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よくわかる電子機器実装の品質不良検査とコスト削減

定価(税込)  2,420円

著者
監修
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-08062-3
コード C3054
発行月 2020年05月
ジャンル 電気・電子

内容

電子機器の実装(プリント板実装含む)において、品質不良が及ぼす影響は計り知れない。基礎的な部分だけに後付けの対策が難しく、しかも品質が保たれて当然という対応を受ける。本書では、電子機器実装で品質を向上することによるコスト削減の技術とその実際について丁寧に解説する。

杉山俊幸  著者プロフィール

(すぎやま としゆき)
 オムロン株式会社にて検査に30年以上携わる検査事業の技術専門職。
 システム機器の品質評価・検査自動化等を担った後、シート材の自動検査システムの設計・製造及び、電子機器実装の検査システムのフィールド開発・プロダクトマネージャーを経て、現在は品質経営や実装検査コンサルティング業務に従事。

 2013年に技術士(経営工学)登録、2014年にJPCA認定制度PWBコンサルタント、2015年にIPEA国際エンジニア/APECエンジニア(Industrial)に認証。

 日本技術士会会員。エレクトロニクス実装学会(JIEP)、電子情報技術産業協会(JEITA)、日本溶接協会(JWES)、米国電子回路協会(IPC)にて品質・実装・検査等に関わる委員を務める。

髙木 清  著者プロフィール

(たかぎ きよし)
 1932年生まれ、1955年横浜国立大学工学部卒業。同年富士通㈱入社。電子材料、多層プリント配線板技術の研究開発に従事。1989年古河電気工業㈱、㈱ADEKAの顧問、1994年高木技術士事務所を開設、プリント配線板関連技術のコンサルタントとして現在に至る。

 1971年技術士(電気電子部門)登録。㈳プリント回路学会(現、(一社)エレクトロニクス実装学会)理事、㈳日本電子回路工業会JIS原案作成委員などを歴任。
 2011年(平成23年)㈳エレクトロニクス実装学会、学会賞(平成22年度)受賞。
 同学会、名誉会員。よこはま高度実装コンソーシアム理事、NPO法人サーキットネットワーク監事、(公社)化学工学会エレクトロニクス部会幹事。

 著書:「多層プリント配線板製造技術」1993年、「ビルドアップ多層プリント配線板技術」2000年、「よくわかるプリント配線板のできるまで(3版)」2011年、「トコトンやさしいプリント配線板の本第2版」2018年
 共著:「プリント回路技術用語辞典(3版)」2010年、「入門プリント基板の回路設計ノート」2009年、「プリント板と実装技術・キーテーマ&キーワードのすべて」2005年(以上、いずれも、日刊工業新聞社刊)。

目次

まえがき

第1章 電子機器の実装とは
1.1 電子機器の例
1.2 プリント配線板
1.3 プリント配線板の製造プロセスの例
1.3.1 めっきスルーホールプロセス
1.3.2 めっき法ビルドアッププロセス
1.3.3 多層プリント配線板プロセスにおけるめっきの方法
1.4 プリント配線板に実装する電子部品の例
1.5 実装階層と部品の接続
1.6 部品・デバイスのプリント配線板への接続方法
1.6.1 フロー方式
1.6.2 リフロー方式

第2章 品質が経営に及ぼす影響
2.1 失敗コスト
2.2 評価・検査コスト
2.3 予防コスト

第3章 完成品検査(最終検査)―失敗/検査コスト削減
3.1 プリント配線板の検査技術例
3.1.1 導通・電気検査
3.1.2 外観・寸法検査
3.1.3 テストクーポン
3.2 プリント回路板の検査技術例
3.2.1 拡散面の3D検査
3.2.2 鏡面の3D検査
3.2.3 ハイブリッド3D検査

第4章 インライン全数非破壊検査―外部失敗コストの削減
4.1 プリント回路板の品質不良と検査課題(X線透過型、CT解析機)
4.2 内部検査の技術パラダイムシフト(高速CT)
4.3 高信頼性が要求される製品のプリント回路板の検査(光学/高速CT)
4.3.2 QFN/SONの検査
4.3.1 BGA(Ball Grid Array)の検査
4.3.3 QFP/SOPの検査
4.3.4 フラットリードの検査―2Pダイオード
4.3.5 フラットリードの検査―アルミ電解コンデンサ
4.3.6 パワートランジスタの検査
4.3.7 角チップの検査
4.3.8 ディップタイプコネクタの検査
4.3.9 プレスフィットコネクタの検査

第5章 受入/工程検査―内部失敗コストの削減
5.1 プリント配線板の検査体系例
5.1.1 受入検査
5.1.2 工程検査
5.1.3 最終検査
5.2 プリント回路板の検査体系例
5.2.1 受入検査
5.2.2 工程検査
5.2.3 最終検査

第6章 信頼性と工程管理―予防活動による失敗コスト削減
6.1 プリント配線板の必要特性
6.2 プリント配線板の材料
6.2.1 導体材料
6.2.2 リジッド用絶縁樹脂と基材
6.2.3 フレキシブル用絶縁樹脂
6.3 プリント配線板製造における変動要因
6.3.1 積層板材料
6.3.2 プリント配線板の製造
6.4 はんだ接合の信頼性と変動要因
6.5 プリント回路板における工程設計上の注意点
6.6 プリント回路板における品質保証カバレッジ
6.7 プリント回路板におけるマルチベンダ
6.8 プリント回路板の品質コストの変遷例と課題

第7章 品質のコミュニケーション―隠れたコスト削減
7.1 技術者/作業者のコミュニケーション
7.2 設備間コミュニケーション

第8章 機会損失と予兆検知―隠れたコスト削減
8.1 機会損失の低減
8.2 プリント回路板の品質不良の予兆検知(例)
8.3 品質規格とトレーサビリティ

索引
参考文献・参考ウエブサイト

はじめに

 大型のICT機器から小型の電子機器まで、プリント配線板に部品を実装した電子回路は広く使われています。その機器には、高い品質が要求されています。
 本書は電子機器の実装にて発生する品質不良、その流出による損失を減少させ、また発生を防止することによりコスト削減を可能にするには、どのような観点で実施したらよいかに焦点を当てて解説しました。
 電子機器実装においてコスト削減を考えるとき、
●品質(Q)をコストで考えたことがありますか。
●時間(T)をコストで考えたことがありますか。
 すなわち、QCT(あるいはQCD)をコストという共通のモノサシで考えたことがあるでしょうか。
 品質を優先するかコストを優先するか、という問題は生産においてよく議論されるテーマであると思います。しかし、品質を上げることで後の市場のクレーム対応や工程内の廃棄や手直しがなくなれば、それらのムダなコストは削減されます。つまり、品質の向上はコストの削減に大きく寄与します。
 品質向上やコスト削減と一口で言っても、それは必ずしも簡単ではありません。特に昨今の日本では、若手技術者の方が現場で、実際の品質不良を目にすることが少なくなりました。しかし品質不良の流出をなくすには、品質不良とはどのようなものかを、事象例を見て知っておく必要があります。また、市場流出防止に関わる検査の先端技術の概要を把握しておくのも大切です。品質不良の発生を防止する上で、人・設備・材料など品質変動に関係する要素や、予兆検知などの考え方を概観しておくのは重要なことです。
 加えて、品質不良の発生を契機とするムダな時間をなくすといった視点が必要です。ムダな時間には機会損失という、やるべきことをやらなかったことによる失われた利益が発生しています。
 このように、品質と時間をコスト(及び利益)で考えることは非常に重要です。つまり、品質・コスト・時間は優先順位を決めるのではなく、同時に成立させることを総合的に考えるべきであるといえるのです。
 本書は電子機器実装に関わる若手技術者やリーダの方々に向けて、品質不良に基づくコストの削減課題を解決するための考え方を記しました。た、管理者の方々にも興味を持っていただけると考えております。なお、部品を実装したプリント回路板に関する内容を多く記載していますが、土台となるプリント配線板との関係は深く、重要ですので、プリント配線板と部品実装とを関連付けながら記述いたしました。
 本書が様々な電子機器実装の品質不良、検査に関わるコストとの関連とその削減、さらに利益向上の一助になれば幸いです。

 2020年5月
杉山 俊幸

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