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バーチャル・エンジニアリングPart3
プラットフォーム化で淘汰される日本のモノづくり産業

定価(税込)  1,650円

著者
サイズ 四六判
ページ数 180頁
ISBNコード 978-4-526-08077-7
コード C3053
発行月 2020年08月
ジャンル 機械

内容

実物ではなくバーチャルモデルが商品として扱われ、プラットフォーム上でやり取りされる「ものづくりのプラットフォームビジネス」が動き出す。MaaSの陰で着々と進む、自動車製造のプラットフォーム化の脅威を解説。自動車産業を中心に、日本の製造業を取り囲む“いま”が見える。

内田孝尚  著者プロフィール

(うちだ たかなお)
神奈川県横浜市出身。横浜国立大学工学部機械工学科卒業。1979年㈱本田技術研究所入社。2018年同社退社。現在、雑誌・書籍などマスメディアや、日本機械学会等のセミナーを通じて設計・開発・ものづくりに関する評論活動に従事。MSTC主催のものづくり技術戦略Map検討委員会委員(2010年)、ものづくり日本の国際競争力強化戦略検討委員会委員(2011年)、機械学会“ひらめきを具現化するSystems Design”研究会設立(2014年)及び幹事を歴任。東京電機大学非常勤講師、博士(工学)、日本機械学会フェロー。著書「バーチャル・エンジニアリング Part2」(2019年日刊工業新聞社)、「バーチャル・エンジニアリング」(2017年日刊工業新聞社)、「ワイガヤの本質」(2018年日刊工業新聞社)、雑誌『機械設計』連載「バーチャルエンジニアリングの衝撃」(2019年1月−2020年6月日刊工業新聞社)。

目次

目 次
はじめに


第一章 モノづくりプラットフォームビジネスが始まった
一・一 GAFAから見えた」プラットフォームビジネスの脅威
一・二 モノづくりの世界でもプラットフォームビジネスが始まった
バーチャルモデルが商品⁉
GAFAとモノづくりのプラットフォームビジネスの違い
モノづくりプラットフォームビジネスの動き

第二章 モノづくりをコントロールする図面
二・一 設計図の3D図面化
製品形状を正確に表現する3Dモデル
3D図面形状がそのまま製造物へ
二・二 製品の機能と品質は図面がコントロール
二・三 3D図面であるバーチャルデータが商品
「図面のようなモノづくり」から「図面通りのモノづくり」へ
商品が「モノ」から「データ」へ

第三章 モジュールスペックのカタログビジネスとバーチャルエンジニアリングの融合
三・一 工場制御盤設計の課題
工場の制御盤ってなに?
三・二 モジュールスペックのカタログビジネス
各装置の3Dモデルカタログ
三・三 従来行われてきた制御盤設計の手法
仕様書作成と設計
従来の設計仕様書はWordやExcel
配置図は主に2D図で作成。だから配線の長さは未定
仮組み立て段階で詳細設計
制御盤筐体は組み立て完了後、現地に搬送
三・四 バーチャルエンジニアリングを用いた制御盤設計
制御盤の仮組み立ては不要に。配線も3D図面の中で
画面で配線指示
品質保証とメンテも簡便化
輸送コスト削減
三・五 工場制御盤設計の変革
「技術伝承」と「非効率なワークフロー&品質問題」の解決

第四章 自動運転で変革急務な制御設計と
ソフトウェア開発
四・一 工業製品の組み込みソフトの急進展
四・二 制御設計の大改革が進んでいる
最初は制御設計を分かりやすく
制御アルゴリズム検証手法が大改革
四・三 各モジュールモデルを連携するプラットフォーム……51
シミュレータVILsは開発プラットフォーム⁈
モノづくりのプラットフォームビジネスはこれで完成⁈
COLUMN 驚愕の最新無料CAD

第五章 壮大なスリアワセが初期設計段階で完了
五・一 リアルエンジニアリング
リアルエンジニアリングの実態
義務教育の中に製図があった
リアルエンジニアリングの課題
五・二 バーチャルエンジニアリング
バーチャルエンジニアリングの登場
バーチャル“スリアワセ„
造りも解析もエンジニア参加のスリアワセ
COLUMN 2020ものづくり白書に記された、
窮地に追い込まれた日本のモノづくり

第六章 モデルを連携するインターフェースの標準化
六・一 モデル連携のために
バーチャルとリアルのモジュール連携の違い
シミュレーションモジュールを連携するFMI
「シミュレーションモデル間I/F標準規格」設定の背景
OEM、サプライヤ間の制御設計情報の共有環境
六・二 3DCADモデルデータの標準化
CAD環境の進化
一九八〇年代は自社CAD
自社CADから市販CADへ
同一CAD環境ではあるがバージョン違いでデータ共有が不可
系列越えのサプライヤはOEMと同一のCAD環境の複数用意が必須
マルチCADの時代へ
六・三 コンピュータ環境が統一
インダストリー領域のOSがWindowsになる
コンピュータ上の産業間の壁消失
COLUMN 駅の改札機と切符切りロボット

第七章 プロジェクト参加型モノづくりのプラットフォームビジネス
七・一 OEMサプライヤの開発協業
開発協業のプラットフォームビジネス
七・二 機能を持ったモジュールモデル
モジュールの機能自体が取引対象
データ交換の流れがビジネスの流れ
七・三 サプライチェーンの大変革が起こっている
垂直統合型ビジネスから水平統合型ビジネスへ
従来のTier1は対応の再構築が必要
七・四 モノづくりプラットフォームビジネスが
GAFAより十年遅れた理由
COLUMN 赤旗法 ―新しい発明品登場と社会の許容―

第八章 デジタルモノづくり信頼性保証の公的ツールとルールの普及
八・一 データ信頼性保証のプロセスチェック
四十年程前からの「データ信頼性保証」活動
二〇一七年以降はシステム製品まで適用
さきがけとなった活動:一九八〇年代CMMスタート
プロセス対応レベルを見える化
一般ソフトウェアビジネスの開発プロセス確認に適用
日本でのCMMIの活用は
八・二 データ保証に関する契約ルール策定
企業間のデータおよび開発プロセスの保証に必要な規格
規格化して企業間契約のルールに
八・三 ツールとルールの運用
CMMIとSPICEの違いは
SPICEは欧州自動車メーカとサプライヤの契約ルールへ
今ではソフトウェアではなくシステム全体の契約ルールとなった
二十年から三十年かけて成立したビジネスルール
ASPICEによるプロセス標準化
八・四 デジタルデータとプロセスの保証がもたらす新ビジネスモデル
プロセス標準化がOEMとサプライヤの新しい関係をもたらす
二〇二〇年が分岐点
バーチャルテスト認証も二〇二〇年スタート
バーチャルデータの信頼性保証

第九章 ステップ別開発参加型モノづくりプラットフォームビジネス
九・一 OEMとサプライヤの新たな協業へ
日本ではタダであった開発段階協業が、新たなビジネスモデルへ
バーチャルエンジニアリング環境とそれに合わせた契約ルール施行が前提
ステップごとの契約
九・二 OEMとサプライヤの技術の戦い
OEM側は正確に評価する技術と契約する技術を持つことがMUST
日本企業も既に参加していた
OEMとサプライヤの技術の戦い、それがビジネス

第十章 欧州の政策を振り返る
十・一 欧州で行ってきた社会システムの変革
欧州議会の産業育成シナリオ:フレームワークプログラムFP
EUREKAも動いていた
Modelisar
各活動の関連関係
十・二 欧州と北米のモノづくり推進機関
Fundsと技術指導

第十一章 我が国の状況とこれから
十一・一 3D化設計推進のエピソード
ベテラン設計者の一言
設計担当者の二つのタイプ
設計トップが活用。あっと言う間に普及
3D設計に対する誤解
優秀な設計者が3D設計を行うと
十一・二 モノづくりに対しての考察
モノづくりは技能? それとも技術?
工場の品質管理でも水をあけられた?
日本のモノづくりは世界一だった
データ連携の基本は3Dモデル
十一・三 モノづくりのプラットフォームビジネスは壮大なスリアワセ……176
ものづくり白書の指摘
スリアワセは日本が本場
急ぎたいバーチャルエンジニアリング環境のプラットフォームビジネス
COLUMN 「予測の問題」

はじめに

 GAFA(Google、Apple、FACEBOOK、Amazon)を中心としたプラットフォームビジネスは今までの常識では理解できない速度の進展を見せている。そのプラットフォームビジネスがモノづくりの分野にも出現し、拡がり始めた。モノづくりのプラットフォームビジネスは3D図面を基盤としたバーチャルエンジニアリング(Virtual Engineering:VE)体制の成立を前提とした新たなビジネスモデルとして、一般のプラットフォームビジネスと同様に、早い進展を見せている。
 ところが、日本では3D設計普及の遅れがその理由の一つなのか、このプラットフォームビジネスの実態があまり知られていないように思われる。
 この新しいモノづくりのプラットフォームビジネスをバーチャルエンジニアリング技術とそれを支える社会システム環境から眺めると、モノづくりビジネス変貌の将来像が浮かび上がる。世界中の国々でこのビジネス変貌に対応する動きが見え、特に二〇一〇年より、現在進行形として対応拡大の最中である。
 日本の展開が少しでも加速することを願い、この新たなビジネスモデルの状況を、拙著『バーチャル・エンジニアリング』(日刊工業新聞社刊、二〇一七年)、『バーチャル・エンジニアリンPart2』(日刊工業新聞社刊、二〇一九年)の編集を担当して頂いた日刊工業新聞社の天野慶悟氏に続編本としてまとめることを企画提案したところ、快諾を頂いた。本書の出版に際し、ご尽力をいただいた日刊工業新聞社の土坂裕子氏とともに御礼を申し上げる。
 本書の出版が多くの読者にとって、モノづくり全体の新しい変化への挑戦とイノベーションを考えるきっかけとなり、強い日本モノづくり産業の継続に繋がれば、筆者として望外の幸せである。

二〇二〇年八月吉日
内田 孝尚

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