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わかる!使える!工業塗装入門
<基礎知識><段取り><実作業>

定価(税込)  1,980円

著者
サイズ A5判
ページ数 176頁
ISBNコード 978-4-526-07937-5
コード C3043
発行月 2019年05月
ジャンル 化学

内容

工業塗装の塗装作業は、経験や技能に負うところが多く、実際に現場で役立つ知識を体系的にまとめた書籍は多くない。そこで本書は、理論だけでなく実際の塗装作業の知見を豊富に盛り込み、基礎知識、前準備・段取り、実作業をわかりやすく解説する。

坪田 実  著者プロフィール

(つぼた みのる)
1949年 富山県生まれ
1972年 職業訓練大学校卒業
1974年 山形大学大学院工学研究科高分子化学専攻修了
1975年 職業訓練大学校助手
1985年 工学博士(東京大学)
1987年 職業訓練大学校助教授
2015年 職業能力開発総合大学校准教授退任
2016年 川上塗料株式會社 社外取締役

専門分野:塗料物性、塗装技術と技能

1982年度色材協会論文賞、2006年度日本塗装技術協会論文賞を受賞。
2005〜2006年度 技能五輪国内大会「車体塗装」競技主査。

主な著書
「図解入門 よくわかる最新 塗料と塗装の基本と実際」秀和システム(2016)
「塗料・塗装のトラブル対策-現場で起きた欠陥事例と対処法-」日刊工業新聞社(2015)
「目で見てわかる塗装作業-Visual Books-」日刊工業新聞社(2011)
「ココからはじめる塗装」日刊工業新聞社(2010)
「現場の疑問を解決する 塗装の実務入門Q&A」日刊工業新聞社(2010)
「コーティング用添加剤開発の新展開(監修、共著)」シーエムシー出版(2009)
「トコトンやさしい塗料の本(共著)」日刊工業新聞社(2008)
など多数

目次

はじめに

第1章 「塗装」基礎のきそ
1 工業塗装の原点
・塗装の目的
・塗料技術とは
・工業塗装のルーツ
2 塗料とはどんな材料か
・塗料の構成と原料
・塗料を何層も塗る理由
・各層の塗料とその原料
・塗料の必要条件
・塗料の分類-その1:形態
・塗料の分類-その2:塗料用樹脂
・環境対応と生産量の推移
3 いろいろな塗り方と器工具類
・刷毛塗りとローラ塗り
・均一な液膜を転写する高速塗装
・浸せき塗り・しごき塗り
・浸せきして塗る電着塗装
・スプレー(吹付け)塗り
・静電スプレー塗り
4 塗装外観に関する基礎知識
・色彩のいろは
・隠ぺい力と試験法
・光の散乱強度と顔料粒子径
・隠ぺい力を補う手法
・つや・光沢の表し方

第2章 塗装の作業前準備と段取り
1 塗装に必要な被塗物の基礎知識
・木材
・木工塗装のポイント
・鉄鋼(1)
・鉄鋼(2)素地調整
・難付着性金属
・プラスチック(1)PPの付着性改良
・プラスチック(2)PCに対する塗装
・コンクリート
2 塗装作業者のための実務7ヶ条
・第1条:塗装できる環境を整える
・第2条:塗装作業の段取りをする
・第3条:塗装系の原則を守る(1)
・第3条:塗装系の原則を守る(2)
・第4条:塗装工程を確立する
・第5条:塗料配合の原則を守る(1)
・第5条:塗料配合の原則を守る(2)
・第6条:塗りの極意を守る
・第7条:安全作業を守る(1)これからの塗料と塗装
・第7条:安全作業を守る(2)火災と酸欠対策
・第7条:安全作業を守る(3)高所作業対策
3 塗装系の経験則
・塗装系の経験則
・塗装系の経験則を実践する
・東京タワーからスカイツリーに至る防食塗装系
・明石海峡大橋の塗装工事と費用

第3章 作業者目線での塗装作業
1 車の補修塗装概要
・車体補修方針の見きわめ方
・板金修正作業の基本形
・旧塗膜のはく離とフェザーエッジの形成
・パーツ交換と塗装作業
・擦りキズの補修作業
2 パテ成形作業
・パテ成形作業
・パテ練り・パテ付け技能のポイント
3 研磨作業から上塗り
・ポリパテの研磨作業
・プラサフ塗装・研磨
・プラサフ研磨終点の見きわめ方と上塗り準備
・上塗り準備-マスキングと塗料の調色・配合
・上塗り
・上塗り(スポット塗り)
・磨き作業の実践
4 スプレー名手への道
・スプレー名手への道(1)
・スプレー名手への道(2)
・スプレー名手への道(3)
5 作業に必要な器工具類と装置
・車の補修作業に必要な器工具類と塗装材料
・ディスクサンダー・手研ぎ工具類・養生材料
・エアスプレー(吹付け)塗装装置

第4章 良い塗装をするために
1 流動性を見る目―作業性の評価―
・液体塗料の粘度
・流動性の解析
・チキソトロピー
・降伏値
2 表面張力を見る目―仕上がりと外観との関係―
・表面張力とは
・表面張力差による流動
・固体の表面張力と測定法
・はじき現象と対流現象
・対流の発生条件
・対流の発生実験
3 蒸発と乾燥を見る目
・蒸発速度を支配する要因
・溶剤蒸発に起因する欠陥例
4 付着性を見る目―くっつきとはがれ―
・くっつく力の発生
・付着性とはがれる原因
・塗装系の経験則と付着性

コラム
・新車の流行色
・ピアノの鏡面塗装ライン(1)
・ピアノの鏡面塗装ライン(2)

・引用・参考文献
・索引

はじめに

 工業塗装の原点は、塗装から乾燥に至るすべての工程を管理された環境下で行うことです。対極にあるのが現場塗装です。工業塗装の代表的な分野は自動車塗装やPCMライン、製缶塗装ラインになると思います。高品質とコストパフォーマンスを追求するために、高速塗装で、高性能・高外観な仕上げを目指し、それらを達成しています。同時に、環境問題には特別な対応が必要です。塗料と塗装では有機溶剤の揮発を伴ったり、加熱乾燥や焼付け工程があるためです。これからのものづくりには、地球環境を再生させるために具体的で明解な対応策を持って望まなければなりません。
 私たちの生活には、IoT(Internet of Things)と呼ばれるインターネット経由でセンサーと通信機能を持つ技術と、人工知能AIが導入されつつあります。IoT/AI技術の導入により工業生産は今後ますます進化して行くと考えられます。はたして、100年後におけるものづくりはどのような状態になっているでしょうか。
 このように考えていると、本書に対する執筆方針を打ち出すことができません。いっそのこと人類誕生の頃はどうだったのかと思い巡らせました。
 塗料・塗装の歴史を紐解くと、「人類は塗装が好きだった」ことがわかります。
 元来、人間は「表現したい」という欲求を持っている生物です。色については、特に赤い色は神聖視され特別な思いがあったと思われます。BC15万~6万年にかけての旧人類ネアンデルタール人は赤土(酸化第二鉄)で身体彩画をしていました。有名なアルタミラ、ラスコで発見された壁画からもわかるように、色彩を付与する鉱物(顔料)や植物(染料)を発見し、これらを粉砕してバインダー中に入れたらうまく塗れることまで経験から知っていたようです。バインダーとして動物の血や、膠(にかわ)、ピッチやタール、漆などが使用されていました。古代人に、どうやってバインダーを見つけたのかを聞いてみたいものです。恐らく、「そこにあった液体をいくつか使ってみて、その中で、これがvery goodだった」とか、「これにはかぶれて困ったよ」、「煮たらこんなに粘くなって塗りやすくなった」とか、さぞや日常会話が弾んだのであろうと、想像するだけでも楽しくなります。
 そうです。人間は楽しく仕事をしないと生きて行けない動物です。とてつもなく発展しそうな未来に対して、現在の私たちが残せるものは何かと考え、本書を執筆させて頂きます。本書で取り上げた構成と内容を簡潔に記します。
第1章 「塗装」基礎のきそ
 工業塗装のルーツを概観し、塗料という材料と塗り方をまとめました。
第2章 塗装の作業前準備と段取り
 塗装の段取りに役立つ被塗物の知識と塗装系の経験則をまとめました。
第3章 作業者目線での塗装作業
 一連の塗装作業を紹介したいと思い、車の補修塗装を取り上げました。
第4章 良い塗装をするために
 良い仕上がりを得るために、作業者が学習する見方をまとめました。
 最後に本書発行の機会をいただいた日刊工業新聞社の奥村功出版局長、および編集作業で適切なアドバイスをいただいたエム編集事務所の飯嶋光雄様はじめ、スタッフの皆様に感謝いたします。また、第3章では、JA損害調査(株)業務課の皆様に多大なご協力をいただきました。この場を借りてお礼申しあげます。
令和元年5月
坪田 実

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