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SEのための小売・サービス向けIoTの知識と技術
この一冊で儲かるシステムを提案できる

定価(税込)  2,200円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07998-6
コード C3034
発行月 2019年08月
ジャンル コンピュータ・情報 経営 生産管理

内容

中小・小規模の小売・サービス業では、製造業に比べてIoTの導入が遅れがち。そんな小売・サービス業がIoTシステムで儲かるようになる提案ができる開発技術とスキルを具体的に解説する。

安野元人  著者プロフィール

(やすの もとひと)
1974年 愛媛県生まれ。
1997年 ファーストリテイリング入社。店長やエリアマネージャーとして衣料小売店舗のマネジメントを経験する。
2008年 大手エレクトロニクスメーカー系のサービス会社に入社。新事業を立ち上げたりシステム開発やコールセンター運営でプロジェクトマネージャーを務めたりするなど、サービス開発の最前線で活躍する。
2016年に中小企業診断士の資格を取得する。経営コンサルタントとして飲食や宿泊、リゾート開発などの小売・サービス業向けIT、IoTシステムの導入をサポートする。
2017年 情報処理技術者(プロジェクトマネージャ)の資格を取得。

目次

はじめに

第1章
小売・サービス業をめぐる厳しい経営環境とIoTの可能性
1.1 小売・サービス業の労働生産性とIT活用
1.1.1 きわめて低い労働生産性
1.1.2 労働生産性とは何か
1.1.3 労働生産性を上げる方法
1.1.4 小売・サービス業を取り巻く3つの環境
1.1.5 小売・サービス業のIT活用状況
1.2 小売・サービス業が抱えるジレンマ
1.2.1 サプライチェーンでの小売・サービス業の役割
1.2.2 消費者行動の変化
1.3 小売・サービス業の課題解決に向けたIoT活用の可能性
1.3.1 売上拡大にIoTを活用する
1.3.2 効率化のためにIoTを活用する
1.4 理解すべき、小売・サービス業の経営管理の基本
1.4.1 小売・サービス業の経営管理
1.4.2 小売・サービス業におけるKPI
1.4.3 KPIの収集と意思決定をIoTシステムで実現する
1.4.4 IoTと管理会計、経営戦略

第2章
小売・サービス業に適したIoTの導入戦略
2.1 小売・サービス業のジレンマとIoTの活用
2.1.1 IoTと既存システムとの違い
2.1.2 IoTでジレンマを解決する
2.1.3 小売・サービス業が担うサプライチェーンの下流
2.2 バックエンドでのIoTの活用
2.2.1 在庫管理とIoT
2.2.2 仕入れ、発注業務とIoT
2.2.3 フロントエンドとのつながりを考慮する
2.3 フロントエンドでのIoTの活用
2.3.1 マーケティングとIoT
2.3.2 販売、サービスとIoT
2.3.3 アフターフォローとIoT
2.3.4 フロントエンドでのIoTの可能性
2.4 業種別のIoT活用チャート

第3章
小売・サービス業のためのIoTを構築する
3.1 小売・サービス向けIoTシステムの基本アーキテクチャーと構成要素
3.1.1 IoTシステムの基本アーキテクチャー
3.1.2 基本アーキテクチャーの構成要素とその役割
3.1.3 アーキテクチャーの重要性
3.1.4 小売・サービス業におけるアーキテクチャー
3.2 データの入口となるフィールド層のアーキテクチャー
3.2.1 フィールド層の全体構成
3.2.2 フィールド層を構成する技術の役割
3.2.3 フィールド層の構築ポイント
3.3 クラウドシステムで構成されるプラットフォーム層のアーキテクチャー
3.3.1 プラットフォーム層の全体構成
3.3.2 クラウドシステムとは何か
3.3.3 クラウドシステム選定のポイント
3.3.4 データを収集・保存・分析するクラウドシステム
3.3.5 プラットフォーム層(クラウドシステム)の構築
3.4 システムを監視・コントロールするオペレーション層のアーキテクチャー
3.4.1 IoTセキュリティの5つの観点
3.4.2 セキュリティが重要な4つの理由
3.4.3 IoTのセキュリティ構築
3.4.4 セキュリティ構築の4つの手順
3.4.5 IoTのセキュリティ対策に関する留意点
3.4.6 IoT特有のプライバシー問題
3.5 IoT体験のすすめ

第4章
小売・サービス向けIoTシステムに対するSEのあるべき姿
4.1 顧客のサービスの特徴を理解する
4.1.1 小売・サービス業の3つの接点
4.1.2 サービスの4特性
4.1.3 4つの特性の克服
4.2 小売・サービス業で価値を創出する特有のフレームワークを知る
4.2.1 サービスプロフィットチェーンとは何か
4.2.2 IoTシステムの導入でサービスプロフィットチェーンのどこに働きかけるか
4.2.3 ECMサイクルという考え方
4.3 IoTシステムの導入ではここに注意
4.3.1 現場の負担を抑える
4.3.2 社内管理体制を構築する
4.3.3 費用対効果を考える
4.4 IoTシステム活用のストーリーを描く
4.4.1 課題解決に向けたストーリーづくり
4.4.2 インテグレーターとしてのシステムエンジニア


索引

はじめに

 IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)をはじめとするテクノロジーの発達には目覚しいものがある。IoTは、さまざまなセンサーから多様なデータを収集し、それを分析することで事業の成長や効率化に活かせる。また、AIはIoTから収集される膨大なデータ(ビッグデータ)を一瞬にして解析し、ビジネスに有益な情報を提供してくれる。
 これらのテクノロジーを活かし、特に製造業ではIoTで収集したデータをAIで解析し、工場内のさまざまな機械を最適に自動制御できるようになっている。また、そうしたIoTやAIを活用した先進的な工場は「スマートファクトリー」と称せられる。それはドイツ政府が提唱した「インダストリー4.0」という概念から発せられているが、日本でも「ソサエティ5.0」「コネクテッドインダストリーズ」など、IoT、AI、ビッグデータを活用した産業・社会の進展が提唱されている。
 それを先導するような形で日本の製造業では、IoTやAIを活用して生産の効率化が進められている。一方、小売業やサービス業はどうだろうか。内閣府発表の「国民経済計算」では、国内のGDPの72%を占めるまでに至った第3次産業だが、そのうち小売・サービス業は他産業に比べてIT投資に消極的であり、また低い労働生産性が長年の課題とされている。
 労働生産性が低い理由の1つにビジネスモデルがある。小売・サービス業は、接客やコミュニケーションを介して顧客の感情を言葉と五感で感じ取り、顧客が欲する商品やサービスを提供する。そのビジネスモデルを支えてきたのは従業員の長年の経験と勘なのだが、一方で労働生産性を低くする要因にもなってしまっている。
 また、小売・サービス業のビジネスモデルには特有のジレンマがある。例えば売上拡大と適正在庫をバランスさせることの悩みだ。売上を拡大させるためには一定の在庫を持たなければならない。しかし、在庫が多すぎるとコストを増大させて収益を圧迫する。売上は拡大させたい、しかし在庫は増やしたくない。このジレンマに悩みながら小売・サービス業は経営を続けている。
低い労働生産性の要因の1つに接客業務があるが、それは顧客との直接の接点であり、小売・サービス業に特有のものとも言える。また、商品・サービスの販売(売上)と在庫管理のベースにもなっている。いわば小売・サービス業のジレンマと長年の課題の源になっている。そこで、その源にIoTを導入し、接客の現場であるフロントエンドと在庫を管理するバックエンドをデータでつなげば、小売・サービス業に特有のジレンマと低労働生産性の解決に資する有力な手段にできる。本書はそこに着目し、そのためにSE(システムエンジニア)に必要な知識と技術をわかりやすく解説した。
 必要な知識とは、小売・サービス業のビジネスモデルと特有のジレンマ、またKPIに基づいた経営管理などであり、必要な技術とは、小売・サービス業のジレンマをよく理解したうえでIoTシステムを構築するための技術とスキルである。
 今後、小売・サービス業でのIoT需要は必ず伸びると思われる。それに対してSEが、顧客が収益を上げられるいわば“儲かる”IoTを提案・構築できることを願って本書を上梓した。IoTシステムを手がけるSEにとって何らかの参考になれば幸いである。
 本書の執筆に当たり、製品の写真を提供してくださった企業の皆様に感謝申し上げる。また、執筆の機会を頂いた日刊工業新聞社の原田英典氏にも感謝申し上げたい。
なお、本書に掲載の製品名は各社の商標あるいは登録商標です。

2019年8月 安野元人

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