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わかる!使える!レーザ加工入門
<基礎知識><段取り><実作業>

定価(税込)  1,980円

著者
サイズ A5判
ページ数 172頁
ISBNコード 978-4-526-08066-1
コード C3053
発行月 2020年06月
ジャンル 機械

内容

レーザ加工は、高エネルギー密度のレーザ光を被加工物に照射し、溶融や除去、組織変化などを起こす加工方法。自動車、電機などの産業で、生産手段として急速に広がっている。本書は、レーザ加工の実作業に取り組む上で身に着けるべき知識を体系的に解説する。

金岡 優  著者プロフィール

(かなおか まさる)
三菱電機株式会社 産業メカトロニクス事業部主席技師

1983年 北海道大学大学院修士課程修了
1983年 三菱電機株式会社入社、同社名古屋製作所配属
1993年 学位(工学博士)
1997年 同社レーザシステム部加工技術課長
2000年 同社レーザシステム部品質保証課長
2002年 同社GOSグループマネージャー
2013年 同社産業メカトロニクス事業部主管技師長
2018年〜現職
その間、名古屋大学非常勤講師、光産業創成大学院大学客員教授、北海道大学客員教授も歴任。

主な著書
「機械加工現場診断シリーズ7 レーザ加工」(日刊工業新聞社)1999年
「絵とき レーザ加工の実務 作業の勘どころとトラブル対策」(日刊工業新聞社)2007年
「絵とき レーザ加工の実務 第2版 CO2&ファイバレーザ作業の勘どころ」(日刊工業新聞社)2013年
「レーザ加工で進める工法転換 製品設計に必ず役立つ実践ノウハウ」(日刊工業新聞社)2016年

目次

第1章 レーザ加工機の構造・仕組み・装備
1 レーザ加工機の種類と特徴を知ろう
レーザ発振器の種類
レーザ加工システムの構成
切断用加工機でのレーザ光の照射
溶接・熱処理(焼入れ)用加工機でのレーザ光の照射
穴あけ用加工機でのレーザ光の照射

2 レーザ加工機の装備と仕組みを知ろう
レーザ加工機に必要なユーティリティー
数値制御装置(CNC)
レーザ光の集光特性
レーザ光の伝送系
テーブルの上面構造
加工機の駆動系
移動速度と加速度、加加速度
加工機の据付

3 レーザ加工機の周辺装置と仕組みを知ろう
加工ガスの供給設備
圧縮空気の供給設備
集塵機
冷却装置(チラー)
CAD/CAM装置
自動化システム
工程管理

第2章 レーザ加工における段取りの基礎知識
1 レーザ加工の基本を知ろう
加工に影響を及ぼす要因
切断の基本特性
溶接・熱処理(焼入れ)の基本特性
穴あけの基本特性

2 集光特性の加工への影響を知ろう
レーザ光の集光特性とは
切断における集光特性の影響
溶接と熱処理(焼入れ)における集光特性の影響
穴あけにおける集光特性の影響

3 アシストガスの加工への影響を知ろう
アシストガスの役割
アシストガス流れの基本的な特性
アシストガスと加工の関係
ノズルの芯ズレの影響

4 稼働前の確認事項を知ろう
安全な操作をするために
レーザ加工機運転前の点検

5 ワーク座標系とNCプログラムを知ろう
NCプログラムとは
座標系と原点の設定
絶対値指令と増分値指令の設定
NCプログラムの作成手順

6 ワークの準備と治具の準備を知ろう
二次元切断におけるワークの固定と治具
三次元切断におけるワークの固定と治具
溶接と熱処理(焼入れ)におけるワークの固定と治具
穴あけにおけるワークの固定と治具

第3章 レーザ加工機の実作業と加工時のポイント
1 加工品質の確認内容を知ろう
切断における確認が必要な加工品質
溶接、熱処理(焼入れ)における確認が必要な加工品質
穴あけにおける確認が必要な加工品質

2 加工条件とその求め方を知ろう
出力形態とエネルギーの表し方
切断における加工エネルギーと加工能力
溶接と熱処理(焼入れ)における加工エネルギーと加工能力
穴あけにおける加工エネルギーと加工能力
切断における出力形態の最適化
溶接、熱処理(焼入れ)における出力形態の最適化
穴あけにおける出力形態の最適化

3 切断において押さえるポイントを知ろう
切断面のテーパ
切断面の粗さ
切断部の熱影響
ドロスの発生
バーニング(セルフバーニング)の発生
加工時間の短縮
歩留りの改善
オフラインティーチングによる生産性向上
ワーク管理と切断品質
寸法精度の補正における注意点
曲げ加工での変形

4 溶接・熱処理において押さえるポイントを知ろう
溶接に適用される継手
突合せ溶接での注意
嵌め合い構造での注意
よく見られる溶接不良
熱処理の種類と加工特性
よく見られるレーザ焼入れ不良

5 穴あけにおいて押さえるポイントを知ろう
ワークの影響による加工品質の低下
光学部品劣化による加工品質の低下

6 メンテナンスの大切さを知ろう
メンテナンスの目的
消耗品の基礎
メンテナンスコスト

7 加工時間と加工コストの算出方法を知ろう
加工時間の見積
ランニングコストの試算

コラム
レーザ発明の歴史
レーザの存在が必要不可欠な世界
レーザ加工機の揺籃期での出来事

参考文献
索引

はじめに

 人類が人工の光であるレーザを手に入れたのが1960年です。それから、レーザ技術は多くの用途に活用されており、特に注目されている用途がレーザ加工です。つい最近まで、製造業における加工方法は、工具を接触させて加工する方法が一般的でした。しかし、近年の工業製品に求められる高精度や高機能なモノづくりには、接触式の加工方法では限界が指摘されていました。そこで期待されたのが、非接触式の加工方法であるレーザ加工です。レーザ加工は、微小スポットに集光された高エネルギー密度のレーザ光を被加工物(ワーク)に照射し、溶融や除去、組織変化などを起こす加工方法です。レーザ加工の特長は製造業からの期待に十分応えたため、自動車、電機、工作機械、インフラ設備などのほとんどの産業で、レーザ加工が生産手段として急速に広がりました。
 さて、本書を手に取っていただいているあなたは、レーザ加工に何がしかの関係をお持ちであると思います。あなたのレーザ加工機を使った作業において、下記のことを考えたことはないでしょうか。
 「加工時間を短縮したい」
 「加工品質を改善させたい」
 「加工ミスを少なくしたい」
 「加工前の段取りを効率よく行いたい」
 「加工コストを正確に算出したい」
 もし自分はかなり上手にレーザ加工機の作業ができていると思っても、多くは改善の余地が潜んでいます。作業を効率的に行うために「知らなかった」では済まされないことが、あなたの経験できっとあるはずです。それらをできるだけ早い段階で認識して、実践できる力を付けておく必要があります。

 レーザ加工に関する既存の書籍には、レーザ発振原理や加工原理、レーザ加工の応用などが多く見られますが、実際の作業流れに即した実践的内容を解説するものはありませんでした。そこで本書は、レーザ加工の実作業に取り組む上で次に示す3つに着眼して、身に付けるべき知識を体系的にまとめました。
 ①構造・仕組み・装備
 ②段取りの基礎知識
 ③実作業と加工時のポイント
 なお、ここで扱うレーザ加工は、早い段階から実用化が進み多くの作業者が携わっている切断と溶接、焼入れを中心とした熱処理、そして穴あけです。①では構造に基づく運動特性の違いや装備の種類など、②では加工特性に影響を及ぼす要因や稼働前の確認事項など、③では加工条件の求め方や各加工で注意するポイントなどについて分かりやすく解説しています。
 忙しいみなさまが、レーザ加工機の作業学習のために多くの時間を掛けている暇はありません。レーザ加工のスキルは実作業にとても大切であり、短期間に集中して身に付けるべきものです。これに対応したのが本書であり、「最小限の時間で、即戦力になるための知識が身に付く」ことを主眼において執筆しました。本書に書いたことを実践していただくことで、「作業時間の半減」、「コストの半減」などの高い目標を持って仕事に取り組んでいただけることを期待しています。作業時間の短縮は、時間短縮だけでなく、煩雑な手間が省けることから「ミスの削減」という効果も出てきます。
 また、本書では、加工時間やランニングコストの試算についても解説し、さらに使用する加工機メンテナンスの必要性なども示しました。こうした実践的内容の本書が、これからレーザ加工によるモノづくりを始めようとする方や、すでに従事している方の基礎知識の把握に何らかの形で役立てていただけることを願っています。
 最後に、本書の出版に際し、何かとご配慮いただいた日刊工業新聞社の出版局書籍編集部の方々、ならびに関係各位に心から感謝いたします。

2020年6月
金岡 優

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