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200の図とイラストで学ぶ
現場で解決!射出成形の不良対策

定価(税込)  2,860円

著者
サイズ A5判
ページ数 224頁
ISBNコード 978-4-526-08014-2
コード C3053
発行月 2019年10月
ジャンル 機械

内容

射出成形は製品設計、成形機、金型、成形技術など、さまざまなところに不良の原因がある。緊急な対策が製造現場に求められることは、珍しいことではない。本書では、現場の観点から成形不良をまとめ、現場でできる対策を解説。図を多用した、分かりやすい対策本。

横田 明  著者プロフィール

(よこた あきら)
慶応義塾大学工学部機械工学科卒業
技術士(化学部門、高分子製品)
特級プラスチック成形技能士

大手機械メーカにて、射出成形機の設計、新成形技術研究開発を行った後、その技術展開のため関連会社射出成形工場に責任者として出向。成形品質および生産性向上に寄与。多くの射出成形一・二級技能士も育成。
その後、外資系自動車メーカ(担当部門はグローバル部品メーカとしてスピンオフ)に移り、自動車樹脂部品の開発を担当。射出成形部品の成形問題を事前予測して、新規開発に展開する方法を採用することで開発期間の効率化とコストダウンを達成。欧米含むグローバル全社でシニアテクニカルフェロー5人のうちの1人として、アジアをはじめ、欧米、南米などの海外で金型開発、射出成形技術指導を行う。
退職後、現場のわかる技術コンサルタントとして、「技能から技術へ」をモットーに指導中。6シグマブラックベルトでもある。ペンネーム、有方広洋(Arikata Koyo)でも出版。

主な著書:
『プラスチック成形加工 基礎と実務』『射出成形加工の不良対策』『絵とき「射出成形」基礎のきそ』『射出成形加工のツボとコツQ&A』『エクセルを使ったやさしい射出成形解析』『現場で役立つ射出成形作業の勘どころ』『トコトンやさしいプラスチック成形の本』『射出成形大全』(いずれも日刊工業新聞社)など

目次

第1章 射出成形機と成形条件
1.1 射出成形技術
 1.1.1 成形技術を知らない技術者と過信の現場作業者
 1.1.2 射出成形機制御盤
1.2 機械の違いによる基本的換算
 1.2.1 スクリュー径とスクリュー位置設定
 1.2.2 射出圧力・保圧の設定
 1.2.3 射出率と射出速度の設定
 1.2.4 シリンダ温度、計量位置、スクリュー背圧可塑化条件の設定
1.3 成形条件の微調整
 1.3.1 スクリューの設定位置
 1.3.2 射出圧力、保圧の設定
 1.3.3 射出率と射出速度の設定
 1.3.4 シリンダ温度、計量位置、スクリュー背圧可塑化条件の設定
1.4 成形面での問題
 1.4.1 圧力損失の違い
 1.4.2 圧力と速度
1.5 新しい機械購入時のチェックポイント

第2章 バリ
2.1 CAEでは出ないはずのバリ
 2.1.1 基本的対策案
2.2 金型問題による現場バリ対策
 2.2.1 合わせの悪い金型でのバリ対策
 2.2.2 ランナー部のバリ
2.3 金型剛性問題によるバリ

第3章 ショートショット
3.1 流動長とショートショット
 3.1.1 圧力と流動長
 3.1.2 温度と流動長
3.2 いろいろなショートショット
 3.2.1 肉厚差のある成形品
 3.2.2 シャープエッジな角部
 3.2.3 ゲート詰まりによるショートショット
 3.2.4 穴部のショートショット
 3.2.5 ガス逃げ不良によるショートショット

第4章 ヒケとボイド
4.1 ヒケとボイドの違い
 4.1.1 ヒケとボイドの基本対策
 4.1.2 ヒケの深さと見え方
4.2 いろいろなヒケ・ボイドの対策方法
 4.2.1 ヒケの発生する方向の制御 ―その1―
 4.2.2 ボイドで隠す方法
 4.2.3 ヒケの発生する方向の制御 ―その2―
 4.2.4 ヒケの発生する方向の制御 ―その3―
 4.2.5 形状によるヒケ対策
 4.2.6 ヒケと間違える不良

第5章 反り・変形
5.1 反り・変形原因の基礎
 5.1.1 温度差による板の反り
 5.1.2 圧力差による板の反り
 5.1.3 肉厚差による板の反り
 5.1.4 肉厚差のある成形品の反りと圧力
5.2 反り・変形の類別
 5.2.1 箱の上反り、下反り
 5.2.2 箱の内反り
5.3 反り・変形の時間的変化
5.4 反りの矯正の問題

第6章 成形品の寸法問題
6.1 金型製作に向けた収縮率の設定
 6.1.1 収縮率のいろいろ
 6.1.2 金型設計用収縮率の決定
6.2 寸法と成形条件の調整
 6.2.1 複数寸法と成形品重量
 6.2.2 寸法の経時変化

第7章 ウエルドライン
7.1 事前予測と実際との違いの対策
7.2 各種ウエルドライン対策
 7.2.1 ウエルドラインを薄くする対策
 7.2.2 配向によるウエルドライン部の見え方と対策
 7.2.3 光沢調整で見えにくくする方法

第8章 フローマーク
8.1 溝状フローマーク
8.3 首振り流動によるフローマーク

第9章 銀条・黒条
9.1 乾燥の必要な樹脂の乾燥不足による水蒸気
9.2 滞留加熱による樹脂分解
9.3 金型が空気を巻き込む場合
9.4 サックバックによる空気吸い込み
9.5 成形機のスクリューが巻き込んだ気体

第10章 多点バルブゲート問題
10.1 バルブゲートの利点
10.2 バルブゲートでの成形条件の調整
 10.2.1 新しいゲートを開いた場合の圧力状況
 10.2.2 射出速度を速くした場合
 10.2.3 バルブゲートを開くタイミング
 10.2.4 サイドゲートを使ったバルブゲート

第11章 シボ問題
11.1 シボの「てかり」と「曇り」
11.2 シボのカジリ
 11.2.1 再転写カジリ
 11.2.2 肉厚方向収縮違いによるカジリ

第12章 糸引き
12.1 ノズル部温度と切れ具合
12.2 ノズル前後進タイミング
12.3 ニードルノズルの糸引き

あとがき
主な参考文献
索引

はじめに

 射出成形は、溶かしたプラスチックを型に押し込んで冷やして固める、という原始的な成形方法である。当初は、万力で金型を締め、手動のテコ式で溶かした合成樹脂を金型に押し込むという単純な形であった。その後、機械自体は複雑になり、油圧駆動、電子制御などから、電動サーボモータ駆動などと変遷はあったにせよ、その成形原理は、射出成形が始まって以来変わっていないのである。成形は効率化され、いろいろな成形不良現象も解明されてきた。しかし、人工知能が発達してきた時代とは言え、まだまだ、射出成形の不良対策は非効率的なところが多いのも現実である。
 射出成形は、製品設計、成形機、金型、樹脂、成形技術など、いろいろなところに不良の原因がある。病気に例えるとすれば、総合的な判断が必要な病気に対して、内科医、外科医、放射線科医など、それぞれの分野の医師だけでは対処できないものも多いのが厄介なところである。それらの事前対処についても、筆者もいくつかの書で説明してきているが、それでも、実際の現場では、さまざまな成形不良が発生し、現場を悩ませている。
 金型が出来上がるまでには時間がかかり、出来上がって最初の試射から量産開始までには時間がないことも多い。最初の試射自体にも時間的な余裕がないケースもあり、問題を抱えたまま量産工場に金型が移管されることもある。問題の原因が金型自体にあることが明確な場合は、その対策を講じたあとで移管されるが、問題の原因が金型の問題と限定されるわけでなく、材料にありそうな場合や機械の違いが原因でありそうなときは、とりあえず量産工場に金型を移管して、その量産工場で成形してみる……ということも多い。しかし、金型を量産工場に移管しても問題は解決されず、納期などの時間にも追われてどうしようもなくなることさえ時々ある。
 そこで、現場対策の観点で成形不良をまとめてみることにしたのが、この書である。その内容とは、現場その場だけで対策を行って解決する場合が全てではない。場合によっては、原因対策に機械か金型の改造が必要な場合もあるが、その対策案は確実な対策ができるものでなければならない。そのためには、解決に時間を必要とするものは、原因を明確にして、結果を出せる具体案を提案するということである。いずれにしても、発生した問題の原因が明確になれば、解決への方法にもいろいろあることが理解してもらえるであろう。
 電話会議やメール等々でやりとりして連絡を取り合うことで何とか遠隔で対策ができればいいのだが、これが実際には非常に難しい。結果に至るまでの道筋は、複雑な迷路をかいくぐって出口に到達するような状況に似ているかも知れない。
 日本企業も海外工場で生産したり、海外の外注先を使ったりすることも多くなっている。過去には日本の得意芸であった金型も、海外で作ることも普通となった。我が国では、すでに全電動式の射出成形機が一般に使われるようになって久しいが、海外では、まだまだ油圧の機械が多い。日本の技術者が、電動式の成形機の使い方しかわからないのでは、現地指導はできない。
 電動式をデジタルと考えれば、油圧はアナログ的な要素が多い。この観点から、本書では油圧式を中心に説明している。
 本書が、いろいろな成形不良原因追及の鍵となり、対策結果につながることを期待する。

本書の使い方
 本書では、なるべく、図とそれに付けられている説明を見るだけでも、概要が理解しやすいように記したつもりである。成形不良は、大まかに分類された名称だけでは当てはまらないことも多い。例えば、フローマークにもヒケにもいろいろなタイプのものがあるので、その対策は多種多様になる。現場の実際の不良に合わせた対策でなければ効果は期待できない。
 そこで、自分たちの成形不良現象とその対策などを見つけようとするとき、ざっと本書を開いて、気になる図を見つけたら、その図に付いている説明を読み、さらに詳細を知りたい場合には、本文の該当文章を読んでもらえばいいように配慮した。成形現場で是非とも活用してもらえることを願っている。
横田 明

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