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設計者は図面で語れ!
ケーススタディで理解する幾何公差入門
公差設計をきちんと行うための勘どころ

定価(税込)  2,640円

監修
著者
著者
サイズ A5判
ページ数 196頁
ISBNコード 978-4-526-08072-2
コード C3053
発行月 2020年07月
ジャンル 機械

内容

不要な幾何公差をなくすために、設計者は意図を明確にし、適切に幾何公差を使い、生産側(特に測定方法)の実態を知る必要がある。本書では図面を幾何公差化するための、公差設計の進め方を事例で紹介。測定方法は写真とともに解説する。よくある疑問は随時ポイントとして紹介する。

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栗山 弘  著者プロフィール

(くりやま ひろし)
 株式会社プラーナー
 会長
1976年、セイコーエプソン株式会社入社。24年間、開発・設計部門でウォッチや映像機器などの世界初商品の開発に従事。2000年に設計・技術研修センター部長に就任。同社在籍中およびそれ以降を含め約300件の特許を出願する。2001年にプラーナーを設立(社長)、2012年から会長。高度ポリテクセンターや信州大学のほか、約100社の上場企業内で公差解析や設計教育で指導実績を持つ。企業にて約1,200テーマの実務課題解決を支援し、当該企業からその成果事例も多数発表されている。3次元設計能力検定協会理事なども務める。おもな著書に「3次元CADから学ぶ機械設計入門」(森北出版)、「公差設計入門」(日経BP)などがあるほか、「機械設計」(日刊工業新聞社)や「日経ものづくり」(日経BP)など技術雑誌への寄稿が多数ある。

栗山晃治  著者プロフィール

(くりやま こうじ)
 株式会社プラーナー
 代表取締役社長
3次元公差解析ソフトをベースとした大手電機・自動車メーカーへのソフトウェア立ち上げ・サポート支援、GD&T企業研修講師、公差設計に関する企業事例の米国での講演などにより実績を重ねる。3次元解析ソフトを使用したGD&T実践コンサルなど、さらなる新境地を開拓している。著書は「強いものづくりのための公差設計入門講座 今すぐ実践!公差設計」(工学研究社)、「3次元CADから学ぶ機械設計入門」(森北出版)、「3次元CADによる手巻きウインチの設計」(パワー社)、「機械設計2015年5月号 特集 グローバル時代に対応!事例でわかる公差設計の基礎知識」(日刊工業新聞社)など、多数。

北沢喜一  著者プロフィール

(きたざわ きいち)
 株式会社プラーナー
 シニアコンサルタント
セイコーエプソン株式会社にて、時計の外装設計・技術に長年携わり、開発設計における幅広い視野での知識と経験を持つ。その経験を活かし、2017年より株式会社プラーナー シニアコンサルタントとして、数多くの企業・公的機関にて公差設計、幾何公差の教育およびGD&T実践指導などを行う。

目次

第1章 製造業の幾何公差導入 ここが問題
1.1 なぜ幾何公差に躓くのか?(幾何公差の使用状況)
1.2 日本の製造業は幾何公差導入を迫られている
1.2.1 国際的な幾何公差の使用状況
1.3 JISへの幾何公差規格の展開状況と今後の流れ
Check! サイズ公差と幾何公差
Check! 2016年JIS改訂で変わった用語

第2章 幾何公差の重要性
Check! 幾何公差の幾何の語源を知ろう!
2.1 公差設計と幾何公差について
2.1.1 公差と公差設計
2.1.2 公差設計の重要性
2.1.3 公差設計と幾何公差
2.1.4. 幾何公差のメリット
2.1.4 (1) 図面のあいまいさの排除
2.1.4 (2) 経済的効果
2.1.5 公差計算と幾何公差はセットで検討する―GD&Tの考え方
Check! グループデータムの表記方法(ISO)
2.2 サイズ公差と幾何公差の違い
2.2.1 公差で規制したい狙いの違い
2.2.2 測定方法の違い
Check! 罫書きにも使えるハイトゲージ
2.2.3 公差域(規格の幅)の違い
2.2.4 データムの有無
2.2.5 国際的工業規格との関係
2.2.6 独立の原則とテーラーの原理
2.2.6 (1) 独立の原則
2.2.6 (2) テーラーの原理
2.2.6 (3) 包絡の条件
Check! 最大実体状態とは?
Check! 独立の原則と包絡の条件:使用上の違いは?
2.3 3Dデータと幾何公差の関係
2.3.1 非接触式3次元測定機の普及
2.3.2 幾何公差を測れる測定機

第3章 幾何公差の基礎知識
3.1 幾何公差の用語
3.2 幾何公差の種類
3.3 データムの定義
3.3.1 データムとデータム形体
3.3.2 データムの設定方法
3.3.2 (1) データム軸直線の設定
3.3.2 (2) データム平面の設定
3.3.3 3平面データム系
3.3.4 3平面データム系の種類
3.3.4 (1) 3つの平面で構築する場合
3.3.4 (2) 1つの平面と2つの軸直線で構築する場合
3.3.4 (3) 1つの平面、1つの軸直線、1つの中心平面によって構築する場合
Check! 丸穴と長穴の位置決めについて
3.3.4 (4) グループデータム
Check! グループデータムはいくつまで対応できるか?
3.3.5 データムターゲット
3.3.6 共通データム
3.3.6 (1) 共通データム軸直線
3.3.6 (2) 共通データム平面
3.3.6 (3) 共通データム中心平面
3.3.7 データムの優先順位
3.3.7 (1) 平面と平面に直角な穴の軸直線の例
3.3.7 (2) 穴の位置の例
3.3.7 (3) 軸部品の例
3.3.7 (4) 軸受部品の例
3.4 幾何公差の指示方法
3.4.1 データムの指示方法
3.4.2 外郭形体(外形・穴の表面)への幾何公差・データム指示
3.4.3 誘導形体(中心点・軸線・中心平面)への幾何公差・データム指示
3.4.4 指定範囲への幾何公差・データム指示
3.4.5 共通公差域
Check! 最新のISOにおけるCZについて
3.4.6 輪郭度の全周指示
3.5 形状公差
3.5.1 真直度
Check! 最小二乗法
3.5.2 平面度
3.5.3 真円度
Check! 円の中心を求める方法
3.5.4 円筒度
Check! 真円度と円筒度の違い
Check! 円筒度の公差域
3.5.5 線の輪郭度
3.5.6 面の輪郭度
Check! 線の輪郭度と面の輪郭度の使い分けは?
Check! 輪郭度利用の注意点
3.6 姿勢公差
3.6.1 直角度
3.6.2 平行度
3.6.3 傾斜度
Check! 傾斜度の第2次データムの意味
Check! 角度における幾何公差とサイズ公差の違い
3.7 位置公差
Check! 真位置度理論
3.7.1 位置度
3.7.2 同軸度・同心度
Check! 同軸度と同心度の区分け方法
3.7.3 対称度
3.7.4 線の輪郭度
3.7.5 面の輪郭度
3.8 振れ公差
3.8.1 円周振れ
3.8.2 全振れ

第4章 ケーススタディで理解するGD&T(公差設計と幾何公差)の神髄
4.1 ケーススタディの概要
4.2 ヤマハ株式会社におけるGD&Tの取り組みの背景
4.2.1 公差設定の実態―最善の公差設定はできていたのか?
4.2.2 最善の公差設定を行うために
4.2.3 幾何公差の必要性
4.2.4 幾何公差導入は設計部門だけでは実現しない
4.3 ケーススタディの実施
4.3.1 Step1 現行図面における公差計算
4.3.1 (1) ホイールユニットの確認
4.3.1 (2) 現行図面における公差計算の実施
Check! 工程能力指数Cp、Cpkとは
4.3.2 Step2 改善案①の検討
4.3.2 (2)ホイール部品の見直し
Check! 幾何公差が入った場合の公差計算(その1)
Check! 幾何公差が入った場合の公差計算(その2)
4.3.2 (3) 筐体部品の見直し
4.3.2 (4) ホイール金具部品の見直し
4.3.2 (5) 改善案①における公差計算
Check! 寄与率について
Check! 不良率の算出方法
4.3.2 (6) 結果の比較
4.3.3 Step3 目標値の実現に向けたさらなる改善(改善案②)の検討(工程能力を把握して公差値を最適化)
4.3.3 (1)ホイール部品(樹脂成形品)の工程能力の把握
Check! 平均値と標準偏差
Check! 幾何公差の工程能力の算出
4.3.3 (2) ホイール金具部品(金属プレス品)の工程能力の把握
4.3.3 (3) ロータリーVR(購入品)の工程能力の把握
Check! ロータリーVR部品の公差要因について
4.3.3 (4) 公差最適化後(改善案②)の公差計算結果
4.3.3 (5) 結果の比較
4.3.3 (6) 改善案②の効果を確認
4.4 ガタとレバー比

第5章 測定結果のフィードバック【ケーススタディ公差設計】
5.1 測定結果のフィードバック
5.1.1 ケーススタディ用ワークについて
5.1.2 測定計画を立てる
5.1.3 測定の流れ
5.1.3 (1) ワークの固定
5.1.3 (2) 基準(データム)を設定する
5.1.3 (3) 測定箇所を測定する
5.1.3 (4) 測定結果のアウトプット
5.2 非接触3次元測定の流れ
5.2.1 測定物の撮影
Check! 幾何公差教育用教材が厚生労働大臣賞受賞!
5.2.2 撮影モデルの合成
5.2.3 幾何公差の測定・評価
5.2.3 (1) 基準合わせ
5.2.3 (2) 幾何公差の設定
5.2.3 (3) 測定と評価
5.3 どの幾何公差にどのような測定機器を使えば良いのか
5.4 課題と今後の展望

(参考資料)正規分布表
参考文献
索引

はじめに

 2016年8月に第1弾となる『設計者は図面で語れ!ケーススタディで理解する公差設計入門』を執筆させていただき、今回は第2弾として幾何公差が主体となる本書を執筆させていただいた。2016年は、日本工業規格JISにおいて幾何公差が大きくクローズアップされ、多くの企業において幾何公差図面化が話題となった。大きな図面の変遷期を迎えた2016年と比較すると、現在では、幾何公差導入の取り組みを始めている企業が明らかに増えたと実感しているが、課題を持たれている企業が多いのも実態であり、そのような企業から弊社にご相談をいただくことが増えている。
 課題を抱えている企業の多くが、とにかく早急に幾何公差の表記法を習得し、現状の図面を幾何公差化することだけを考えて取り組んでいる場合が多い。それによって何が起こるかというと、不必要な幾何公差が増え、図面を受け取る生産側に混乱を生じさせるだけでなく、品質・コスト・納期において、メリットどころかデメリットを発生させてしまうことがある。
 幾何公差図面を実現するために弊社がお伝えするのは、この部品は、どこを基準に、どこをどのように管理したいのか(=設計者の意図)を明確にして、製品の性能および品質において価値のある部分に適切に幾何公差を使うこと、また、設計者自身も、生産側(特に測定方法)の実態を知り、生産面の条件も把握した上で、最終的な図面を仕上げること、である。
 つまり、幾何公差導入を実現するためには、設計者が表記方法を身に付けることは当然必須だが、それだけでは不十分なのである。その前に公差設計技術(設計意図の明確化)が必要であり、また測定方法、品質保証の実態についても把握する必要がある。さらには、幾何公差図面を受け取っても問題がないように生産体制を整備(生産者側における幾何公差図面の読み方、測り方の理解)することも必要だ。先に記述した、弊社にご相談をいただいた多くの企業の皆様に、このことを共感していただき、実践することで「図面改革」における成果を挙げていただいている。
 これらのことを、できるだけ多くの方にお伝えできればと思い、本書を執筆した。本書の最大の特徴は、第4章において、実例を用いて「公差設計の実施(P)」→「幾何公差図面化(D)」→「製造した部品を測定・分析し(C)」、「現図面および今後の設計へフィードバックする(A)」といった公差設計のPDCAのプロセスをわかりやすく説明したケーススタディを体感できることである。設計への要求項目の多様化、開発サイクルの短縮化、業務の細分化などにより、多忙な設計者がこれらのことをOJTの中では身に付けられなくなってしまったことも事実であり、そのような悩みをお持ちの方に、本書を手に取って、課題解決の一助としていただければ幸いである。
 その他にも第1~3章では、幾何公差の必要性から幾何公差の基礎知識を図解でわかりやすく説明している。著者らが教育・コンサルティングを行う中で、受講者が疑問に思った点、講師として特に知っておいて欲しい内容はチェックポイントとして随所に入れ込んだ。チェックポイントでは、世界標準の規格であるISOでしか規定されていない表記方法もいくつか掲載してある。現在のJISの中では規定されていない表現方法であるが、グローバル展開が必須となる企業では、ISOを相当意識して図面を描いている企業もある。
 また、第5章では、ケーススタディで用いた図面と実部品を、3次元測定機(接触式および非接触式)により測定、評価する方法を、写真を使って紹介している。弊社が実施する幾何公差セミナーでは、測定方法も交えて紹介することに大変好評をいただいている。
 最後に、本書の最大の特徴であるケーススタディの資料提供および多大なアドバイスをいただいたヤマハ株式会社の小林雅彦様、本書執筆にあたり参考とさせていただいた文献の著者の方々、写真などのご提供をいただいた各機関および企業の皆様に深く感謝の意を表するとともに、出版にあたってご高配を賜りました日刊工業新聞社出版局の関係の皆様に御礼を申し上げる。

2020年6月 株式会社プラーナー 著者一同

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