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図解!わかりやすーい強度設計実務入門
基礎から学べる機械設計の材料強度と強度計算

定価(税込)  2,200円

著者
サイズ A5判
ページ数 168頁
ISBNコード 978-4-526-08080-7
コード C3053
発行月 2020年09月
ジャンル 機械

内容

強度設計に必要な材料力学の基礎、強度計算の基本と例題、材料の基準強度の考え方、実務で使える強度設計の事例など、機械設計の入門者から現場実務者にまで役に立つ内容をわかりやすく解説する入門書。実務ですぐに使えるように公式集やチェックリストも巻末に掲載している。

田口宏之  著者プロフィール

(たぐち ひろゆき)
1976年長崎県長崎市生まれ。田口技術士事務所代表。技術士(機械部門)。

九州大学大学院修士課程修了後、東陶機器㈱(現、TOTO㈱)に入社。12年間の在職中、ユニットバス、洗面化粧台、電気温水器等の水回り製品の設計・開発業務に従事。金属、プラスチック、ゴム、木質材料など様々な材料を使った製品設計を経験。また、商品企画から3DCAD、CAE、製品評価、設計部門改革に至るまで、設計業務に関するあらゆることを自らの手を動かして実践。それらの経験をベースとした講演、コンサルティングには定評がある。
2015年、福岡市に田口技術士事務所を開設。中小製造業やスタートアップ企業へ、製品立ち上げや人材育成の支援などを行っている。
毎月十万人以上が利用する製品設計者のための情報サイト「製品設計知識」の運営も行っている。
「製品設計知識」 https://seihin-sekkei.com/

目次

第1章 強度設計とは
1―1 強度設計とは何か?
1―2 強度設計技術向上の効果
1―3 強度設計を行う上で考慮すべきポイント
Column 1 狩野モデル

第2章 強度設計に必要な材料力学の基本はたったこれだけ
2―1 単位
2―2 力について⑴
2―3 力について⑵
2―4 力のつり合い
2―5 モーメント
2―6 モーメントのつり合い
2―7 支持条件
2―8 荷重
2―9 応力
2―10 ひずみ
2―11 ポアソン比
2―12 フックの法則
2―13 工業材料の弾性係数
2―14 線膨張係数
2―15 静定問題と不静定問題
Column 2 重心と図心

第3章 基本的な強度計算の方法
3―1 引張荷重と圧縮荷重⑴ 基本的な強度計算式
3―2 引張荷重と圧縮荷重⑵ 簡単なトラス構造
3―3 熱応力
3―4 曲げ荷重⑴ はりの強度計算の進め方
3―5 曲げ荷重⑵ はりの種類
3―6 曲げ荷重⑶ 曲げモーメント1
3―7 曲げ荷重⑷ 曲げモーメント2
3―8 曲げ荷重⑸ 断面係数とはりに発生する応力
3―9 曲げ荷重⑹ 断面二次モーメントとはりのたわみ
3―10 曲げ荷重⑺ はりの強度計算の例題
3―11 平等強さのはり
3―12 せん断荷重
3―13 ねじり荷重
3―14 衝撃荷重
3―15 座屈(細長い物体への圧縮荷重)
3―16 応力集中
Column 3 曲げに強い断面とは

第4章 材料強度と強度設計
4―1 主な工業材料
4―2 材料の基準強度
4―3 静的強度⑴ 応力-ひずみ曲線
4―4 静的強度⑵ 金属材料の強度
4―5 静的強度⑶ プラスチックの強度
4―6 静的強度⑷ 静的強度における基準強度の考え方
4―7 動的強度⑴ 疲労
4―8 動的強度⑵ 衝撃
4―9 環境的影響⑴ 金属材料の腐食
4―10 環境的影響⑵ プラスチックの劣化
4―11 環境的影響⑶ プラスチックの劣化の寿命予測
4―12 環境的影響⑷ 温度の影響
4―13 環境的影響⑸ クリープ
4―14 金属材料⑴ 鉄鋼材料
4―15 金属材料⑵ 非鉄金属材料
4―16 プラスチック
Column 4 比強度と比剛性

第5章 これならわかる! 強度設計の手法と実務事例
5―1 ストレス-ストレングスモデル
5―2 製品の使われ方の明確化
5―3 製品の使用期間の考え方
5―4 材料強度のばらつき
5―5 正規分布について
5―6 材料強度の上限値と下限値の推定⑴
5―7 材料強度の上限値と下限値の推定⑵
5―8 許容応力と安全率
5―9 CAEの活用⑴
5―10 CAEの活用⑵
〈強度設計事例〉
事例1 スナップフィット
事例2 物干し竿
事例3 サンプル評価による材料の選定
事例4 中実軸と中空軸のねじれ強さの比較
Column 5 安全設計手法

付録 強度設計便利帳
付録1 断面特性
付録2 はりの強度計算
付録3 衝撃荷重の強度計算
付録4 応力集中係数
付録5 主な工業材料の特性
付録6 片側許容限界係数
付録7 本書における記号の使用例
付録8 単位換算
付録9 強度設計チェックリスト

参考文献
索引

はじめに

 近年、製品が安全であることや不具合が少ないことは、付加価値ではなく当たり前のことだと認識されるようになってきました。もし、消費者の期待を裏切るような低い品質の場合、ネットショップの製品レビューやSNSなどによって瞬く間に拡散してしまいます。品質を確保する取組みが、かつてないほど重要になっているといえます。一方、海外競合企業の品質も年々改善し、安全性や不具合の少なさだけでは、国内企業の競争力につながりにくくなっています。国内企業が勝ち残るためには、これまでにないような魅力的な製品の創出やコストダウンなどを達成しなければなりません。製品の品質やコストは詳細設計までに8割近が決定するといわれており、設計者が果たすべき役割は極めて大きいといえます。
 競争力を強化するために、設計者のスキル向上が重要であることはいうまでもありません。自社製品に必要な技術に加えて、安全設計手法や信頼性工学、コストダウン手法など、身につけるべきスキルは極めてたくさんあります。また、効率的な設計業務を行うために、3DCADやCAE、PLMなどのデジタル技術も使いこなせなければなりません。一般に設計部門は企業の中で最も多忙な部署の一つだといわれています。通常業務だけでも目一杯の設計者が多い中、設計者は何とか時間を作り出してスキル向上を図る必要があります。
 さて、本書のテーマである強度設計について考えてみましょう。強度に関わる不具合は安全面の問題に直結します。安全面の問題はリコールにつながることもあり、場合によっては経営問題にまで発展します。したがって、強度設計に関するスキルは、設計者が学ぶべきことの中で最も優先順位が高いテーマの一つだといってよいでしょう。しかし、前述したように設計者は多忙で、他にも学ぶべきことがたくさんあります。どうすれば効率よく強度設計を学ぶことができるでしょうか。多くの方が思いつくのが、材料力学の解説書で基礎的理論から学ぶという方法です。これまで数多くの良著が出版されており、意欲と時間的余裕のある計者にとっては最もよい方法だといえます。しかし、材料力学は、基礎的な内容だとしても、改めて学ぼうとするとそれほど簡単ではないことに気づきます。
静力学や微積分など様々なベースとなる知識が必要であることも、設計者にとって高いハードルとなっています。また、時間をかけて材料力学を学んだとしても、務で強度設計を進めるためのスキルとしては不十分です。材料特性に関する知識や、ばらつきを考えるための統計解析、長期使用を前提とした製品の寿命予測手法、安全率の設定法など、材料力学だけではカバーできない様々なことを学ばなければなりません。
 私自身、大学の工学部で材料力学をはじめ、強度設計に必要な学問を広く学んだはずでした。しかし、設計者として仕事を始めてしばらくの間、学んだ知識が実務と結び付くことはありませんでした。5年ぐらい経過してからようやく強度設計とはどういうものか、何となくわかってきたように思います。今振り返ると、理論的な内容は少なくてよいので、強度設計の全体像をわかりやすく解説してくれる書籍があれば、もう少し早く理解できるようになったのではないかと感じています。
 そこで本書は、多忙な設計者が強度設計の全体像を効率的に理解できるようにすることを目的に執筆しました。一つのテーマは原則見開の2ページで解説し、重要なポイントを左ページに整理しています。理論的な解説や数式の導出は最低限にとどめ、あくまで強度設計の全体像がわかることに主眼を置きました。また、材料は金属材料とプラスチックを使用することを前提に解説をしています。第2、3章で静力学、材料力学の最低限必要な基礎知識と代表的な強度計算式、第4章で材料特性、加えて第5章でそれら以外の必要な知識について実務者視点で解説しています。また、第5章の章末には本書の解説内容を活用した強度設計事例を4つ掲載し、実際の強度設計の進め方の参考になるようにしました。さらに巻末には付録として強度設計の実務で活用できる断面特性一覧や強度設計チェックリストなどを掲載しています。
 最後に、本書の企画、編集、校正に至るまで、日刊工業新聞社出版局の鈴木氏には大変お世話になりました。感謝申し上げます。

2020年6月1日 著者 田口宏之

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