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実務に役立つ
プリント配線板の回路形成技術

定価(税込)  2,860円

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監修
サイズ A5判
ページ数 240頁
ISBNコード 978-4-526-08022-7
コード C3054
発行月 2019年12月
ジャンル 電気・電子

内容

プリント配線板のパターン形成は、プリント配線板の製造工程のなかでも最も重要なプロセスの一つであり、技術的に難しい工程でもある。本書は、プリント配線板の製造技術について、このパターン形成をメインに、その不良対策も含めて解説した本。

雀部俊樹  著者プロフィール

(ささべ としき)
1974年東京工業大学工学部電気化学科を卒業、東京芝浦電気㈱(現 ㈱東芝)に入社。プリント配線板の製造技術、研究開発、工場設計、プラント輸出に携わる。1988年同社を退社、日本ディジタルイクイップメント㈱(日本DEC)入社。プリント配線板調達・品質管理・業者認定に携わる。1998年同社を退社、シプレイ・ファーイースト㈱(現ローム・アンド・ハース電子材料㈱)入社。2006年同社を退社、荏原ユージライト㈱(現㈱JCU)入社。2007年同社を退社、㈱メイコー入社、プリント配線板製造技術開発、知財に携わる。2011年同社を退社。2012年雀部技術事務所設立。著書として「本当に実務に役立つプリント配線板のエッチング技術」(共著)2009年、「プリント回路技術用語辞典(第3版)」(共著)2010年、「本当に実務に役立つプリント配線板のめっき技術」(共著)2012年、「本当に実務に役立つプリント配線板の研磨技術」(共著)2018年(すべて日刊工業新聞社刊)がある。

秋山政憲  著者プロフィール

(あきやま まさのり)
1978年日本大学理工学部工業化学科卒業。同年、リズム時計工業㈱に入社し、金属ベース基板等の製造および生産技術に携わる。1987年同社を退社し、山梨アビオニクス㈱に入社。高多層基板の生産技術を担当。2002年同社を退社し、日本シイエムケイ㈱に入社。日本シイエムケイマルチ㈱にて、品質改善および生産技術を担当。2007年同社を退社し、翌年㈱ケミトロンに入社。エッチング装置、めっき装置の開発、評価に従事。著書として「本当に実務に役立つプリント配線板のエッチング技術」(共著)2009年、「本当に実務に役立つプリント配線板のめっき技術」(共著)2012年、「本当
に実務に役立つプリント配線板の研磨技術」(共著)2018年(すべて日刊工業新聞社刊)がある。

片庭哲也  著者プロフィール

(かたにわ てつや)
1998年茨城大学工学部電気電子工学科卒業。同年、日立マクセル㈱に入社。光磁気ディスク、光学部品の生産技術、品質管理に携わる。2011年同社を退社し、高砂製紙㈱に入社。電気設備の保守、機器更新を行う。2012年同社を退社し、㈱ケミトロンに入社。エッチング、めっきのプロセス開発に従事。著書として「本当に実務に役立つプリント配線板の研磨技術」(共著)2018年(日刊工業新聞社刊)がある。

神津邦男  著者プロフィール

(こうづ くにお)
1957年國學院大学文学部卒業。秋元産業㈱入社、めっき薬品の販売に従事。1962年秋元産業㈱機械事業部長を兼務し秋元工業㈱(現日本工装㈱)設立、専務取締役として計装機器の製造販売に従事。1966年東洋技研工業㈱を設立、常務取締役に就任。建材用自動アルマイト装置を開発し製造販売。1970年プリント配線板の自動めっき装置(VCP)を開発し製造販売。1997年㈱アルメックス副社長を退任、1998年㈱ケミトロン社長に就任。プリント配線板のめっき装置及びエッチング装置の製造販売。

目次

はじめに
1 プリント配線板とは
2 プリント配線板の製造方法
3 配線パターンの形成
4 この本のテーマ

第1部 概 論
第1章 製造工程の概要
1.1 プリント配線板の製造工程とその進歩の歴史
1.1.1 概 略
1.1.2 フォトリソグラフィー(写真法)と印刷法の進歩
(1) プリント配線板製造技術のルーツ
(2) ポジとネガ
(3) フォトツール
(4) フォトツール無しの露光方法
(5) スクリーン印刷法
1.1.3 ドライフィルムフォトレジストの発明
1.1.4 ドライフィルムフォトレジストの概要
(1) ドライフィルムフォトレジストの構造
(2) ドライフィルムフォトレジストの組成
(3) ドライフィルムフォトレジストの現像と剥離
(4) 次世代型ドライフィルム
1.1.5 微細化への対応

1.2 回路形成
1.2.1 XY方向の配線とZ方向の配線
1.2.2 配線パターン形成の方法
(1) エッチングレジスト形成方法
(2) アディティブ法
1.2.3 エッチング法とパターンめっき法

1.3 回路パターン構成単位の寸法と位置の管理
1.3.1 位置合わせの技術
1.3.2 寸法変化と位置合わせ
1.3.3 プリパンチとポストパンチ
1.3.4 ピンラミネーションとピンレスラミネーション

1.4 フォトリソグラフィーの応用
1.4.1 ソルダーレジスト
1.4.2 マーキング印刷
1.4.3 CO2レーザーによる穴あけにおける銅層開口部の形成法

1.5 回路形成のその他の方法
1.5.1 パターン印刷法
1.5.2 めっき以外の層間接続法
1.5.3 印刷法による電子回路の形成

第2部 各 論
第2章 サブトラクティブ法での回路形成
2.1 ラミネート前処理
2.1.1 概  要
2.1.2 各処理装置の特徴(クリーンルーム外)
(1) 化学研磨ライン
(2) バフ研磨機
(3) ジェットスクラブ研磨機
2.1.3 クリーンルーム内における前処理装置の特徴
(1) クリーンローラー
(2) プリヒーター
(3) クリーンルーム

2.2 DFRラミネート(エッチングレジスト塗工)
2.2.1 概  要
2.2.2 DFRラミネーター
(1) オートカットラミネーター
(2) 手動ラミネーター
2.2.3 DFR以外の工法
(1) 電着レジスト
(2) スクリーン印刷による配線パターン形成

2.3 露 光
2.3.1 概 要
2.3.2 露光装置
(1) コンタクト式自動露光装置
(2) デジタル式自動露光装置
(3) 投影式自動露光装置
(4) 手動露光装置

2.4 キャリアフィルム剥離

2.5 DFR現像
2.5.1 概  要
2.5.2 各処理工程の特徴

2.6 エッチング
2.6.1 概  要
2.6.2 各処理工程の特徴

2.7 DFR剥離
2.7.1 概  要
2.7.2 各処理工程の特徴

第3章 パターンめっき法での回路形成
3.1 パターンめっき法(メタルレジスト法)
3.1.1 アルカリエッチング
3.1.2 錫剥離

3.2 パターンめっき法(MSAP工法)
3.2.1 DFR現像
3.2.2 DFR剥離
3.2.3 シード層エッチング

第4章 ソルダーレジスト(SR)形成工程
4.1 概 要

4.2 各処理工程の特徴
4.2.1 SR前処理
4.2.2 SR塗工
(1) スプレー塗布
(2) ロールコーター
(3) カーテンコーター
(4) スクリーン印刷
(5) DFRラミネーター
4.2.3 SR露光
4.2.4 SR現像

第3部 品質管理:不良とその対策
第5章 トラブルシューティング
5.1 回路形成の前工程が関係する不良
5.1.1 穴あけバリおよびバリ取り研磨
5.1.2 穴埋め後平坦化(穴埋め研磨)
5.1.3 パネル表面の傷
5.1.4 銅めっき前の異物による短絡不良
5.1.5 銅めっき後研磨(ブツ・ザラ研磨)
5.1.6 銅めっき厚のばらつきによるパターン幅異常
5.1.7 銅めっき未着によるスルーホール断線
5.1.8 スミア残りによる断線

5.2 回路形成工程での不良
5.2.1 断線・欠け(裾残り形状)
5.2.2 断線・欠け(シャープな形状)
5.2.3 短絡・突起(ボトムショート)
5.2.4 短絡・突起(トップショート)
5.2.5 パターン太り(アンダーエッチング)
5.2.6 パターン細り(オーバーエッチング)
5.2.7 スルーホール断線
5.2.8 基材破損

5.3 位置合わせ不良(レジストレーション不良)

5.4 SR工程での不良
5.4.1 穴内異物づまり
5.4.2 SR前処理研磨での不良
5.4.3 異物付着
5.4.4 SR剥がれ
5.4.5 SR位置ずれ
5.5 MSAP工法での不良
5.5.1 銅めっき表面のピット
5.5.2 DFRにおける配線パターン不良低減への取り組み

第6章 品質関連用語解説
6.1 電気接続に関する不良・欠陥
6.2 導体の形状、表面状態に関する不良・欠陥
6.3 露光・フォトレジストに関する不良・欠陥
6.4 回路形成以前の工程の不良・欠陥

あとがき(監修者からのことば)
索引
著者略歴
書籍サポートページ

コラム
様々な露光方法
穴埋め法
写真法によるビアの形成(ビルドアップ多層基板のフォトビア)
クリーンルームの空気清浄度クラス
ステップタブレット
ブレークポイント

はじめに

1.プリント配線板とは

 エレクトロニクスの発展はますますその速度と広がりを増し、パーソナルコンピューターやスマートホンを始めとする電子機器が現代の生活には欠かせないものとなってきている。
 このように身近になってきた電子機器のなかに有り、その機能を実現しているもの、それがプリント回路(printed circuit)である。プリント回路(あるいはプリント回路アセンブリー(printed circuit assembly)ともいう)は、多数の電子部品をプリント配線板(printed wiringboard)の上に搭載したものである。電子部品を相互に電気的に接続して電子回路を形成するとともにその部品を物理的に支持する役割を担うのがプリント配線板である。

プリント回路=電子部品+プリント配線板

という関係になっている(図1)。
 プリント配線板の製造においては、機械的加工(切削、研削など)と化学的処理(化学薬品による処理、化学反応を用いた工程)が組み合わされて用いられている。

【用語解説】

・「プリント配線板」はPWBと略される場合がある。
・「プリント配線板」という用語に別の修飾語が付いて複合語になる場合は、長くて煩雑になることを避けるために、誤解が生じない限り「配線板」あるいは「基板」と略す場合が多い。「プレキシブルプリント配線板」を「フレキシブル配線板」、「多層プリント配線板」を「多層基板」などと称する。ただし、「基板」の語を単独で用いるのは、意味が曖昧になる場合が多いため、避けるべきである。
・「PCB」(Printed circuit board=プリント回路板)は部品が実装された「プリント回路」のことを指す場合もあれば、「プリント配線板」を指す場合もある、あいまいな用語である。

 プリント配線板は単純な構造のものから、最新の複雑な構造のものまで様々ある。図2にその例を示す。
 なお、本書では、プリント配線板の構造を示すにはもっぱら断面図を使う(図3)。
 この図にある片面、両面、多層、ビルドアップ多層の各種プリント配線板を以下に説明する。
 一番単純な構造の片面プリント配線板(層数1のプリント配線板)*1では、絶縁材料の上に銅により配線パターンを形成し、部品取付け用の穴を設け、さらにその上に回路保護用の絶縁膜を形成(はんだ付けなど接合用の部分を除いて形成)したものである。絶縁材料の板の表面に銅箔を貼り付けた板(銅張積層板、CCL=copper-clad laminate)を原材料として用い、回路部分以外の銅を除去して回路を形成し、表面保護用絶縁膜(ソルダーレジスト)をスクリーン印刷で形成するのが一般的である。
 銅張積層板とは、基材(紙、ガラスクロスなどの板に剛性を与えるための強化材)に未硬化の樹脂材料を染み込ませたシート(プリプレグと呼ぶ)を複数枚重ね、表面に銅箔を置き、積層プレスにより高温高圧を加えて一体化させたものである。表面に銅箔を有する繊維強化プラスチックの板材である。プリント配線板メーカーには銅張積層板メーカーが材料として供給している(プリプレグの語は「あらかじめ含浸させた」の意味であるpre-impregnatedに由来する)。
 両面プリント配線板(層数2のプリント配線板)は銅の配線パターンを裏面・表面の両面に形成し、表裏を銅めっきした貫通穴(スルーホール)でつないだものである(このようなめっき貫通穴を「めっきスルーホール」と呼び、この種の貫通穴のめっきを「スルーホールめっき」と呼ぶ)。X-Y方向(板と平行の方向、面方向)の接続配線を表裏2層の配線パターンで実現し、Z方向(板と垂直方向、厚さ方向)の接続をめっき穴の配置により実現して配線ネットワークを形成している。
 このようなZ方向の電気的接続のための穴をビアホール(via hole)*2と呼んでいる。部品取り付けのための部品穴(component hole)に対して接続経路の穴という意味の用語である(なお、ビアホールは単にビアと呼ぶ場合が多い)。
 ビアホールの種類に関しては第1章の図1.11(p.46)を参照のこと。
 多層プリント配線板(層数3以上のプリント配線板)は、製品内部に配線パターンを作成した銅張積層板から出発して、両面プリント配線板と同じプロセスで表面パターンとスルーホールを形成したものである。具体的には、内層配線パターンを形成した両面プリント配線板(ただしめっき穴はなし)とプリプレグを交互に重ね、両面に銅箔を置いて、積層プレスで一体化させる工程により、内層配線入り銅張積層板を作成し、それを用いて両面プリント配線板と同じ工程により製造する。
 ビルドアップ多層プリント配線板は、多層プリント配線板の表面に、絶縁層、ビア、配線を形成する工程を繰り返して、一層ずつ積み上げて製造したプリント配線板である。微細なビア(マイクロビアと称する)と微細な配線が可能になる。高密度配線が要求される最新の電子機器ではこの種類のプリント配線板が主流となっている。

2.プリント配線板の製造方法

 プリント配線板の製造方法の概略を図4に示す。この図はビルドアップ多層プリント配線板の製造工程を示している。この図からビルドアップ工程を省いて「前工程」から直接「後工程」に行けば、一般の多層プリント配線板の製造工程となる。さらに、「内層工程」を省けば、両面プリント配線板の製造工程になる。
 銅箔(あるいは銅箔と銅めっき層からなる銅層)が全表面にある状態から出発して、不要な場所の銅の除去を行って配線を作成することを複数回繰り返してプリント配線の主要部分ができあがり、それに付帯的加工を行うことでプリント配線板となることがわかる。
 なお、図4の製造方法にある「穴埋め」と「蓋めっき」に関しては図5を参照。

3.配線パターンの形成

 プリント配線板の製造工程の中で配線パターンを形成するのは、
 ・ 必要な部分に導電体である銅を形成するのが「めっき」
 ・ 不必要な部分の銅を除去し配線パターンを形成するのが「エッチング」
となり、「めっき」と「エッチング」というプロセスが重要な役割を担っている。
 いままでの説明では単に「不要な場所の銅をエッチングで除去し…」などと記述していたが、これは具体的には、配線となる部分を銅以外の物質で覆い、覆われていない部分の銅をエッチング液により溶解する工程である。このような銅を覆ってエッチング液の作用が覆った部分に及ばないようにする物質をエッチングレジストという。
 プリント配線板の製造には、感光性のレジスト(フォトレジスト)を用いた写真法(フォトリソグラフィー)が用いられる。レジストの形状としては、液体レジスト材料を塗布するのではなく、フィルム状のレジストを貼り付ける方法が一般的である。このようなフィルム状レジストをドライフィルムフォトレジストと呼ぶ(ただし、片面プリント配線板ではスクリーン印刷法によりエッチングレジストを形成する方法も用いられている)。
 このフォトリソグラフィー(写真法による導体パターン形成)は、プリント配線板の製造工程のなかでも最も重要なプロセスの一つであり、回路の微細化に対応した進歩が要求され、技術的に難しいプロセスでもある。

4.この本のテーマ

 本書はこのようなパターン形成(フォトリソグラフィーによる導体形成)をメインのテーマとして、プリント配線板の製造工程を解説したものである。この「パターン形成」には、回路パターン(導体パターン)の形成だけでなく、フォトリソグラフィーを応用したソルダーレジストの形成(開口部パターンの形成)も含み解説をした。
 主な読者としてはプリント配線板製造に携わる技術者を想定しているが、プリント配線板の調達あるいは設計に携わるユーザー、およびエレクトロニクス製品のハードウェアに興味のある一般技術者にもわかりやすいように初歩的事項から丁寧に説明するよう心がけた。
 著者らは今までに、プリント配線板の製造工程に関わるエッチング[文献1]、めっき[文献2]、研磨[文献3]の各工程の技術を解説した図書を執筆してきた。本書の執筆にあたっては、これら各工程の細かい技術事項を補完して、プリント配線板の導体回路形成の一般的技術知識を得ることができるように留意した。
 本書が読者のプリント配線板製造技術の理解にすこしでも役立てば幸いである。

参考文献
1.雀部俊樹,石井正人,秋山政憲,加藤凡典:本当に実務に役立つプリント配線板のエッチング技術,日刊工業新聞社,2009
2.雀部俊樹,秋山政憲,加藤凡典:本当に実務に役立つプリント配線板のめっき技術,日刊工業新聞社,2012
3.小林 正,雀部俊樹,片庭哲也,秋山政憲,長谷川堅一:本当に実務に役立つプリント配線板の研磨技術,日刊工業新聞社,2018


図1 プリント回路の構成要素/写真提供:take4/PIXTA(ピクスタ)
図2 プリント配線板の構造(断面図)
(1)片面プリント配線板
(2)両面プリント配線板(3)多層プリント配線板
(4)シーケンシャル積層方式多層プリント配線板
(5)ビルドアップ多層プリント配線板
図3 プリント配線板の構造(斜視図と断面図の関係)
図4 プリント配線板の製造工程図
図5 ビルドアップ多層配線板の穴埋めと蓋めっき

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