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エレクトロニクス実装のためのマイクロ接合科学

定価(税込)  3,190円

著者
著者
サイズ A5判
ページ数 208頁
ISBNコード 978-4-526-08093-7
コード C3054
発行月 2020年10月
ジャンル 電気・電子

内容

エレクトロニクス実装にかかわる初級から中級技術者に向け、ソルダリング技術の基本である接合界面反応とソルダリング材料について解説する本。基礎的な技術を応用力に発展できるレベルまで丁寧に指南する。演習問題などを含め、理解度を確認しながら学べる内容となっている。

荘司郁夫  著者プロフィール

(しょうじ いくお)
1992年3月 京都大学大学院 工学研究科 金属加工学専攻 修士課程修了
1992年4月 日本アイ・ビー・エム株式会社 野洲研究所
1998年9月 大阪大学大学院 工学研究科 生産加工工学専攻 博士後期課程修了
2000年6月 群馬大学工学部
2002年6月~9月 オープン大学(イギリス)客員研究員
2009年4月 群馬大学大学院 教授
博士(工学)(大阪大学)

福本信次  著者プロフィール

(ふくもと しんじ)
1995年3月 大阪大学大学院 工学研究科 博士後期課程修了
1995年4月 姫路工業大学 工学部
2002年5月~2004年3月 ウォータールー大学(カナダ)在外研究員
2004年4月 兵庫県立大学大学院
2009年5月 大阪大学大学院
博士(工学)(大阪大学)

目次

【第1章】 エレクトロニクス実装の概要
1.1 エレクトロニクス実装の歴史と展望
1.2 エレクトロニクス実装の階層
1.3 エレクトロニクス実装で用いられる接合プロセス

【第2章】 エレクトロニクス実装に関わる熱と温度
2.1 熱と温度の重要性
2.2 伝 熱
2.2.1 熱の伝わり方
2.2.2 熱伝導
2.2.3 対流伝熱
2.2.4 ふく射伝熱
2.2.5 熱伝導の基礎方程式
2.2.6 定常熱伝導と非定常熱伝導
2.3 熱回路と等価回路
2.3.1 定常状態
2.3.2 非定常状態
2.4 温度に依存した物理現象および物性
2.4.1 物質の大きさ
2.4.2 温度依存性のある物性
2.5 温度測定
2.5.1 熱電対
2.5.2 放射温度計
第2章の演習問題

【第3章】 エレクトロニクス実装における接合界面反応の基礎
3.1 原子の結合と結晶構造
3.1.1 原子の結合
3.1.2 結合エネルギーと原子間距離
3.1.3 結晶構造
3.1.4 ミラー指数
3.1.5 格子欠陥
3.2 合金状態図
3.2.1 合金の形態
3.2.2 二元系合金の平衡状態図
3.3 溶融はんだの固体表面へのぬれ
3.4 溶融はんだ中への母材金属の溶解
3.5 金属固体内の原子の拡散
3.6 溶融はんだの凝固
3.6.1 核生成
3.6.2 凝固組織の成長
3.6.3 偏析(ミクロ偏析)
3.7 回復と再結晶
3.8 金属の強化機構
第3章の演習問題

【第4章】 エレクトロニクス実装用材料
4.1 はんだ(ソルダ)
4.1.1 はんだ材料
4.1.2 はんだの不純物管理
4.1.3 フラックス
4.1.4 ソルダペースト
4.1.5 やに入りはんだ
4.2 ナノ粒子
4.3 ボンディングワイヤ
4.4 接着剤
4.4.1 非導電性接着剤
4.4.2 導電性接着剤
4.5 電極材料
4.6 表面処理(めっき)
4.6.1 めっき方法
4.6.2 めっきの種類

【第5章】 エレクトロニクス実装接合部の品質・信頼性
5.1 ミクロ組織観察および分析手法
5.1.1 ミクロ組織観察
5.1.2 表面分析手法
5.1.3 X線回折法
5.2 信頼性因子
5.2.1 素因と誘因
5.2.2 信頼性試験(加速試験)
5.2.3 信頼性因子と評価式
5.2.3.1 熱機械的信頼性(静的破壊・熱疲労破壊・クリープ破壊・振動破壊)
5.2.3.2 電気・化学的信頼性(腐食・マイグレーション・エレクトロマイグレーション)
5.2.3.3 その他の信頼性および複合因子による信頼性
5.3 信頼性設計
5.3.1 応力とひずみ
5.3.2 熱応力と残留応力
5.3.3 熱疲労信頼性の信頼性設計
5.3.3.1 信頼性評価試験手順
5.3.3.2 加速係数
5.3.3.3 取得データの統計処理
5.3.3.4 ワイブル分布を利用したデータ整理手法
5.3.3.5 有限要素解析
第5章の演習問題

誤差関数表
章末演習問題の略解
索 引
著者略歴

執筆担当
荘司郁夫 第1章、第3章、第5章(5.1を除く)
福本信次 第2章、第4章、第5章の5.1

はじめに

 日本のエレクトロニクス産業は、パーソナルコンピュータ(PC)、デジタル家電および携帯電話やスマートフォンなどの携帯情報端末などを代表製品として、それらの小型化、高速化、大容量化、高機能化を進展させながら大きく発展してきた。近年では、情報通信機器に限らず、自動車などの輸送機器の制御など、あらゆるエレクトロニクス製品の高機能化、小型化が展開されている。特に、今後はSociety 5.0の実現に向け、次世代ネットワーク、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)およびAI(人工知能)の活用が期待され、各種センサ、通信機器、分析機器などエレクトロニクス製品がその実現の鍵を握る。これまでエレクトロニクス製品の発達とともに進展してきた実装技術は、今後のエレクトロニクス製品の発展およびそれらの品質・信頼性を支える非常に重要な技術である。
 エレクトロニクス実装分野の研究開発に必要な基礎学理は、材料工学、機械工学、電気・電子工学など多岐の学問領域にわたるため、大学の教育体制では体系的な教育プログラムが整っているとはいいがたい。さらに、近年自動車分野で進行しているマルチマテリアル化がエレクトロニクス製品においても重要技術となっており、金属材料に限ることなく、有機材料、無機材料、高分子材料を複合化した材料や構造の検討も必要になっている。
 そのような背景のもと、本書は、エレクトロニクス実装分野の技術開発に必要な基礎知識を学ぶ必要がある若手技術者を対象とした。各章の内容は大学の理系学部生の初年次教育レベル(大学1年生レベルの化学・物理を学んだ学生)から理解できるものとし、各分野のエッセンスをまとめている。エレクトロニクス実装分野の基礎学理を体系的に学ぶという点では、大学院の講義や関連教育セミナーにも使用できる内容となっている。また、本書はエレクトロニクス実装技術に必要な基礎学問をまとめたが、それらは他のモノづくり技術に対しても応用可能な内容となっている。
 第1章では、エレクトロニクス実装の歴史と展望を概説し、エレクトロニクス実装の階層および各階層で使用される接合プロセスについて述べた。第2章では、エレクトロニクス実装にかかわらずモノづくりの加工プロセスや製品の信頼性保証に必要となる熱に関して、伝熱、熱回路、材料物性の温度依存性および温度測定の基礎について述べた。第3章では、接合界面反応に関して、はじめに原子の結合と結晶構造の基礎から合金状態図について説明した。引き続き、エレクトロニクス実装のはんだ接合部の形成にかかわるぬれ、溶解、拡散、凝固現象について述べた。また、金属材料の熱処理に関連する回復と再結晶および金属の強化機構についても解説した。第4章では、エレクトロニクス実装用材料について概説し、電極材料の表面処理方法としてのめっきについても述べた。第5章では、接合部のミクロ組織観察および分析方法を説明した後に、接合部の信頼性設計手法を述べた。はんだ接合部を対象として、信頼性因子と評価式を概説し、信頼性評価に必要な加速試験、取得データの統計的処理手法について述べ、熱疲労寿命の信頼性評価手法を紹介した。
 また、2章、3章および5章の章末には、学習内容の理解を深めるために演習問題も準備した。
 エレクトロニクス実装分野を学ぶ学生および若い技術者の方々にとって、本書が座右の書となり、既存材料および生産技術の限界を突き破る新技術の発展の一助となれれば幸いである。
 最後に、本書の執筆に際し、貴重なご意見を頂いた方々、参考にさせていただいた多くの名著・文献の著者の方々に謝意を表する。また、本書の出版に際し、ご理解ご支援を頂き貴重なご意見を頂いた日刊工業新聞社の皆様にも謝意を表する。

2020年10月
著者一同

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