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図解よくわかるスマート農業
デジタル化が実現する儲かる農業

定価(税込)  2,200円

編著
著者
サイズ A5判
ページ数 180頁
ISBNコード 978-4-526-08047-0
コード C3034
発行月 2020年03月
ジャンル 経営

内容

農業法人化や企業の農業参入が活発になり、「儲かる農業」の成功事例が増えてきた。特に、IoTやAIなどを活用した「スマート農業」が実用段階となり、農業のイノベーションが加速。本書は、実際に農業に参入する際の課題を解決するデジタル化に焦点を当てたスマート農業の入門書。

三輪泰史  著者プロフィール

(みわ やすふみ)
株式会社日本総合研究所 創発戦略センター エクスパート
広島県福山市出身。東京大学農学部国際開発農学専修卒業。東京大学大学院農学生命科学研究科農学国際専攻修士課程修了
農林水産省の食料・農業・農村政策審議会委員、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)アドバイザリーボード委員長をはじめ、農林水産省、内閣府、経済産業省、新エネルギー・産業技術総合開発機構などの公的委員を歴任
<主な著書>「アグリカルチャー4.0の時代 農村DX革命」「IoTが拓く次世代農業 ―アグリカルチャー4.0の時代―」「植物工場経営」「グローバル農業ビジネス」「図解次世代農業ビジネス」(共著、日刊工業新聞社)、「次世代農業ビジネス経営」(日刊工業新聞社)、「甦る農業―セミプレミアム農産物と流通改革が農業を救う」(共著、学陽書房)ほか

目次

第1章 スマート農業をビジネスにする
成長産業化が進展する日本農業 農業は“儲かる”ビジネスへ
いま注目の“スマート農業”とは IoT、AI、ロボティクスが変える農業像
スマート農業の3分類 スマート農業を構成する匠の眼・頭脳・手
2035年、日本は“農業者100万人時代”に ピンチをチャンスに変える逆転の発想
なぜいま“スマート農業”なのか 日本農業の課題を解決する切り札
日本型スマート農業 大規模化だけでない。アジア市場へと躍進

第2章 農業ビジネスの始め方
合言葉は“農業ビジネス” “儲かる農業”と“儲ける農業”は違う
農業の始め方<新規就農> 自ら農場を始めるか、農業法人に就農するか
企業の農業参入モデルの分類 農地を「借りる」か「買う」かが参入形態の分かれ目
農地を確保するには 計画に合った農地を用意しよう
農業技術の学び方 学校や研修機関を活用した体系的な技術取得
外国人材の有効活用 若手が少ない農村地域の労働力不足に対応
資材調達の方法 資材の効率的な使用・調達を支えるシステム

第3章 スマート農業の導入ステップ
スマート農業導入の6つのステップ まずはしっかりとした計画策定を
効率的な情報収集方法 スマート農業の先駆者から成功要因と課題を学ぶ
ニーズに合った農業技術の選定 「品目×作業」から適切な技術導入を
スマート農業は“シェアリング”が基本 ヒト・モノ・カネ・ノウハウの共有がカギ
スマート農業サービス事業者への作業委託 スマート農業のプロに“お任せ”
設備導入のための資金調達 まずは現実的な事業計画の準備を
スマート農業技術の利用時の注意点 広く普及するまでは農業者個人での“理解”が必要
スマート農業で失敗しないためのポイント① “本気度の高い”スマート農業技術を選ぼう
スマート農業で失敗しないためのポイント② 最新の技術・政策情報を常に入手しよう

第4章 スマート農業の“匠の眼”
モニタリング用ドローン 人が持てない視野から見る。広範囲の生育状態の把握が可能
人工衛星リモートセンシング 宇宙から圃場を見る。人工衛星の画像を解析して生育状態等を把握
気象センサー 遠隔圃場の気象状況の確認が容易
土壌センサー 定量的な管理作業判断が可能に
畜産用センサー 家畜をセンサーで見守り、効率化向上とリスク低減を実現

第5章 スマート農業の“匠の頭脳”
生産管理システム<概要> スマート農業のはじめの一歩。農業経営もPDCAで改善
生産管理システム<事例> 自身のニーズに合わせてアプリケーションを選択
畜産向け生産管理システム ICTを活用して、家畜の管理を高度化
農業データ連携基盤<WAGRI> 様々なアプリやデータベースが連携するプラットフォーム
AIを活用した病害検出システム AIで病害のリスクを大幅低減
AIを活用した収穫量予測 AIによる画像解析で収穫計画を精緻化
収穫予測アプリケーション 収穫タイミングを見える化。穀物を中心に収穫時期を科学的に予測

第6章 スマート農業の“匠の手”
自動運転農機 様々な農機の自動化が急速に進展
農業ロボット① 除草ロボット 農業者を悩ます除草作業をロボット導入で手軽に
農業ロボット② 収穫ロボット 収穫作業を変容するロボットが従量課金型サービスとして登場
農業ロボット③ 多機能型ロボット 農業者に寄り添い、ともに成長するロボット
畜産ロボット① 搾乳ロボット 搾乳の自動化で酪農の働き方改革を実現
畜産ロボット② 給餌ロボット 生育促進、ロス削減、作業時間短縮を同時に実現
作業用ドローン 空から短時間で効率的に、農薬や肥料を散布
水田自動給排水システム 水管理の労働力を大幅に削減
植物工場① 人工光型 続々と立地する巨大工場。競争は激化
植物工場② 太陽光型・太陽光併用型 進化を続ける施設園芸技術、世界最高峰のオランダを猛追

第7章 スマート農産物流通
改革が進む農産物流通 生産者と消費者を直結するダイレクト流通が拡大
卸売市場の役割と今後の方向性 法改正で卸売市場の役割が大きく変わる
存在感を増すインターネット販売 インターネットの普及で農家主導の販売が可能に
需給マッチングを最適化するスマートフードチェーン スマート農業は生産から流通・消費にまで拡張
品質・鮮度の保持技術 優れた農産物の安定供給が実現
農業者と地域が協力するラストワンマイル物流 農産物出荷の帰り道を有効活用

第8章 スマート農業を後押しする政策・支援策
スマート農業の普及を進める政策 スマート農業は研究開発フェーズから普及フェーズへ
スマート農業を対象とした支援制度 開発、実証、導入の3段階での手厚いサポート
スマート農業実証プロジェクト コメ、野菜、果樹、畜産などの各分野で成功事例を創出
スマート農業に関する技術指導 多岐にわたる技術の習得は専門性を高める1つの手段
スマート農業のこれからの技術開発戦略 更なる発展を目指すスマート農業

第9章 スマート農業の追い風となるトピック
農業とSDGs SDGsは人類共通の課題。農業との結びつきは広い
気候変動によるリスク 気候変動による影響が拡大。農業は「適応策」のトップランナー
生物多様性と農業の両立 農業だからこそ貢献できる社会的責任
品種開発の新技術・ゲノム編集 新技術で生まれる新品種に相応しい生活環境・管理能力を
農業ビジネスの海外展開① 新興国での農産物需要 高所得層向けが牽引する
農業ビジネスの海外展開② 農産物輸出 品目別輸出から探る成功パターン
農業ビジネスの海外展開③ 日本式農業モデル 現地生産・現地販売でより多くの海外の消費者をターゲットに
農村デジタルトランスフォーメーション 農業と農村を一体的にデジタル化

Column
GAPの本質
地域ブランド」を後押しする地理的表示保護制度
地域の魅力を収益に変える伝統野菜
インバウンド向け販売は“隠れた農産物輸出”
MY DONKEYの構造と活用シーン
MY DONKEYのシステム ―農業におけるデータ利活用の基盤として機能する―
MY DONKEYが提供するデータ農業サービス
MY DONKEYの活用事例① 栃木県茂木町
MY DONKEYの活用事例② サントリー

はじめに

 近年、日本の農業にもデジタル化の波が押し寄せています。農林水産省では、IoT(モノのインターネット)・AI(人工知能)・ロボティクスなどの先進技術を駆使した農業を「スマート農業」と位置付け、研究開発と普及を積極的に推進しています。スマート農業は農業就業人口の減少、農業者の高齢化、耕作放棄地の増加、収益性の伸び悩みといった日本農業の課題を解決する切り札として期待されています。
 2019年は農水省などの支援を受けて研究開発が進められてきた自動運転トラクター、農業ロボット、農業用ドローン、生産管理システムなどが実用化し、実証事業などを通して普及へと動き始めました。そして2020年は、いよいよスマート農業技術が農業者の現場に本格的に導入されていくタイミングとなります。
 スマート農業がブームとなる一方で、筆者が全国の農業地域を回っていると、多くの農業者から「スマート農業に関心があるが、どういう技術をどのように使えばいいか分からない」という悩みを伺います。多種多様なスマート農業技術が実用化されつつあり、農業者にとっては自らに適したものを選ぶのが難しい状況になっているのです。いかに優れたスマート農業技術であっても、きちんと使いこなせなければ、課題解決にはつながりません。また、黎明期から普及期への過渡期にあるため、製品・サービスによって技術成熟度やサポート体制に大きな差があることに注意が必要です。スマート農業を使いこなすには、しっかりと情報収集することが不可欠です。
 本書では、スマート農業の現在地について具体事例を中心に紹介するとともに、スマート農業の導入ステップや失敗しないためのポイントを解説しています。加えて、農水省などによるスマート農業の研究開発支援、普及支援政策や、規制改革の方向性についても紹介します。スマート農業、IoT/AI、そして地域活性化に対する関心が高まる中、本書の内容が、スマート農業を導入して儲かる農業ビジネスを実現しようとしている農業者やビジネスパーソンに対して、少しでもお役に立てば、筆者としてこの上ない喜びです。
 本書では、株式会社日本総合研究所に所属する農業・流通・食品・環境などを専門とする多くの研究員が執筆に参画しました。豊富な経験と鋭い発想力を基に、スマート農業の現状と活用方法について分かりやすく解説してくれた執筆者陣に感謝申し上げます。
本書の企画、執筆に関しては日刊工業新聞社の土坂裕子様に丁寧なご指導を頂きました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
 最後に、筆者の日頃の活動にご支援、ご指導を頂いている株式会社日本総合研究所に対して心より御礼申し上げます。

2020年3月 株式会社日本総合研究所 創発戦略センター 三輪 泰史

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