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デジタルファースト・ソサエティ
価値を共創するプラットフォーム・エコシステム

定価(税込)  1,980円   12月10日頃出来予定

編著
編著
編著
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-08026-5
コード C3034
発行月 2019年12月
ジャンル その他 経営

内容

デジタルトランスフォーメーションとエコシステムによる製造業の“モノづくり”高度化+“コトづくり”創出(サービスビジネス化)のための要点を整理。既存商品・事業を改善するだけでなく、新しい市場に新しい価値を付与するビジネスプロセスの全貌を示す。

福本 勲  著者プロフィール

(ふくもと いさお)
株式会社東芝 デジタルイノベーションテクノロジーセンター 参事
東芝デジタルソリューションズ株式会社 ICTソリューション事業部 担当部長
中小企業診断士、PMP(Project Management Professional)
1990年3月 早稲田大学大学院修士課程(機械工学)修了。
1990年に東芝に入社後、製造業向けSCM、ERP、CRMなどのソリューション事業立ち上げやマーケティングに携わり、現在はインダストリアルIoT、デジタル事業の企画・マーケティング・エバンジェリスト活動などを担うとともにオウンドメディア「DiGiTAL CONVENTiON」の編集長をつとめる。
2015年より一般社団法人インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)正会員となり、教育普及委員会副委員長、エバンジェリストなどをつとめる。その他、複数の団体で委員などをつとめている。
主な著書に『デジタル・プラットフォーム解体新書』(共著:近代科学社)がある。主なWebコラム連載に、ビジネス+IT(SBクリエイティブ)の『第4次産業革命のビジネス実務論』、Arm Treasure Data PLAZMAの『福本 勲の「プラットフォーム・エコシステム」見聞録』がある。その他Webコラムなどの執筆や講演など多数。

鍋野敬一郎  著者プロフィール

(なべの けいいちろう)
株式会社フロンティアワン 代表取締役
1989年3月 同志社大学工学部化学工学科卒業(生化学研究室)。
1989年米国総合化学デュポン(現ダウ・デュポン)入社、1998年独ソフトウェアSAPを経て、2005年にフロンティアワン設立。業務系(プロセス系:化学プラントや医薬品開発など、ディスクリート系:組立加工工場や保全など)の業界および業務、システムの調査・企画・開発・導入の支援に携わる。2015年より一般社団法人インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)サポート会員となり、総合企画委員会委員、エバンジェリストなどをつとめる。また、オンラインメディアIoTNEWSを運営するアールジーンのアドバイザー、エッジAIベンチャーのエイシングのアドバイザーなどをつとめる。その他Webコラムなどの執筆や講演など多数。

幸坂知樹  著者プロフィール

(こうさか ともき)
株式会社電通国際情報サービス X(クロス)イノベーション本部 本部長補佐
1988年3月 横浜市立大学文理学部卒業(国際関係課程)。
1988年 電通国際情報サービスに入社、CRM、ERP、インターネット関連SI、デジタル・マーケティング、IoT、ビッグデータ、AIのソリューション事業の立ち上げに携わる。
2015年より一般社団法人インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)サポート会員となり、教育普及委員会委員などをつとめる。その他講演など多数。
※所属および略歴は2019年11月1日現在

目次

まえがき

序章 日本の製造業がDXで目指すべきコト
❶産業革命とは
❷第4次産業革命とは
❸巨大IT企業が勝者なのか
❹日本が勝ち残るためのモノづくり戦略
❺複数企業の共創によるエコシステムが変革をもたらす

第1章 第4次産業革命をもたらす背景
❶第4次産業革命による新たな産業社会の出現
❷欧米や中国での産業構造変革の動きと混迷する世界経済
❸日本政府の第4次産業革命に向けた動き
❹デジタル化・ソフトウェア化・ネットワーク化による産業構造の変革
❺モノづくりからコトづくりへのビジネスシフト

第2章 日本の製造業が立ち向かうDX革命
❶DXの本質
❷業務改革と新価値創造という2つの革新
❸技術革新におけるスピード感
❹PoC疲れから脱出する
❺DXによるコトづくり
❻サービスビジネス化
❼プラットフォーム・エコシステムへの参加
❽エコシステムを実現する人材
❾オープン&クローズ戦略
❿DXに取り組む日本の製造業への処方箋
東芝のリファレンス・アーキテクチャー策定の取り組み

第3章 「プラットフォーム・エコシステム」のビジネスモデル
❶1つの国、企業だけで完結するモノづくりの限界
❷サプライチェーンにおけるプラットフォームの価値
❸製造業向けIoTプラットフォームの役割とその効果
❹IoTプラットフォーム動向とプラットフォーマーのタイプ比較
❺IoT導入によりプラットフォーム・エコシステムの参加者が
実現すべきサービス
❻IoTプラットフォームのエコシステムに参加するパートナー
❼プラットフォーム・エコシステムにおける戦略の本質

第4章 ビジネスモデルの分類と事例の位置づけ
❶「製造業」を超えるデータ連携
❷デジタル化のステージ
❸インターネットの普及にも10年以上
❹「価値提供の形態」と「場の公開度合い」
❺事例の位置づけ

第5章 モノづくり企業のDXへの取り組み①
〜英国Arm:デバイスデータからの価値創出、面倒ごとを引き受けるIoTプラットフォームを提供
❶なぜ「データは石油」なのか?
❷なぜ半導体IPベンダーがIoTプラットフォームを
手掛けるのか?
❸ArmのIoTプラットフォームの特徴と構成
❹Pelion活用事例:製造業のDX
❺データのゴールドラッシュを幻想で終わらせないために

第6章 モノづくり企業のDXへの取り組み②
〜東芝機械:顧客価値拡大を目的にIoTプラットフォームを提供し、エコシステムを組成
❶モノづくり産業におけるDX化
❷東芝機械のIoTコンセプト「IoT+m」
❸IoTプラットフォーム「machiNet(マシネット)」
❹machiNetの活用事例
❺「IoT+mパートナー会」の取り組み
❻東芝機械の事例に見るモノづくり企業のDXへの取り組み

第7章 複数のIoTプラットフォームに参画するアプリケーションベンダーの動き
〜ウイングアーク1st:デジタルとヒトの適材適所による「ヒトの価値の最大化」
❶DXがもたらす「全人類上司化計画」
❷現場にいた作業員だからこそ、現場の改善ができる
❸労働者は「職人」から「クリエイター」へ
❹なぜ製造現場でDXへの取り組みが進んでいるのか?
❺DXへの取り組み手段と事例
❻製造業のIoTプラットフォームにおける見える化の活用
❼「データをつくり出す」段階から効果を生み出す段階へ
❽あらゆる産業でDXへの取り組みが広がる
❾2020年の東京オリンピックがターニングポイント
❿日本の産業界の新たなフェーズに向けて

第8章 デジタルファースト・ソサエティに向けて
❶まだ、つながりきっていない
❷テクノロジーの革新は続く
❸デジタルファースト・ソサエティに向けて


あとがき
参考文献

はじめに

 昨今、さまざまな企業が、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)やAI(Artificial Intelligence:人工知能)などの技術を導入・活用し、DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)の実現に取り組みつつある。しかし、取り組みが加速する中でIoTやAIなどのテクノロジー面の話題が先行し、ビジネスモデルの具体像をどう描けばよいのか、自社が保有する差別化・優位性はどのように発揮すればよいのか、他社との連携はどのように実現すればよいのかなど、進むべき方向と進め方に悩む企業や実務者は依然多いと考えられる。

 2018年に経済産業省が発表した「DXレポート〜ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開〜」には、多くの経営者が将来の成長・競争力強化のために、先進的なデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出し、柔軟に改変するDXの必要性について理解しているものの、次のような課題がそれを阻んでいることが記されている。
 ◯既存システムが事業部門ごとに構築されているため、全社横断的なデータ活用ができていない
 ◯既存システムが、標準システムに過剰なアドオンやカスタマイズをして構築されているため、複雑化・ブラックボックス化されている
 ◯データ活用を実現するための既存システムの改修や、データ活用のための業務の見直し要求に対する現場の抵抗が大きい
 そして、この課題を克服できない場合、DXが実現できないだけでなく、2025年以降大きな経済損失が生じる可能性があることが「2025年の崖」として記されているのである。

 本書では、企業がDXに向かう取り組みについて、特に製造業を中心に複数の段階に分けて考察する。

 デジタル化の比較的早い段階では、まず自社に存在するモノ(工場の製造装置・設備など)の情報を取得し、自社内で見える化・活用する取り組みがはじまる。その後、自社が提供するモノ(製品やそれに含まれる部品など)をスマート化し、顧客に提供することで、顧客の製品利用時のデータを取得できるようにすることを目指した取り組みが進む。そして、それは顧客から得られた利用時のデータを、提供するモノの機能価値の向上につなげる取り組みへと進展する。これがさらに進むと、「モノを製造・提供して、顧客から対価を得る」という考え方から、「顧客の経験価値を高めるために、モノにサービス的要素を加え、顧客とともに価値づくりを行う」という考え方へ、変革がもたらされる。
 段階が進む中で、各企業は一社で顧客視点でのトータルなサービス実現をすることが困難となり、プラットフォームを中心としたエコシステム(プラットフォーム・エコシステム)という「場」を自らつくるか、それに参加してビジネスモデルを進化させることが必要となる。企業には自らの持つ能力を「サービス」「価値」に変換し、能動的にこうした「場」につなげることが求められるようになる。

 重要なのは、このような企業のDXの取り組みの段階変化の中で、企業、業種、国・地域などさまざまなレベルで構造変化がもたらされることである。つまり、このようなDXの取り組みが進むにつれて、ビジネス構造が従来とは異なるものに転換する可能性がある。DXが実現できた企業や組織では、従来と比較して成長力や対応スピードに劇的な差が生じ、このような企業や組織が次のプラットフォーム・エコシステムを主導していくことになると考えている。

 本書では、DXとプラットフォーム・エコシステムにより、「モノづくり」の高度化および「コトづくり」の創出(サービスビジネス化)を実現していくためのポイントと進め方について、事例を交え解説する。本書を、大企業・中小企業を問わず、製品・サービス企画、事業企画、研究開発、生産・流通技術部門など、さまざまな業務に携わる多くのみなさんに読んでいただき、行動に移していただきたいと思っている。

 本書で用いている「デジタルファースト」とは、もともとは「従来、印刷物として提供されてきた書籍・雑誌・新聞などの媒体を、最初から電子出版形式で提供すること」を指す。それが、ビジネスや社会のデジタル化が進むにつれて、「ビジネスにおいてデジタル化を優先し、各業務や活動に取り組む」という概念に発展した。そして、現在では行政サービスにおけるデジタル化を加速する取り組みを表す言葉として使われるようになった。
 本書では、DXの取り組みが拡大することで、ビジネスや産業活動の隅々までデジタル化が浸透し、デジタルが社会を牽引していくという概念を表す言葉として「デジタルファースト・ソサエティ」という言葉を用いたいと考えている。「デジタルファースト・ソサエティ」の対象は、行政や教育、第1次から第3次までのさまざまな産業など社会全体である。そして、「デジタルファースト・ソサエティ」実現の前提は、他社(他者)とつながることである。

 本書が、これからの製造業をはじめとした日本の産業の維持・発展に寄与することを願っている。


2019年初秋
編著者を代表して
福本 勲

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