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おもしろサイエンス
地形の科学

定価(税込)  1,728円

著者
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07965-8
コード C3034
発行月 2019年03月
ジャンル その他 環境

内容

地球の表面は山、川、海、平たん地など、様々な凹凸の「地形」でできている。どうしてこんな変化に富んだ地形ができるのか。特に日本列島は、活発な火山活動により、特徴的な美しい地形がたくさんある。そこで本書は、地形を体系化し、その謎を図解でわかりやすく解説していく。

西川有司  著者プロフィール

(にしかわ ゆうじ)
 1975年早稲田大学大学院資源工学修士課程修了。1975年~2012年三井金属鉱業(株)、三井金属資源開発(株)、日本メタル経済研究所。主に資源探査・開発・評価、研究などに従事。その他グルジア国(現在ジョージア)首相顧問、資源素材学会資源経済委員長など。

 現在 EBRD(欧州復興開発銀行)EGP顧問、英国マイニングジャーナルライターなど。

 著書は、トコトンやさしいレアアースの本(共著、2012)日刊工業新聞社、トリウム溶融塩炉で野菜工場をつくる(共著、2012)雅粒社、資源循環革命(2013)ビーケーシー、資源は誰のものか(2014)朝陽会、おもしろサイエンス地下資源の科学(2014)日刊工業新聞社、おもしろサイエンス地層の科学(2015)、おもしろサイエンス天変地異の科学(2016)、おもしろサイエンス温泉の科学(2017)、おもしろサイエンス岩石の科学(2018)日刊工業新聞社など。「資源と法」(2012〜2019.1)記事連載 朝陽会発行(編集雅粒社)また地質、資源関係論文・記事多数国内、海外で出版。

目次




第1章 
地形ってなんだろう?

1  地球表面の凹凸が地形だ

2  ミクロとマクロの地形はどのように関係するのか

3  身近な地形とは、どんな地形か

4  刻々と変化する地形、災害で変化する地形

5  地形図は何を表わしているのか。地質図との違いは

6  地形の起源はどこにあるのか

7  人間のスケールの時間空間を超える地形


第2章 
地形はどうしてできるのか

8  地形をつくる大きな力
9  削剥、風化、溶解は地形とどうかかわるのか

10  地面は盛り上がり、断裂しながら地形はできる

11  風化、削剥、運搬、堆積のプロセスから地形ができる

12  地球内部からのエネルギーで火山活動が生まれる

13  岩石の違いで地形も変化する
14  がけ崩れ、地滑りで地形が変わる

15  気候によっても地形は変化する

第3章 
地形の種類はたくさんある

16  たくさんある地形の種類──日本は地形の宝庫だ

17  石灰岩特有の地形──カルスト地形

18  美しい景観をつくるリアス式海岸の特徴

19  日本全国に分布する花崗岩がつくる地形

20  地上と同じように火山や盆地がある海底の地形

21  ホットスポットの地形
22  長い年月をかけてつくられた氷河特有の地形


第4章 
川や山、海はどうしてできるのか

23  マグマによって形が変わる火山地形のできかた

24  高く隆起する山岳地形のできかた

25  気候も大きく影響する河川のできかた

26  40億年前に誕生した海のできかた

27  まったいらな地形はどうしてできる?

28  砂漠のできかたは地形に関係している

29  地面がへこんでできる凹地や盆地


第5章 
地形と地質の関係は密接だ――プレートテクトニクス

30  プレートテクトニクスがつくる地形

31  火山活動が活発な変動帯の地形

32  大昔から大きな変動を受けていない安定大陸の地形

33  日本列島の地形はどのようにできたのか

34  本州に潜り込んだ伊豆半島

35  ユーラシア大陸に潜り込んだインド大陸──世界一の山になったエベレスト

36  プレートが動き、島ができる、富士山ができる


第6章 
様々な地形――絶景、世界の最果て

37  侵食残しのギアナ高地やグランドキャニオンは絶景をつくる

38  砂漠の中の砂丘──サハラ砂漠
39  奇妙な景観、カッパドキアの侵食地形

40  雄大な富士山は日本一の景観

41  海抜マイナス400メートルの世界一低い死海

42  世界最大の滝──イグアス、ナイアガラなど、滝がどうしてできたのか

43  ヨーロッパ最北端氷河地形のノールキャップの絶景


第7章 
地形は社会の発展に大きく影響する

44  土地としての利用価値が高い扇状地の形成と役割
45  関東平野の形成と都市の形成

46  山が多く平地が少ないという地形を利用した日本の農業

47  大都会ニューヨーク、パリ、ロンドン、東京の地形

48  社会の発展と地形の関係

49  自然災害が多発する日本の地形とは?

50  地形は観光資源となっている




Column
   
地形を表わす姓――「地形」という姓もある
   
柱状節理が生み出す地形   
ポーランドの砂州でできたヘル岬を訪問したブッシュ大統領    
原爆の実験場だったカザフスタンの草原は安定大陸    
サハラ砂漠の砂漠、海岸線、海底は連続してゆく
   
「幸福の国」ノルウェーは全土がフィヨルド
   
地形を変える人間生活

参考文献

はじめに

 地球の表面は山、川、海、平たん地など様々な形でできています。そしてその中には、絶景と呼ばれる美しい地形もあり、思わず「すごい!」と感嘆の声をあげたくなります。

 このように、地球の表面は様々な特徴的な凹凸からなり、これを地形といいます。この凹凸の地形は地球内部 からのエネルギーの放出と太陽による気候の変化、雨・風・雪や日差しなどの外からのエネルギーによって生まれます。険しい山になったり、なだらかな山になったり、渓谷や谷をつくったり、あるいは平らな平野になったりと、様々な変化にとんだ姿を見せてくれます。

 地球の表面では岩石が、空気や水にふれ日差しに曝され「風化」しボロボロになり「侵食」され崩れたり削り取られ、砂や土となり川や風で海に運搬され、堆積していきます。石灰岩のように水に溶ければ起伏が生じ、地形が形成され、溶けた成分は川によって海に運ばれていきます。

 また、地球内部からのエネルギーの放出によっても地形が生まれます。火山活動が起こり、マグマが噴出し溶岩が流出したり、マグマだまりが陥没してカルデラができたりして火山地形がつくられます。湖もできます。地殻変動(造山運動)によって断層ができたり、地層が曲がり、地表が隆起し沈降したりします。マグマも貫入し固結し、山がつくられます。地球温暖化による海面上昇にともなう海水準変動でも平野などが形成されます。

 山川、平地、山岳、高台、海岸、島などの地形の「でき方」と「できる原因」は地形そのものに記録されています。瞬間にできる場合もありますが、多くの地形の形成には数千年、数百万年と途方もない長い時間がかかります。地形は、僅か1年に10センチメートル以下というマントル対流で動くプレートテクトニクスでつくられます。世界一高いエベレストもこのプレートの動きで形成され、富士山もプレートに関係します。国土の大半が山からなる日本列島の地形も火山と造山運動による影響でつくられています。

 私たちが住む社会の場や農地は地形の制限を受けています。日本では国土全体の14%の平地に人口の約5割が集中しています。地形は自然をつくり、景観をつくり、町をつくり、地形の条件によって都市が生まれます。地形は私たちの身近な存在です。一方で、火山活動やがけ崩れ、地滑りによって災害にも結びつきます。

 地形に関する本は、多くありません。本書では地形を体系化し、地形全体をわかりやすく表しました。地殻変動と地形、堆積作用と風化削剥作用、気候の影響を受ける地形、火山活動によって生まれる地形、地層や岩石と地形との関係など地球の営みのなかでつくられる地形を理解しやすいように描きました。地形および地球への興味を深めていただければ嬉しいです。

 「地形の科学」はおもしろサイエンスの「地層の科学」や「岩石の科学」と相互に関係します。

 本書を通して科学的な眼で地形を見、眺めていただければ、筆者の望外の喜びです。

 日刊工業新聞社藤井浩氏には執筆の機会を与えてくださり、執筆編集のご指導をいただき、深く感謝を申し上げます。

 
2019年3月


西川有司

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