内容
技術士試験電気電子部門の一次、二次に共通したテキストの第4版。技術士第一次試験・第二次試験の電気電子部門を受験する際に必要な知識を整理して解説。膨大な試験範囲を強電、弱電の区別なく分野別に紹介した、「電気電子部門」受験のための学習テキストの定本。
福田 遵 著者プロフィール
(ふくだ じゅん)
技術士(総合技術監理部門,電気電子部門)
1979年3月東京工業大学工学部電気・電子工学科卒業
同年4月千代田化工建設㈱入社
2002年10月アマノ㈱入社
2013年4月アマノメンテナンスエンジニアリング㈱副社長
公益社団法人日本技術士会青年技術士懇談会代表幹事,企業内技術士委員会委員,神奈川県技術士会修習委員会委員などを歴任
学会:日本技術士会,電気学会,電気設備学会会員
資格:技術士(総合技術監理部門,電気電子部門),エネルギー管理士,監理技術者(電気,電気通信),宅地建物取引主任者,ファシリティマネジャー等
著書:『技術士第一次試験「電気電子部門」択一式問題200選 第5版』,『技術士第一次試験「基礎科目」標準テキスト 第3版』,『技術士第一次試験「基礎科目」厳選問題150選』,『技術士第一次試験「適性科目」標準テキスト』,『例題練習で身につく技術士第二次試験論文の書き方 第5版』,『技術士第二次試験「電気電子部門」要点と<論文試験>解答例』,『技術士第二次試験「口頭試験」受験必修ガイド 第5版』,『技術士第二次試験「総合技術監理部門」標準テキスト』,『技術士第二次試験「総合技術監理部門」択一式問題150選&論文試験対策』,『トコトンやさしい電気設備の本』『トコトンやさしい発電・送電の本』,『トコトンやさしい熱利用の本』(日刊工業新聞社)等
目次
はじめに
【第1章】 電力・エネルギーシステム
1 水力発電
(1)水力発電の原理 (2)水車 (3)揚水発電
2 火力発電
(1)火力発電の原理 (2)蒸気タービン (3)コンバインドサイクル発電
3 発電機
(1)火力発電機 (2)水車発電機
4 原子力発電
(1)核反応 (2)原子炉の構成 (3)沸騰水形原子炉(BWR)
(4)加圧水形原子炉(PWR) (5)蒸気タービン
5 新エネルギー発電
(1)風力発電 (2)地熱発電 (3)燃料電池 (4)バーチャルパワープラント(VPP)
6 送電
(1)電力系統 (2)架空送電 (3)地中送電 (4)直流送電 (5)管路気中送電
7 配変電
(1)高圧配電方式
(2)中性点接地方式
(3)電力系統安定度向上
(4)短絡容量
(5)無効電力補償
(6)周波数調整
(7)電圧フリッカ
(8)需要諸係数
【第2章】 電気応用
1 電気回路
(1)直流回路
(2)過渡現象
(3)電界とコンデンサ
(4)交流回路
(5)三相交流
(6)ひずみ波交流
2 電磁気学
(1)ビオ・サバールの法則
(2)真空中にある無限長線状導体が作る磁束密度
(3)アンペールの法則
(4)レンツの法則
(5)フレミングの左手の法則
(6)フレミングの右手の法則
(7)コイルの磁束とエネルギー
3 回転機
(1)直流機 (2)同期機 (3)誘導機
4 変圧器
(1)変圧器の特性 (2)変圧器の種類 (3)変圧器の結線 (4)変圧器の並行運転
5 電気加熱
(1)抵抗加熱 (2)赤外加熱 (3)アーク加熱 (4)熱プラズマ加熱 (5)誘導加熱 (6)誘電加熱 (7)マイクロ波加熱 (8)レーザ加熱 (9)電子ビーム加熱
6 パワーエレクトロニクス
(1)ダイオード (2)逆阻止三端子サイリスタ (3)トライアック (4)ゲートターンオフサイリスタ(GTO) (5)バイポーラパワートランジスタ (6)パワーMOSFET (7)絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT) (8)SI(静電誘導)トランジスタ (9)直流変換回路
7 電池
(1)一次電池 (2)二次電池 (3)新型電池 (4)電力貯蔵技術
8 電気電子材料
(1)導電材料 (2)抵抗材料 (3)半導体材料 (4)絶縁材料 (5)磁性材料
9 電気鉄道
(1)電気方式 (2)直流電気車 (3)交流電気車 (4)運転システム (5)電食
【第3章】 電子応用
1 電子デバイス
(1)半導体 (2)ダイオード (3)トランジスタ
2 電子回路
(1)電力増幅回路
(2)高周波増幅回路
(3)発振回路
(4)演算増幅器(オペアンプ)
(5)電源回路
(6)論理回路
(7)FPGA
(8)MEMS
3 制御技術
(1)制御
(2)フィードバック制御
(3)PID制御
(4)過渡応答
(5)ラプラス変換とz変換
(6)ロボット制御
4 計測
(1)計器の種類 (2)高電圧の測定 (3)物理効果とその応用 (4)センサ (5)精度
5 記憶装置
【第4章】 情報通信
1 無線通信
(1)電波の種類と性質 (2)アンテナ
(3)移動体通信 (4)衛星通信 (5)テレビ放送
2 光ファイバ通信
(1)光ファイバの特徴 (2)光源と損失 (3)光増幅器 (4)変調方式
3 LAN
(1)有線LAN (2)無線LAN
4 インターネット
(1)OSI参照モデル (2)TCP/IP (3)IPアドレス (4)IPv6 (5)回線交換とパケット交換 (6)VoIP
5 伝送システム
(1)変復調方式 (2)多重化 (3)標本化定理と符号化
6 情報理論
(1)フーリエ変換と離散フーリエ変換 (2)符号の木 (3)通信路符号化 (4)パリティチェック方式 (5)マルコフ過程 (6)平均情報量(エントロピー)
【第5章】 電気設備
1 受電設備
(1)開閉装置 (2)力率 (3)スマートメーター
2 電源設備
(1)原動機 (2)コジェネレーション (3)分散型電源と系統連系 (4)無停電電源装置 (5)蓄電池設備 (6)非接触給電設備
3 幹線設備
(1)幹線の種類 (2)配電電圧 (3)配線材料
4 照明設備
(1)照明の基本用語 (2)照明器具の配光 (3)照明器具配置による分類 (4)照度計算 (5)照明効果に関する用語
5 テレビ共同受信設備
6 動力・熱源設備
(1)電動機に関する計算式 (2)ヒートポンプ
(3)配電線路の中性線欠相事故時の電圧 (4)電気自動車充電器
7 障害
(1)電磁障害 (2)高調波障害
8 電気設備技術基準
(1)電圧 (2)安全・保護対策 (3)離隔距離 (4)絶縁性能 (5)接地 (6)遮断時間 (7)低圧幹線の許容電流
おわりに
はじめに
平成17年春に本著の初版を出版しましたが,その頃は,技術士第二次試験でも必須科目で択一式問題が出題されるとともに,技術士第一次試験でも5つの選択科目から問題が均等に出題されていました。一方,技術士試験で出題されていた強電分野から弱電分野までの広い範囲を網羅した書籍は存在していなかったため,本著は技術士試験における電気電子部門で勉強すべき内容の指針を示す資料として多くの受験者に愛用していただきました。また,当時は口頭試験でも専門知識に関する試問があり,本著の内容を勉強していれば解答できる内容が多く試問されていました。その後,第一次試験は大学卒業程度の内容に限定されたこともあり,電気応用の内容が中心の試験になっていきました。また,第二次試験は必須科目が記述式問題になったのちに,再度択一式問題に戻るなどの変遷をしていますし,口頭試験も人物の資質を試す試験になり,専門識に関する試問はなくなりました。そういった試験制度の変更のたびに,本著は改訂版を出版し,技術士試験で出題される可能性が高い内容を説明するように変化してきました。
令和元年度試験からは,技術士第二次試験の必須科目で出題されていた択一式問題が記述式に変更されましたし,選択科目で出題される内容も一部修正されましたので,新しい試験制度に合わせるために,第4版への改訂を行うことになりました。
第一次試験の対策として利用される場合には,当然,第2章の電気応用の内容を手始めに,第3章の電子応用や第4章の情報通信の内容まで拡大して勉強してもらうことで知識はつくと思います。それに加えて,著者が出版している『技術士第一次試験「電気電子部門」択一式問題200選』を使って実際の問題を解答してみると,合格するだけの実力がつくと考えます。
また,第二次試験に対しては,本著は,選択科目(Ⅱ-1)で出題される専門知識問題で出題される内容を中心に説明していますので,応用能力問題が問われる選択科目(Ⅱ-2)や,問題解決能力及び課題遂行能力が問われる選択科目(Ⅲ)と必須科目(Ⅰ)については,別の勉強が必要となります。なお,第二次試験の専門知識問題として出題される内容は,電気応用などの他の章で説明されている事項が,電力エネルギーシステムや電気設備などの選択科目で出題されていますし,電子応用で説明されている内容が,情報通信で出題されるなど,受験する選択科目の章に限定せず,広く勉強する必要がある点は認識しておいてください。選択科目(Ⅲ)や必須科目(Ⅰ)については,著者は『例題練習で身につく技術士第二次試験論文の書き方』を出版していますので,本著で得た技術内容を試験委員に理解してもらえる論文として仕上げることができるよう,こちらも活用してもらえればと考えます。
試験対策として過去問題を勉強することは重要ですが,それに加えてテキストを使って勉強するというのが基本的な試験対策であるのはどの試験でも同じです。そういった点から,技術士試験の電気電子部門では唯一のテキストである本著は,試験制度の変更に合わせて,常に進化する資料でありたいと著者は考えております。技術士一次試験の合格ラインは50%ですし,第二次試験の合格ラインは60%ですので,ここで扱っている内容を把握すれば,電気電子部門で出題される可能性のある内容についての知識を持てるようになると考えます。
電気電子部門の技術士は非常に価値ある資格ですので,ぜひ難関といわれる技術士(電気電子部門)となって,技術士法第1章第1条の目的のとおり,科学技術の向上と国民経済の発展に資するようになってもらいたいと思います。
最後に,本著の初版の出版から編集を担当しておられる日刊工業新聞社出版局の鈴木徹さんをはじめとするスタッフの皆様に対し深く感謝いたします。
2020年1月
福田 遵