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Asprova解体新書
生産スケジューラ使いこなし再入門

定価(税込)  2,530円

著者
サイズ A5判
ページ数 240頁
ISBNコード 978-4-526-07984-9
コード C3034
発行月 2019年06月
ジャンル 経営 生産管理

内容

効果的な導入が難しいとされる生産スケジューラの正しい運用に向け、トップシェアを誇る「Asprova」をベースに失敗回避テクニックや実際の設定、オペレーションなどを行程順にやさしく紐解く。うまく運ばない根本原因をユーザー目線で考察して解決策を示す本。

高橋邦芳  著者プロフィール

(たかはし くによし)
1958年生まれ。1994年2月、株式会社スケジューラー研究所を設立、代表取締役社長(その後、アスプローバ株式会社に社名変更、www.asprova.jp)。以来、生産スケジューリング一筋に研究開発を続けている。現在は、生産スケジューリングのAI化の研究も手掛けている。著書「Lisp MS-DOS版 エキスパートシステム構築法」(日刊工業新聞社)、「儲けを生むためのSCM」(幻冬舎)。


本書は数多くのAsprovaに熟練したコンサルタントの方々と、ブレインストーミングして出来上がりました。執筆協力者として感謝するとともに、以下に氏名・会社名を表記します(敬称略)。
青木 洋匡(あおき ひろまさ)トーテックアメニティ株式会社
山原 研佑(やまはら けんすけ)トーテックアメニティ株式会社
仲 正記(なか まさのり)トーテックアメニティ株式会社
岩島 健裕(いわしま たけひろ)トーテックアメニティ株式会社
松野 隼弥 (まつの たかや)トーテックアメニティ株式会社
加藤 圭太(かとう けいた)株式会社荏原製作所
解良 琢郎(けら たくお)株式会社日立産業制御ソリューションズ
古関 雄介(こせき ゆうすけ)株式会社HOIPOI
高山 真一(たかやま しんいち)倉敷紡績株式会社
松下 岳(まつした たかし)株式会社ハブ
清水 秀樹(しみず ひでき)株式会社エムジェイ・エムジー代表取締役東洋ビジネスエンジニアリング株式会社契約コンサルタント
石井 文夫(いしい ふみお)ワクコンサルティング株式会社
中村 大介(なかむら だいすけ)パナソニックFSエンジニアリング株式会社
長野 晃希(ながの こうき)ジェイ・バス株式会社
飯川 洋一(いいかわ よういち)イグレック株式会社
木下 裕典(きのした ひろのり)株式会社システムインテグレータ
山田 哲也(やまだ てつや)PIZZERIA BRUNA

山田哲也氏にはピザのつくり方について取材協力いただきました。各コンサルタントの略歴などの情報がサポートサイトhttps://support.asprova.com/hcにありますのでご覧ください。

目次

まえがき
本書で使用している表記方法、用語 

プロローグ

オーダとデリバリー
生い立ち/ここは東京・五反田のピザ店/きっかけ(悪魔の誘い)/エキスパートの講師陣/「困った事ベスト10」/生産スケジューラの歴史/セミナーの内容/仕様付きオーダは1品目で多数のバリエーションを表現する/仕様なしオーダは単品をシンプルに表現する/売買契約が成立して確定オーダができる/顧客のわがままを許すのか、許さないのか/確定オーダは変更されることがあるのか/オーダは気配から始まる/約束納期は顧客とサプライヤの合意で決まる/内示は引取り責任はあるのか、ないのか/オーダ、デリバリーと受注生産、見込生産/生産スケジューリングの問題はオーダとデリバリーの関係性に帰着する

第1章 生産管理は必要なときに、必要なモノを、必要なだけ供給する
生産計画には複数の段階がある/つくるか買うか(Make-or-Buyデシジョン)/平準化と一口に言ってもいろいろある/発注方式=発注点まで減ってから発注する方式/カンバン方式はつくり過ぎのムダを防ぐ/カンバン方式とMRPを併用する/MRP+差立て(人+Excel)を併用する/複数レベルのMRPと差立て(人+Excel)を併用する/Asprovaは複数レベルのMRPと差立てを同時に計算する/生産管理におけるQCD(品質・コスト・デリバリー)

第2章 あなたの工場の生産管理の課題と解決策は?
あなたの工場の生産管理の課題は何か?/課題1:欠品せずに在庫削減したい/課題2:納期厳守したい/課題3:変化対応力を向上したい/課題4:リードタイム短縮をしたい/課題5:コンピュータで詳細生産スケジュールをつくりたい/製造に関する世界共通課題/製造BOMエディタ:マスタデータの見える化/オーダガントチャート:オーダの見える化/資源ガントチャート:生産スケジュールの見える化/在庫グラフ:製品・半製品・購買品の未来の在庫の見える化/負荷グラフ:設備や人員の未来の負荷の見える化/リードタイム短縮の効果は大きい/有限能力バックワードスケジューリング(JITスケジューリング)/有限能力フォワードスケジューリング/オーダ分割によるリードタイム短縮/作業分割によるリードタイム短縮/運搬の小ロット化によるリードタイム短縮…SS, SSEE/運搬の小ロット化によるリードタイム短縮…EES, ESE, ESSEE, SSEEE/運搬のタイミングによるリードタイム短縮/ボトルネック中心のスケジューリングによるスループット増大/バッファをコントロールするとスループットを向上できる/内段取りの外段取り化によるスループット増大

第3章 入出力データを理解しよう
レシピ=製造BOM:どのようにつくるかをデータ化する/入出力データとその関係を理解しよう/運用方法例

第4章 プロトタイプをつくる
単工程のスケジュールをつくってみよう/所要量計算(MRP)して原料の必要量を求めよう/複数工程のスケジュールをつくってみよう/自動補充機能を使って半製品もスケジュールしよう/受注生産(MTO:Make-To-Order)/受注組立生産(ATO:Assemble-To-OrderまたはBTO:Build-To-Order)/見込生産(MTS:Make-To-Stock)/購買オーダもスケジュールしよう

第5章 システム連携して楽をしよう(自社開発システム編)
データ入出力テーブルでインポート・エクスポートの仕方を指定する/オーダ、在庫、製造BOMをインポートする/作業指示をエクスポートする/実績ファイルをつくり、実績をインポートする/使用指図(使用する資源)をエクスポートする/入力指図(消費する品目、日時、数量)をエクスポートする/出力指図(生産する品目、日時、数量)をエクスポートする/紐づけ情報をエクスポートする

第6章 システム連携して楽をしよう(ERP編)
オーダをインポートする?:製造オーダ/オーダをインポートする?:製品オーダと在庫オーダ/オーダをインポートする?:受注オーダと在庫オーダ/スケジュール結果をエクスポートする?:製造の開始と終了日時/スケジュール結果をエクスポートする?:購買オーダ/マスタ(品目・BOM・工順)をインポートする

第7章 基本的なスケジューリング機能を理解しよう
設備や人にカレンダを設定したい(カレンダ、シフト)/設備に台数(作業員の人数)を設定してスケジュールしたい(資源量)/熱処理炉で同じ仕様の作業を同時開始、同時終了で熱処理したい(炉資源)/人員、金型、治具など副次的な資源を制約にしてスケジュールしたい(副資源)/品目や仕様の切替時の段取り時間をスケジュールしたい(段取り時間)/金型など副資源の切替時に段取り時間をスケジュールしたい(資源段取り)/作業を固定し実績入力をしてスケジュールしたい(ステータス)/原料(入力品目)の必要量を計算したい(所要量計算)/歩留りやスクラップを加味して所要量計算したい/前後工程間の時間関係を加味する(重なり方法)/生産リードタイムを短くするために作業分割したい(作業分割)/分岐・合流工程を定義してスケジュールしたい(分岐工程)/その他の要件

第8章 コマンド・計画パラメータを使いこなす
デフォルト計画パラメータは最もシンプル/計画パラメータは計画の仕方を指定する/例題のデータ/フォワードにスケジュールする/バックワードにスケジュールする/納期にバッファをつける/複数の処理を連続実行するコマンドをつくる/オーダ展開してオーダから作業をつくる/後工程をバックワードにスケジュールする/前工程をフォワードにスケジュールする/納期丸めをして段取り時間を減らす/ボトルネックの前工程をバックワードに引き寄せる/工程間の時間的不整合を解消する

第9章 Asprovaの導入はプロトタイプづくりから
導入ステップ1~プロトタイプ1をつくる(第1回社内説明会~最初から関係者全員を極力集める/導入成功のための4つの秘訣/プロトタイプ1をデモする)/導入ステップ2~プロトタイプ2で要件の追加(週1回のコンサルティング指導で始めてみた/Asprovaを何に活用するのか/現行のやり方をどこまで変えるか/要件を取り入れる順番:簡単な要件から、しかし…/要件出しをして4つに分類する/第2回社内説明会~稟議へ)/導入ステップ3~システム連携(AsprovaとERPの相性はどうなのか?/運用ノウハウはある)/導入ステップ4~システムテストから運用開始(システムテスト/第6回社内説明会~運用準備完了/急なオーダ変更/不良品への対処/納期遅れ対策/本番スタート)

第10章 業種別適用モデル
1 射出成形 
2 プリント基板実装 
3 歯車(金属加工) 
4 電線ケーブル 
5 軟包装印刷 
6 ワイヤハーネス 
7 飲料 
8 個別受注型産業 

エピローグ~あとがき
「困った事ベスト10」に対する処方箋

参考文献 
索引 

はじめに

 2018年1月頃、「Asprovaのことを一冊の本にまとめてください」と言われました。誰から言われたのか、今は覚えていません。それは、とてつもなく難しいという印象しかありませんでした。しかし、その言葉がずっと頭に残り、2018年3月、Asprovaのユーザ・非ユーザの方々向けにアンケートを送りました。
 ①導入検討でどんな困った事がありましたか?
 ②導入プロジェクトでどんな困った事がありましたか?
 ③運用中にどんな困った事がありましたか?
の3問です。3日以内に300通、全部で400通以上の回答が来ました。
 その文書は膨大で、ひと通り読むのに3日間かかりました。1回では到底全部を把握できる内容ではなく、3回ほど読み直しました。その結果、多くの困った事が浮かび上がってきたのです。あまりにたくさんの困った事があるため、35個に絞りました。

■社内説得・提案
1 稟議書の書き方に苦労した
2 費用対効果(ROI)を示すのが難しかった
■私たちは何をしたらよいのか
3 Asprovaを何に活用したらよいのか迷った
4 大日程・中日程・小日程計画、組立計画、加工計画などさまざまな計画があり、どこから始めたらよいか迷った
5 導入後の姿が想像しにくかった
■組織・業務の仕方の変更
6 現状業務をどこまで変えたらよいかで迷った
7 計画立案の役割や組織の見直しが必要になった
■技術的な面
8 機能が多過ぎて、何をどう使っていいかわかりにくかった
9 何ができて、何ができないのかわかりにくかった
10 困った事に対して他社がどのように使っているか、の事例がもっと知りたかった
11 プロトタイプをつくりたかったが、スキル不足で進められなかった
12 計画作成方法(コマンド、計画パラメータ)がわからなかった
13 想定していた結果が出なかった
14 原因の特定が難しいエラーがあった
15 マスタ構築が難しかった
16 マスタのメンテナンスが難しかった
17 システム連携が難しかった
18 作業指示をどのように出して、作業実績をどのように取るかを決めるのに迷った
19 システムテストは、どこでテストの完了かわからなかった
20 不良品、故障、オーダ急変などイレギュラーケースにどう対応してよいかわからなかった
21 プロトタイプ手法に限界を感じた(必須で難しい要件が後回しになるため)
22 HELPが理解しにくかった。
■人的問題
23 人材不足で困った
24 困っているときにサポートしてくれる人がいなかった
25 重箱の隅をつつくような問題にこだわり過ぎる人に困った
26 社内に抵抗勢力や反対派がいた
27 関係者が一致団結しなくて困った
28 現場と導入を進めている人たちとの間に温度差があった
29 何でもできると思い込んでいる人に困った
30 過去のやり方に固執して、新しいやり方を受け入れようとしない人がいた
31 作業指示と無関係に作業する人がいて困った
32 生産管理を知らない新人でも通常業務はできるが、想定外のケースへの対応は難しくなった
33 Asprovaに属人化してしまった
34 担当者が交代したら、Asprovaを使わずExcel管理に戻ってしまった
35 一生懸命やっているのに、理解してもらえなかった

 35個もあると見ることもできるし、35個しかないと見ることもできます。それを見ていると、これは宝の山ではないのかと思い始めました。これらの困った事を解決すればよいのです。当社の使命は「生産スケジューリングの専門家として、生産スケジューリングで困っている人をお助けさせていただく」と定義しています。
 今回のアンケートから、導入してくれたお客様、導入したけど運用が途中で止まってしまったお客様、導入検討はしたけど導入されていないお客様、外部コンサルタントとして導入に参画した方々など、極力広い範囲の方々から「困っている事」をできる限り多く収集し、解決策・解消策を検討しました。これまであまり深掘りされてこなかった、または避けてきた人・組織の問題、周辺システムが多様なため連携に苦労する問題、情報やモノの流れが複雑・大規模なため混沌とした問題、などがあります。また、マスタメンテナンス、計画パラメータ、取得する実績データの種類、スケジュールの範囲・粒度、スケジューリング結果の評価と導入効果の評価などについても、深掘りをしたいと思います。ある問題は、現実的には解決が非常に難しいかもしれませんが、それで逃げずに顧客目線で、お客様に何らかの解決方法(解消方法、緩和方法)を極力平易な表現で提示したいと思います。
 生産スケジューリングのコンピュータ化の難易度は、他のシステム化に比べると非常に高いです。たとえば、先頭工程の投入順序を入れ替えただけで、スケジュール全体を大きく変えてしまうこともあります。目の前の小さな変更が未来にどんな影響を及ぼすのか、未来の小さな変更が現在にどんな影響を及ぼすのか、正確に知ることは簡単ではありません。これは難しさの一例ですが、この難しさを踏まえて、みなさんにおける導入検討と導入プロジェクトと導入後の運用を、できる限り効率的かつ安定的に推進可能にすることが本書の主題です。みなさんにおいても上記35個の事柄を正しく理解した上で、導入検討や導入プロジェクトに正しい事前対策をし、よりローコストで効果の高い結果が得られるように進められることを望みます。
 なお、本書のプロローグ(小説的ストーリー)の中で書くには、35個でも多いため、ベスト10まで数を絞りました。

本書で使用している表記方法、用語
 サポートサイト 本書の内容を補足するウェブサイトがあります。ぜひ内容を参考にしてください。
[3.00.aru]サポートサイトからダウンロード可能なAsprovaのデータファイル。無料体験版で動かせます。
[要件 123]要件の例。要件定義するときに参考にしてください。123は要件の番号です。
[考えよう8.01]質問がありますので、それについて考えてください。8.01は考えようの番号です。
[Video 22.04]e-Learningビデオの番号22.04を見てください。
[Help 000777]詳細はAsprovaのヘルプページの番号000777を見てください。
上記、要件、考えよう、Video、Helpの内容はサポートサイトにあります。
サポートサイトhttps://support.asprova.com/hc(登録が必要)をご覧ください。

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