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熱設計を考慮したEMC設計の基礎知識

定価(税込)  2,592円

著者
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-07979-5
コード C3054
発行月 2019年05月
ジャンル 電気・電子

内容

EMCと熱を別に考えるのではなく、共通する部分と非共通な部分の考え方をしっかりと学べる本。またその上で、電磁波(ノイズ)と熱の流れを解説する。EMC設計者が熱に対する基礎を理解できるよう、また熱設計者がEMCの基礎を理解できるように配慮した基礎・入門書。

鈴木茂夫  著者プロフィール

(すずき しげお)
1976年 東京理科大学 工学部 電気工学科卒業
フジノン(株)を経て(有)イーエスティー代表取締役
技術士(電気電子/総合技術監理部門)

【業務】
・EMC技術等の支援、技術者教育

【著書】
「EMCと基礎技術」(工学図書)、「主要EC指令とCEマーキング」(工学図書)、「Q&A EMCと基礎技術」(工学図書)、「CCDと応用技術」(工学図書)、「技術士合格解答例(電気電子・情報)」(共著、テクノ)、「環境影響評価と環境マネージメントシステムの構築―ISO14001―」(工学図書)、「実践ISO14001審査登録取得のすすめ方」(共著、同友館)、「技術者のためのISO 14001―環境適合性設計のためのシステム構築」(工学図書)、「実践Q&A環境マネジメントシステム困った時の120例」(共著、アーバンプロデュース)、「ISO統合マネジメントシステム構築の進め方―ISO9001/ISO14001/OHSAS18001」(日刊工業新聞社)、「電子技術者のための高周波設計の基礎と勘どころ」(日刊工業新聞社)、「電子技術者のためのノイズ対策の基礎と勘どころ」(日刊工業新聞社、台湾全華科技図書翻訳出版)、「わかりやすいリスクの見方・分析の実際」(日刊工業新聞社)、「わかりやすい高周波技術入門」(日刊工業新聞社、台湾建興文化事業有限公司翻訳出版)、「わかりやすいCCD/CMOSカメラ信号処理技術入門」(日刊工業新聞社)、「わかりやすい高周波技術実務入門」(日刊工業新聞社)、「わかりやすいアナログ・デジタル混在回路のノイズ対策実務入門」(日刊工業新聞社)、「わかりやすい生産現場のノイズ対策技術入門」(日刊工業新聞社)、「読むだけで力がつくノイズ対策再入門」(日刊工業新聞社)、「ノイズ対策のための電磁気学再入門」(日刊工業新聞社)、「デジタル回路のEMC設計技術入門」(日刊工業新聞社)、「トコトンやさしいEMCとノイズ対策の本」(日刊工業新聞社)、「ノイズ対策は基本式を理解すれば必ずできる!」(日刊工業新聞社)、「ノイズ対策を波動・振動の基礎から理解する!」(日刊工業新聞社)

目次

第1章 EMCと熱の共通性
1.1 技術が進歩すると高周波エネルギーと熱エネルギーは増大する
1.2 EMCの考え方
1.3 熱の考え方
1.4 電気と熱に関する用語
1.5 エネルギー保存の法則による考え方
1.6 波(定在波)は力をもつ
1.7 EMC設計と熱設計のシステム的な考え方

第2章 ノイズ源と熱源及び流束
2.1 EMCと熱における力線と場、エネルギー
2.2 電荷源と熱源からのエネルギーの流れ
2.3 力線(流束)の密度を低減する方法
2.4 電流によって磁界(磁力線)が作られる
2.5 電気伝導と熱伝導
2.6 対流と放射
2.7 信号回路からコモンモードノイズ電流が発生するメカニズム
2.8 ICの発熱とEMCとの関係

第3章 EMCと熱に関するインピーダンスの考え方
3.1 インピーダンスとは何か、なぜインピーダンスを考えるか
3.2 信号回路のインピーダンスと電磁波のインピーダンス
3.3 EMCと熱のインピーダンス
3.4 熱の伝搬形態における熱インピーダンス
3.5 信号伝送路と流体が流れる管路のインピーダンス
3.6 相互インダクタンスとループインダクタンス
3.7 直列接続と並列接続によるインピーダンス
3.8 EMC設計も熱設計もインピーダンスを低減することにある
3.9 EMCと熱に関するシステムインピーダンス図
3.10 インピーダンスミスマッチングは放射と圧力損失に関わる
3.11 さまざまなインピーダンス

第4章 EMCと熱に関する基本法則
4.1 EMCの基礎となる電磁気に関する基本法則
4.2 回路の配線間に電磁波を集める方法
4.3 逆起電力がコモンモードノイズ源となる
4.4 熱と電磁波に関するエネルギー保存の法則
4.5 熱の伝わりやすさに関する基本法則
4.6 渦の考え方とそのエネルギー
4.7 EMCにおける回路と力学の対応

第5章 ノイズ源と熱源への対策
5.1 EMCと熱システムの4つの要素
5.2 ICのスイッチング電流がEMC設計と熱に与える影響
5.3 デジタルクロック波形の高調波エネルギー
5.4 ノイズ源と熱源、そのエネルギーの低減方法
5.5 信号回路のインピーダンスと伝搬経路のインピーダンス
5.6 コモンモードノイズの低減方法
5.7 スリットが信号の流れと流体の流れに及ぼす影響
5.8 熱対策(ヒートシンク)がEMC性能に及ぼす影響
5.9 定在波の発生、インピーダンスマッチングによるノイズ低減

第6章 伝搬経路・筐体への対策
6.1 電子機器のエネルギーの流れ
6.2 電子回路の基本構成からEMC及び熱源の条件
6.3 コモンモードノイズ源の低減と熱インピーダンスの低減
6.4 信号の伝送とコモンモードノイズの伝送
6.5 ノイズ電流が流れる伝搬経路のインピーダンスを最大に熱流に対しては最小にする
6.6 PCB間の電磁波エネルギーと熱流の流れ(損失の最小化)
6.7 熱流とコモンモードノイズに対する筐体の役割
6.8 強制対流による冷却
6.9 流体の圧力損失
6.10 ノイズ源と熱源を考慮したレイアウト

第7章 ノイズと熱によるイミュニティ性能の向上
7.1 電磁波と熱による悪影響は何か
7.2 電磁波と熱による影響を少なくするためには
7.3 熱とEMCに対するイミュニティ能力を向上させるには
7.4 EMCと熱イミュニティを考慮したレイアウト
7.5 静電気による誤動作・故障のメカニズム、誤動作対策の考え方
7.6 EMCと熱イミュニティの等価性

第8章 EMCと熱に関する基礎資料
8.1 電磁波の発生と受信に関する基本法則
8.2 EMC基本式 Vn=(Ls-M)・dI/dt
8.3 流体に働く力
8.4 レイノルズ数
8.5 ベルヌーイの定理
8.6 信号の反射によるエネルギーの減衰
8.7 電磁波に関する波動方程式
8.8 熱伝導方程式
8.9 ノイズ源のエネルギーと熱エネルギー
8.10 放射伝達率と放射インピーダンス(ステファン・ボルツマンの法則)
8.11 ノイズ源を探す方法

参考文献
索  引

はじめに

 現在、電気・電子機器のほとんどがエレクトロニクスの技術の進歩によって性能・機能が著しく向上しています。今後のAI、IoT社会に向けてさらなる技術進歩が予想されます。こうした中、電気・電子機器の高周波エネルギーが増大して電磁波が放射される、電磁波を受信することによる障害の発生、小型化、軽量化する中で発熱量の増大、熱やノイズの影響を受けて回路や部品の機能障害などの問題が顕在化しています。EMCの分野では電磁気学を基礎として信号伝送、アンテナ、部品を始めあらゆる分野のエレクトロニクスの知識が必要となり、熱の問題に関しては熱、伝熱工学、流体力学の知識が必要となります。EMC(ノイズの問題)は電磁波の放射レベルを規定値以下にすること、ノイズの影響を受けても機器が意図した動作が保証できるようにすること、熱については熱源から熱を効率よく機器の外部に運ぶことによって熱源の温度を規定値以下にすることです。また、熱による影響を受けても部品を最高保証温度以下にすることです。本書はEMCと熱の問題は源が同じであるため、これらの問題を共通したプロセスで構築できないものかと考え、信号回路から発生するノイズ源と熱源、これらが伝搬する経路、ノイズや熱の影響を受ける、EMCと熱にとって重要な働きをするEMCシステムGND、熱システムGNDともいえる筐体の4つのプロセスで表し、共通するところ非共通なところを明らかにしております。各章では主として次のようなことを意図しています。
 第1章はEMCと熱の共通性とシステム的な考え方、用語、エネルギー保存則
 第2章はノイズ源と熱源の源からの流速、ノイズ源の発生メカニズム、熱の伝達
 第3章は源、伝搬、受信、筐体までを含めたインピーダンスの考え方
 第4章はEMCと熱に関する基本法則
 第5章はノイズ源と熱源のエネルギーを低減する方法
 第6章は伝搬経路においてコモンモードノイズの伝搬、熱の伝達のメカニズム及びその対策方法
 第7章はノイズ受信と熱受信によるイミュニティ性能の向上の考え方
 第8章はEMCと熱設計に関して基本となる法則、電磁気学、コモンモードノイズ源、流体に関する基本法則、ベルヌーイの定理、電磁波に関する波動方程式、熱伝導方程式。
 EMC設計者が熱に対する基礎が理解できるよう、また熱設計者がEMCの基礎を理解できるよう、なるべく共通したシステムで考え方ができるよう配慮しました。読者の皆様方の業務に本書が少しでもお役に立てれば幸いであると願って浅学を承知でまとめてみました。最後に本書をまとめるにあたり、企画の趣旨、原稿の校正、有益なご指導をいただきました日刊工業新聞 出版局書籍編集部 部長 鈴木 徹氏並びに校正から製作までお世話になりました日刊工業出版プロダクション北川 元氏に心より感謝いたします。
2019年5月 鈴木 茂夫

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