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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしいSCMの本 第3版

定価(税込)  1,650円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-08102-6
コード C3034
発行月 2020年12月
ジャンル ビジネス 生産管理

内容

内容を全面的に見直し、最新の情報にアップデートした第3版。今やビジネスの常識となった「サプライチェーンマネジメント(SCM)」の基本の基本から最新動向まで、専門的な予備知識がなくとも理解できるようにわかりやすく解説。IoTやAIを活用した「スマートサプライチェーン」も紹介。

鈴木邦成  著者プロフィール

(すずき くにのり)
物流エコノミスト、日本大学教授(物流・在庫管理などを担当)。一般社団法人日本SCM協会専務理事。一般社団法人日本ロジスティクスシステム学会理事。
主な著書に『入門 物流(倉庫)作業の標準化』、『お金をかけずにすぐできる 事例に学ぶ物流現場改善』、『図解物流センターのしくみと実務 第2版』、『新・物流マン必携ポケットブック』、『アジア物流と貿易の実務』、『図解すぐ役に立つ物流の実務』、『国際物流のしくみと貿易の実務』、『図解 物流の最新常識』、『トコトンやさしい物流の本』、『絵解きすぐできる物流コスト削減』、『絵解きすぐわかる産業廃棄物処理と静脈物流』(いずれも日刊工業新聞社)、『物流100問100答』(明日香出版社)、『戦略ウエアハウスのキーワード』(ファラオ企画)、『すぐわかる物流不動産』、『スマートサプライチェーンの設計と構築の基本』(白桃書房)などがある。物流・ロジスティクス・SCM関連の学術論文、雑誌寄稿なども多数。
レンタルパレット大手のユーピーアールの社外監査役も務める。

目次

【第1章】SCMの発達
1 現代企業経営の根幹となるSCM「サプライチェーンの高度化が企業経営を左右」
2 大量生産時代からSCMの時代へ「生産性の向上を重視」
3 アメリカで生まれたSCM「必要なモノを必要なだけ供給」
4 日本式経営からヒントを得たアメリカ産業界「SCMのルーツは「かんばん方式」」
5 SCMはトヨタ生産方式から発展「「在庫を持たない」という原則」
6 SCMの基本概念となる「制約理論」「エリヤフ・ゴールドラットにより生み出された「制約理論」」
7 SCMとは「拡大されたロジスティクス」「ロジスティクスを中心にビジネスプロセスを最適化」
8 現場情報を広く共有「ブルウィップ効果の誘発を回避」
9 さまざまな「サプライチェーン」の考え方を理解!「製造業、卸売業、小売業が状況に応じて起点になる」
10 サプライチェーンの設計を支援「開発・設計から生産、流通、販売、回収に至るプロセスを最適化」
11 需要予測がますます精緻に!「POS情報を活用しての生産計画」
12 サプライチェーン経営の重要性「SCMの視点からの企業活動の必要性」
13 サプライチェーン統括本部の役割「SCMの方向性を検討」
14 SCMにおける在庫管理「在庫削減を効率的に実施」
15 サプライチェーン戦略の強化を支えるKPI管理「課題・問題点を定量的なデータで把握」

【第2章】SCMの基本
16 SCMの基本的なしくみは?「設計開発から販売までの一連の情報を共有」
17 多企業間で情報を共有「生産計画、販売計画の情報などをパートナー企業も共有」
18 キャッシュフローの概念を重視「生産や供給のリードタイムを短縮」
19 スループットの考え方「サプライチェーンの在庫過多を解消」
20 ウィン・ウィンの関係をしっかり構築「サプライチェーン全体の負荷を低減」
21 全体最適の実現が目標「サプライチェーンの課題を総合的に解決」
22 制約条件の発見から改善を実現「サプライチェーンのボトルネックを解消」
23 バッファーを設けることも重要「全体最適をスムーズに実現」
24 スケジューリング手法DBRの活用「制約条件の解消を念頭に、全体の効率化を図る」
25 「在庫は悪」という考え方「安全在庫を可能な限り削減」
26 クラウド時代の到来で進むSCM「リアルタイムでのデジタル化」
27 SCMを推進するDX重視の流れ「サプライチェーンを横断させるデジタルプラットフォームの構築」

【第3章】SCMの導入でこう変わる
28 緻密な情報管理を実践「川上から川下までのエシェロン在庫情報を可視化」
29 「つくりすぎのムダ」を解消「必要なモノを必要なときに調達」
30 戦略的な品質管理を実現「消費者起点の商品開発を推進」
31 高度な商品戦略を展開「品揃えのムリ、ムダ、ムラを解消」
32 ウィン・ウィンの関係を強化「パートナー企業との情報共有を推進」
33 企業はコアコンピタンスを強化「アウトソーシングを戦略的に活用」
34 ビジネスプロセスを円滑化「サプライチェーンのリードタイムを短縮」
35 スループットを重視したコスト削減「スループットの概念を基盤に経営を見直し」
36 期待されるビジネスチャンスの拡大「SCMの基本概念を浸透」
37 グローバル対応のモジュール化を推進「標準化部品の調達を重視」

【第4章】いろいろな業界のSCM
38 製造業の緻密なSCMの構築「垂直総合型のサプライチェーン」
39 水平分業から垂直統合へ回帰「半導体業界のサプライチェーン」
40 流通業界のサプライチェーン「製販一体型の商品開発消」
41 サプライチェーンの司令塔となる物流センター「生産と販売をつなぐ全体最適の戦略拠点」
42 SCMの実働部隊となる物流業界「サプライチェーンで重要度を増すロジスティクス機能」
43 食品サプライチェーンの進化「温度管理・衛生管理の情報共有を徹底」
44 ネット通販起点のサプライチェーン再構築「進むフルフィルメント業務の無人化」
45 サプライチェーンの可視化を推進する医薬品業界「GMP、GDPにより求められる品質保証」
46 物流共同化でサプライチェーンの負荷低減を図る日用品業界「「競争は店頭で、物流は共同で」が合言葉」
47 自動化、無人化を推進するアパレルのSCM「RFIDの活用でサプライチェーンのDX武装」

【第5章】スマートサプライチェーンの設計と構築
48 スマートサプライチェーンの構築「川上から川下までのスマート化を実現」
49 スマートサプライチェーンの推進力となるビッグデータ「文字データだけでなく画像データなども活用」
50 「ブロックチェーン」でSCMの商流を高度化「サプライチェーンの商流の効率化を促進」
51 デジタルサプライチェーンの進展「モノづくりとモノの流れを最適化」
52 SDGsの原動力となるグリーンサプライチェーン「持続可能な開発を実現するための目標を設定」
53 廃棄物処理とリバースチェーン「静脈部門のIT化を推進」
54 工場、倉庫作業での無人化を促進するIoT、AIなどの新技術「AIを搭載したAGVや自動倉庫の導入」
55 広がるロジスティクスドローンの活用の選択肢「サプライチェーンの強化を側面から支援」

【第6章】これからのSCM
56 ますます重要となるクラウドコンピューティングの活用「サプライチェーン上の情報共有のクラウド化」
57 SCMの進化を目指してロボットを活用「サプライチェーンの無人化・自動化を促進」
58 進む工場、物流センター、店舗の無人化「サプライチェーンコンプレックスの構築」
59 サプライチェーンレジリエンスの実践「デュアル化によるリスクヘッジを推進」
60 グリーンサプライチェーンの構築が進む「静脈部分を含めてビジネスプロセスを最適化」
61 リバースチェーンとのリンクが重要に「適正な処理を行い、資源再生化を実現」
62 3Rがリバースチェーンの基軸に「循環型社会の構築がグリーンSCMを推進」
63 自然災害対応のサプライチェーンの「途絶」とBCP対策「救援物資を被災地に迅速、タイムリーに供給」
64 5G時代のサプライチェーンの変革「画像認識システムやモニタリングシステムが充実」
65 サプライチェーンにおけるパンデミック対応機能の強化 「ウィズ/アフターコロナ時代のリスクを回避」
66 サプライチェーンにおけるテレワークの活用「伝票処理、帳票作成などのDXシフトを推進」
67 SCMの高度化に対応できる人材育成「専門性の高い研修プログラムを導入」


コラム
●トヨタの「かんばん方式」の誕生まで
●SCMインフラとしての物流施設
●標準化の導入
●SCMとベイズ統計
●サプライチェーンの維持・強化とリスクマネジメント
●サプラチェーン無人化のカギを握るAGVの活用


参考文献
索引

はじめに

 “サプライチェーンをいかに管理していくか”—すなわちサプライチェーンマネジメント(SCM)の観点から企業の経営や戦略が語られるようになっています。現代の企業経営はいかに高度なSCMを実践していくかにかかっているともいえるでしょう。それでは、そのSCMとはいったいどのようなものなのでしょうか。
 SCMを直訳すれば「供給連鎖管理」となります。「サプライチェーン」とは、ある商品の原材料が調達されてから製造、さらには卸売業、小売業を経て、最終消費者にわたる一連のプロセスを指しています。その一連の流れにかかわる情報を関連する企業間、部署間で共有し、管理(マネジメント)していくのがSCMです。
 SCMの考え方が広まる以前は、調達や生産などの個々の部門が、それぞれの情報を別部門と共有することは必ずしも一般的ではありませんでした。それぞれの部門がそれぞれのやり方で最適化を目指していたのです。これを「部分最適」といいます。しかし、それぞれの部門で最適化を目指しても、「全体最適」が実現されるというわけではないのです。  
 これに対して、SCMでは全体最適が重視されます。調達から販売までのビジネスプロセス全体で、情報を共有し、在庫情報などを可視化し、全体として最適の改善策、効率化策を打ち出すことを可能にするのです。つまりSCMとは部分最適ではなく、全体最適の実現を目指す経営手法なのです。
 SCMの導入は一部の巨大企業に限られたことではありません。さまざまな業界でサプライチェーンが構築され、多くの企業がSCMにかかわるようになってきました。さらに近年は、SCMの導入や構築にIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)を活用する動きも大きくなってきています。また、SCMの基本的な考え方は経済活動やビジネスの現場でも共通の認識として求められるようになってきています。
 たとえばSCMの概念を理解していないと、「在庫は悪」「サプライチェーンの寸断」などといった、背景にSCMの考え方が内包されているビジネス関連の文脈もピンとこないでしょう。ビジネス常識としても「SCMとはなにか」を理解する必要があるのです。もはや、SCMなしではビジネスを語れない時代となったといえるでしょう。SCMを導入しなければ現代経営を進められないといっても過言ではないのです。
 なお、本書は2003年7月に発行された『トコトンやさしいSCMの本』の第3版です。初版の発売から10年以上が経ったことを受け、2014年に発行した第2版では内容を大幅に入れ替え、SCMに関する最新の動きも網羅しましたが、近年のSCMへの注目度を考慮し、今回さらなる改訂を行いました。初版、第2版と同様にSCMについてトコトンやさしく説明することを心がけました。もちろん、基本の基本から話を始め、専門的な予備知識がなくとも、SCMについて正しく理解できるように努めました。
 本書を読むことで、SCMの基本知識が読者のみなさんに自然なかたちでプラスされることと思います。


2020年12月
鈴木 邦成 

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