設計→DR(デザインレビュー)
5.3 機械設計→電気設計
5.4 機械設計→ソフトウェア設計
5.5 機械設計→機械CAE
5.6 機械設計→公差解析
5.7 機械設計→生産製造CAE
5.8 CADデータ管理(設計仕掛り)
5.9 CADデータ管理(出図)
5.10 機械設計→見積り
5.11 機械設計→発注
5.12 機械設計→製造(金型加工・樹脂成形)
5.13 機械設計→製造(板金加工)
5.14 機械設計→製造(機械加工)
5.15 機械設計→部品測定
5.16 機械設計→生産管理
5.17 機械設計→生産・組立
5.18 機械設計→治具
5.19 機械設計→検査(受入検査)
5.20 機械設計→物流(梱包)
5.21 機械設計→保守

第6章 新しいものづくりへの展開
6.1 電機精密製品産業界の多様化
6.2 製造プラットフォーム
6.3 デジタルツイン
6.4 コトビジネスでの3DAモデルとDTPDの役割と効果

おわりに:ものづくりのデジタルトランスフォーメーション(DX)
コラム1 3次元CADの習得
コラム2 様々な3Dデータの利用
コラム3 幾何公差と3Dモデル
コラム4 デジタル連携
コラム5 3Dモデルの設計変更
コラム6 テレワークと設計開発業務

用語及び用語の定義
参考文献

はじめに

 本書は、3次元CADの操作方法の解説書ではない。電機精密製品産業界の3次元設計実践事例を収集し、3D設計情報のモデリングとものづくり工程での活用方法をまとめた実践書である。
 電機精密製品は、白物家電、ヘルスケア、AV、OA、半導体、工場FA、インフラ、交通機器、精密機器、産業機器と多岐に渡る。製品開発スタイル、製品のライフサイクル、開発期間、製品規模、開発規模も多種におよぶ。製品開発は、機能の開発と設計を行い、部品調達をして、自社工場で組み立て、製品を販売する自社完結の形態がほとんどであった。3次元設計手順こそが、電機精密製品製造業各社のノウハウであった。近年では、生産製造委託など、社外サプライヤーへ設計成果物(図面と3Dデータ)を送って作業を代行してもらう場合が増えてきた。更に、他産業界への機能ユニットの供給や共同開発などで、より高度な技術情報を共有する必要が増えてきた。この際に、設計成果物を相手企業の方式に合わせるのは、大きな手間と間違いを発生する。設計成果物はグローバルな規模で標準データでなければ流通せず、設計成果物の構成内容と活用方法は広く共有してこそ、普及する。
 一方、電機精密製品産業界で3次元CADを導入した目的は、設計情報を完全にデジタルデータで表現した3Dモデルを、調達・生産・製造・電気設計・CAEなどの工程で活用して、製品の開発期間短縮や品質向上に繋げることである。3Dモデルの活用方法も、電機精密製品製造業各社のノウハウであった。製造プラットフォーム、工場FAに関わるデジタルツイン、コトビジネス(製造業サービス化)などの新しいものづくりでは、3Dモデルでの商取引が主体となり、設計情報を直接使われることが多くなる。正しく設計情報を作り込まないと、誤った部品の納入や品質問題が発生する。3次元設計を正しく理解し実践するための仕組み(学習や教育)が必要になる。
 そこで、一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)三次元CAD情報標準化専門委員会では、電機精密製品設計の事例を、機械設計者・技術管理者の立場で、調査・分析して、設計情報のデジタルデータ化の方法をまとめて3DAモデル(3DAnnotated Models:3D製品情報付加モデル)として定義した。電機精密製品開発の事例を、各工程の専門家の立場で、調査・分析をして、3DAモデルの活用方法と各工程で使われるDTPD(Digital Technical Product Documentation:デジタル製品技術文書情報)の作成と活用方法をまとめている。
 設計情報を3Dモデルとして完全にデジタルデータで表現して、ものづくりの工程で活用する取り組みが推進されているのは日本だけではない。ヨーロッパ、アメリカ、アジアなど世界各地で進められている。従来から図面(2D図面)、3次元表示、3次元フォーマットの国際標準が制定されてきた。最近ではそれらの標準を整理し、より実務に定着させるため、アメリカでMBD(Model Based Definition)とMBE(Model Based Enterprise)の活動が進められていた。MBDは全ての設計情報を完全にデジタルデータとして定義することである。MBEはMBDを全ての企業およびサプライヤーを含めた活動(生産・製造・計測・物流・販売・保守サービス・顧客評価のフィードバッグ)で活用し、そのメリットを最大限に生かすことである。ものづくりだけでなく、我々の日常生活と社会生活も、ICT技術とデジタルデータにより、大きく変革している。IoT(Internet of Things)とCPS(Cyber-Physical System)に代表される「もののインターネット」による高度な情報利用、Industry 4.0とSmart Manufacturingに代表される高度な製造システムの実現、デジタライゼーションとデジタルトランスフォーメーションに代表される企業活動情報のデジタル化による企業活動改革が起きている。MBDとMBEも、この動きに密接に連携している。
 このような動きの中で、本書は、3D設計情報のモデリング(3DAモデル)とものづくり工程での活用方法(DTPD)をまとめた実践書である。

 第1章では、電機精密製品産業界の特徴と課題を説明し、電機精密製品の3次元設計の中で考えられてきた3DAモデルとDTPDと3D正運用を紹介する。
 第2章では、3DAモデルとDTPDが電機精密製品産業界だけでなく他の産業界、日本だけでなく世界に広く通用するために、3次元設計の国際標準化動向と海外製造業での3次元設計への取り組みを説明する。
 第3章では、3次元設計における完全にデジタル化した設計情報データ群の3DAモデルがどのようなものか、板金部品、組立品、樹脂成形部品の3次元設計手順を通して説明する。
 第4章では、3DAモデルを利用して作成したものづくり工程情報群のDTPDがどのようなものか、板金加工、製品組立、金型加工・樹脂成形のDTPDの作成と活用を通して説明する。
 第5章では、3Dモデルだけでなく様々なものづくりドキュメントを含めて、3DAモデルとDTPDの3D正運用がどのようなものか、電機精密製品の標準な製品開発における21プロセスを通して説明する。
 最後に、第6章で、新しいものづくりで、3DAモデルとDTPDがどのように適用できるか、電機精密製品産業界で起きている製造プラットフォーム、デジタルツイン、コトビジネスでの検討を通して、今後の展望を説明する。
 また、JEITA 3次元CAD情報標準化専門委員会の会合での話題から、いくつかコラムとして紹介する。

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