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BOMで実践!設計部門改革バイブル
中小・中堅製造業の生き残る道

定価(税込)  1,760円

著者
サイズ 四六判
ページ数 212頁
ISBNコード 978-4-526-08029-6
コード C3053
発行月 2020年01月
ジャンル 機械

内容

コストの80%は設計によって決まるとも言われ、開発期間の短縮や開発工数の削減、社内の設計情報の共有や設計基準を明確にした設計の標準化の必要性が大きく浮上してきている。本書は、BOMを中心に設計部門の合理化・改革の手段を、事例をひきながら具体的に解説していく。

谷口 潤  著者プロフィール

(たにぐち じゅん)
㈱大塚商会 本部SI統括部製造SP統括コンサルタント。
1976年 芝浦工業大学卒業。
開発設計・製造会社に入社し、設計開発部長、企画・運営部長、などを経て米国設計・製造現地法人の経営、海外企業とのプロジェクト運営、新規事業開拓に携わる。
その後、ドイツ・米国系通信機器関連企業の日本現地法人代表取締役社長に就任。
2006年より現業に至る。
既刊書籍:
「BOMで会社の利益体質を改善しよう!」 日刊工業新聞社
月刊コラム:
「製造業ニッポンの一品熱魂」 ㈱大塚商会
https://www.otsuka-shokai.co.jp/erpnavi/topics/column/manufacturing/

目次

第1章
中小・中堅製造業の設計部門を苦しめる根本原因は
何なのか?!(=問題の認識と共有)

1 ニッポンの中小・中堅製造業の設計部門が置かれている現状
 設計効率悪化の元凶「蛸壺設計」と「設計部門のメタボリック症候群」
 設計部門の二大問題 設計工数の限界が売り上げの限界+設計者の三無い
 「来ない、育たない、育てられない」
 慢性的な設計工数不足=漂う疲労感、徒労感=「働き方改革」との摩擦
 部品調達納期と出荷納期の狭間に苦しむ設計部門

2 中小・中堅製造業の生き残りへの結論
 設計効率を高める
 設計者を育てる

第2章
設計効率を高める 設計者を育てるその環境と具体的手段(=コンセプト編)

1 BOMの必須性=なぜBOMを構築しなければならないのか、もう一度考える
 ITにより、進捗可能なモノづくりへと進化する
2 流用化・標準化設計への取り組み=高効率設計への切り札=特効薬の処方箋
 なぜ流用化・標準化設計なのか?
 流用化・標準化設計は営業の敵か?
 流用化・標準化設計の実現を妨げるものとは
 「流用化・標準化設計は設計者からチャレンジを奪う」という誤解
 設計部門を2階建て構造にリフォームする
 利益に直結する「見積」から考えた流用化・標準化
 流用化・標準化設計が設計者からチャレンジを失わない理由
 「M-BOMの還流」

3 BOMと流用化・標準化設計プラットホーム
 ITの能力を味方につけて効率化に直結させる具体的手段
 プラットホームのイメージと構造
 シングルE-BOM・マルチM-BOM
 「P(Purchasing=購買)-BOM」「(S(Services=保守)-BOM」とは
 構成部品数と流用化・標準設計化設計との関係

4 設計者を育てるということ=経営層の本気度が試される
 設計者を受け入れる会社の問題
 歌って踊れるエンジニア(マルチスキル)=全方位ローテーション

5 在宅勤務(テレワーク)=働き方改革へのアプローチ
 流用化・標準化が働き方改革のカギになる
 設計という仕事は基本的に自己裁量労働

第3章
設計部門効率改善コンサルの現場から(=事例編)

1 Slow and Steadyと変える勇気
 ゆっくり、しかし着実にそして成功するまでやめない
「変える勇気」改革を推進し成功させるための心の支え
2 Top Down and Bottom Up をどう進めるか
 トップダウンとボトムアップ双方の重要性

3 改革の旗手を失うな=設計部門改革の主軸(啓蒙者)
 尖った存在であるべきだが尖り過ぎに対するコントロールは必須
 保身に走る経営層が改革の旗手を亡き者にしてしまう
 PJリーダーを支えるものとは…

4 今日の糧か? 明日の糧か?
 設計部門改革に必ず訪れるジレンマ=「現業か? 改革か?」
 そこには優先順位はあるのか?
 経営層のマネージメント力が最も試される時
5 PJメンバーはどのように選定すべきか?
 二つの鍋蓋組織の事例
 経営者が「雲上人」になっているケース

6 品目コード体系
 耐用年数30年を目指す実例

7 設計成果物の2S
 溜まった設計成果物を「設計資産」に変える作業
 「バリアント図」という過去の設計成果物との戦い
 仲間集めと属性情報
 2S担当K氏の悩みを共有する

8 外国人設計者をどう活用していくか?
 少子化での普遍的なテーマ
 外国人設計者採用を真剣に検討する

9 保守ビジネスを考える=「製造業は二毛作」を叶えるために
 早く、正しく、製品として届ける=儲かる保守事業
 「この部品ってどの部品?」=保守部品探しで効率が落ちる設計部門
 S-BOMの構築=保守部門をプロフィット・センター化
 S-BOM構築の3つの肝
 IoTが変える保守ビジネス

10 設計部門の評価制度を考える
 設計部門の国際化やテレワークに必須な透明度の高い評価制度の考え方
 自社独自の査定基準を策定する=借り物査定基準は失敗のもと
 実際の査定を行う幹部への査定トレーニング=査定評価に対する信頼性向上

はじめに

 日本の中小・中堅製造業に将来はあるのだろうか……こんな漠然とした不安を私は常に抱いています。
 Japan as No.1ともてはやされてから約30年を経ようとしていますが、企業30年説と重なるように、東南アジアの台頭、人材不足、事業承継問題等々製造業ニッポンの存在を危ぶむ事態には事欠きません。
 現在も製造業ニッポンを支えるのは、中小・中堅製造業であることに間違いは無いとは思うのですが、その内実や抱える問題点の深刻さに直面すると、不安を払しょくすることができません。それは製造業ニッポンのピラミッド構造が底辺から崩壊しかねないという危機感でもあります。本書はこれらの不安や危機感に抗い「日本の中小・中堅製造業の将来を輝かしいものにするために」という私の強い思いとともに上梓しました。

 なぜ、中小・中堅製造業なのでしょうか?
 経営コンサルタントとして常に3から4社の中小・中堅製造業お預かりして、経営層や社員スタッフと共に「儲かる製造業になるために」知恵を絞り、工夫を重ね、改革を進めるお手伝いをしていますが、中小・中堅製造業には二つのタイプがあります。
「売上や利益が思うように向上せずに成長が止まって中小のままの存在を強いられている」という企業。そして、「経営スピード上げ、意思伝達を俊敏に行って、多能なスタッフの一人当たりの付加価値向上を目指す。そして最終的に描いた経営コンセプト成就の為に、あえて中小・中堅のサイズを選択する」という企業の二つです。
 この両社の実態を同じ「中小・中堅製造業」と言う文字で括る事はできません。それ程、企業間の格差・相違が大きいのが中小・中堅製造業なのです。
 では、この格差・相違はどこから来るのでしょうか? 一言で述べるとすれば「会社は社長以上には成り得ない」と言う定めからだと思っています。
 中小・中堅という物理的なサイズは、経営者本人はもとより経営層の考え方やマネジメント力が直接反映・作用し、形作るのだと感じています。つまり「会社を成長させる=経営層が成長する」という関係なのです。経営層の改革なくして会社の改革は成し得無いということになります。その意味で、経営層が今、試されているのが、中小・中堅製造業なのです。

 本書は多種多様な中小・中堅製造業の中でも、自社ブランドを持って設計から購買生産そして保守までという「モノづくり」のすべてのプロセスを持つ製造業を対象にしました。
 上流側と呼ばれる設計部門と下流側と呼ばれる購買生産部門、さらに保守部門が相互に有機的な連携ができているのかどうか。これが最終的に全社効率向上の可否を決定します。
 であれば、モノづくり情報の源泉である設計部門の効率改善無くして、全社効率改善は得られません。年々、多忙になる私の仕事ですが、これは中小・中堅製造業の設計部門という、今までなかなかメスを入れることができなかった部門の改革に、目覚める経営者が増えてきている証拠です。ヒタヒタと迫りくる製造業の危機に対応するための、経営層の防御本能が目覚めたのかもしれません。
 数年前に拙著「BOMで会社の利益体質を改善しよう!」(日刊工業新聞社刊)を発刊して以来、ようやく中小・中堅製造業にもBOMが定着してきました。そして、その延長線上にある流用化・標準化設計による設計効率改善という改革に果敢にチャレンジしている現場が存在し、その現場をコンサルタントとしてお手伝いしています。
 本書には「改革バイブル」などとたいそうなキャッチフレーズを命名しましたが、それは私がコンサルタントとして、お預かりした多くの中小・中堅製造業の改革現場で起きた課題やそれに対する対応策は、多くの同業他社においても普遍的な事象であると確信しているからです。
 本書を手にされた中小・中堅製造業の方々が、「最近じわりと全社効率が落ちている」つまり「昔は儲かっていたのに、最近儲からなくなった」と感じているのであれば、是非ご一読願います。そして何らかの気づきを得て、それらを改革への手掛かりとして頂ければ、幸いですし、何より目指した「本書の役目」が叶うことでもあります。

令和2年1月
谷口 潤


この本を手にされた皆様へ
株式会社大塚商会 取締役上席執行役員 
広瀬光哉

 2000年初頭、多くの製造業において、次のような声をよく聞きしました。高額な投資をして生産管理システムを導入したが、一向に在庫も減らなければ、納期も短くならず、品質もあがらない。導入効果はそれ程、感じられない―――。
 このようなお客様の課題を解決する為、大塚商会では、製造業における生産管理システムに特化した専門チーム「製造SP」を立ち上げました。チームのコンセプトは「実稼働主義」。システムを導入し稼動して終わりではなく、導入目的を達成(例えば、在庫削減30%や原価低減10%)し、実際に効果が出るところまでをサポートさせていただく、という強い想いが込められています。
 発足当初は苦難の連続でしたが、試行錯誤を積み重ねていき、多くのお客様にご評価いただけるようになりました。その活動の中で、何名かの志高い製造業出身者が、当社の取り組みに賛同して入社してくれました。この本の著者、谷口氏もその一人です。当社から生産管理システムをご導入いただいた企業で、当時プロジェクト責任者でした。
 谷口氏は、受注生産型製造業での設計、製造、営業、経営者としての各キャリアを積んだ経験から、設計部門と製造部門の連携において要となる「流用設計・標準化設計の実現」をテーマに、入社以来、長年コンサルタントとしてお客様の支援をしています。
 本書は、2014年に出版した「中小企業だからこそできるBOMで会社の利益体質を改善しよう!」の続編として、その後の多くのお客様の現場でのナマ事例を豊富に盛り込んだ臨場感あふれる内容となっています。
 皆様の輝かしい未来に繋がる一助となれば幸いです。

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