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わかる!使える!機械加工入門
<基礎知識><段取り><実作業>

定価(税込)  1,980円

著者
サイズ A5判
ページ数 176頁
ISBNコード 978-4-526-08091-3
コード C3053
発行月 2020年10月
ジャンル 機械

内容

機械加工は、工業製品を作るために欠かせない加工技術。精度の高い加工品を作るためには、機械の操作を覚えるだけではなく、加工の仕組みを理解し、出来上がりをイメージすることが大切である。本書では機械加工の原理、加工時の段取り、加工で起こる現象について解説する。

澤 武一  著者プロフィール

(さわ たけかず)
芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 教授
博士(工学)、テックマイスター、ものづくりマイスター
1級技能士(機械加工職種、機械保全職種)

1977年 滋賀県生まれ
2004年 国家検定1級技能士取得(機械加工職種、機械保全職種)
2005年 熊本大学大学院修了 博士(工学)
2014年 厚生労働省 ものづくりマイスター認定
2019年 厚生労働省 テックマイスター認定
2020年 芝浦工業大学 教授
専門分野:固定砥粒加工、臨床機械加工学、機械造形工学

著書 ・わかる!使える!作業工具・取付具入門<原理><使い方><勘どころ>
・わかる!使える!マシニングセンタ入門<基礎知識><段取り><実作業>
・今日からモノ知りシリーズ「トコトンやさしい工作機械の本」第2版(共著)
・今日からモノ知りシリーズ「トコトンやさしいNC旋盤の本」
・今日からモノ知りシリーズ「トコトンやさしい切削工具の本」
・今日からモノ知りシリーズ「トコトンやさしいマシニングセンタの本」
・今日からモノ知りシリーズ「トコトンやさしい旋盤の本」
・目で見てわかる「スローアウェイチップの選び方・使い方」
・目で見てわかる「ドリルの選び方・使い方」
・目で見てわかる「使いこなす測定工具」―正しい使い方と点検・校正作業―
・目で見てわかる「ミニ旋盤の使い方」
・目で見てわかる「エンドミルの選び方・使い方」
・目で見てわかる「研削盤作業」
・目で見てわかる「機械現場のべからず集」―研削盤作業編―
・目で見てわかる「フライス盤作業」
・目で見てわかる「機械現場のべからず集」―フライス盤作業編―
・目で見てわかる「機械現場のべからず集」―旋盤作業編―
・目で見てわかる「旋盤作業」
・絵とき 続「旋盤加工」基礎のきそ―スキルアップ編―
・絵とき「フライス加工」基礎のきそ
・絵とき「旋盤加工」基礎のきそ
・基礎をしっかりマスター「ココからはじめる旋盤加工」
・目で見て合格 技能検定実技試験「普通旋盤作業2級」手順と解説
・目で見て合格 技能検定実技試験「普通旋盤作業3級」手順と解説
映像作品 ・日刊工業新聞社 教育用映像ソフト 金属切削の基礎 上巻、下巻
・日刊工業新聞社 教育用映像ソフト 旋盤加工の基礎 上巻、下巻
・日刊工業新聞社 教育用映像ソフト チップの選び方 上巻、下巻
・日刊工業新聞社 教育用映像ソフト フライス加工の基礎 上巻、下巻
・日刊工業新聞社 教育用映像ソフト 研削加工の基礎 上巻、下巻
・日刊工業新聞社 教育用映像ソフト 工具研削の基礎 上巻、下巻
・日刊工業新聞社 教育用映像ソフト ドリルの選び方 上巻、下巻

いずれも日刊工業新聞社発行

目次

第1章
機械加工の原理・原則と工作機械の種類
1 機械加工の原理・原則
1.機械加工とは?(形をつくる方法の種類)
2.知っておきたい業界用語・10
3.切削とは?(「切る」と「削る」の相違点)
4.切削力と切削抵抗
5.切削熱
6.切断とせん断
7.理想粗さと実際の粗さ(母性原理)
8.切削工具の切れ味とは?
9.切りくずの種類
10.切りくずからわかる情報(切りくずは大切な情報源)
11.2次元切削と3次元切削
12.強制切込み加工と圧力転写加工(その1)
13.強制切込み加工と圧力転写加工(その2)
2 工作機械の種類
14.マザーマシンとは?
15.代表的な工作機械(その1)
16.代表的な工作機械(その2)
17.代表的な工作機械(その3)
18.NC工作機械(数値制御工作機械)
19.工作機械の構造、原理、特徴

第2章
段取り(切削工具、といし、治具、測定具、加工準備と工程、金属材料の種類)
1 切削工具と研削工具
1.切削工具材質の種類と基本特性
2.切削工具材質の歴史と分類
3.切削工具材質(その1)炭素工具鋼、合金工具鋼、高速度工具鋼
4.切削工具材質(その2)超硬合金
5.切削工具材質(その3)超微粒子超硬合金とサーメット
6.切削工具材質(その4)コーティング、セラミックス
7.切削工具材質(その5)CBN、ダイヤモンド
8.切削工具の種類(その1)ドリル、バイト
9.切削工具の種類(その2)正面フライス
10.切削工具の種類(その3)エンドミル
11.旋削工具と転削工具(単刃と多刃)
12.チップブレーカと切りくずの形状
13.普通といし
14.超砥粒ホイール
2 ツーリングと治具
15.ツーリング(その1)
16.ツーリング(その2)
17.ツーリング(その3)
18.治具(その1)マシンバイス
19.治具(その2)チャック
20.治具(その3)電磁チャックと永久磁石チャック
3 測定具
21.スケールとノギス
22.マイクロメータ
4 金属材料の種類
23.合金元素とミルシート

第3章
加工条件と加工現象
1 切削条件と研削条件
1.回転数と切削速度
2.送り量と送り速度
3.切込み深さ(最大切込み深さと仕上げ代)
4.研削条件
5.形直しと目直し(ツルーイングとドレッシング)
2 加工形態と加工現象
6.上向き削り(アップカット)と下向き削り(ダウンカット)
7.突き出し長さとたわみ
8.溶着、加工硬化、加工変質層
9.切削工具の摩耗と損傷
10.切削抵抗とびびりの関係

第4章
最新工作機械と機械加工を助ける技術
1 最新工作機械
1.5軸制御マシニングセンタ(多軸制御工作機械)
2.パラレルリンク形マシニングセンタ
3.スカイビング加工機
4.旋盤ベース複合加工機
5.グラインディングセンタ
6.インクリメンタルフォーミング(マシニングセンタを使った塑性加工)
7.超精密旋盤(ナノ加工機、非球面加工機)
8.超精密研削盤
9.微細加工機(高速スピンドル、全軸リニアモータ駆動)
10.大型工作機械(その1)プラノミラー、5面加工機
11.大型工作機械(その2)翼面加工機、立て旋盤、ターンミラー
12.マイクロ工作機械
13.複合加工機(その1)切削と金属積層造形の融合
14.複合加工機(その2)切削加工と摩擦撹拌接合
15.トランスファマシン(専用加工機)
16.ねじ研削盤
17.工具研削盤
18.ホーニング盤
19.高精度切断機(外周刃、内周刃、マルチブレード、ワイヤソー)
20.超音波加工機
21.3Dプリンタ(積層造形機)
2 機械加工を助ける技術
22.つながる工作機械(IoT)
23.誰でも使える工作機械(AI)
24.切削油剤・研削油剤の供給方法
25.進化するCAM

コラム
・切りくずはなぜ熱くなる?
・平坦化・平滑化加工の需要拡大

参考文献
索引

はじめに

機械加工は単純に操作を覚えるだけでは所望の寸法精度や表面粗さを得ることはできません。切れ刃が工作物を削り取る原理をしっかり理解し、削り取るときに何が起こっているのか、どのようなことが起こり得るのかをイメージすることが大切です。刃先で発生している現象を頭の中で想像できることが一流への扉といえます。
もう少し具体的な内容に踏み込むと、機械加工は工作機械を使って切削工具と工作物を相対運動させ、切削工具の刃先形状を工作物に転写する運動転写原理に基づきます。したがって、寸法精度や表面粗さは切削工具と工作物の相対運動の運動精度に依存することになり、転写誤差は運動精度が支配的な要因になります。つまり、工作機械の運動精度が高く、切削工具の摩耗が小さいほど理想的な寸法精度、表面粗さを得ることができます。
いかがでしょうか、はじめての方には少し難しい内容だったかもしれませんが、機械加工の入り口が見えてきたと思います。「知識」を付けると「意識」が上がり、「景色」が変わります。知識を付けることにより、知識がない時には見えていなかったものが見えるようになります。見えていないというのはピントが合っていない写真の背景のようなもので、目には入っているが気に留めなかったものという意味です。たとえば、切削工具の材質を知らなかったときには切削工具の形状には気を留めますが、材質には気を留めないでしょう。しかし、切削工具にいろいろな材質があることを知ると、これはどのような材質なのだろうかと意識するようになり、気に留めるようになります。つまり、見えるものが変わります(景色が変わります)。
このように、まずは知識を付けることが大切ですが、仕事(実務)では「知っていて、できる」ことが大切です。「知っている」と「できる」は違います。知っていてもできなければ実務に反映されません。知識は使える知識でないと意味がないのです。既刊の多くの書籍は理論や理屈に偏っており、このような書籍では知識を得ることができますが、それは「固まった知識(実務で使えない知識)」で、「柔軟な知識(実務で使える知識)」ではありません。機械加工は歴史の深いある程度成熟した技術ですから、問題が発生した場合、潜在的に知っている知識で解決できることが多いのですが、問題の発生理由と対策方法が知識とリンクしないという事例も多くあります。すでに機械加工に従事されている方には問題に対する解決方法が見つかった時、解決方法を知った後に「なんだ、そういうことか……」と頭の中で思ったことがある人も多いのではないでしょうか。
このような観点から、本書はこれまで発刊されている書籍と異なり、機械加工・工作機械を原理から理解し、理想的な機械加工とは何かを考え、正確・迅速な段取り、正しい測定に必要な知識、入門として知っておきたい加工精度への影響因子と注意ポイント、新しい工作機械について解説しています。本書は単純に知識をつけるための書籍ではなく、実務書として現場に即した内容をまとめており、柔軟な知識(使える知識)を習得できる内容、職業人としての目線を養えるような中身になっています。本書が読者の方々の実務の一助になれば著者として嬉しく思います。
最後になりましたが、本書を執筆する機会を与えていただきました日刊工業新聞社の奥村功さま、岡野晋弥さま、執筆、編集、校正に際し、ご懇篤なご指導、ご鞭撻をたまわりましたエム編集事務所の飯嶋光雄さまにお礼申し上げます。

2020年10月 澤 武一

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