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金を掛けずに知恵を出す
からくり改善事例集 Part4

定価(税込)  2,530円

編者
サイズ B5判
ページ数 152頁
ISBNコード 978-4-526-08096-8
発行月 2020年11月
ジャンル 電子書籍 生産管理

内容

ロボット活用&自動化ラインの構築が再び進展する中、現場の創意工夫を活かした「からくり」装置で安価に生産効率化を実現する例が増えている。ムダを省き、実利の伴った現場発自慢の改善事例を72本紹介。からくりと共存した最適な設備体系と作業のあり方を示す。


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目次

はじめに 変化のとき――人財育成と強い現場力を実現する「からくり改善」

生産性向上・作業改善(作業改善)
01 紙くずの回収が楽にできるシュレッダー扉の改善
シュレッダー楽(ラク)ッダー
02 フットペダルを踏み込むとラベルがめくれる
ストンプラベラー
03 スナップリングの自動切り出し
こっちが動くんです
04 ねじ7個を片手でワンタッチ定量取り出し
ネジ片手でとれるぞ!
05 低コスト・省スペースでのクリップ自動整列機
SサイズフィーダーPARTⅡ
06 同じ向きで簡単に部品が取り出せる自動送り装置
みぎ向けぇ〜みぎ!!
07 円筒カムを利用してプラグを1個ずつ供給する
夢のメリーゴーランド〜プラグを乗せて〜
08 リンク機構を使って最短動作で部品をとりやすく
おてもと
09 足元の製品が手元で楽にとれる
踏みっこぐらし
10 空容器供給、完成品容器排出、フタを被せるまでワンハンド化
GWシューター
11 アクチュエータ1つでモノの移動を可能にするハンドリングアーム
ロボがっちゃん
12 重量ワークの持ち上げ&離す作業をワンタッチ化
ワン・がっちゃん
13 治具の重量を利用して台車に楽々積載
腰まげーず2号
14 取り出し収納を一定の高さにするリフター収納ボックス
ショコラク
15 払い出されたワークをセットしやすいように自動反転
回しちゃうんです。
16 他の機械の力をためて好きなタイミングで回転
JUST IN 回転
17 クリーンレスで楽々取り外せる専用台車
らっくんだ!
18 成形パネルを人手レスで積み上げ、10枚たまると払い出す
ツム積む

生産性向上・作業改善(搬送)
19 トラック運搬も容易なキャスター
ストップ&ゴーキャスター
20 レバー1本で3つの動作を同時展開する台車
台車IN台車
21 台車に荷物を載せたまま車に積み下ろしができる
腰に愛を 〜コシ LOVE YOU〜
22 大・小プーリーを使って楽に軽くトレーを持ち上げる
楽軽(ラッカル)
23 台車を引くときの作業負荷をアシスト
Pull Pull(プルプル)でGo
24 重い荷物も持ち上げずに運搬・収納ができる
楽々運搬台車
25 停止時は忘れずにストッパーが掛かる台車
ぴたっと君!
26 AGVによる運搬台車のストッパー自動解除
AGV台車ストッパー自動解除
27 台車ストッパーの煩わしさ改善+連結・離脱の連動
我ら3重糸(さんじゅうし)!「One for All,All for One」
28 塗料をこぼさず安全に作業できる運搬台車
ハンモッくん
29 ガイドレスでフレキシブルに走るマグネット誘導式搬送台車
空舟
30 モーターなどの動力を使わず180°回転する部品シュート
180屋(いっぱつや)かずくん
31 段取り替え時間を低減する部品キットの投入シュート
シューター★キット
32 空箱返しのワンタッチ化
蹴ってかえーっしゅ
33 スペースを有効活用したL字形コロコン
シャニ・カマエル
34 設備の動きを利用して部品を昇降フックに掛ける
えぇSねぇ
35 変動ウエイトを使いスピードを調整できるシュート台
マルチスピード自動搬送シュート
36 水圧調整でスピードを制御する無動力パレット返還機
アクアシューター
37 エレカに乗ったまま実/空台車の入れ替えができるシューター
一筆書きシューター
38 AGVの到着と同期して実/空箱を自動供給
Newトントン
39 てこの原理で安全・安心・楽ちん化
安さん、楽さん、助けておやりなさい
40 効率的なライン搬送と作業者の安全な往来を両立
おぉ!そこっ!搬送ないって!
41 搬送レーンへの投入箱の持ち上げ&押し上げ作業を廃止
キットコースター
42 前処理薬品補給に関わる災害リスクの最小化
Rak Tok(楽徳)

生産性向上・作業改善(治具)
43 加工治具・基準書・かんばん・部品の一発同時切り替え
六面回転工作台
44 置いて飛び出る受け台治具レス
でるでるちん
45 バイス台固定方法の時間短縮
いつでもロック
46 外観検査で全方向から自由にワークを確認できる
万能検査台【らくかい?】
47 作業台の角度切り替えによる最適姿勢の実現
膝カックン
48 フェルトを片手でぐるっと360°簡単貼り付け
ぐるっと貼り付け
49 ばね・てこによるゴム部品自動組付装置
ゴム巻き一丁上がり
50 軟弱ベルトをまっすぐ確実に挿入する治具
けいするちゃん
51 ナット溶接機の打点位置合わせを自動化
楽にナット〜

工具改善
52 てことトグル機構を使った5カ所一発組付
ぱっちん 五一
53 ソケットレスで簡単仮付けできる専用装置
上手棒(うまいぼう)

自社開発機器
54 AGVの停止バラツキを吸収するシンプルな充電機構
シャルウィーチャージ
55 バキュームの利用で手袋をカンタン脱着
スゥー、スゥーで手袋脱着
56 マスキング用ロール紙が巻き取るだけで出来上がる!
楽っくんローラー「ソウルレッド号」
57 動力機器の使用を極限まで抑えた安価な高速自動振り分け装置
YOKOHAMA BAY ローラー

安全改善
58 開閉姿に注文の多い製品巻き出し部の安全カバー
すっと・せっと・さー
59 製品運搬台車のロック掛け忘れを防ぐ
パットロック
60 押し込みと旋回操作でワーク研磨作業を安全化
You For Catcher〜あなたの心をわし掴み〜
61 高温溶解炉へスイングアームで調整材を安全に投入
熱湯後支援(ねっとうこうしえん)
62 重筋対策で10kgの引張検査が楽々に
ひっぱりだこ
63 20kgのペール缶を5kgで持ち上げ棚上へ
ひょいっとはん
64 ゼンマイスプリングを利用した重筋作業の改善
トリプルA with バランサー
65 安全を考慮し1アクションで3F(負担・不安・不満)を解消
ワンハンドパレット引き出し装置「まえだくん」
66 1mの高さの釜に15kgの溶剤を簡単投入
かやれーる

省エネ・環境改善
67 収納達人!隙間に収まる工具置き場
すき間つかった棚ぁ〜
68 3Sを実現する手押し台車立体駐車場
私が上に乗りますか!
69 作業台車のゴミ箱が勝手に閉まる!!
勝手にもどるんじゃ〜
70 監視なしでもオーバーフローさせない!タンクの水漏れ防止からくり
新時代へ!!コック猪丸君

目で見る管理
71 溶接ワイヤー残量の見える化
巻くのはワイや〜!!! 釣ったら帰ろ〜【換えろ】
72 廃棄時期の見える化と処理の軽減化!
持たずに測って捨てるンカー

はじめに

変化のとき――人財育成と強い現場力を実現する「からくり改善」

グローバル展開の見直しと国内回帰に必要なモノとは
 2020年に本格化した新型コロナウイルスの感染症拡大は、バブル経済崩壊やリーマン・ショックをはるかに上回る大きな影響をもたらし、全世界でほぼ一斉に多くの製品需要がなくなりました。日本の製造業においてもサプライチェーンが分断され、材料や部品調達が滞り、多くの企業で生産が一部停止しました。サプライチェーンが世界で同時に止まるという初の経験をした企業の中には、グローバル展開の見直しとして生産・調達が一国に集中しない対策や、重要な部品については国内回帰させるなどの動きも出ています。
 しかし、諸外国と比べて生産コストの高い日本に生産を戻すには、卓越したモノづくりを実現しなければなりませんが、そのためには“強い現場力”が不可欠です。一人ひとりのスキルと現場の知恵を高めて競争力を向上させることと、変化に対応するために新しい挑戦をすることが重要です。ここ数年、世界中で「IoT」「ICT」「AI」などの技術革新による「第4次産業革命」が注目され、導入・推進されていますが、最近ではさらにデジタルトランスフォーメーション(DX)を実践して、競争力を確立することが求められています。単に人の作業を機械に置き換えるのではなく、今まで個人に頼っていた“現場力”を「見える化」し、ノウハウを「デジタル化」することにより、他の人でもできるようにすることが重要です。つまり、DX推進のためにも“強い現場力”が必要で、その“強い現場力”を育てるのに役立つのが『からくり改善』だと考えています。

「TPM」と「からくり改善」
 当会が1971年から提唱している「TPM(Total Productive Maintenance:全員参加の生産保全)」活動では、オペレーターの方が中心となり、【自分の設備は自分で守る】を合言葉に「自主保全活動」が行われています。その活動では、日々の生産活動でやりにくい作業や困っている問題を、自らのアイデアで解決するために、日々さまざまな改善が行われています。
 1993年当時、私はTPM活動の普及やTPM優秀賞の審査事務局として、多くの企業を訪問していました。そうした企業の生産現場では、オペレーターの方によるさまざまな改善活動が行われ、素晴らしい成果を上げておられましたが、社内での評価は高いものではありませんでした。これは「もったいない」と思った私は、【現場発の改善作品】を一堂に集めれば全体のレベルアップにつながり、改善を実際に行った人と参加者が意見交換できる「作品展」となれば、もっと大きな成果になると確信して企画・準備を始めました。しかし、実際に出品をお願いするために企業を訪問すると、「なぜ、わが社のノウハウを公開しなければならないのか」「出品するメリットがない」など、作品はなかなか集まりませんでした。
 そんなある日、自動車部品メーカーの専務さんから、「ウチの社員は、自社の他工場の良い改善を真似ようとしない。くふう展に出した作品なら真似をするかもしれない。出品しましょう」と初めて了承をいただきました。これ以降、出品企業も増え、開催の準備が本格化しました。
 また、『からくり改善』というネーミングを決定するまでにはかなり苦労をしました。初めて開催する新しいスタイルの「作品展」のためネーミングは重要と考え、出品のお願いで企業訪問をしている際にもさまざまな方のご意見をお聞きしました。「親しみやすく」「現場が主役」「誰でも取り組みやすい」「日本的であること」をポイントに決めました。このネーミングが、想像していた以上に大きな効果を生み出してくれました。
 「からくり改善くふう展」の案内を各社にお送りすると、すぐに「からくり改善とはどんな改善ですか?」とか「何かを騙す改善ですか?」など、非常に多くのお問合せをいただきました。「騙す改善」とは面白い質問だと思いましたが、少なくとも興味を持っていただけたことがわかり、上手くいくような予感がこのとき初めてしました。
 作品募集以外にも、レイアウトの作成や電気・エアーの確認と手配など今まで経験のないことも多く、開催までにはさまざまな苦労がありましたが、1994年3月に名古屋市で「第1回からくり改善くふう展」を開催することができました。出品社数53社、作品数474作品、参加者数3,500人と当初予想を大きく上回る規模の「作品展」となりました。おかげさまで、2019年度までに名古屋市で14回、東京都と横浜市で10回の合計24回を数えました。延べの出品社数1,236社、作品数6,559作品、参加者数118,530人に達しています。

日本から海外へ 〜第1回アジアからくり改善くふう展の開催
 「わが社の海外工場にもからくり改善を導入・展開したい」という企業のご要望により、2019年2月14〜15日に「第1回アジアからくり改善くふう展」をタイ・バンコクで開催しました。初の海外開催でしたが、日系企業27社より87作品を出品いただき、2日間の延べ参加者は3,323人を数えました。くふう展の初日には、後援いただいた在タイ日本国大使館、タイ工業省、バンコク日本人商工会議所、出品企業の代表者と当会の土屋会長によるテープカットを行いました。会場内は日本と同様に、作品説明者と参加者による熱心な意見交換が行われていました。中には、座り込んで作品をスケッチする人もいたほどです。その方に聞くと、「私は会社から選ばれてここに来ました。ここで学んだことを今後、社内で教えます」と目を輝かせて話をしてくれました。
 終了後に出品企業にアンケートを実施しましたが、「続けて出品したい。毎年開催してほしい」「今まであまり他社の改善を見る機会がなかったので大変うれしい」という前向きな回答を多くいただきました。そこで、翌2020年2月6〜7日に前回と同じタイ・バンコクで「第2回アジアからくり改善くふう展」を開催しました。残念ながら景気の減速もあり参加者は減少しましたが、作品は前回より多い30社から118作品を出品いただき、大変な盛り上がりとなりました。作品のレベルは前回より上がり、参加者の意識もさらに高まっていました。「日本の製造業も頑張らないと抜かれてしまう」と本気で思ったほどです。

「からくり改善」の原点は「楽に作業できること」
 『からくり改善』の多くは、日本古来の「からくり人形」に見られるような原理(メカニズム)である「てこ」「カム」「クランク」「ギヤ」「リンク装置」「ゼネバストップ」などを利用した、手づくりでお金をかけない改善です。導入・推進すれば、品質向上や生産性向上、故障低減、チョコ停低減、保全性・安全性向上、段取り替え・調整時間の短縮、刃具交換時間の短縮、部品供給や運搬・搬送効率の向上、原単位の効率向上、騒音低減、省エネルギーなどに大きな成果が得られ、オペレーターの方も【楽に・早く・楽しく】仕事ができるようになります。
 与えられた設備は、複雑でブラックボックス化している場合が多く、故障してもすぐに直すことはできませんが、自分たちでつくった『からくり改善』は自分たちで直せます。直せるから、進化させることができるのです。さらに、「生まれの良い設備づくり」「LCA(ロー・コスト・オートメーション)」、すなわち設備の低コスト化にも大きく寄与できます。
 『からくり改善』は、知恵と工夫が主役の活動ですから、あらゆる現場で手軽に導入・実施できます。ここ数年で、『からくり改善』は確実に多様化しています。今後も「進化」と「深化」をさせなければなりませんが、そのためには活動を継続することと、時代に合った『からくり改善』を実施することが大切です。たとえば、女性や高齢者でも【楽に安全に】作業が行えるようにするための改善や、現在の製造現場では不可欠な存在となったIoTやICT、DXと『からくり改善』を融合させることで、新たな改善事例が誕生すると思います。
 また、「からくり改善くふう展」は、良い交流の場であると同時に競争の場にもなっています。今後は、製造業以外の医療・農業・サービス業などのみなさんにも参加をしていただき、あらゆる産業に『からくり改善』が普及し、知恵と工夫で生産性を高め、働きやすい環境になることを期待しています。
 『からくり改善』の原点は、「効率化」ではなく「楽」に作業ができることです。「やりにくい」作業を改善したり、自身が日常作業の中で困っている問題を自らのアイデアで解決したりすることから始まるのです。まず、他の人の作品を見て【真似る】ことから始めてください。
 最後になりますが、2009年に初めて「からくり改善事例集」を日刊工業新聞社から出版しました。その後、2014年にPart2、2017年にはPart3、そして今回、Part4を出版することができました。毎回の出版に際して、大変貴重な事例をご提供いただきました『からくり改善』の先進企業様に改めて深く感謝を申し上げます。

2020年10月
公益社団法人 日本プラントメンテナンス協会
専務理事 鈴 置 智


※「からくり改善」は、公益社団法人 日本プラントメンテナンス協会の登録商標です

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