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わかる!使える!品質改善入門
<基礎知識><段取り><実践活動>

定価(税込)  1,944円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07961-0
コード C3034
発行月 2019年05月
ジャンル 生産管理

内容

トヨタ流品質改善の理念などの基礎知識と、実際の活動をつなぐ前準備と段取り(体制・推進条件など)に注目して解説。「どうしてそうなる?」「なぜそう進める?」を理解して、改善効果の引き上げと活動定着の勘所を体得する。

石川君雄  著者プロフィール

(いしかわ きみお)
国際経営技術研究所 代表
名古屋工業大学大学院博士後期課程修了 博士(工学)
㈱豊田自動織機で設備設計、自動車生産ラインなどの構築、工場建設・運営、TPS(トヨタ生産方式)、TPM(総合的生産保全)を推進。トヨタ自動車田原工場建設プロジェクトに参画。全トヨタ技術研究会(NC加工、公害防止、設備保全など)委員のほか、日本機械工業連合会設備安全検討会委員を歴任。現在、東海学園大学大学院経営学研究科客員教授、日本設備管理学会監事、愛知県外部有識者、名古屋市審査委員、技術士(経営工学、総合技術監理)、中小企業診断士、労働安全コンサルタント、TPM優秀賞審査員。主な著書に「よくわかる設備改善の本」「トコトンやさしいトヨタ式作業安全の本」(日刊工業新聞社)がある。中国、インドネシア、メキシコなど海外講演・指導歴も多数。

目次

第1章  品質改善の基礎知識と基本原則
1 品質の基礎知識
・品質とは何か
・品質は会社の命
・PL法(製造物責任法)
・トップ主導の方針管理
・現場主導の日常管理
・品質と検査
2 生産工場における品質不良とは
・切削加工の不良
・板金プレス加工の不良
・溶接加工の不良
・塗装の不良
・樹脂成形の不良
・鍛造加工の不良
・鋳造加工の不良
・熱処理工程の不良
・組立工程の不良
・電子機器製造工程(プリント基板)の不良
・搬送・梱包・輸送工程の不良

第2章  全員を巻き込む活動の前準備と道具立て
1 トップの意思表明とキックオフ、組織づくり
・トップが率先しキックオフで意思統一
・経営幹部などによる品質改善合宿
・全員参加の連結ピン組織の活用
・トヨタの組織横断的チーフエンジニア制度
・トヨタのREと逆RE、SE
2 品質改善の環境づくり
・品質改善7つ道具
・品質改善道場
・品質改善虎の巻と免許皆伝、師範
・不良品ヤードカレンダー
・不良品さらし台
・品質朝市・夕市
3 不良の見える化、オモテ化、決め事
・3Hと4Mと5S
・エフ付け・エフ取り
・ヒューマンエラー
・ポカヨケ
・作業標準と標準作業
・品質保証の要、QC工程表
・品質機能展開(QFD)
4 品質改善を加速させる体制
・DR(デザインレビュー)
・トヨタのGD3とCOACH
・初期流動管理体制
・測定器の校正

第3章 品質改善活動を徹底するカギとツール
1 品質改善活動の胆
・品質改善活動板の使い方
・小集団活動とテーマの選定
・アイデア発想法で活性化
・トヨタの現場主義
・トヨタの自工程完結
2 品質改善活動のツール運用① QC7
・QC7つ道具
・チェックシートと層別
・グラフ
・ヒストグラム
・パレート図
・特性要因図(魚の骨)
・散布図
・管理図
3 品質改善活動のツール運用② 信頼性など
・システムの信頼性設計を考える3つのF
・FMEAとFTA
・データの種類と扱い
・MTBF/MTTR/MTTF
・ワイブル・ハザード解析
・数量化ⅠⅡⅢⅣ類(quantification methods)
・実験計画法
4 品質改善活動のツール運用③ N7
・新QC7つ道具
・親和図
・連関図
・系統図
・マトリックス図
・PDPC法
・アローダイアグラム
・マトリックスデータ解析法
5 永続的な品質改善活動に向けて
・QCストーリー
・品質保全と8の字展開とPM分析

・TQCとSQC、QCC
・QMS ISO9000

トヨタ生産方式の2本柱の1つが「自働化」
トヨタグループの原点、豊田佐吉の展示館

参考文献
索引

はじめに

 品質管理の歴史を振り返ると、米国で1931年、ベル電話研究所のシューハート(W.A.Shewhart)が統計学をもとに管理図を考え、これが統計的品質管理の起源と言われています。一方、第2次世界大戦後の日本の製品は「安かろう、悪かろう」と称され、連合国軍司令部GHQは1946年、米国のウェスタンエレクトリック社から品質管理の技術者を日本に招きました。これが日本の品質管理の始まりとなりました。そして、1949年には工業標準化法が制定され、日本工業規格(JIS)が生まれたのです。
 その後1951年に、米国のデミング(W.E.Deming)博士が来日し、デミングサイクルを広めました。また、品質管理に優れた企業などを表彰するデミング賞も、日本科学技術連盟により創設されています。1954年には米国のジュラン(J.MJuran)氏が来日し、統計的品質管理(SQC:Statistical Quality Control)を提唱。さらに1958年、アメリカのファイゲンハウム(A.V.Feigenbaum)博士が提唱した全社的品質管理TQC(Total Quality Control)に注目が集まるようになりました。
 この頃、魚の骨(石川ダイアグラム)で著明な石川馨東京大学教授によりQCサークルが普及し始めます。1965年には、NECがアメリカのマーチン社が始めたZD(無欠点zero defects)運動を導入しました。またフィッシャー(R.A.Fisher)によって開発された実験計画法を、田口玄一博士が改良して品質工学(タグチメソッド)を体系化したのは1980年代です。
 1987年になるとISO9000(ISO:International Organization for Standardization)が制定され、国際標準化されました。そして、米国ではNIST(米国連邦標準・技術局)が、TQCで優れた企業を表彰するMB賞(Malcolm Baldrige National Quality Award)を創設。1995年には、製造物責任法(PL法)がスタートしています。
 一方、世界中にトヨタ生産方式として知られ、日本を代表するモノづくり企業であるトヨタの品質管理の起点は、グループの源流企業とされる豊田自動織機を創設した豊田佐吉氏に遡ります。豊田佐吉氏は「十分な商品テストを行うにあらざれば、真価を世に問うべからず」と言いました。また、その子息でトヨタ自動車を創設した豊田喜一郎氏は、「製品の品質と業務の運営を監査し、これを改善する」と述べています。「お客様第一」「品質第一」の原点がここにあると言えます。
 1937年に監査改良部を設置し、1949年にSQC、1961年にはTQCを導入。1963年になって、品質保証と原価管理を中心にした機能別管理体制を構築しました。その後も、1966年のオールトヨタ品質管理大会開催、トヨタグループ主要8社QC連絡会開催、1968年に不良撲滅(QRE:Quality Resident Engineer)活動、1970年にはクレーム情報の技術解析電算化を開始し、管理者能力向上プログラム(管プロ)を推進してきた歴史があります。1988年にはQCルネッサンス活動として、1人ひとりが主役のNewQCサークルを立ち上げ、1995年のサイエンスSQC開始、1997年のCD(Customer Delight:魅力品質)品質向上委員会の設置へと続いていきます。
 21世紀を迎えると、お客様迷惑度低減のための海外EDER(早期発見早期解決)委員会を2001年に設置し、2003年には品質情報の新システムTQ-NETの運用開始、2005年にCF(カスタマー・ファースト)活動をキックオフ。2007年にBR自工程完結室を、2010年にはグローバル品質委員会を設置しています。このように、活性化のための各種イベントや仕掛け、また自社のみでなく仕入先やグループ会社、グローバル化など新たな環境変化にも積極的に取り組んできたことが見て取れます。
 本書は、品質改善の入門書としてイメージが伝わるよう、絵や図をできるだけ挿入して解説するよう心がけました。そんな絵図の作成にご協力をいただいた、中小企業診断士の竹本恵子氏に深く感謝します。また、本書の執筆に際して矢島俊克氏に多面にわたりお世話になりました。本書が、品質改善を願い尽力する方々のお役に立てるなら、これ以上の喜びはありません。
2019年(令和元年)5月
三河安城にて 石川君雄

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