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技術大全シリーズ
塗料大全

定価(税込)  3,960円

著者
サイズ A5判
ページ数 368頁
ISBNコード 978-4-526-08082-1
コード C3043
発行月 2020年09月
ジャンル 化学

内容

塗料を作る立場の初心者から中堅技術者のために、塗料の設計や製造、トラブル対応の考え方などを総合的に解説。実用に堪える性能を持った塗料を作るための情報を紹介する。実際の塗料配合や顔料分散配合のモデル配合を示すことでイメージをつかみやすくしている。

小林敏勝  著者プロフィール

(こばやし としかつ)
1980年 京都大学大学院工学研究科工業化学専攻修士課程 修了
同年 日本ペイント株式会社 入社
1993年 京都大学博士(工学)「塗料における顔料分散の研究」
2000年~ 岡山大学大学院自然科学研究科 非常勤講師(2000年度のみ)
2002年~ 社団法人色材協会理事
2002~2005年 色材協会誌編集委員長
2010年 社団法人色材協会 副会長 関西支部長
2010年~ 東京理科大学理工学部 客員教授
2010年 日本ペイント株式会社 退職
2011年 小林分散技研 代表
2014~2017年 一般社団法人色材協会 副会長 関西支部長
2018年~ 一般社団法人色材協会 名誉会員 監事

1989年 色材協会賞 論文賞、1997年 日本レオロジー学会賞 技術賞、
1998年 色材協会賞 論文賞、2009年 大阪工研協会 工業技術賞

●主な著書

「わかる!使える!塗料入門」日刊工業新聞社、2018年
「きちんと知りたい粒子分散液の作り方・使い方」日刊工業新聞社、2016年
「きちんと知りたい粒子表面と分散技術」日刊工業新聞社(共著)、2014年
「塗料における顔料分散の考え方・進め方」理工出版、2014年

目次

第1章 塗料の機能と構造
1.1 塗料の機能
1.2 塗料の構成成分
1.3 塗料と塗膜の構造
1.4 塗装の方法

第2章 塗料用樹脂
2.1 ポリエステル樹脂(アルキド樹脂)
2.2 アクリル樹脂・ビニル樹脂
2.3 エポキシ樹脂
2.4 メラミン樹脂
2.5 ポリイソシアネート
2.6 ポリウレタン樹脂
2.7 フッ素樹脂
2.8 シリコーン樹脂
2.9 各種変性樹脂
2.10 分散型樹脂
2.11 樹脂の性質を示す主な指標

第3章 バインダーシステム
3.1 熱可塑性バインダーシステムと熱硬化性バインダーシステム
3.2 常温で硬化する1液型バインダーシステム
3.3 常温で硬化する2液型バインダーシステム
3.4 加熱して硬化させる1液型バインダーシステム
3.5 光を照射して硬化させるバインダーシステム
3.6 分散型樹脂を用いたバインダーシステム
3.7 強靭な塗膜を作るバインダーシステム

第4章 塗料用顔料
4.1 塗料用顔料概論
4.2 有機着色顔料
4.3 無機着色顔料
4.4 カーボンブラック
4.5 光輝顔料
4.6 体質顔料
4.7 防錆顔料
4.8 塗料・塗膜の光学的性質と顔料
4.9 顔料補強効果
4.10 顔料の表面処理
4.11 顔料を使用する上で知っておくべき性質

第5章 溶剤の選択
5.1 塗料における溶剤の役割
5.2 溶解性パラメーター(溶かす・混ぜるを考える時の指標)
5.3 表面張力(濡れる・ハジくを考える時の指標)
5.4 蒸発速度と沸点
5.5 溶剤としての水の特異性

第6章 添加剤
6.1 添加剤とは
6.2 顔料分散剤
6.3 増粘剤
6.4 表面調整剤
6.5 皮張り防止剤の作用機構と効果
6.6 艶消し剤
6.7 紫外線吸収剤
6.8 光安定剤
6.9 防腐剤・防カビ剤・防藻剤の機能と使い方

第7章 塗料の配合設計
7.1 配合設計の基本的な考え方
7.2 有機溶剤塗料系における配合設計の具体例
7.3 環境対応塗料とその配合設計
7.4 塗膜の被塗物への密着と塗料設計

第8章 顔料分散設計
8.1 塗料製造における顔料分散
8.2 塗料における顔料分散設計の基本的な考え方
8.3 顔料分散の評価
8.4 有機溶剤塗料における顔料分散
8.5 水性塗料系における顔料分散
8.6 顔料分散配合の決定

第9章 塗料の製造工程
9.1 塗料製造工程の概要
9.2 前混合工程
9.3 顔料分散工程
9.4 溶解工程
9.5 調色作業と原色
9.6 粉体塗料の製造

第10章 塗料と塗膜の評価法
10.1 顔料分散度
10.2 粘度
10.3 安定性
10.4 塗膜の視覚特性
10.5 塗膜の機械的性質
10.6 塗膜の化学的性質
10.7 塗膜の長期耐久性

第11章 塗料の不具合現象とその対策
11.1 塗料の製造・保管で生じる不具合現象
11.2 塗装・硬化時に生じる不具合現象
11.3 塗膜劣化

第12章 塗料と塗装に関係する法令
12.1 塗料と塗装に関係する主な法令
12.2 SDSとラベル
12.3 法規制と塗料の配合設計

索引

はじめに

 塗料産業は、近代社会の幕開けとともに誕生し、合成化学や高分子化学の発展とともに、技術的進化を遂げ、塗料はその時代の重要な機械や装置、社会インフラに塗装されてきた。塗料を塗装する目的は、被塗物を錆、腐食、風化、脆化などの劣化現象から保護し、光沢や色彩、意匠性などの美観を被塗物表面に付与することである。
 塗装や塗膜を使う立場から塗料の解説をした書籍は種々あるが、塗料を作る立場で、材料や技術を総合的に解説した書籍はあまり見かけない。
 著者は先に日刊工業新聞社から、基本的かつ初歩的であるが、塗料を作る立場から、樹脂、顔料、溶剤、添加剤など各種塗料材料の機能や種類、特徴、それらの選択や組み合わせ方について平易に解説した書籍「わかる!使える!塗料入門」(以下、前著)を上梓させていただいた。
 今回、再び、日刊工業新聞社より「大全」シリーズの一冊として、本書「塗料大全」執筆の機会をいただいた。執筆にあたり真っ先に考えたのが、前著との違いを如何に持たせるかということである。
 まず前著が、基本的、入門書的な事項を中心としており、実用に耐える性能を持った塗料を作るための情報が乏しかったのに対し、本書では、初心者から中堅技術者向けに、ある程度実用にも耐える塗料の設計や製造、トラブル対応が可能なレベルの情報や考え方を提供することを主眼とした。このため、前著に比べて各項目を詳述するとともに、実際の塗料配合や顔料分散配合について、モデル配合ではあるが具体例を示すことにより、大まかなイメージをつかめるようにした。
 さらに、前著ではシリーズ全体を通じての章立てが決まっており、その制約から、基礎知識、設計、製造という大枠の中に、各項目を分割して当てはめるという流れになっていたが、本書ではオーソドックスではあるが、塗料の構成成分ごとの章立てにするとともに、例えば、樹脂各論から、樹脂が構成するバインダーシステム、さらにバインダーシステムと顔料と溶剤からなる塗料システムというように、構成成分から塗料というシステムが組み上がる流れをイメージできるよう心掛けた。
 昨今は、塗料だけに限らず、有害原材料を含有した環境負荷の大きい製品のユーザーへの提供が、化審法や化管法などで厳格に規制されるようになっている。また、生産現場や製品の使用現場(塗装現場)における、作業者の安全や健康保護に対する法的規制が厳しさを増しており、本書でも、知っておくべき主な法令を取り上げて解説するとともに、塗料の設計と製造、ユーザーへの商品提供の際に留意すべき事項を示した。
 塗料の配合の設計と製造に際しては、高分子化学、有機反応論、合成化学、物理化学、コロイド化学、界面化学、レオロジー、分析化学、色彩化学、感性工学、化学工学など、多様な学問領域の知識が必要とされる。これから塗料作りに携わる方々には、上記の学問分野の知識を広く習得していただきたい。その上で、本書がその足掛かりになれば幸いである。
 最後に、本書を執筆する機会をご恵与賜りました、日刊工業新聞社出版局に感謝するとともに、執筆内容の構成において種々のご助言をいただきました出版局の木村文香様に厚く御礼申し上げる。

2020年9月
小林敏勝

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