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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしいNC旋盤の本

定価(税込)  1,650円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-08032-6
コード C3034
発行月 2020年01月
ジャンル ビジネス 機械

内容

NC旋盤は、コンピュータ数値制御によりほぼ自動的に旋削加工を行うことができる、丸物の量産加工に適した工作機械。本書は、NC旋盤の基礎から構造、段取り、NC制御の基礎、加工のポイントとノウハウまでをやさしく紹介、解説する。

澤 武一  著者プロフィール

(さわ たけかず)
芝浦工業大学
デザイン工学部 デザイン工学科 准教授
博士(工学)、ものづくりマイスター、
1級技能士(機械加工職種、機械保全職種)

1977年3月 滋賀県生まれ
2004年2月 国家検定1級技能士取得(機械加工職種、機械保全職種)
2005年3月 熊本大学大学院修了 博士(工学)
2005年4月 職業能力開発総合大学校精密機械システム工学科助手
2010年4月 東京電機大学工学部機械工学科准教授
2013年4月 芝浦工業大学デザイン工学部デザイン工学科准教授
2014年7月 厚生労働省ものづくりマイスター認定

専門分野:砥粒加工、金型加工、切削加工、技能伝承

主な著書
・わかる!使える!作業工具・取付具入門
・わかる!使える!マシニングセンタ入門
・目で見てわかるスローアウェイチップの選び方・使い方
・目で見てわかるドリルの選び方・使い方
・目で見てわかる「使いこなす測定工具」
・目で見てわかるミニ旋盤の使い方
・目で見てわかるエンドミルの選び方・使い方
・目で見てわかる研削盤作業
・目で見てわかるフライス盤作業
・目で見てわかる旋盤作業
・目で見てわかる機械現場のべからず集—研削盤作業編—
・目で見てわかる機械現場のべからず集—フライス盤作業編—
・目で見てわかる機械現場のべからず集—旋盤作業編—
・トコトンやさしい切削工具の本
・トコトンやさしいマシニングセンタの本
・トコトンやさしい旋盤の本
・絵とき「旋盤加工」基礎のきそ
・絵とき「フライス加工」基礎のきそ
・絵とき 続「旋盤加工」基礎のきそ
・基礎をしっかりマスター「ココからはじめる旋盤加工」
・目で見て合格 技能検定実技試験「普通旋盤作業2級」手順と解説
・目で見て合格 技能検定実技試験「普通旋盤作業3級」手順と解説
……いずれも日刊工業新聞社発行

目次

第1章 NC旋盤って何?
1 旋盤と旋盤加工「旋盤は工作機械の一種」
2 工業製品と工作機械「産業を支えるのが工業」
3 普通旋盤と立て旋盤「基本的な構造に大きな差異はない」
4 普通旋盤とNC旋盤の違い「もっとも重要なことは「段取り」」
5 NC旋盤とターニングセンタの違い「機能の複合化」
6 旋盤ベース複合工作機械「高付加価値化を追求する」
7 旋盤の誕生から未来まで①「誕生期その1(旋盤の礎)」
8 旋盤の誕生から未来まで②「誕生期その2(ペリー来航)」
9 旋盤の誕生から未来まで③「導入期(NCの誕生)」
10  旋盤の誕生から未来まで④「成長期(加工ノウハウの確立)」
11  旋盤の誕生から未来まで⑤「成熟期(多軸化とセンサ技術の向上)」
12  旋盤の誕生から未来まで⑥「拡大期(人が成長できる自動化)」

第2章 NC旋盤の構造と装備
13  NC旋盤の構造「NC旋盤の構造は5つに大別できる」
14  NC旋盤の骨組み「ベースやベッドの材質は鋳鉄が主流」
15  NC旋盤の構造の分類「主軸、往復台、刃物台、心押し台の有無によって変わる」
16  主軸(スピンドル)の駆動方式「主軸の動力を担ういろいろなモータ」
17  主軸(スピンドル)の構造「主軸の回転領域拡大に対応する仕組み」
18  主軸の特性「静かで回転振れがないことが基本特性」
19  ベッドの角度「水平形とベッドを傾けたスラント形がある」
20 刃物台の種類「くし刃形とタレット形」
21 案内機構の種類「すべり案内ところがり案内」
22 ガイドブシュとガイドブシュレス「自動旋盤の工作物を支持する方法」
23 自動化のための装備①「オートローダ、バーフィーダ、ロボットシステム」
24 自動化のための装備②「刃先センサ、ATC、AJC、自動テールストック」
25 チップコンベア「切りくずを機外に運搬する」

第3章 知っておきたいNC制御の基礎知識
26 NCの原理「穿孔テープを読み取り、電気信号に置き換え」
27 NC装置「NC制御とPLC制御」
28 フィードバック制御の種類「セミ・クローズドループ、フル・クローズドループ、ハイブリッドループ」
29 座標系①「直線軸(右手の法則)」
30 座標系②「回転軸(右手の法則)」
31 機械座標、ワーク座標、相対座標「NC旋盤は機械固有の座標系をもっている」
32 インクレメンタルとアブソリュート「増分値指令と絶対値指令」
33 NCプログラムの構成「セミコロン「;」で1回の指令が完了」
34 G機能、F機能、M機能、S機能、T機能「NCプログラムはG、F、M、S、Tの組み合せ」
35 切削速度と周速度「旋盤加工では常に切削速度(周速度)に留意する」
36 周速一定制御と最高主軸回転数「工作物の周速度を一定に保つ」
37 刃先R補正機能「削り残しと削り過ぎを防止する」
38 操作盤の各部の名称と機能「NC旋盤を動かす4種類の運転モード」
39 対話形自動プログラミング機能「NCプログラムを知らなくても加工できる」
40 CAD/CAMとポストプロセッサ「CAD/CAMは3DモデルからNCプログラムの作成まで一貫して行える」

第4章 NC旋盤の段取り
41 チャッキング装置の種類と仕組み①「チャッキング装置は工作物を保持する治具」
42 チャッキング装置の種類と仕組み②「コレットは工作物を包み込むように把握する治具」
43 チャッキング装置の動力「チャック圧の調整が大切」
44 硬爪と生爪「生爪は加工精度の基準」
45 切削油剤タンクの管理とチラー「スラッジ、混油、泡立ち対策」
46 暖機運転の必要性「熱変位を安定させる」
47 潤滑油の働きと重要性「フロードアップ現象とスティクスリップ現象」
48 作動油の働きと重要性「作動油は動力(パワー)を伝達する」
49 潤滑油と作動油の粘度「粘度によって分類される」
50 切削油剤の役割と求められる性能「切削油剤は重要なアイテム」
51 切削油剤の種類①「原液のまま使う不水溶性切削油剤」
52 切削油剤の種類②「水に希釈して使用する水溶性切削油剤」
53 NC旋盤作業の段取り「図面から製品完成までの流れ」
54 バイトとチップ(インサート)の種類「バイトは加工形状に合わせて使い分ける」

第5章 NC旋盤加工のポイントとノウハウ
55 切削条件の決め方①「切削速度と回転数の関係」
56 切削条件の決め方②「送り速度と1回転あたりの送り量」
57 切削条件の決め方③「最大切込み深さと最小切込み深さ(仕上げ代)」
58 表面粗さの理論と実際「理論通りの表面粗さにならない理由」
59 境界摩耗の抑制方法「境界摩耗を抑制するいろいろな方法」
60 切りくずを長く繋がらせない方法「切りくずを短く適正に折断することが大切」
61 細くて長い工作物のびびり抑制方法「びびりは永遠の課題」
62 切りくずを価値ある財産にする方法「切りくずは貴重な財産」
63 びびり周波数の計算方法「びびりの周波数を知ることが大切」
64 びびりの振幅と周波数の関係「仕上げ面に現われるびびりの周波数」
65 工具寿命の管理「VT線図の見方」
66 工具摩耗が極小になる切削速度「摩耗が極小になる切削速度を見つける」
67 新しい切削油剤の供給技術「高圧クーラントと動くノズル」

コラム
●最新の技術動向①「摩擦撹拌接合」
●最新の技術動向②「超音波:低周波と高周波」
●最新の技術動向③「バブルによる切削油剤の供給」
●最新の技術動向④「切り欠きチップと両送りチップ」


参考文献
索引

はじめに

 この本を手に取った方は、すでに「NC旋盤」がどのようなものかを理解している人が多いと思いますが、NC旋盤という単語は聞いたことがあるけれど、詳しいこと、どんなものかは知らないという方もいるかもしれません。
 本書はNC旋盤について、その「起源(誕生)、構造(仕組み)・装備・NC制御・段取り・加工のポイントとノウハウ」にいたるまでを網羅し、トコトンやさしく解説しています。NC旋盤についてこれから勉強する方には「はじめの一歩」として、NC旋盤に関わるいろいろな知識を習得していただける内容になっています。また、現在NC旋盤を操作している方の中には理論的に教わった人(学んだ人)の方よりも、「職場の先輩から教わった、今は経験や勘で行っている」という人が多いのではないでしょうか。そのような方には、日頃行っている作業の理論的な裏付けを学んでもらえると思いますし、本書は全67項目と豊富な内容になっていますので、新しい知見も得られるかもしれません。基礎知識を習得することにより頭の中の点と点が線になり、新しい考え方や段取り方法が見出せるようになります。本書がそのきっかけになれば幸甚です。
 さて、言葉には国語辞典で定義された本来の意味がありますが、著者が深くお付き合いさせていただいている機械加工を営む経営者の方から教えてもらった「言葉と定義」があるので紹介したいと思います。それは「作品」、「製品」、「商品」の違いです。芸術家のように自身の創作意欲を満足させるためにつくられたモノが「作品」、精度や表面粗さなど機能的な要素を入れてつくられたモノが「製品」、そして製品に納期を加えて「商品」という定義です。機械加工は作品をつくっているのでなく、商品をつくっているということを常に考えなければいけません。
 それでは「商品をつくる」とはどういうことなのか考えてみると、たとえば学校のテストや資格試験では一般に60点なら合格、80点以上なら高評価といわれます。しかし、機械加工では80点は不合格です。機械加工では許容寸法、表面粗さを図面通りに加工し、定められた納期に仕上げなければ「不適合品(NG)」になってしまいます。寸法や表面粗さが少し間違っていても「適合(OK)」とはなりません。さらに、寸法や表面粗さは適合(OK)していても、納期内につくれなくては、これも「不適合品(NG)」と評価されてしまいます。このように、機械加工は常に100満点を取らなければならない過酷な作業なのです。100満点を取る近道はありませんが、理論的な知見に基づく丁寧で、正しい作業(段取り)を行うことにより100満点を取る確率は高まります。
本書がNC旋盤加工に従事されている方々の100点満点を取る一助になればうれしく思います。
 最後になりましたが、本書を執筆する機会を与えていただきました日刊工業新聞社の奥村 功さま、企画段階から貴重なアドバイスを賜りましたエム編集事務所の飯嶋光雄さま、また本文デザインを担当していただいた志岐デザイン事務所の大山陽子さまに厚く御礼申し上げます。


令和2年1月
澤 武一

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