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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしいエントロピーの本 第2版

定価(税込)  1,650円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-08043-2
コード C3034
発行月 2020年02月
ジャンル ビジネス 化学

内容

エントロピーは、自然現象に対するものの見方を深める意味で非常に重要な物理の概念。本書は数式を極力用いずに、身近な具体例を使ってエントロピーをやさしく解説する。要望が多かった「なぜエントロピーが増えるのか」と「ボルツマン分布」の解説に紙幅を割いた第2版。

石原顕光  著者プロフィール

(いしはら あきみつ)
1993年 横浜国立大学大学院工学研究科博士課程修了
1993~2006年 横浜国立大学工学部 非常勤講師
1994年  有限会社テクノロジカルエンカレッジメントサービス 取締役
2006~2015年 横浜国立大学グリーン水素研究センター 産学連携研究員
2014~2015年 横浜国立大学工学部 客員教授
2015年~ 横浜国立大学先端科学高等研究院 特任教員(教授)

●主な著書
「おもしろサイエンス 熱と温度の科学」
日刊工業新聞社(2019)
「しっかり学ぶ化学熱力学 エントロピーはなぜ増えるのか」
裳華房(2019)
「トコトンやさしい元素の本」日刊工業新聞社(2017)
「トコトンやさしい電気化学の本」日刊工業新聞社(2015)
「トコトンやさしいエントロピーの本」日刊工業新聞社(2013)
「トコトンやさしい水素の本 第2版」
共著、日刊工業新聞社(2017)
「トコトンやさしい再生可能エネルギーの本」
監修・太田健一郎、日刊工業新聞社(2012)
「再生可能エネルギーと大規模電力貯蔵」
共著、日刊工業新聞社(2012)
「原理からとらえる電気化学」共著、裳華房(2006)

目次

【第1章】エントロピーって何だろう
1 エントロピーで自然現象の本質をとらえる 「いろんな分野で使われるエントロピー」
2 本質をとらえて悟りを開くために 「3つのステップで悟りは開ける」
3 エントロピーがとらえる本質とは 「自然現象は「自然に」進んでいく」
4 ものは過去にこだわらない 「過去に関係なく、変化は進む」
5 エントロピーを一言で言うと 「人類が見い出した偉大な経験則」
6 エントロピーはなぜわからないと言われるのか 「わからないことをわかろうとしない」
7 エントロピーでものの見方を変えよう 「見えなかったものが見えてくる」
8 エントロピーがわかると何がよいのか 「エントロピーのご利益」
9 エントロピーの弱点 「速さは皆目見当もつかない」

【第2章】エントロピーを学ぶ前にこれだけは知っておこう
10 「物質は無くならない」という法則 「まず質量保存の法則」
11 エネルギーって、なかなか難しい概念 「仕事をする潜在的能力がエネルギー」
12 潜在的ってどういうこと? 「どんなエネルギーがあるのだろう」
13 熱も電気もエネルギー 「物質がもつ化学エネルギー」
14 エネルギーは形を変えてどんどん変化する 「太陽光の光エネルギーが変化する」
15 人間はエネルギーの形を変えて使いやすいようにできる 「住みよい世界へ」
16 エネルギーは無くならない 「エネルギー保存の法則」

【第3章】いざエントロピーに挑戦!
17 全体を見る、それが大切 「興味のある部分だけにとらわれない」
18 完全に元に戻れるか戻れないか、それが重要 「変化の方向性を判定しよう」
19 どこかに影響が残ってないか 「温かい周りに置いてみる」
20 やっぱり元には戻らない 「電子レンジを使ってみよう」
21 動いている物体は自然に止まる 「摩擦によって熱に換わる」
22 熱に換わってしまったらおしまい? 「元に戻らない理由」
23 熱にならなければ元に戻る 「でも必ず抵抗や摩擦は存在する」
24 エネルギーだけじゃダメなんです 「だからエントロピーが必要なんだ」
25 エネルギーには質がある 「質の良いエネルギー・質の悪いエネルギー」
26 自然の変化はエネルギーの質と関係? 「エネルギーの質の低下とエントロピーの増大」
27 エントロピーが減ってる? 「冷蔵庫はコンセントを入れないと動かない」
28 全体で質が悪くなればそれでよい 「エネルギーの質の低下による補償」
29 エネルギーの質だけじゃない 「物質は広がっていく」
30 全体のエネルギーの質が良くなってもいい? 「熱のエントロピーを物のエントロピーで補償」
31 熱のエントロピーは物質のエントロピーに換えられる 「水の沸騰は熱のエントロピーを物に変換」
32 エントロピーを変化させる要因は2つ 「物質のエントロピーも熱のエントロピーに換えられる」
33 エントロピーを考える意味 「関係の無い2つの現象を1つの概念で扱える」
34 エントロピーの変化量はこれくらい 「数値で見るエントロピー変化」
35 結局すべてはエントロピー 「悟りの第3段階へ」

【第4章】身近な現象や技術をエントロピーで見ると
36 すべての変化は自然に起こる「 人間もエントロピーの法則から逃れられない」
37 錆びる、燃える、傷む 「酸化反応はエネルギーのエントロピーが支配する」
38 「結露しては消える」の繰り返し 「反対の変化が継続して起こる」
39 結露も蒸発も全体のエントロピーは増大する 「温度が変わると変化の向きが変わる」
40 芳香剤と脱臭剤、そのエントロピーは? 「反対の作用をエントロピーで考える」
41 物が溶ける理由 「物質のエントロピーは増大する」
42 物が溶けない理由 「意外と難しい「溶ける」という現象」
43 着物のシミにご用心 「融点を下げてまでも混ざり合いたい」
44 凍結防止はエントロピーで! 「融雪剤も不凍液も」
45 ナメクジに塩をかけると縮む 「凝固点降下 ・ 沸点上昇 ・蒸気圧降下 ・ 浸透圧はすべて物質のエントロピーの性質」
46 夏の打ち水でエネルギーのエントロピーを減らそう 「物質のエントロピーで取り去れる」
47 生命活動とエントロピー 「ブドウ糖と酸素との反応を利用して活動している」
48 生命活動も太陽光エネルギー 「太陽光エネルギーは質の良いエネルギー」

【第5章】「エネルギー ・環境」問題とエントロピー
49 エネルギー問題、実はエントロピー問題! 「質の良いエネルギーが無くなる」
50 化石燃料は優秀な化学エネルギー 「現代文明は太古の太陽光エネルギーに支えられている」
51 「再生可能」エネルギーは何かヘン? 「正確には永続的利用可能エネルギー」
52 再生可能エネルギーのエントロピー 「エントロピーの増大する量は変わらない」
53 水の惑星・地球の不思議 「水がエントロピーを捨てる」
54 持続可能なエネルギーシステム 「自然のエントロピーの流れの中へ」
55 リサイクルをモデル化しよう 「基本は製品→廃棄物→製品」
56 劣化と再生のエントロピー 「どちらも全体のエントロピーは増大する」
57 リサイクルはしたけれど 「ちゃんとエントロピーは増大している」
58 意味のあるリサイクルを 「「リサイクル」の本当の意味」

【第6章】エントロピーの秘密に迫る
59 この世は「トビトビ」になっている 「エネルギーは量子化されている」
60 気体はいろんな速さで動いている 「これがマックスウェル ・ボルツマン分布だ」
61 マックスウェル・ボルツマン分布を決める2つの要因 「状態の数の分布とエネルギー分布」
62 見えてきたマックスウェル・ボルツマン分布の秘密 「エネルギーで考えるのがミソ」
63 自発的なボルツマン分布への変化がエントロピーを増やす 「ボルツマン分布はトビトビをトビトビに分配する時に現れる」
64 自然現象の変化は配分の仕方の数で決まる 「配分の仕方の数が多い方に自発的に変化する」
65 ボルツマン分布以外は事実上ゼロ 「自然現象も統計的な原理に従う」
66 エネルギーの質の低下とボルツマン分布 「高温から低温への熱の移動は配分の仕方の数が増えるから」
67 ものの存在空間の拡大とボルツマン分布 「物質が存在空間を拡大するのは配分の仕方の数が増えるから」
68 最後にやっぱりエントロピー 「身の周りの現象をエントロピーを使って考える」

【コラム】
●エントロピーを見つけたのは誰?
●エントロピーの求め方
●エントロピーが増大しない体積膨張もある
●いたるところで増えるエントロピー
●宇宙は熱的死に向かう
●熱の普遍性と特殊性

参考文献
索引

はじめに

 エントロピーは、身の周りで起こる、一見関係ないようなさまざまな現象と本質的に深くかかわっています。世の中で起こるすべての現象は、一方向にしか進まないという変化の方向性をもっています。エントロピーは、この変化の方向性を理解するために、人間が見出した普遍的な考え方・ものの見方です。そのエントロピーを理解するためのとっかかりを得ていただくことを目的として、2013年に初版を刊行しました。
 エントロピーが、いかにいろんな現象とかかわっているかを理解することは、私たちの自然現象に対するものの見方を深める意味で非常に重要です。たとえば、鉄が錆びる・ものが燃える・結露する・蒸発する・匂いをとる・ものを溶かす・打ち水で冷やす・融雪剤で融かす・ナメクジが塩で縮む・漬物はシワシワで腐りにくい・海中で眼を開けると痛いなど、すべてエントロピーの観点から理解できます。
 また、現在、わが国はもちろん、世界的にもエネルギー・環境問題が大きくクローズアップされています。エネルギー問題は、エネルギーの枯渇問題と思われていますが、エネルギーは保存されて無くならないため、正確にはエントロピー問題なのです。そして、急速に導入が進められている再生可能エネルギーやリサイクルをはじめとする環境問題も、エントロピーの観点からとらえることが必要です。
 初版では、エントロピーを理解していだたくために、筆者にできる範囲で具体的な現象もできるだけ取り上げて記述してみました。エントロピーは熱力学という学問で取り扱われます。熱力学の範囲では、エントロピーが増大するのは「法則」とされており、「なぜエントロピーが増大するのか」については答えてくれませんし、答える必要もありません。とはいうものの、「なぜか」をやっぱり知りたくなるのが知的好奇心というものです。それに果敢に挑戦したのが、ルートヴィッヒ・エードゥアルト・ボルツマンです。彼が見出した「ボルツマン分布」は、その後の量子力学とも合わさって「統計力学」という学問に発展しています。初版では、第6章で少しボルツマン分布について解説しましたが、不十分だと感じていました。そこで、もう少し深く掘り下げてボルツマン分布を解説したいと思っていたところ、第2版を刊行させていただく機会を得ました。突き詰めれば結局は、「なぜエントロピーが増えるか」というと、世の中はそうなっているからとしか答えられないのですが、少しでも違う観点から興味をもっていただき、さらに深く学習していただくきっかけになれば幸いです。
 第2版の刊行に際して、執筆の機会をいだたいた日刊工業新聞社の奥村功氏、編集上のアドバイスをいただいたエム編集事務所の飯嶋光雄氏、また本文デザインを担当していただいた志岐デザイン事務所の奥田陽子氏に謝意を表します。
 最後に、初版刊行後も引き続き月1回の物理化学勉強会に参加して一緒に議論していただいている、新井正一さん、簑島建司さん、織地 学さん、三好康太くん、兼子美奈子さんに深く感謝いたします。

 2020年2月
石原 顕光

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