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わかる!使える!粉体入門
<基礎知識><段取り><実作業>

定価(税込)  1,980円

著者
サイズ A5判
ページ数 176頁
ISBNコード 978-4-526-07938-2
コード C3043
発行月 2020年06月
ジャンル 化学

内容

粉体をどのように考えたらよいかといった基本的な話から、粉体技術特有の概念、また粉体機械を取り扱う上での基礎的な事柄に焦点を当てた。初めて現場に出て粉体機械類を取り扱う際に困らないよう、機械要素の基礎知識についてもまとめている入門書。

山田昌治  著者プロフィール

(やまだ まさはる)
1977年京都大学工学部化学工学科卒、1979年同大学院工学研究科修士課程修了。川崎重工業㈱、秋田大学鉱山学部助手を経て、1988年より日清製粉㈱(㈱日清製粉グループ本社)にて生産技術の研究、事業開発、食品の基礎研究、技術管理に従事。2010年工学院大学応用化学科教授、食品衛生管理者・食品衛生監視員養成施設長。専門分野は粉体工学、食品化学、食品工学。工学博士。

目次

わかる!使える!粉体入門
目 次

第1章 これだけは知っておきたい粉体の基礎知識
1 粉体の粒子一つ
1.1.1 粉体とは何か?
1.1.2 粒子の大きさ
1.1.3 粒子の形
1.1.4 粒子の密度

2 粉体の付着現象
1.2.1 粒子間の付着:液架橋力
1.2.2 粒子間の付着:静電気力
1.2.3 粒子間の付着:ファンデアワールス力
1.2.4 付着力の大小
1.2.5 粉体と粒体

3 粒子の大きさの分布
1.3.1 サンプリング:円錐四分法
1.3.2 粒子径分布
1.3.3 粒子径分布の整理法:対数正規分布
1.3.4 粒子径分布の整理法:ロジン・ラムラー分布
1.3.5 比表面積:BET法

4 粉体の特性
1.4.1 粉体の濡れ性
1.4.2 粉体の凝集と分散
1.4.3 粉体の充塡性
1.4.4 粉体の充塡層を通過する流体
1.4.5 粉塵爆発
1.4.6 偏析

5 粉体の流れやすさ
1.5.1 粒子の運動
1.5.2 試験用標準粉体
1.5.3 安息角
1.5.4 ヤンセンの式
1.5.5 閉塞
1.5.6 容器からの排出
1.5.7 フラッシング

第2章 粉体の取り扱いのための段取り
1 粒子径分布を測定する
2.1.1 粉体を採取する
2.1.2 篩い分け
2.1.3 沈降法
2.1.4 レーザー回折・散乱法
2.1.5 電気的検知帯法
2.1.6 インパクター
2.1.7 粒子径分布測定上の注意点

2 粉を捕集する
2.2.1 重力、慣性力、遠心力を利用した分離
2.2.2 静電気の力を利用した分離
2.2.3 磁気の力を利用した分離

3 粉を粉砕する
2.3.1 物理的に粉体を作る
2.3.2 物理的に微粉体を作る

4 粉を分級する
2.4.1 ミリサイズの分級
2.4.2 ミクロンサイズの分級
2.4.3 サブミクロンサイズの分級
2.4.4 分級・分離性能を数値化する:ニュートン効率

5 粉を自由自在に操る
2.5.1 粉を運ぶ:ニューマチック輸送
2.5.2 粉を供給する:フィーダー
2.5.3 造粒する
2.5.4 流動層と噴流層

6 粉体機械の取り扱い
2.6.1 基本的な考え方
2.6.2 締結
2.6.3 ゆるみ止め
2.6.4 軸と軸受
2.6.5 伝動(1)
2.6.6 伝動(2)

第3章 粉体の取り扱いのポイント
1 ハンドリング技術の向上
3.1.1 流れやすさを数値化する
3.1.2 密に詰めたい
3.1.3 流れやすくしたい
3.1.4 よく混ぜたい
3.1.5 造粒したい
3.1.6 乾燥させたい
3.1.7 粉を保管したい
3.1.8 粉を排出させたい:粉体オリフィス

2 分離技術の向上
3.2.1 一定速度で供給したい
3.2.2 きれいに分散させたい
3.2.3 きれいに分離したい
3.2.4 形状で分けたい
3.2.5 濾過を利用した分離
3.2.6 静電気力を利用した分離

3 ナノ粒子を作りたい
3.3.1 細かく粉砕したい
3.3.2 粉砕によるナノ粒子
3.3.3 液相析出によるナノ粒子
3.3.4 気相生成によるナノ粒子

4 機能性の向上
3.4.1 カバー力を向上させたい
3.4.2 微粒子を複合化したい
3.4.3 機能性を付与したい

5 実践演習
3.5.1 【実践演習】付着性の評価
3.5.2 【実践演習】ニューマチック輸送の静電気対策
3.5.3 【実践演習】オペレーターのマネジメント
3.5.4 【実践演習】粉砕機の性能評価
コラム
・天然の標準粒子 ―石松子―
・ガラスビーズ
・ジャガイモデンプン

・参考文献
・索引

はじめに

 この本を手に取って見られているということは、おそらく理系・技術系の方が多いのではないでしょうか。大学では機械工学を学びましたか。あるいは応用化学ですか。それとも情報科学でしょうか。粉体工学を学んだという方は、学部の講義も含めてあまりいないのではないかと推察しています。
 筆者は、ご縁があって国際粉体工業展で学生さんや若手の技術者各位向けに粉体技術のイントロダクションをお話ししています。会場に来られた皆さんは、まず、展示会の規模に驚かれます。出展社は300社を超え、来場者は2万人規模です。この規模は、産業界にとって粉体はなくてはならないものであることを物語っています。
 皆さんの身のまわりを見回してみてください。小麦粉や砂糖、食塩、ベビーパウダー、化粧品のファンデーション、洗剤など日用品の中に粉体はたくさんあります。コピー機のトナーも粉体です。セメント、アルミニウムの原料になるボーキサイト、セラミックスの原料も粉体です。環境問題でも、PM2.5や花粉、煤塵などがありますし、先端材料分野でもナノ粒子が話題になっています。つまり皆さんは社会に出て粉体と関わる可能性が非常に高いということです。
 大学で固体や流体の力学を学んだ人は多いと思いますが、そういう専門家でも粉体の取り扱いでは苦労します。昔の偉い先生が、「粉は魔物だ!」と言っておられました。確かに粉は魔物ですが、筆者はそこにビジネスチャンスがあると考えております。
 本書では、粉体をどのように考えたらよいかといった基本的な話から、粉体技術特有の概念、また、粉体機械を取り扱う上での基礎的なことがらに焦点をあてました。粉体と関わることになった若手の皆さんに、先輩技術者が傍らにいて、これはこう、そこはこう考えて、といったように、お話をするつもりでまとめました。
 第1章では、粒子の大きさ、大きさの分布、付着力、凝集・分散・充塡性といった粉体固有の基礎的なことがらについてまとめました。第2章では、粉体を取り扱うための段取りとして、粒子径分布の測定、粉体の捕集・粉砕・分級・輸送といった単位操作についてまとめました。それから本書の大きな特徴の一つですが、初めて現場に出て粉体機械類を取り扱う際に困らないような機械要素の基礎知識についてまとめました。第3章では、粉体の取り扱い技術のポイントについて述べました。流れやすさを総合的に評価すること、充塡性・流動性・混合性・造粒・乾燥・保管性・分離技術の向上についてまとめました。また、ナノ粒子、機能性粒子についても述べました。最後に実践演習と題して、本書で学んだことを生かしていただけるようなテーマを設定しました。以上のように本書は、基礎、段取り、応用とステップワイズに粉体技術を学んでいただけるように構成しております。
 日刊工業新聞社から本書の依頼があったとき、実は世の中に優れた粉体工学の入門書があるので、屋上屋を架すことにならないかと危惧しました。たとえば筆者が敬愛してやまない椿淳一郎博士、鈴木道隆博士、神田良照博士の「入門粒子・粉体工学」(参考文献7)はお薦めの書ですが、同書の準備段階として本書を位置づけ、若手の技術者が現場に配属されて、いきなりボルトを締める作業に従事するような状況でも困らないようにすることで、皆さんのお役に立てると考えております。
 本書を一読されて、粉体の世界に関心をもっていただき、より高い所を目指していただきたいと願っております。

2020年3月
山田 昌治

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