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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい相対性理論の本

定価(税込)  1,650円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-08033-3
コード C3034
発行月 2020年01月
ジャンル ビジネス 電気・電子

内容

物理学の永遠のテーマである相対性理論の基礎を、工学的応用の面から解きほぐした本。特殊、および一般相対性理論の基礎とその工学への応用例を中心に、アインシュタインの理論としてではなく物理の基礎理論として、実例を挙げながらやさしく紹介する。

山﨑耕造  著者プロフィール

(やまざき こうぞう)
1949年 富山県生まれ。
1972年 東京大学工学部卒業。
1977年 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了・工学博士。
名古屋大学プラズマ研究所助手・助教授、核融合科学研究所助教授・教授を経て、2005年4月より名古屋大学大学院工学研究科エネルギー理工学専攻教授。その間、1979年より約2年間、米国プリンストン大学プラズマ物理研究所客員研究員、1992年より3年間、(旧)文部省国際学術局学術調査官。
2013年3月 名古屋大学定年退職。

現在 名古屋大学名誉教授、
自然科学研究機構核融合科学研究所名誉教授、
総合研究大学院大学名誉教授。

●主な著書
「トコトンやさしいプラズマの本」、「トコトンやさしい太陽の本」、「トコトンやさしい太陽エネルギー発電の本」、「トコトンやさしいエネルギーの本 第2版」、「トコトンやさしい宇宙線と素粒子の本」、「トコトンやさしい電気の本 第2版」、「トコトンやさしい磁力の本」(以上、日刊工業新聞社)、「エネルギーと環境の科学」、「楽しみながら学ぶ物理入門」、「楽しみながら学ぶ電磁気学入門」(以上、共立出版)など。

目次

第1章
古典理論から相対性理論へ
1  相対性とはなんだろう?「絶対座標と相対座標」
2  エーテルの中での光の伝播は?「天空の神の物質エーテル」
3  光の速さを測定する?「レーマー、ブラッドリー、フィゾー」
4  光速不変は本当か?「フィゾー、マイケルソン=モーリー、ド・ジッター」
5  電磁波の速度は一定である!「マックスウェルの方程式」
6  電荷の動きと電磁場のパラドックス?「ローレンツ力のパラドックス」

第2章
物質と時空の概念の進展
7  ピサの斜塔の実験は等価原理の検証?「振り子の等時性と落体の法則
8  慣性質量と重力質量との違いは?「エトヴェシュの実験(1896年)」
9  ガリレイの相対性原理の登場!「慣性の法則とガリレイ変換」
10 アインシュタインの相対性理論の登場!「光速不変の法則とローレンツ変換」
11  時間の刻みは一定か?「時間の始まりと終わり」
12  空間はどこまでも続く?「4次元時空から11 次元膜宇宙へ」
13  物質と力とはなんだろう?「素粒子と標準理論」

第3章
特殊相対性理論の基礎
14 相対性理論の原理は?「光速不変原理と特殊相対性原理」
15 なぜ時間がゆっくり進むのか?「時間の遅れとウラシマ効果」
16 縮んで見えるのはお互い様?「ローレンツ収縮」
17 時空図の描き方は?「ミンコフスキー時空図」
18 異なる場所での同時性とは?「同時刻線と同位置線」
19 双子のパラドックスとは?「時間のパラドックス」
20 速度は足し算か?「速度の合成則」
21 ローレンツ変換とは?「ローレンツ因子」
22 質量とエネルギーとは等価である!「E = mc2 」

第4章
特殊相対性理論の検証と応用
23 短寿命のミュー粒子が地上に届く?「相対論効果による長寿命化」
24 ジャイロスコープでの相対論効果とは?「サニャック効果」
25 ジェット旅客機で東回りの時計が遅れる?「ヘイフリーとキーティングの実験(1971年)」
26 太陽と地上での核燃焼とは?「核融合と核分裂」
27 粒子加速器では相対論は必須?「ブーヘラーの実験(1909年)」
28 相対論的電子からの光とは?「シンクロトロン放射光」

第5章
一般相対性理論の基礎
29 一般相対性理論の原理と検証は「等価原理と一般相対性原理」
30 等価原理を検証する!「重力赤方偏移」
31 慣性力と重力の違いは?「エレベータの思考実験」
32 重力で光が曲げられる?「重力と慣性力との等価原理」
33 曲がった空間とは?「計量(メトリック)」
34 アインシュタイン方程式とは?「テンソルの方程式と斥力の宇宙項」
35 光も閉じ込める魔の天体とは?「シュバルツシルト時空」
36 ブラックホールには毛が3本?「質量、電荷、角運動量」
37 フリードマン方程式と宇宙の膨張?「FLRW計量」

第6章
一般相対性理論の検証と応用
38 光を使って時間を測る?「原子時計と光時計」
39 日食での観測で実証された!「エディントンの日食遠征隊(1919年)」
40 惑星の軌道が変化する?「近日点移動とシャピロ遅延」
41 宇宙での蜃気楼とは?「重力レンズ効果と重力マイクロレンズ効果」
42 宇宙での光リング?「アインシュタイン・リング」
43 カーナビで相対論補正は必要か?「特殊相対論効果と一般相対論効果」
44 重力波は一般相対論からの予言?「アインシュタインの百年前の宿題」
45 ブラックホールはどのように生まれる?「超新星爆発で残った芯」
46 ブラックホールの直接的観測に成功!「イベント・ホライズン・テレスコープ」
47 宇宙は膨張している?!「ハッブルの法則」

第7章
相対論と量子論の統合
48 相対論と量子論との違いは?「確定的と確率的」
49 磁石は相対論的量子論で理解する?「電子スピン」
50 ディラック方程式とは?「相対論的波動方程式」
51 超ひも理論が核力と重力を結びつける?「ひもと膜の宇宙」

第8章
未来のエネルギー制御
52 光子ロケットを飛ばす?「物質・反物質の対消滅反応」
53 ブラックホールのエネルギーを利用する?「ペンローズ過程」
54 ブラックホールは蒸発する?「特異点定理とホーキング放射」

第9章
未来の時空制御
55 未来へのタイムマシンは可能か?「超高速ロケット利用とワームホール利用」
56 過去へのタイムマシンは可能か?「親殺しのパラドックス」
57 ワームホールは存在する??「ブラックホールとホワイトホール」
58 ブラックホールの時空図は?「クルスカル図とペンローズ図」
59 超光速粒子は存在する?「タ—ディオン、ルクシオン、タキオン」
60 量子テレポーテーションは可能か?「EPR相関」

第10章
未来の宇宙進化
61 宇宙の膨張は光速を超えている?「空間の超光速膨張」
62 暗黒物質とは?「強重力のダークマター」
63 宇宙に反重力がある?「暗黒エネルギー」
64 たくさんの宇宙がある?「多元宇宙論」
65 宇宙の未来は?「ビックフリーズ、ビッククランチ」


【コラム】
●タイムマシンを造る タイムトラベル映画1「タイムマシン」(1959年、2002年)
●猿が世界を征服する? タイムトラベル映画2「猿の惑星」(1968年〜)
●デロリアンが時空を超える? タイムトラベル映画3「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(1985年〜)
●未来は変えられる? タイムトラベル映画4「ターミネーター」(1984年〜)
●過去も未来もタキオンで見る? タイムトラベル映画5「トゥモローランド」(2015年)
●もうすぐ宇宙は発狂する? ブラックホール映画1「ブラックホール」(1979年)
●天才の愛と苦悩の日々? ブラックホール映画2「博士と彼女のセオリー」(2014年)
●未来を予知し、未来を変える? ブラックホール映画3「デジャヴ」(2006年)
●ブラックホール発生装置とは? ブラックホール映画4「スタートレック」(2009年)
●並行宇宙が存在する? ブラックホール映画5「インターステラー」(2014年)

参考図書
著者略歴等

はじめに

 最近のSF映画で必ずと言ってよいほど登場するのが、未来や過去への「タイムトラベル(時間旅行)」と、さまざまな形態での「パラレルワールド(並行世界)」です。古くは、日本には「浦島太郎」と「竜宮城」のおとぎ話がありますが、2016年に大ブレークしたアニメーション映画「君の名は。」(新海誠監督)でも、時空を飛び越えてのタイムトラベルとパラレルワールドとが話の中に組み入れられています。
 最近では、重力波の直接的観測や、ブラックホールの映像の直接的観測がなされ、アインシュタインの百年もの前からの宿題の答えを得ることができて、世界的に相対性理論が注目されています。

 本書では、静止物体と高速物体での時間の進みが同じではないというタイムトラベルにも関連する「特殊相対性理論」と、時間と空間がゆがめられて別の宇宙につながるというパラレルワールドにも関連する「一般相対性理論」との基礎と応用に関する解説を述べます。宇宙のダイナミックスを表す相対性理論に対して、ともに現代物理学の2本の柱のひとつとしてのミクロ世界の量子論とのつながりや、それらを含めた宇宙の未来展望をも考えます。

 世の中には、やさしく書かれた相対性理論の本がいくつかありますが、本書では、初等幾何や初等数学で理解できるようにやさしく説明を行い、読者自身が実際の相対論効果を計算できるように、あえて数式も記載しました。概要のみを理解したい場合には、数式などをスキップして頂ければと思います。

 それでは、1〜2章の歴史編では相対性理論とは何かを述べ、その生い立ちを考え、3〜4章では慣性系としての特殊相対性理論の基礎と応用を、5〜6章では重力を含めた加速度系の一般相対性理論を、そして、7章では相対論と量子論との関係を考えます。さらに、8〜10章の未来編では、未来のエネルギー発生・利用やタイムトラベルの可能性、宇宙膨張の解明について、順にやさしく述べていきます。
 本書は、日刊工業新聞社の鈴木徹部長からの企画のご提案を契機として、執筆いたしました。関連の多くの方々のご尽力に、深く感謝致します。

 本書が相対性理論に関連する幅広い興味を持つ契機となれば、と願っております。

2019年11月吉日 
山﨑耕造

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