買い物かごへ

実践!モジュラー設計
新規図面をゼロにして、設計の精度・効率を向上させる

定価(税込)  2,640円

著者
サイズ A5判
ページ数 224頁
ISBNコード 978-4-526-08071-5
コード C3053
発行月 2020年07月
ジャンル 機械

内容

モジュラー設計は、製品機能の多様化に伴って多くの製造業で取り組まれている。しかし、設計手順や部品形状の標準化、ベテラン設計者のノウハウの可視化などが必須であり、ハードルが高いのも事実である。本書では、ケーススタディを用いてモジュール化の考え方やコツ、運用に至るまでを解説していく。

中山聡史  著者プロフィール

(なかやま さとし)
大阪府大阪市出身。関西大学機械システム工学科卒業後、大手自動車メーカーにてエンジン設計、開発、品質管理、環境対応業務等に従事。ほぼすべてのエンジンシステムに関わり、海外でのエンジン走行テストなども多く経験。現在、株式会社A&Mコンサルトにて製造業を中心に設計改善、トヨタ流問題解決の考え方を展開。理念である「モノ造りのQCDの80%は設計で決まる!」のもと、自動車メーカーでの開発~設計~製造、並びに品質保証などの経験を活かし、多くのモノ造り企業で設計業務改革や品質・製造改善、生産管理システムの構築などを支援している。
著書に『正しい検図』(日刊工業新聞社)がある。

目次

第1章 受け身の流用設計から攻めの流用設計へ
1.間違ったモジュール化
1)間違った流用設計とは何か
2)間違えることによって起こる品質問題とは
3)設計品質と製造品質
4)図面流用しているならモジュラー設計は可能か
5)間違った流用設計が与えるQCDの影響
2.間違ったモジュール化運用
1)モジュールが使えない!?
2)モジュールを選べない!?
3)モジュールだけでは顧客要望に応えられない!?
3.モジュールのコア技術
1)コア技術が分からない!?
2)知らない間に使用しているコア技術とは?
3)コア技術を知らないために起きる問題とは?
4.第1章まとめ【受け身の流用設計から攻めの流用設計へ】

第2章 あるべき開発プロセスから逆算する
1.設計開発プロセスのあるべき姿
1)構想(基本)設計段階
2)詳細設計段階
3)量産設計段階
4)市場段階
2.問題を先送りにするプロセスとは
1)問題を先送りするプロセス
2)問題の先送りが生む設計の負のスパイラル
3.フロントローディングと
  コンカレントエンジニアリング
1)フロントローディング
2)フロントローディングの効果
3)コンカレントエンジニアリング
4)フロントローディングに必要なツール
5)モジュラー設計によりフロントローディングは完成する
4.第2章まとめ【あるべき開発プロセスから逆算する】

第3章 モジュラー設計
1.モジュラー設計の時代の変遷
2.モジュラー設計の全体図とポリシー
1)モジュラー設計全体図
2)モジュラー設計ポリシー
3)強いモジュールを構築するためのコア技術
3.モジュール化の進め方
1)モジュール化機能階層編
2)モジュール化区分編
3)モジュール化ルール編
4.第3章まとめ【モジュラー設計】

第4章 ケーススタディ ミニ四駆のモジュール化
1.モジュール化機能階層のポイント
1)仕様把握・まとめ
2)機能ばらし(機能系統図)
2.モジュール化区分のポイント
1)バリエーション区分
2)依存関係区分
3.モジュール化ルールのポイント
1)シャシーモジュール
2)電源モジュール
3)ボデーモジュール
4)駆動伝達モジュール
5)動力装置モジュール
4.第4章まとめ【ケーススタディ ミニ四駆のモジュール化】

第5章 モジュールの運用と変化点管理
1.モジュールを正しく運用するための考え方
2.モジュール運用プロセス
1)受注&製品企画・基本設計段階
2)詳細設計&量産設計段階
3)量産開始後
3.運用に必要なツール(仕様モジュール)
1)仕様モジュールの内容
2)仕様モジュール構築の進め方
4.モジュール以外の新規設計部分の管理(変化点管理)
5.DRBFMを活用する
6.第5章まとめ【モジュールの運用と変化点管理】

はじめに

いつの時代も設計部門に求められているのは、効率化である。しかし、効率化と同時に品質・コスト・納期も求められているため、いつも何かの業務に追われている状態である。その上に市場ニーズが多様化し、付加価値の高い製品が求められ、その結果、製品構造は複雑化し、設計難易度が高くなる。
このように何重にも制約条件が課されているのが、まさに今の設計者である。このような状況下で、最初に挙げた「設計の効率化」を進めようと会社が動いても、設計者はなかなか実現できず、いつまで経っても効率があがらず、残業をし、なんとか時間でカバーしている。その設計者の業務の中には多くのムダが存在し、その「ムダ」な業務をやっていることでさらに自分の首を絞めている状態になってしまう。例えば、図面番号が異なる図面でも形状がほぼ同じ状態の図面はないだろうか。過去に設計し、(強度計算や他部品とのインターフェースなど)、様々な内容を検討しているにもかかわらず、その時間をなかったことのようにして、新たな図面を書いてしまう。
もちろん、過去の図面を検索することができない、検索しようにもキーワード検索で引っかからないなど、システム的な問題もあるだろう。しかし、システム的なこと以外にも大きな問題点が存在する。過去の先人達が設計したノウハウがあるにもかかわらず、そのノウハウを活用し、今の製品に落とし込めていないことである。それを改革するのがまさに本書で解説するモジュラー設計である。

モジュラー設計は、設計の効率を向上させるために昔から言われていることであるが、中堅、中小企業はモジュラー設計の実現がまだまだ道半ばである。それには様々な理由が存在するが、大きな理由として、中堅、中小企業向けのモジュラー設計の実践の方針がこの世の中には存在しないためと私は考えている。

もちろん、リソースが多くある大企業はモジュラー設計に取り組み、実践で活用し始めているが、受注生産品や少ない数の量産品の取り扱う会社は大企業と同じリソースや同じモジュラー設計の概念ではなかなか構築できず、途中であきらめてしまい、元の仕事のやり方に戻ってしまう。また、大企業ではモジュラー設計を実践し始めていると述べたが、運用の部分についてはやはり課題が残っている。

効率化を実践すべく、新しいモジュラー設計の概念と方針を打ち出し、今の設計者の追われている仕事から脱却させなければならない。その強い意志を持ち、過去にモジュラー設計の構築に失敗した企業も再度取り組み、設計者の効率を向上させてほしい。そうでなければ、いつかは設計者が疲弊し、品質やコスト、さらには納期に満足させられる結果を出すことができず、製品のレベルがどんどん低下してしまうだろう(私は設計の負のスパイラルと呼んでいる)。
この負のスパイラルから脱却すべく、本書は、自動車メーカーで経験してきたモジュラー設計の在り方と、経営コンサルタントとして、設計改革活動で実践してきた内容をもとに「新モジュラー設計」を解説する。本書の内容は様々な経験に基づいて記載しているが、全ての企業にまったく同じ仕組みを導入することはできないかもしれない。しかし、この「新モジュラー設計」の概念を各企業の仕組みや風土に応用しながら、実践してほしい。その結果、QCDが向上し、設計の効率化ができ、少しでも疲弊している設計者の負担が少なくなれば、幸いである。

2020年7月
中山 聡史

買い物かごへ