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すぐ身につく分析化学・機器分析の実務
基礎、前処理、手法選択、記録作成を現場目線で解説

定価(税込)  2,640円

編著
著者
サイズ A5判
ページ数 232頁
ISBNコード 978-4-526-08045-6
コード C3043
発行月 2020年03月
ジャンル 化学

内容

分析に必要な基本理論はもちろん、加熱や切断、試料の採取など前処理に必要なテクニックや分析機器を正しい状態で使うための管理法など、実務に即した情報を提供。これから分析業務に携わる人に加え、分析業務の依頼者にも有用なノウハウがわかりやすく体得できる。

矢矧束穂  著者プロフィール

(やはぎ つかほ)
2008年東京農工大学大学院修士課程修了、同年、神奈川科学技術アカデミー(現:神奈川県立産業技術総合研究所)へ入所。有機・無機材料を問わず数多くの分析に携わっている。特に電子顕微鏡による構造解析を得意とし、前処理からデータ解析において多くの知見を持つ。2017年技術士(化学部門)登録。現在、(地独)神奈川県立産業技術総合研究所 川崎技術支援部 主任研究員。
専門:分析化学、機器分析

瀬戸山央  著者プロフィール

(せとやま おう)
2010年東京農業大学大学院修了、同年、神奈川県入庁、神奈川県産業技術センター配属。2018年より現職(化学技術部主任研究員)。
専門:機能性食品学、生化学

目次

第1章 分析の基本
1-1 分析とは?
1-2 分析化学・化学分析・機器分析とは?
1-3 分析の必要性
column 分析は身近な存在

第2章 分析によって明らかになること
2-1 分析で何ができるのか?
2-2 基本① 定性分析
2-3 基本② 定量分析
2-4 応用① 分離分析
2-5 応用② 微量分析
2-6 応用③ 状態分析
2-7 応用④ 表面分析
2-8 応用⑤ 局所分析

第3章 分析に必要な考え方
3-1 分析の進め方
3-2 分析の3要素
3-3 分析目的の明確化
3-4 試料採取
3-5 試料前処理
3-6 測定
3-7 データ処理
3-8 まとめ・考察

第4章 分析をする上で知っておいた方がよいこと
4-1 分析信号の発生領域と放出領域
分析の空間分解能とは?
4-2 濃度の表現方法 分析における百分率(%)とppm
4-3 分析における光の利用
4-4 吸光度による物質の定量
4-5 検量線
4-6 標準偏差
4-7 検出限界と定量下限
4-8 測定誤差
4-9 S/N比
4-10 分解能
column 臨床医療用分析機器のすごさ

第5章 分析に必要なテクニックと周辺知識
5-1 実験器具の取り扱い
5-2 実験器具の材質
5-3 試薬の取り扱い
5-4 秤量
5-5 pHの測定
5-6 濾過・遠心分離
5-7 撹拌
5-8 乾燥
5-9 加熱
5-10 冷却
5-11 溶解・融解
5-12 抽出
5-13 蒸留・昇華・濃縮
5-14 切断・研磨
5-15 樹脂包埋
5-16 粉砕
5-17 試料の取り扱いについて
5-18 試料の採取方法
5-19 実験廃棄物について
5-20 実験事故の防止

第6章 分析結果の報告
6-1 レポート(報告書)の作成
6-2 実験ノート(ラボノート)の記録
6-3 有効数字
6-4 画像の取り扱い
6-5 データの「ねつ造」と「改ざん」
column 観察は分析か?

第7章 分析機器の管理
7-1 分析機器管理の基本
7-2 分析機器の保全
7-3 分析機器の状態把握
7-4 適正な設置環境の維持
7-5 分析機器を取り扱う人の心得

第8章 代表的な分析機器と測定例
8-1 蛍光X線分析装置(XRF)
8-2 エネルギー分散型X線分析装置付き走査電子顕微鏡(SEM-EDS)
8-3 紫外・可視分光光度計(UV-Vis)
8-4 フーリエ変換型赤外分光光度計(FTIR)
8-5 レーザラマン分光光度計(Raman)
8-6 X線光電子分光装置(XPS)
8-7 核磁気共鳴装置(NMR)
8-8 高速液体クロマトグラフ(HPLC)
8-9 ガスクロマトグラフ(GC)
8-10 誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-AES)

はじめに

 筆者は日々、分析(主に機器分析)に携わっているが、初学者の方から、「どのように分析を進めるのかわからない」「分析したが何もわからなかった」という声を耳にすることがある。分析の原理や応用例については分析化学や化学分析、機器分析と書かれた教科書を読むことをお勧めしているが、分析の進め方に関してどのように伝えればよいか、いつも頭を悩まされる。たしかに多くの教科書には、「どのように分析を進めるのか?」「分析でできることは何なのか?」という初学者や実務者にとって一番知りたいことが記載されていない。このような状況の中、出版社から分析の実用書を書いてほしいという話をいただいた。
 本書は、分析を専門としていない方やこれから分析に携わる方が、分析という手段を効率的に使えるようになることを目的としている。そのため、原理よりも手順やノウハウ、考え方に重点を置いてまとめた。原理など根本を理解されたい方にとっては物足りないかもしれないが、その点はご容赦願いたい。
 本書の章構成は8つに分けられており、いずれも初学者を対象とした目線で記述した。第1章では、分析という概念を整理し、混同されがちな「分析化学」「化学分析」「機器分析」という用語について本書内での位置づけを示している。基本的に、本書は機器分析を中心とした内容としている。
 第2章では、定性分析と定量分析を基本的な分析として位置づけ、5つの応用分析を整理している。分析の分類にはさまざまな考え方があるが、本書は実用書であるため分析原理や分析手法よりも「できること」という点を重視した分類を行い、各分析のポイントを中心に紹介した。
 第3章では、分析を進める上で必要な考え方を示してある。分析によって技術上の課題や問題解決を行うためには、分析目的を明確にした上で試料採取、試料前処理、測定、データ処理、まとめ・考察というプロセスを踏むべきであると筆者は考えている。分析の各プロセスを理解しておくことは、分析を活用するためには大切なスキルである。
 第4章では、分析に関わる上で最低限知っておくべき共通となる原理や用語、知識について整理した。紙面の都合上、記載できなかったものも多いが、それらについては成書をご覧いただきたい。
 第5章では、分析に関連する前処理技術や実験操作、ノウハウを中心に紹介している。分析機器の操作は自動化が進んでいるが、前処理や試料採取にはまだ人の手を必要とする場面も多い。
 第6章では、分析結果の報告に関する基本的な考え方や実験ノートの記載、測定結果の取り扱いについて述べた。分析結果はレポートや報告書としてまとめることで、初めて他の方と共有化することができる。分析結果を品質管理や研究開発の現場へフィードバックさせ、PDCAサイクルを回すためにも分析結果の報告は大切である。
 第7章では、分析機器の管理についての基本的な考え方を示した。分析機器は高性能化しているが、性能を維持するためには、計画的な保全と管理は必須である。分析機器は機械であり、必ず劣化するという視点の下でいくつかのポイントを紹介している。
 第8章では、代表的な分析機器について概要と基本的な測定事例をまとめた。詳しい応用事例を紹介したかったが、紙面の都合上により表面的な記載にとどめている。
 本書の内容が、これから分析に携わる方にとって少しでも参考となれば、筆者としては嬉しい限りである。

 最後に、本書を執筆する機会を与えてくださった日刊工業新聞社の阿部正章氏、矢島俊克氏、企画段階から原稿の内容チェックまで度重なるご支援をいただいた東海大学の前田秀一教授と研究室の学生のみなさまに心から御礼申し上げる。また、本書執筆にご協力いただいた神奈川県立産業技術総合研究所の職員のみなさまにも感謝する。本書は他にも、家族や友人など多くの方々にご支援をいただき執筆した。この場を借りて改めて御礼申し上げる。
2020年3月
矢矧 束穂

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