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わかる!使える!放電加工入門
<基礎知識><段取り><実作業>

定価(税込)  1,980円

編集
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07995-5
コード C3053
発行月 2019年08月
ジャンル 機械

内容

放電加工のルーツ企業である編者が、基幹要素のほか最新IT/AI技術を駆使した機能や段取りなどの情報も加え、加工方法を推奨する。準備から加工前段取り、加工中・後のチェック事項、安心・安全稼働のための要点など入門書として必要なスキルを網羅する。

ソディック放電加工教本編纂チーム  著者プロフィール

 ソディック放電加工教本編纂チームは、株式会社ソディックの放電加工事業における各技術要素分野から招集されたスタッフで構成されています。1971年の創業以来、NC(数値制御)放電加工機メーカーのパイオニアとして放電に関わる加工性能を飛躍的に向上させ、世界中のモノづくり支援を推し進めてきた基礎研究、応用技術、知識、経験、技能などを源泉とし、放電加工機および関連技術開発・研究、加工性能のデータ検証・システム構築、および顧客への操作指導・加工全般における研修に日々従事しています。



執筆者一覧(50音順)

安達章浩(あだち あきひろ) AE本部放電加工技術部
荒井祥次(あらい よしつぐ) AE本部条件開発部
大川正幸(おおかわ まさゆき) AE本部放電加工技術部部長補佐
栗林 初(くりばやし はじめ) AE本部研修部仙台研修担当
小松まみ(こまつ まみ) AE本部研修部横浜研修担当
鈴木伸幸(すずき のぶゆき) AE本部放電加工技術部
原口健二(はらぐち けんじ) AE本部放電加工技術部
原田武則(はらだ たけのり) 工作機械事業部放電技術部副事業部長
西 航平(にし こうへい) AE本部条件開発部
山田英司(やまだ えいじ) AE本部研修部横浜研修担当

目次

第1章 
放電加工の基礎知識

1 形彫り放電加工の基礎と特徴
・形彫り放電加工の適用分野と特徴
・形彫り放電加工機の基本構成
・電極材料の種類と使い分け
・加工物材料の種類と特徴
・加工液の役割と液処理のメリット
・プロセスに関わる形彫り放電回路と加工条件

2 形彫り放電加工特有の加工性能
・形彫り放電特有の加工特性
・放電ギャップと仕上げ加工
・極性と無消耗加工の発動条件
・液処理の分類と特徴
・電極ジャンプの役割と効果
・揺動(ローラン)加工のメリットと選び方
・形彫り放電の加工変質層と鏡面加工
・形彫り放電加工の工程概要
・細穴放電加工の工程概要

3 ワイヤ放電加工の基礎と特徴
・ワイヤ放電加工の適応分野と特徴
・ワイヤ放電加工機の基本構成
・ワイヤ電極の種類と選び方
・加工液(水と油)の特徴と使い分け
・プロセスに関わるワイヤ放電回路と加工条件

4 ワイヤ放電特有の加工性能
・ワイヤ放電特有の加工特性
・オフセット、パンチ/ダイ、アプローチ/切り落とし
・荒加工/仕上げ加工の役割と特徴
・真直精度(=タイコ量)と高板厚加工
・テーパ加工とコアレス加工の特徴
・ワイヤ放電の加工変質と特徴
・水加工液における錆の発生原理と抑制技術
・ワイヤ放電加工の工程概要

5 放電加工における段取りの基礎
・段取りの流れと具体例
・段取りの重要性
・内段取りと外段取り
・段取りと3S/5S
・保全の分類と重要性

第2章 
形彫り放電の段取り・加工・メンテナンス

1 形彫り放電における加工・段取り検討
・形彫り放電加工の準備から段取りまで
・形状パターン別加工方法検討
・電極の材料選択と設計検討
・電極製作の方法と仕上がり確認
・揺動(ローラン)の役割とパターン別の特徴
・液処理方法の形態と特徴
・特殊加工法-創成放電加工法

2 形彫り放電における段取りのポイント
・加工段取り① 加工物セッティング
・加工段取り② 電極セッティング
・簡単位置決め① 端面位置決めと外径心出し
・簡単位置決め② 内径心出しと位置決めの注意点

3 形彫り放電における加工・付帯装置・メンテナンス
・加工プログラム作成① 形状選択と加工計画の設定
・加工プログラム作成② 詳細設定から加工プログラム生成まで
・加工前動作確認から加工まで
・形彫り放電加工の関連付帯装置・メンテナンス

第3章 
ワイヤ放電の段取り・加工・メンテナンス

1 ワイヤ放電加工の条件設定とスケジュール
・ワイヤ放電独特の加工条件検討
・対話形式による加工条件検索機能
・ワイヤ電極の装着と消費目安

2 ワイヤ放電加工の必須習得テクニック
・加工精度安定のひずみ対策あれこれ
・切り残し部の仕上げ加工① ワイヤ電極を使う
・切り残し部の仕上げ加工② 銅板を使う
・テーパ加工習得のポイント
・加工テクニック① 薄い加工物での条件調整
・加工テクニック② ダイ形状での条件調整
・加工テクニック③ くし歯形状での条件調整

3 ワイヤ放電加工における段取りのポイント
・加工スケジュール
・作業前準備から加工までの流れ
・加工前までの慣らし運転と位置決めのポイント
・ワイヤ電極の結線と垂直出し
・ワイヤ電極の自動結線機能
・加工物のセッティング
・加工状態とZ軸高さ調整
・噴流による液処理の役割と調整方法
・簡単位置決め作業

4 ワイヤ放電における加工・メンテナンス
・加工プログラム作成―確認から加工まで
・メンテナンス① 概要と“見える化”の活用
・メンテナンス② 機械とワイヤ電極の点検
・メンテナンス③ 加工液のフィルタリング

●コラム
・人類と道具
・雷と放電加工
・4M変更と作業の意味づけ

参考文献
索 引

はじめに

放電加工とは、水や油などの加工液中で、対峙した電極(切削加工での工具に相当)と加工物との間隙(放電ギャップ)に放電現象を発生させ、それに伴う力学的作用(放電衝撃圧力)と熱的作用(蒸発・溶融)により、除去加工を行う加工方法です。
 放電加工の特徴として、①電気が流れさえすれば、加工物の硬さに依存せず加工が可能、②切削加工ではあり得ない、柔らかいもの(銅)で硬いもの(鉄)が加工できる、③電極と加工物が接触しない状態で加工が行われるため、高精度な加工が得意、④シャープエッジや高アスペクト比(切削加工であれば「加工深さ/工具径」に相当)の形状加工が得意、⑤電気信号を利用し、機上で電極と加工物による直接の位置決めが可能、などが挙げられます。これらのユニークな機能や性能は、微細精密領域での高精度・高品位加工や、切削加工では困難な複雑形状での簡単加工などでその優位性を発揮しています。
 工作機械全体に占める放電加工機のボリュームは決して多くありませんが、特に焼き入れ鋼との相性の良さを生かし、金型づくりの重要工程において、必要不可欠なマザーマシンとしての役割を確立してきました。

 最新の放電加工機は、電子・電気デバイスの進化・発展やIT関連の急速な環境の拡がりにも支えられ、初歩的な操作指導および加工研修を体験いただくことで、誰もが簡単にその加工性能を実現することが可能です。しかし、日常のモノづくりの現場で、いつでも安定した放電加工の優れた性能の成果を得るには、放電加工の基礎や特徴、加工条件と加工結果との関連性に加え、機械操作や加工前の検討事項、段取りから加工、評価や加工後のメンテナンスに至るまでの様々な見識や経験が求められます。
 放電加工に求められる成果は、高度かつ高難易度な加工レベルであるがゆえに、加工前の段取りや確認作業の些細な変化が想定外の結果をもたらします。したがって、1ステージ上の強みを習得するには基礎知識に加え、最適な段取りやイレギュラー時の臨機応変な現場対応力が重要です。
 切削加工と比べて、放電加工は工業化利用の誕生からの歴史が浅く、残念ながらレベルアップに有益な学術書や実践的活用を解説する教本が少ない状況です。今回、日刊工業新聞社からの依頼を受け、恐らく業界初の試みとなる、段取りにフォーカスした入門書執筆のための、放電加工教本編纂チームを編成しました。
 本書は、入社3年程度までの初心者や初級技術者を主な読者対象と想定していますが、総合的な現場力・競争力をアップしたいという方々にもご利用いただけます。例えば、加工方法や加工工程の入れ替えなどがもたらす、困り事の解決手法のヒント、あるいは新素材での加工アプローチへの気づき、何気ない日常的現場作業の振り返りなどへの一助となれば幸いです。
 このようなコンセプトに基づき本書は、第1章では「放電加工の基礎知識」、第2・3章では「形彫り放電・ワイヤ放電の段取り・加工・メンテナンス」について、簡単な説明でご理解いただけるよう、見開き完結のスタイルで構成しました。紙面の都合上、情報量が物足りない部分や、厳密な数値と相違がある諸データ、実際にご使用されている放電加工機と完全には一致しない操作画面など、ご期待に添いかねる内容があるかもしれませんが、段取りに注力した意図にご寛容いただければ幸いです。

 最後になりましたが、本書の執筆に当たり多くの助言やご支援をいただき、また企画構想から出版に至るまで忍耐強くご対応いただきました、日刊工業新聞社出版局書籍編集部の矢島俊克氏に感謝申し上げます。

2019年8月
編者一同

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